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第七十二話 先生として


 カンナ「クソ……もう少しだったのに!!」


 シドウ「おいカンナ!!お前は下がっていろ、後は俺がやる」


 攻撃する直前で薬の効果が切れてしまいカンナの状態になってしまったのでガレオスのメイスを持ち上げられずにいた


 その事にいち早く気づいたシドウが素早くカンナの元へと駆け寄って武器を手に持って持ち上げようとするのだが


 シドウ「なんて重さだ……お前はこんなのを持ちながら戦っていたのかよ」


 シドウは両手を使ってかろうじて持ち上げるがあまりもの重さに一歩ずつ歩く事が精一杯になっている


 シドウ「クソが!!こんなの持って走り回れる訳がない……だがそれくらい重い一撃じゃないとこいつには……」


 カンナ「先生!!危ない」


 武器の事に気を取られすぎていたシドウは攻撃に気が付かずザンギャグロスはシドウを踏み潰そうと巨大な前脚を二人めがけて降ろしていた


 降りおろされた前脚が地面に触れると凄まじい衝撃がはしりカリータとリナはシドウとカンナの名前を叫ぶ、しかし間一髪のところでカンナがシドウを引っ張って攻撃を回避しており風圧で吹き飛ばされてカリータの所まで転がってきた


 シドウ「カンナ、助かったぞ」


 カンナ「いいえ、私の方こそトドメをさせなくて申し訳ありません」


 シドウ「それもそうか、だがよくあんな質量の塊のような重さの武器を振り回して戦えたもんだな」


 カンナ「まぁ……剣なんかよりもあんな感じで叩き潰すほうが合ってますから」


 この二人の会話を聞いたカリータとリナはカンナに驚いた表情で話しかける


 カリータ「カンナ、あなたがあの人に化けていたの?……」


 リナ「…………そうだよ」


 リナ「そうだったんだ……あの時助けてくれたのは本当はカンナだったんだね」


 カンナ「うん……騙してて申し訳なかった、本当にゴメン」


 リナ「謝らなくていいよ、何か事情があったのは分かるから……それにまた私達を助けてくれたじゃん」


 カリータ「はい、例えどんな秘密があっても私達とこの国を救うために動いていた事は伝わってきましたから」


 カンナ「ありがとう二人とも……」


 カンナの正体を知って驚く二人と騙していた事に申し訳なくなるカンナだったが二人を助けた事に変わりはないのですぐにいつも通りの調子に戻ると思っていたが二人は見てどことなくモジモジしている


 カンナ「……二人共どうしたの?」


 様子が気になったカンナは優しく声をかけるがよく見ると少しだけ顔が赤いようにも見える


 カリータ「それで……なんだけど、カンナは……」


 カンナ「私が?」


 リナ「本当のカンナはどっちなのか気になって……」


 この質問の意味が分からなかったカンナは聞き返すとしばらく沈黙しその後にカリータが答える


 カリータ「その……本当は男子なのか女子なのか知りたいんです」


 カンナ(あちゃー……今ここでそれを聞くか)


 パック「それは僕も気になるなー」


 サブナック「確かにそうだが、でも何となく男のほうが本体な感じがするけどな」


 カンナ(ナックてめぇ 余計な事言うんじゃないよ)


 まさかの質問に答えられずにいると後ろから様子を見ていたサブナックとパックが割り込んできた


 カンナ「えっと……それは……」


 悩みに悩んでしまい真実を打ち明けるかどうか迷い質問に答えられずにいるとシドウが割り込んでザンギャグロスを指差す


 シドウ「お前ら、まだ敵は倒してないぞ油断するな!!」


 カンナ(先生ナイス)


 サブナック「でも先生、あのグロいドラゴンはずっと同じ所を踏み続けてるよ?」


 シドウの助け?が入り話を逸らす事に成功しザンギャグロスの方を見るとカンナがシドウを助けた場所から動かずに雄叫びをあげて地面を何度も叩き潰している様子が目に入る


 シドウ「あの武器はガレオスが使っていた武器だから封印された八つ当たりをしてるのだろうな」


 パック「現状足止めはできているのですから一旦様子を見るという手もありだと思います」


 シドウ「パックのいう事も一理あるが……」


  こちらに向かってくる気配のないザンギャグロスを見たシドウはどうするか悩んでいると後ろにいたグライス、マリア、フレイがこちらに向かってきていた


 グライス「先生!!あの古龍は倒せてないみたいですがどうしたんですか?……カンナ!!」


 三人ともカンナがいる事に驚いた様子を見せて声をかけるがカンナは少し気まずそうにしている


 マリア「カンナ?どうしたの?」


 フレイ「何か隠してた事でもあるのでしょうか? そんな顔をしていますよ」


 カンナ「……色々とね」


 グライス「……話は全て終わってからだね、それで先生 どうするんですか?」


 シドウ「そうだな……現状ではトドメを刺すのは難しいから一旦様子見を……」


 しかし次の瞬間ザンギャグロスは天に向かって吠えてこちらに向かって進んでくる


 シドウ「あそこでずっとオモチャ遊びをしてくれたら楽だったってのに……」


 カンナ「満足したってわけか」


 シドウ「グライス!!奴が動きだした、さっきみたいに援護するように後ろに伝えてくれるか?」


 グライス「分かりました、マリア、フレイ、行くよ」


 マリア「ちょっと待って……後ろの様子がおかしいわ」


 後ろに行こうとした瞬間にマリアは後ろの方から異変を感じ取り指差すと生徒の悲鳴が聞こえてくる


 フレイ「一体何が起きているの?」


 よく見ると後ろにいた何人かの男子生徒が女子生徒が何者かに攻撃を受けたようで瘴気から守るために防護壁を纏っていたのだがそれを貫通する攻撃を受けたようで地面に横たわって苦しんでいる


 グライス「はやく助けないと」


 グライスとマリアはすぐに助けに向かいに行く、そしてその犯人はザンギャグロスの隣に浮いていた


 シドウ「ローゼン……貴様」


 そこにはBクラスの担任であるローゼンがシドウ達を見下しながら不気味な笑みを浮かべている


 ローゼン「よう、お前はしぶといな」


 シドウ「お前……ジックの仲間でクソ野郎だという認識で間違いないんだな?」


 ローゼン「クソ野郎は君の方だよ全く……見せしめにこの国を滅ぼし古代兵器と共にこの大陸を支配するというのに住民は避難しているわ閉じ込めていた魔力奴隷も全員逃げているわで計画がメチャクチャじゃないか」


 カリータ「先生……嘘ですよね」


 ローゼン「嘘ではない、それに所詮は学生で実戦も経験してない君たちは逃げ出すとおもっていたが大きな誤算だったよ」


 シドウ「残念だったな、そして貴様を倒すのもその学生だ」


 ローゼン「笑わせるな、実戦経験のないガキなど見せしめに何人かの傷つければすぐに戦意などなくなるのだ」


 後ろにいた学生をグライスとマリアと何人かが治療しているが多くの生徒は恐怖に怯えた顔をしているのを見たシドウは何も言えなくなる


 シドウ(古龍もいるのにこいつの相手もしないといけないのか……だか諦めるわけにはいかん)


 ローゼン「諦めろ、お前達はここで終わりだ」


 シドウ「……終わらせはしない、例え命が果てようと俺は最後まで戦い抜く」


 ローゼン「貴様の命一つでどうにかなるはずもないだろう、それに今の状態では俺に勝てるはずもない」


 シドウ「だろうな……だが俺には共に戦ってくれる生徒がいる、格好つかないが頼るしかなさそうだ」


 ローゼン「いくら増えようが無駄だ」


 そう言うとローゼンは自身に黒い魔力を注ぎ込んで変身する


 その姿は異形であり人とはかけ離れており黒い全身に大きな角が生えている


 ローゼン「今すぐに殺してやるぞ、シドウ!!」


 シドウ「化け物が……カリータ、リナ、フレイ 俺と協力してあいつを討てるか?」


 この言葉に三人とも頷いて戦闘体制にはいる


 フレイ「良い先生と思っていましたが……残念です」


 フレイはイマイチ割り切れていない様子だがそれはカリータとリナも同じようである


 シドウ「それとカンナとサブナック、パックは後ろの奴らと協力してザンギャグロスの足止めをしろ、いいな!!」


 カンナ「分かりました」


 そしてすぐに異形と化したローゼンはシドウ向かって殴りかかってきたのでシドウはそれを受け止めて殴り返しカリータ、リナ、フレイの三人はローゼンと戦闘が始まった


 サブナック「カンナ、俺たちもやるしかないみたいだな」


 カンナ「そうだな、パックは後ろの人達に龍を攻撃するように伝えて来てくれないか?」


 パック「分かった!!」


 パックは返事をして後ろの方へと走っていったのでカンナはザンギャグロスの方向を向いてフェンリルに跨る


 カンナ「ナック、私らしかいないけど死力を尽くすよ!!」


 サブナック「分かってるよ」


 カンナ「私がフェンリルと囮になる、その隙に頭を狙え」


 カンナとフェンリルは突っ込んでいき体当たりをする、攻撃力は大幅に弱体化したが先ほどのダメージが効いているのか少しだけ効いているようである


 パックの指示もあり魔法による援護と攻撃ではなく回避を意識したカンナの立ち回りによって何とか互角に戦えている


 そしてローゼンvsシドウではシドウが押され気味ではあるがカリータとリナが臨機応変に前衛と後衛を入れ替わりフレイが援護する形で戦闘がつづいていた


 しかし長引くほど魔力は消耗していくので徐々にローゼンの攻撃がシドウに当たり始める


 シドウ「ハァ……ハァ」


 ローゼン「どうした どうした もう終わりか?」


 カリータ「くぅっ……攻撃が当たらない……」


 リナ「他の皆は……」


 フレイ「古龍の相手で精一杯のようです……リナ、カリータ!!後ろ」


 一瞬の隙を突かれてリナとカリータの背後へローゼンに回り込まれてしまい角で二人を貫こうとするがシドウが間に入って防ぎローゼンを蹴り飛ばす


 ローゼン「もう少しで教え子を殺せるところだったが生徒思いな先生だ」


 ローゼンはまだまだ余裕な表情を浮かべている反面シドウは膝をついて口から大量の血を吐いてしまう


 カリータ「先生!!」


 それを見たカリータはシドウの元へと駆け寄りフレイとリナは魔法でローゼンを攻撃するが全てかわされてしまう


 カリータ「先生……血が……」


 シドウ「心配するな、少し刺さっただけだ……それよりも全員が消耗してきている……」


 ローゼン「もう勝ち目はないぞ 諦めな」


 迫り来るローゼンを前にして膝をついたまま立ち上がる事ができずにさらに血を吐いてしまう


 フレイとリナの攻撃に動じる事なくシドウの前まで歩くとシドウを貫こうと鋭い爪をたてる


 シドウ「クソ……あんなに大口を叩いておきながらこのザマとはな……」


 ローゼン「冥界で生徒と仲良くしとくんだ」


 ローゼンは鋭い爪でシドウを貫こうとするがカリータは動けないシドウを庇うようにして覆い被さった


 カリータ「先生!!」

 

 シドウ(カリータ……辞めろ)


 シドウは声もだせず迫り来る爪を見ることしかできなかったが直前で何者かがローゼンに向かって雷魔法を放ち攻撃をする


 ローゼン「何だ!?」


「今だ!!今のうちにトドメをさすんだ!!」


 その何者かはローゼンの手足を掴んで拘束したのだがその者はEクラスの人間なら誰もが知る人物であったのだった。

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