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第六十七話 天空城の真実


 カンナが学園に来なくなって一週間が経ちその三日後にリナとカリータも後を追うようにして突然いなくなってしまっていた


 Eクラスの全員は三人を心配していたのだがリナとカリータに関しては発生した亜空間に巻き込まれた可能性が高い事が学長から説明されたのだった


 そして今日は待ちに待った天空城へ行く日なのでこの日に合わせてカンナは学園に行き教室へと入ると全員から一斉に声をかけられて心配される


 カンナ(リナとカリータが居なくなった!?いったい何故だ)


 一番仲の良かった二人がいなくなりカンナは心配する


 カンナ(リナとカリータはどうしちゃったんだよ……それにクラスのメイトに別れを告げるべきなのかな……)


 カンナは近いうちに学園を去る予定ではあるのだが仲良くなった仲間や友達と呼べる存在ができたことも相まって別れを告げるべきなのかを迷っていた


 カンナ(仕方ない……仕方がないんだ いつかはこうなるって分かってたはずだろ)


 クラスメイトに心配されるたびに名残惜しさが増していくがカンナは覚悟を決める


 そして今日は天空城に行く日だと全員に伝えて教室から出て行くのだが最後にリナとカリータの次に仲の良かったグライス、マリア、フレイを無意識に悲しそうな目で見ながら教室を後にした


 事情を知らない三人は何故悲しそうにしていたのか理由が分かるはずもなく顔を見合わせていた


 カンナ(場所は確か学長室の前に集合だったよな)


 カンナは学長室までの道を考え事をしながら一人で歩いていくと集合場所へと辿り着く


 集合場所にはシアが待っておりカンナはシアに小声で話しかける


 カンナ「シア……分かってる?」


 シア「はい……でも本当によろしいのですか?」


 カンナ「うん……決めた事だから」


 シア「そうですか……でもこの一週間はいったい何をしてたのですか?」


 カンナはシアにこの一週間の事を説明する カンナはこの一週間でエナが調査できていなかった部分を調査していたようで効率よく調査を行うために男の姿となって行っていたのだ


 そのおかげで薬も全て無くなってしまったということをシアに報告する


 シア「……そうですか 私に何か一言でも言って貰えればもう少し早く終わったのかもしれませんのに」


 カンナ「ゴメン……」


 シア「エナと色々あったのは分かりますが私はもっと話し合うべきだったのではないのですか?」


 カンナ「そうかもね……悔いが残るかもしれないけど仕方ないよ もう決めた事だから」


 シア「……そうですか それがカンナのやり方なのですね ならば私も覚悟を決めます」


 迷いながらもカンナが選択した選択肢を尊重したシアもエナとの別れを決意するがまだ完全に割り切れていない様子である


 そしてこの後にアスフェアとエナが集合場所に合流するが三人の間に気まずい空気が流れる


 アスフェア「海斗……じゃなくてカンナは本当にお別れでいいの?」


 アスフェアがエナから離れて寂しそうにカンナに話しかけてくる


 カンナ「うん……もう決めたから」


 アスフェア「そう……本当は二人共一緒にいて欲しかったけど……でも 覚悟を決めたのなら仕方ないか……分かったわ」


 アスフェアはエナの元へと戻ってカンナの意思が変わらない事を伝える


 それを聞いたエナは悲しそうな顔を浮かべて頷きアスフェアに何かを伝える


 話を聞いたアスフェアは再びカンナのところへ向かいカンナにエナの言葉を伝える


 アスフェア「エナがね 天空城の調査が終わったら一回だけ自分の所に来てほしいって」


 カンナ「そう……それで何の用があるの?」


 アスフェア「分からない、多分だけどお別れの言葉をしっかり伝えるつもりだと思う……でもまだ覚悟が決まってないと思うから時間がくるまでそっとしてあげてほしい」

 

 カンナ「分かった……」


 伝える事を伝えるとアスフェアはカンナの制服の中へと入り込む


 カンナ「何で胸元なんかに入ってくるんだよ」


 アスフェア「だって……最後かもしれないし」


 カンナ「そうだな……冷たいからあまり動くなよ」


 アスフェア「何よ……最後までそんな感じなんて本当……ムカつくわね」


 カンナ「今思えばお前とは最初からずっと相性最悪だったよな」


 アスフェア「そうよ……全く」


 思い返せば仲が良かった記憶の無い一人と一匹はこれまでのようにお互いにの事を言い合うが今回はいつもと様子が違いお互いが寂しそうな雰囲気をだしている


 そんな様子をエナは見つめておりシアは見守っていた


 それぞれがはっきりとしない思いを抱いたまま時間が過ぎていき天空城へと行く時間が近づいてくる


 待っていると異世界の勇者の全員が集合しカンナは斉藤や工藤と話しておりアスフェアを紹介したりしているが勇者全員がなんともいえない何かを隠しているような空気が流れていた


 カンナはそんな雰囲気を怪しく感じながらも気にしないようにして過ごしていると学長がやってきていよいよ天空城へと行く時間となった


 ジック「皆様お揃いでしょうか?」


 ジックが問いかけると全員少し遅れて返事をし確認したジックは自分の部屋へと来るように案内する


 言われるがままについて行くと黒くて重そうな扉がありジックが何かを唱えると黒い扉は重い音を立ててゆっくりと開く


 扉の中へと入ると中心には円形の薄い結界が張られておりその床には魔法陣が描かれていた


 ジックは魔法陣の中へと来るように誘導して説明を始める


 この魔法陣はガレオスの天空城へと行く事ができる転移魔法陣という事である


 またこの転移魔法を使う為にはかなりの魔力を使用するようであり今いる十人から魔力を分けてもらう事で転移する事が可能であるとジックが説明する


 ジック「それでは皆さんこの水晶に触れてもらえますか?」


 そう言うとジックは水晶を差し出す、この水晶に手を触れることによって魔力を吸い取ることで転移魔法を発動させる事ができるのだ


 ジックの説明を受けて納得した全員は水晶を囲んで手を触れるとその水晶から魔力が吸い取られていくのを全員が感じていた


 しばらくすると白く薄かった魔法陣の色が段々と濃ゆくなっていき輝き出している


 そしてジックが呪文を唱えると白い輝きがさらに増して全員が白い光に包まれる


 眩しい光に包まれていたので全員目を瞑ってしまっていたのだが部屋の中から一瞬で外へと出たのを全員が感じていた


 眩しい光が無くなり目を開けると目の前には所々に苔が生えている大きな建物が目に見える


 周りには石でできているベンチなどがあるが全員が驚いているのはその高度であった


 カンナ「凄え……雲とあまり変わらないくらいの場所に立ってるじゃん」


 上を見れば手が届きそうな位置に雲がありカンナは手を伸ばしているがジックがすかさず説明を始める


 ジック「ここが天空城になります、この天空城は500年前から実在し…………」


 ジックがガレオスの天空城の説明を少しだけしてその後は各自で気になる場所を見て回る自由行動を行う時間となり分からない部分や気になる場所はジックが説明をするといった感じとなって解散する


 カンナはシアと目を合わせるとそれぞれの気になった場所へと向かっていき見学ではなく調査を始める


 他の人と回っていると細かく見れない可能性があるのでシアとカンナは一人で見学をしておりカンナはアスフェアと話しながら見て回っていた


 



 アスフェア「ここには怪しい場所なんて無いと思うんだけど」


 カンナ「分からない でもここが何も無ければこの都市は何もやっていない事になってマールさんの勘違いだったってなるだろ?」


 アスフェア「そうよね……街はあんたがエナの分も隅々まで調べたって事なんでしょ?」


 カンナ「……うん 後は瘴気に囲まれてるあの場所だけ調べれてないけどあそこに何かがあるようには感じなかったな」


 アスフェア「あんた防御魔術使えないでしょ!? どうやって入ったらのよ」


 カンナ「薬で元の姿に戻って何とか調べた 全てを見れた訳じゃないけどあそこは何かを隠せるような場所には見えなかったからな」


 アスフェア「そう……あんたが一週間学園に来なかったのってエナがやってない所を調査してたって事なんでしょ?」


 アスフェアの問いにカンナは首を縦に振って答える、カンナはこの一週間エナが担当していた区域を男の海斗となって調査し薬が全て無くなってしまった事をアスフェアに話す


 そうして数時間の間あらゆる場所を調べていたカンナだったが特に怪しい場所もなくこの事をシアに確認するとシアも同じ答えを出す


 そしてさらに時間が経ち元の場所へと集合する時間となったので全員が転移してきた地点へと集まる


 

 ジック「皆さん この天空城はどうでしたか?」

 

 この質問に全員は思う所を話し、ジックはその言葉を頷きながら聞いている


 しかしエナは一人だけ孤立しており一人だけ見学ではなく別の事をずっと考えていたのでジックはその事が気になっていた様子を見せカンナに問いかける


 ジック「彼女とあなたは仲が良かったと思われますが今日はどうかされたのですか?」


 カンナ「はい……喧嘩してしまって」


 ジック「ほう……ですがあなた達は若いのですからそんな事もあります これからの生活で仲直りしていけますよきっと」


 カンナ「はい……ありがとうございます」


 カンナがお礼を言うと同時に学長は不気味な笑みを浮かべる


 ジック「まあ それも今日で終わりだがな」


 すると一人だけ孤立していたエナに向かって杖を向け魔法で攻撃をする


 エナ「えっ……」


 まさかの攻撃にエナは抵抗する暇もなく学長の放った魔法攻撃を受けるところだった……しかし


 カンナ「危ない!!」


 気がつけばカンナは考えるよりも先に足が勝手に動き出しており咄嗟にエナを突き飛ばしていた


 エナ「あうっ……」


 エナに直撃していたはずだった攻撃はカンナが庇う形となってしまい攻撃を受けたカンナは勢いよく吹っ飛ばされてしまう


 吹っ飛ばされてしまうとカンナは遥か上空から突き落とされ死んでしまうと一瞬で感じ取ったエナはカンナに向けて必死に手を伸ばす


 しかしその手が届くはずもなく外に放り出されたカンナは下へと落下していく


 エナ「嘘……海斗とアスフェアが……そんなまた私を庇って……嫌 そんなの嫌」


 エナは膝から崩れ落ちて叫んで涙を流すがカンナにはその叫びは聞こえていない


 またこの瞬間は全員が目撃しておりシアと勇者全員が杖を向けて攻撃体制に入る


 シア「……学長さん どういうつもりですか」


 ジック「これから消えるあなた方には関係ないでしょう?」


 そう言うとジックは赤い魔石を上に掲げると魔力を乱して魔法を使えなくする結界と外に出られないようにする結界で城を包み込んだのであった



 


 


 

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