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第六十一話 競技祭9 バトルロワイヤル


 カリータ「あんな風には言ったものの いざ本番を前にすると緊張しますね」


 応援席から別れを告げて控え室にいるカリータは少しだけ不安があるようでカンナに話しかけている


 カンナ「さっきはいい感じに指示を出せてたからきっと大丈夫だよ」


 カリータ「いえ 勝負についての緊張ではなくて 融合する前の動きがどうにも恥ずかしくてですね……」


 カンナ「……確かにさっきとは違って会場の皆が注目するからその気持ちは分かるかも」


 カリータ「はい……その次くらいに先程から一位をキープしているとはいえこれで勝たないとすぐに順位が入れ替わってしまうのでそちらの不安もあります……」


 カンナ「(普通は逆だと思うけどなー)勝敗よりも全力で挑む事に意味があるって思うからこれまでやってきた特訓と自分達を信じよう」


 カリータ「その通りですね 全く……融合して二人で一緒に戦うというのに不安になっていても仕方ないですもんね」


 カンナ「その通りだね……それじゃ頼んだよカリータ 私達二人で勝利を目指そう」


 カリータ「はい!!よろしくお願いしますね カンナ」


 準備が整った二人は顔を合わせ笑顔でハイタッチし控え室から出て行く


 控え室から出て会場に出ると各クラスの戦うメンバーも同様に集合しており会場は熱気に包まれて盛り上がっている


 実況「代表の皆さん準備はよろしいですか? それではAクラスの代表選手から…………」


 実況は選手の紹介とルール説明を同時に行う


 ルールは各クラスの代表二人づつの十人で融合魔術を行い全部で五人となって戦うバトルロワイヤル形式となっておりダメージを与えて合体が解除された者から脱落していき最後に残った者が勝者となる


 また円形のリングが設置されているのでそこから落ちても脱落扱いとなり相手を外に出すか攻撃して合体を解除させるかの二つにより勝敗を決めるというルールになっている


 そのルール説明と出場選手を見ていたリナはとある疑問を抱く


 リナ「そういえば先生 何で異世界からの勇者の人達が一人もいないのでしょうか?」


 シドウ「あいつらは元々この世界の人間じゃないから遺伝子的な関係で融合する事が難しいというよりも出来ないと言った方が正しいだろう」


 フレイ「大昔に使われていたある意味歴史的な魔術ですからね いくら勇者とはいえそんなに都合よくいかないって事です」


 リナ「分かりました!!先生とフレイさんありがとう」


 シドウ「この世界に来て体をいじる魔術を受けてたりしたら適応できるのかもしれんがな……後風の噂で聞いたがここに編入した勇者は恥ずかしがり屋でポーズを取るのが嫌だと言う話も聞いたりしたが真相は分からん」


 斉藤(カンナさんとカリータさんの動き見てましたけど私には恥ずかしくてできないです……)


 という理由から異世界の勇者がいない状態での勝負となってはいるが一人だけ例外が混ざっている事に一部の人以外は気付く事もない


 カンナ「クシュン 」


 カリータ「カンナ?今頃になって風邪ひいたの?」


 カンナ「いーや 誰かが噂をしてるみたいだ」


 カリータ「あはは 何それ」


 二人は緊張こそしているが冗談を良い笑えるくらいの余裕はあり実況から紹介と合体後の名前を呼ばれる


 リナ「カリーナか……偶然かもしれないけど私の名前が入ってて少し嬉しいな」


 観客席の方ではシドウやグライス達が声援を送る中でリナは一人だけ微笑んでおり嬉しそうにしている


 実況「それでは各クラスの代表は融合の義をお願いします」


 カリータ「カンナ 準備はいい?」


 カンナ「おう (唯一の知ってる人にエナとサリーがいるから二人はどんな感じで変身するのかが気になる)」

 


 Cクラスの知り合いがどんな動きをするのか気になるカンナであるが各代表の生徒達も集中して動きを合わせている


 A B Dクラスが男子生徒の二人組でC Eが一応女子生徒のペアとなっており見た感じの男女同士の融合はいない


 生徒も年頃の人が多い為か人前での行動が気になるからなのか理由は不明ではあるが全クラス性別は統一されている


 カリータ「我々は肉体と魂を一つに繋ぎ更なる力を望む者なり」


 カンナ「二つの存在が一つなぎとなりて生まれる命は人知を超えた存在となりて敵を蹴散らすであろう」


 

 カリータ「肉体の結合よ」


 カンナ「魂の交錯よ」


 カンナ&カリータ「か弱き我らに力を与えたまえ!!」


 以前のように詠唱しながらしながら片手を繋いで上へと掲げる 動きも更に洗練されており一切ずれる事ない動きEクラスの生徒は見惚れている


 リナ「なんだろう……凄く綺麗」


 グライス「完璧な動きだったね どんな戦い方をするのか気になる所だけど」


 マリア「大方の予想はできるけど ここでの普通とは違うやり方で戦うって事だけは分かるわね」


 フレイ「あの動きはリナさんが考えたって聞きましたよ? 凄いじゃないですか」


 リナ(そんなに褒められるとなんか恥ずかしいな)


 照れたり称賛したりするクラスメイトを他所にして各場所で白い光が発生し十人いた生徒は別の人間に姿 形を変えて五人になっている


 実況「準備が整ったようですね それでは融合魔術バトルロワイヤル!!開始!!」


 実況の声と共に開始の鐘が鳴り響く


 カリーナ「……考える暇もなさそうですね」


 開始と同時に二方向からカリーナに向けて攻撃が飛んできたので見切って回避する


 A生徒「この程度は回避してもらわないとな」


 サリナ「当然だけどそんな簡単にはいかないよね」


 Aクラスの生徒とエナとサリーの融合でサリナと名前がついている二人はこの状況ではカリーナの戦い方が一番厄介だと感じているのか先に攻撃を仕掛ける


 カリーナ「遠距離で攻撃できないって噂が流れてたら当然だろうけどそうなるよね」


 事前の情報で近接しか攻撃できないと聞いている為リスクを背負わずに攻撃できるからかサリナ達に続いてBと Dの生徒同時にもカリーナに攻撃を仕掛け水 炎 雷といった広範囲の攻撃がカリーナを襲う


 マリア「そんな……四人ともカリーナ達を狙うなんて」


 シドウ「ある意味一番イレギュラー的な存在ではあるからな それに現状一位だから早く脱落させたいってのもあるだろう」


 リナ「頑張ってー!!カリーナー」



 カリーナ「この攻撃は流石に回避するのは難しそうだな……そうなれば」


 カリーナは右腕の肘を左手で掴み右腕を上へと掲げると魔力による大きな剣ができあがる


 カリーナ「切り裂け!!スピリッツエクスカリバー!!」


 そう叫んだカリーナは右腕を横に大きく振って薙ぎ払うと迫ってきていた攻撃は爆発して煙が上がり敵の攻撃を相殺する事に成功する


 マール「あれはルーゼの……流石ね」


 リリィ「マールさんどうされたのですか?顔がニヤけてますけど?」


 マール「いえ 少し懐かしいと感じまして」


 観客席からこの様子を見ていたマールはルーゼとカリーナの姿を重ねて笑みを浮かべそれを見ていたリリィは疑問を抱えている



 サリナ「本当ならあれで脱落して欲しかったけど そんな簡単にはいかないよね」


 爆発で煙が上がり視界が悪い中サリナは次の手を考えている


 サリナ「カンナならきっと……」


 カリーナ「……てやああっ!!」


 一方でカリーナは視界が悪くなった事を利用してAクラスの生徒の方へと近づいて攻撃を仕掛けていた


 A生徒「やはりこちらに向かって来るか」


 接近に気付いたA生徒は距離をとって反撃をする


 カリーナ「誰でもよかったけど一番強そうなあんたらからやっつけた方が良さそうだと思ったからね」


 攻撃を回避したカリーナはゼロ距離まで近づいて魔力を込めた拳で攻撃するが防御魔術で防がれてしまう


 カリーナ「流石に硬いな」


 A生徒「甘く見るなよ(強いな……)」


 カリーナ「流石Aクラスの生徒が融合しただけはあるか……なら次は最大きな攻撃で」


 A生徒「後ろには気をつけた方がいいぜ」


 後ろの方から炎の弾が飛んで来るがカリーナはそれを蹴り飛ばしたのでA生徒は言葉を失っている


 カリーナ「忠告してくれるなんて優しいですね」


 A生徒「チッ……これはバトルロワイヤル 俺にばっかり構ってても意味ないぜ」


 カリーナ「こっちが集中的に攻撃されるならついでにあんたも巻き込んでやろうって思ったからな」


 A生徒「そうかよ」


 他の攻撃が飛んで来る事を上手く利用しカリーナはA生徒に攻撃を続ける


 しかしA生徒の守りは硬くカリーナが先ほどの大技を出そうとするが集中しないといけない為中々威力の高い攻撃ができずに実力は均衡している


 カリーナとA生徒が戦う中で実力者と一位を同時に落とそうと攻撃が飛んできていたがそれも無くなり A vs EとB vs Dが戦って擬似的な怠慢となっておりCのサリナがどこにいるのか分からない状態となっている


 A生徒(守りに全神経を注いで 少しずつ削っていくしかないか)


 カリーナ「あの防御壁に傷一つつかないなんてな サブナックの何倍硬いんだよ全く」


 A生徒「そう簡単には破れるとは思わない事だな」


 カリーナ「それならさっきのやつで切り裂いてやる」


 カリーナは先程と同様にして右手を上に掲げて魔力を貯めようとするが足を止めてしまうため良い的になってしまい被弾してしまう


 カリーナ「ぐぅっ……」


 A生徒「足をとめて集中しないとあれはできないって事だな(勝機が見えてきたけど 他のクラスもいい感じに消耗してくれてるといいが)」


 少し傷付いたカリーナは膝をつきA生徒は余裕のある表情をうかべている


 カリーナ?「もうっ カンナ!!あの大技は隙が大きいって分かってたでしょ!!」


 A生徒「??」


 何故かカリーナは突然叫び出してしまいその様子を見たA生徒は戸惑いを隠せずに困ったような目で見つめるのであった

 


 

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