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第六話 失ってしまった者‥

 死を覚悟した亜紀は目を閉じていた


 真っ暗になる視界の中フェンリルの牙が近付いて来ることしか感じられなかった……


 しかし次の瞬間誰かに抱き抱えられたと思ったら直ぐに地面に落ちる


 体に痛みがはしるがゆっくりと目を覚ますと海斗の姿が目に入ってくる……しかし

 亜紀「海斗……ありが……ねぇ大丈夫なの?ねぇってば!!」

 間一髪のところで亜紀を助けることができた海斗だが少し遅かったためかフェンリルに自身の両足を噛みちぎられてしまい出血が止まらない

 海斗「うっ……クソが痛ぇな……」

 亜紀「嘘よ……そんな……私のせいで 」

 助かったが目の前で親友がこんなことになってしまい亜紀は動くことができずに海斗に寄り添い謝ることしかできなかった


 しかしまだ敵は生きており次は二人まとめて殺そうと襲いかかって来るが薗田と工藤が駆け付け攻撃する


 人数が増えたのでフェンリルは一旦後ろに飛び下がりこちらの様子を伺っている


 薗田「橋本さん何でボサっとして……海斗……お前」

 工藤「福田君!!福田君!!大丈夫なの!?」


 後から駆けつけた薗田と工藤は亜紀に何と声をかければいいのか分からず沈黙が続く その後に山下とクシアが合流するが血だらけの海斗を見て絶望する


 亜紀「そっ……そう工藤さん 海斗を魔法で治療して!!血を止めないと死んじゃう!!」

 工藤「グスッ……仲間が死ぬなんて絶対に嫌ですから」


 震える声で頼み事をする亜紀に工藤は涙を流しながら海斗に手をあて治癒魔法をかける


 山下「そんな……やめてよ……」

 クシア「海斗様……私のせいで……」

 海斗「…………ったく 勝手に殺すな」


 治癒を受けながら海斗は返事をする これに亜紀はいち早く反応し

 亜紀「ゴメン……本当にゴメン私がしくじってしまったから海斗の足が……」

 海斗「謝るなんてお前らしくないな……でも無くなった足を気にしても仕方ないだろ ぐあっ!?」

 亜紀「喋ったらダメよ 傷口が……」

 海斗「泣くなよ全く 敵はまだいるんだぜ……ほら」


 海斗が指差すとフェンリルがこちらを伺っている……皆が同様している今が絶好のチャンスなはずなのに何故か襲ってこない


 薗田「工藤さんと海斗を除いた四人でやるしかないのか……」

 山下「そんな……」

 クシア「いえ……全員でやります」


 皆が半ば諦めている中でクシアが立ち上がる、絶望的な状況ではあるが天使の自分が諦めてしまっては本当に終わりだと分かっていたからだ


 海斗「俺はまともに動けないですよ……」

 クシア「私達で何とかしてフェンリルの動きを止めますのでその隙にありったけの一撃を加えてください」


 クシアさんの提案した作戦は単純なものだったが俺は内心で(今の俺なんかで大丈夫なのか?)と思っていたけどこんな状況で悩んでいる暇なんて無さそうだったから自信を持って「任せてください」と答えておいた


 メンバー全員も海斗を信じ作戦を決行する覚悟を決める

 亜紀「私のせいでアイツが‥‥でも生きてるなら何とかなるはず 私は諦めない」


 もし海斗なら諦めるような事はしないと思った亜紀はそう言って自分を奮い立たせる 


 作戦は亜紀、薗田、山下の三人でフェンリルを特定の場所まで誘い出しそこでクシアが動きを止める


 海斗は工藤に天井まで運んでもらい動きが止まった瞬間に遥か上からの強烈な一撃で仕留めるといった作戦だ


 フェンリル「グルアアー」

 痺れを切らしたフェンリルが襲いかかってきたので全員作戦通りに動く


 前衛を任された三人はクシアの援護で戦いを優勢に運べてはいるが致命的なダメージを与えるのは難しいようだ


 その間工藤は海斗の体を重力魔法によって浮かせ天井まで運ぶ


 天井付近へ近づいた海斗は剣を突き刺して運んでくれた工藤に合図を送りそれを確認した工藤は他の皆の加勢へと向かっていく

 海斗「皆……頑張ってくれ」


 前線の三人は戦い続けた疲弊からか最初ほどの勢いが無くなってしまっていたが後から駆けつけた工藤の手伝いもありフェンリルを海斗のいる真下まで引きつけることに成功する


 クシア「皆さん下がって下さい後は私が」

 

 クシア「敵を捕らえよチェーンアレスト」

 呪文を唱えるとフェンリルの周りから鎖が出てきて四肢と首に絡まり動きを封じる


 クシア「ぐうっ……海斗様……今です」

 亜紀「海斗!!今がチャンスよ」


 亜紀の声を聞いた海斗は天井から剣を引き抜き急降下する


 フェンリル「グガァッ!! オオオッ」

 しかし上にいた海斗の存在に気が付いたフェンリルは無理やり首を上げて口から光線を放とうとしている


 気が付いた亜紀が攻撃し光線の軸がズレるが海斗の左腕にカスってしまい 腕の半分が無くなってしまう……


 海斗「クソったれが くたばれーー!!」

 しかしアドレナリンが出ていたおかげもあってか怯むことなくフェンリルへと突っ込んでいき剣を振り降ろす


 この瞬間の海斗は極限状態という事もあってか訓練では一度も出来なかった武器に魔力を纏わせて攻撃をする事ができたいた、このことに本人は気がついていないが彼の魔力を纏った大剣の一撃はフェンリルを一刀両断し倒すことに成功する


 海斗「ハァ ハァ…… やったか」

 一刀両断されたフェンリルは派手に血を吹いて倒れているので復活することは無いだろう

 海斗「テメェは俺の両足と左腕をやりやがったからな……お前も何かよこせそれで満足してやるよ」

 捨て台詞のようなものを吐き倒れているフェンリルに近づいた海斗は角を剥ぎ取ってポケットへとしまうが出血のせいか意識がもうろうとしまう


 ――キュイーン――


 音を立てて青いゲートが現れる、魔力と体力を使い倒した皆はその場から動けずにいたが何とか最後の気力を振り絞って肩を組み合いながら全員でゲートに入り王宮へと戻ることができた


 しかし大怪我をしてしまいまともに戦うことが出来なくなってしまった海斗の運命はこれからどうなってしまうのだろうか……

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