第五十四話 競技祭2 ファッションコンテスト?
「次はクラスを代表したファッションコンテストとなります どんな姿を見せてくれるのか楽しみです」
昼の競技場に実況の声が響いておりルール説明が始まる
「ルールはゲストの皆さんと先生方に十点満点の評価をしていただき点数の高いクラスがポイントを獲得できます 尚公平になるようにクラスを担任している先生方は採点に参加しておりません」
「その後は観客の皆さんにも綺麗だと思う一人を選んでいただいて声援を送って下さい この魔道具が大きな反応をしたクラスに追加ポイントが与えられます」
カンナ「ゲストも参加するやつか……マールさん俺覚えてるのか?妖精様と王女さんは分からないのは当然としてどんな評価をするかが気になるな」
カリータとリナと一緒に買った私服を着たカンナは控室で一人で待機していた
カンナ「その他の四人が誰か気になるけど一位のAクラスを追い越す為に頑張るか……」
「それではまず最初に入場するのはEクラスのカンナさんです!!よろしくお願いします」
実況の声が聞こえてきたので覚悟を決め控え室の扉を開ける
グランドの五ヶ所の入り口からそれぞれ中心に向かって赤いカーペットが敷かれており順番に入場する仕組みとなっている
順番はカンナが一番最初でありある意味で学園の中で有名人なカンナの名前が呼ばれたため各クラスはざわついているようだ
カンナ(女性らしく 女性らしく)
カンナは腰に手を当て胸を張り綺麗な姿勢でカーペットの上を歩き中心に向かって進む
カンナ(うわー見られてる 特に胸とお尻の部分が……そんな事はきにするな。 確かグランドに石があるからそこで止まって水が出てきたら綺麗に回れってシドウ先生は言ってたよな? 直前に出す指示が多すぎるわ)
心で文句を言いつつも地点に到達したカンナは指示通りに立ち止まり周囲から水が出てくる そして綺麗に回ると下から水が勢いよく飛び出してカンナを包み込み姿が見えなくなる
水に囲まれた事を確認したカンナは服を脱げやすくなるように両手を広げると下から斉藤が作った意思を持つ魔物が現れる
カンナ「うあっ!?……変な所触るなよ全く」
空飛ぶクラゲのような魔物が透明な触手を伸ばして丁寧にカンナの服を脱がして折りたたみどこかへ消えていく
変な所を触られてしまうがカンナは下に水着を着ており一瞬で着替える事に成功したので周りを囲んでいる水が無くなり白い水着を着たカンナが現れる
この間三秒ほどであり観客から見ると一瞬で水着に衣装チェンジした為かなり盛り上がり主に男の歓声が大きく聞こえているようだ
カンナ(サービスだ受け取れ)
調子に乗ったカンナは左手を腰に当てて右手で観客席に向かって投げキッスをした後に中心に向かって歩き出す
シドウ「調子に乗って余計な事しやがって」
斉藤「カンナさんらしいですけどね」
カリータ「あの早着替え斉藤さんの魔物と魔法による演出なのですね とても綺麗です」
斉藤「うん これを考えたのは先生だけどね」
シドウ「そーだ ゲストの人は分からんが採点に参加するであろう先生方の好みは調査済みだ」
カリータ「……それって……」
シドウ「正しく全員巨乳好きだからな 七十ポイントは確実と見た」
カリータ「…………そうですか」
斉藤「気持ちは分かりますけど勝つ為には仕方ないと思います……」
グライス「あれは基本的に男よりも女の子が出た方が良いからな……カンナは色々と大きいからこの勝負には適任だろうし」
マリア「あんた後で覚えときなさいよ」
グライス「悪かったって」
フレイ「二人共落ち着いて それにしてもカンナがあんなにお洒落な服を着てるなんて知りませんでした 遊びに行く時なんか制服で来そうな感じがするのに」
カリータ「概ねその通りですよ この前初めて買い物をしましたがフレイさんの言う通り制服でしたから私とリナさんで服と水着を選んだのですよ」
斉藤「フフッ だからか分かりませんけど部屋ではいつも大切にしてタンスの中にいれてましたよ」
カリータ「そうなんですね……なんか嬉しいです」
嬉しくなり笑顔になるカリータとは正反対に会場は歓声に包まれており審査の時間がやってくる
実況「それではゲストの方と先生方に審査して点数をつけてもらい感想を一言ずつお願いします」
カンナ(マールさんと妖精様はどんな点数をつけるのか……雪……じゃなくてリリィ王女に低い点数付けられたら泣いてしまいそうだ)
中心には高い台があるのでカンナはそれに上がりゲストと先生を含めた点数を待っておりその間に事情を知っている顔見知りのマールと目が合う
しかしマールはあざ笑うような目でカンナを見つめてきている
マール「フッ」
カンナ(いくら事情を知ってるからってもその目はないだろ……あと気のせいかリリィ王女が軽蔑の目で見てるような気がする)
実況「ゲストの方と先生方の点数を発表していただきます!!どーぞ」
顔見知りがいる中で緊張する中で左から順番に学長から点数が発表されていく
実況「左から十、七、十、四…………で合計が八十五点となりました!! それでは学長から一言ずつ感想をお願いします 何故十点万点にされたのでしょうか?」
カンナ(リリィ王女!? 何でそんなに点数が低くしたの!?好みじゃなかったのかな……)
ジック「演出もシンプルで綺麗でしたが何よりも彼女の普段の行動からは想像も出来ないようなギャップがあり魅了されました 入学早々色んな騒ぎを起こしてますがそれが昔の私と似ている感じがして少し甘くしてしまった部分もありますが彼女にはこの点数をあげたいと思いました」
実況「ありがとうございます 実は私もギャップがあって良いと思ってたのですよ そらでは次はゲストの大妖精様 何故七点なのでしょうか?」
大妖精「そうじゃのー 本当ならワシも十点満点の評価を与えたかったのじゃが……」
実況「ほほう、それでは何故三点も減点を?」
大妖精「何かしらんがあやつの顔が最近わしの楽しみにしとった物をぶっ壊した匂いがするからじゃ」
カンナ(そうだよ!!その通りだよ俺はお前のハート型の石をひび割れにした本人だよ!!知らないかもしれないけど というより大妖精のドM野郎は勘が良いな)
大妖精の個人的すぎる原点に会場からは笑いが巻き起こってしまうがEクラスの皆は笑い声に紛れて聞こえないようにブーイングをしている
カリータ「なんて事を!!カンナさんはそんな野蛮な事をしないです」
フレイ「全くですね こればかりは実力がどうのこうの言ってる場合じゃないですね」
マリア「確かにゲストの好みを把握できないから安定して一番になるのは難しいけど……王女様の点数が何であんなに低いのかが気になるわ」
シドウ「くそー 読みが外れたか……でも他の先生は十点や九点ばかりだから大丈夫なはずだ」
実況「大切な物を壊されたというのが気になりますが次に行きましょう、それでは元講師のマールさん 何故満点なのかを一言お願いします」
マール「そうですね……彼女からは私の考えを色々と改めさせてくれたと同時に大妖精同様に私の色んな物を壊していった人に似ているからですね」
実況「そうなんですね、先程からカンナさんが思い出の人に似ているそうでこれは偶然なのでしょか? 分かりませんがマールさんはその人を許している事だけは伝わりました!!それでは次 リリィ王女」
リリィは小声で「はい……」と呟く
実況「リリィ王女様は審査員の中で四点という一番低い点数をつけてますがどういった理由からでしょうか?」
リリィ「私は巨乳の方が嫌いです……」
実況「……へ?」
リリィ「理由はそれだけです 最初の服のままなら良かったですが巨乳しか需要のない水着を着るのはもってのほかですのでこの点数です」
リリィ王女がまさかの巨乳嫌いという事が判明し各クラスの先生が嫌な顔をしている
シドウ「うーん……点数は置いといてさっきからゲストの感想が辛口じゃないか?」
カリータ「そう言われるとそうかもしれません 」
マリア「そうだね……前の二人は昔の知り合いとかに似てるとかだけど王女さんのはねー……気持ちは凄く分かるわ」
グライス「ない物ねだりするなよな」
マリア「何か言った?」
グライス「俺はありのままのマリアが好きって事だよ」
マリア「っ!?……もう黙ってて」
シドウは低い点数に納得いかなかったがイチャイチャしている二人を見て水に流す事にした
実況「そうなんですね……王女様の巨乳に対する恨みがあるのと完璧そうな王女様でも悩みがあるというのが分かりました、それでは次は…………」
そうして他の先生も一言ずつカンナの感想を言っていくのだがリリィ王女に比べると点数は高く割と高評価だったようだ
そうしてその後に次々とBクラス、Aクラス、Dクラスと続けて代表が審査されて行ったのだが
カンナ(何だこりゃ……全員ムチムチの巨乳の女の子ばかりじゃないか しかも全員胸を強調するかのような水着だしこれはファッションコンテストじゃなくてグラビアアイドルの撮影会じゃねーか)
まさかの男が一人も出てない事になってしまっているがリリィ王女の辛口評価と何故かマールが大きな点数を出してないことから今の所の暫定順位はカンナが一位となっている
カンナ(おし 後はCクラスの人が俺より下なら一番でたくさんポイントが貰えるぞ……でもCクラスには確か……)
実況「いよいよ最後の一人となりました!!続いてはCクラスのシアさんお願いします」
カンナ(やっぱりな……)
カンナの勘はあたりシアもCクラスの代表としてコンテストに参加していた
シア(海斗様……ではなくてカンナ 勝負です!!)
密かに闘争心を燃やすシアに気づく事なく一通り審査が終わると大妖精が八点リリィ王女が七点でそれ以外は全員が満点評価を出してしまい九十五点という最高点数となった
カンナ(まじかよ)
シドウ「くあーっ負けてしまったか しかしゲスト以外は全員巨乳好きというのはどの先生も知ってたのかよ」
マリア「……凄く言いづらいけどあの先生達は女子達の間では結構有名な先生なんですよ……」
シドウ「…………まじか」
マリア「はい……巨乳の美人だらけで絵面がすごい事になってるね」
カリータ「いえ 今は負けてますが観客の声量での人気がまだあります!!」
シドウ「そうだな……」
しかしその後にあった観客の声量での点数は全員が最高点数を叩き出してしまい結果は変わらなかった
シドウ「まさか全員が最高点とはな……だが次の魔力飯早食い競争ではカンナが一番になれるはずだ!!」
カリータ「そうですね!!次こそは明確に順位が決まりますのでカンナさんには頑張ってほしいです!!」
シドウ「フッ これなら絶対にカンナが一番になれるはずだからな 何たって理由は……っと少し行ってくるか」
カリータ「先生どうしたんです?カンナさんが勝てる理由を教えてほしいんですがー」
シドウ「ちょっとだけ背中を押してくるだけだ……すぐに戻る」
カリータ「…………そういう事ですね 分かりました」
カリータだけは何の事か分かっているようだが他の人は分かっていないようでありシドウは観客席から出ていき下に降りていく
マリア「何の事なの?」
カリータ「次の競技になれば分かりますよ、さあ今はカンナさんを応援しましょう」
グライス「そうだな 負けるなー!!」
気になる事があるクラスメイトだったが今はカンナを応援する事に集中し歓声をおくる
その歓声の裏で次の出番で控え室にいるリナは緊張で泣きそうになっていたのであった




