第五十三話 競技祭1
大きな大歓声が上がっている、今日はソルセリの一大イベントである魔術競技祭がある日で観戦客で賑わっている
競技祭は二日にかけて行われ一日目がチームで協力して競い合う競技がほとんどで二日目は融合魔術の決闘とクラスの代表五人が観客に囲まれながら一対一で決闘をしてそれが終わると競技祭は終了となる
カンナ「私が出る競技は何だったかな?」
カンナにとっては二日目がメインとなるが一応一日目に出る種目があるのでこっそりと自分の出るものをプログラムを見て確認している
カンナ「えーっと何だ 魔術飯早食い競争と……何だよファッションコンテストって 魔力関係ないだろ」
魔法が関係なさそうな種目にツッコミをいれる シドウからは一日目の種目は練習しなくても良いと言われていたので出場する種目を詳しく聞いていなかったのだ
あれこれ考えていると後ろからリナに声をかけられる
リナ「カンナー 種目が始まっちゃうよー ルバス君達(※Eクラスのクラスメイト)を応援しに行こうよ」
カンナ「うん 今行くよ(先生が練習いらないって言ってたし大丈夫だな……うん)」
心で無理やり納得してリナについていきクラス専用の観客席に行くと全員が大声で応援している
競技に出ない生徒は応援するのだがかなり盛り上がっておりクラス対抗の応援合戦のようになっている それに加えて観客の声援も入るため出場者には相当なプレッシャーがかかる事になるのだ
カンナ「頑張れー!!」
リナ「負けるなー!!」
シドウ「自分を信じて気合いを入れろー!!!!!!」
二人よりもでかい声でシドウが大声をあげている
魔術道具のメガフォンに楽器を持ってきており誰よりも大きな音を出しているのは間違いない
生徒よりも目立って応援しているがそれはどこのクラスも同じようであり自分達がほとんど関わらない分しっかりと応援しているようである
その間に最初の種目の準備が終わったようであり全員が注目している
最初の種目はリレーでありEクラスの生徒四人が順番に走り速さを競うものだが普通のリレーと違うのは空を飛ぶという所である
カンナ(冷静に考えたら空を飛べるって凄いよな)
この学園では防御魔法と浮遊魔法は習得必須な基礎的な魔法であるためカンナ以外の全生徒が使えるのである
しかし浮遊で空を飛べるとはいえ鳥のように自由に早く飛べるというものではなく緩やかにしか飛ぶことができず基礎を習得するだけだと実戦では全く使えないのだがこの種目に出る生徒達は速さを追求し研究し続けた者たちであり鳥のような速さで空を飛べるのである
リナ「ルバス君たちなら勝てるよー!!頑張ってー」
カンナも負けないように声援をおくりクラスメイトを見つめる
全員がスタートの前に横一列となって宙に浮いており構えているとスタートの合図が鳴り響き全員が空を駆けるリレーが始まった
普通じゃありえないような運動会に言葉を失うカンナだったが精一杯自分のクラスを応援しそれに応えるようにクラスメイトも頑張った結果二位となった
シドウ「くぅーっ Aクラスが一位か だが良いスタートだ!!この勢いでいくんだ」
Eクラスが良い成績を出したのか他のクラスは驚いているようであり一斉に緊張感がはしる様子が伝わる
そして魔力重量上げ、創造魔術コンテスト、防御魔術耐久力勝負など様々にジャンル分けされた勝負が続いていき競技祭は盛り上がっていた
Eクラスは二位や三位ばかりで戦績が安定はしているのだが配点の大きな一位を取ることができておらず全体の順位は今のところ三番目となっていた
カリータ「皆お疲れー ナイスファイトだったよ」
カンナは順位に関係なくクラスメイトに明るく声をかけて観客席に迎えておりリナやカリータもそれを真似していた
カリータ「そろそろお昼休憩の時間になりますね」
シドウ「そうだが 休憩時間の間に学長とゲストの方が審査員をするファッションコンテストと早食い競争があるからカンナは準備をしておけ……あとその次は幻影魔術だからリナもしっかりと準備しておくんだ」
二人共返事をしてクラスメイトの応援を受けながら観客席からでていき外にでて話している
リナ「ううぅ……いよいよか」
カンナ「大丈夫さ リナなら出来るはずだよ」
リナ「うん!!頑張る……けどカンナは大丈夫なの?」
カンナ「その事なんだけどシドウ先生は練習なんて必要ないって言ってたからなー」
リナ「確かにファッションのコンテストだし練習のしようがないよね……」
二人で話していると後ろからシドウが声をかけてくる
シドウ「二人共いたな 緊張しているのか?」
リナ「はい……」
カンナ「うーん……何も練習してないから私は何をどうすれば良いのですか?」
シドウ「あくまでファッションだし審査員が学長とゲストの人がやる以上は練習してもそんなに意味が無いからな」
カンナ「理屈は分かりましたけど私はそんなにファッションセンス無いと思いますしそれに服も一着しか……」
シドウ「あっ……カンナに私服と水着を持ってくるように言うのを忘れてた……」
シドウら大口を開けて世界の終わりのような顔になりボソッと呟く
カンナ「ええっ!? 私服ってどういう事何ですか?それに水着なんて聞いてないですよ」
何も知らなかったカンナは顔を赤くしてシドウに問い詰めるが何も聞こえていないようである
リナもオロオロしており何をすれば良いか分からずにいるとそこに大きな袋を持った斉藤が通りかかり何故か興奮している様子である
斉藤「忙しいシドウ先生なら伝え忘れてると思いカンナさんの部屋から持ってきましたよ」
シドウ「でかしたぞ斉藤!!カンナ!!これに着替えろ今すぐに」
シドウも我を取り戻し正気になって着替えるように言う
カンナ「マジかよ(なんかモデルみたいだな……恥ずかしい気もあるけど悪い感じはそんなにしないかも)」
リナ「それって私とカリータさんが一緒に選んだ服じゃん」
斉藤が持ってきた服を見てリナが反応していると斉藤が興奮して語り出した
斉藤「そう言う事だったのですね!!だからあの服を何回も着て似合ってるのか聞いてきたりとても大切そうにしてタンスに入れていたのですね?」
カンナ「ちょっと!?……恥ずかしいよ 斉藤さん……」
カンナは顔を赤くし小声になって斉藤に文句を言うがリナはとても嬉しそうにしている
リナ「大切にしてくれたんだね……とても嬉しい」
カンナ「うん……リナ達に選んで貰ったから大切にしなきゃって思ってね……」
恥ずかしそうにしているとリナがカンナの元に駆け寄って抱きしめる
リナ「ありがとう……これは私達が選んだ服だからきっとカンナは優勝できるよ!!」
斉藤(女の子同士の友情……良いですな)
斉藤はこの様子を誇らしげに見つめているが空気を読めないシドウが焦っており早く着替えさせようとしていた
リナ「先生はこっちを見ないで下さい!!斉藤さんは見えないように壁を作ってほしいですお願いします」
リナの言葉で冷静になったシドウは後ろを向き斉藤は指示通りに着替えているのが見えないようにして砂の壁を作ってカンナにとある指示を出す
カンナは斉藤の指示通りに着替えてリナ達と買いにいった私服に着替えて大人っぽい雰囲気になりシドウは驚いている
カンナ「一応斉藤さんの言うとおりに着替えました」
シドウ「……そうか なら後は指示通りにやってくれれば良い おそらく一番になれるはずだ」
カンナ「はい!!ですが一つお願いがあります」
シドウ「何だ?言ってみろ」
カンナ「汚さないように服を回収して下さい」
シドウ「そうだな……斉藤、カンナの指示通りに頼む」
斉藤「私にかかれば簡単な事ですよ 丁寧に扱うので心配しないで下さい」
カンナは斉藤を信頼しそろそろ時間になるのでシドウからの指示を復唱して暗記し会場の中へ入っていった




