第四十五話 何気ない日常
昨日はデストリガーという謎の組織に学園が占拠されてしまったので今日は休講となってしまい自由な一日となっていた
カンナ、カリータ、リナの三人は一緒の部屋に泊まっており同時に目が覚めたがやる事も無く暇を持て余している
カンナ「やる事無いな……」
リナ「そうだね」
カリータ「あの……せっかくの休みだしこれから三人で出掛けてみない? ほら昨日はあんな事あったけど気分転換にどうかなって」
カリータからの誘いがあり特に用事もないので出掛ける事にすると二人とも嬉しそうにしていてカリータが「それじゃ準備して三十分後に集まりましょう」と言い残して宿から出て行った
リナも後に続くように出ていきカンナは1人だけ取り残されていた
カンナ「そんなに準備するものってあるか? 金さえあれば十分だよな」
そんな事を口にしながらカンナは宿から直接集合場所へと向かい街を見渡しながら歩いていく
集合場所に決めた場所は都市の中心にある大きな噴水広場で周りを見渡せば恋人同士できている人が多くおまけに学園の制服を着ていたカンナは浮いていた
カンナ(昨日の事が嘘みたいだ……それにしても凄いよな)
周りを気にする事なく浮いているシャボン玉や空飛ぶカーペットを眺めているとカリータとリナに声をかけられる
カリータ「カンナさん!!何故制服なのですか」
リナ「着替えなかったんだ……カンナらしいけど」
カリータは白色のワンピースを着て青い髪とも相まってよく似合っておりリナも水色のセーターにロングスカートで清楚な感じで可愛らしい
なのに対して普段の制服を着て来るカンナは(だから時間が長かったのかよ……でも制服は駄目なのか?)と感じておりファッションに関しては無頓着なのがバレてしまう
リナ「気にしてなさそうだね」
カリータ「もぅ……カンナさんはもっと女の子らしくするべきだと思います ですので服を買いに行きましょう」
リナ「賛成!!私達が似合うの選ぶよ」
カンナ「うん……分かった(男なんだけどな……)」
余り乗り気ではないがカリータとリナの好意を無駄にするわけにもいかないので返事をして着いていく こうしてカンナの服選びが始まったのだった
リナとカリータは場所に詳しく洋服がたくさん売られている所にやってきて一番大きなお店の中へと入りカンナを試着室へと追いやる
カンナ「えっと……私はここで何をしたら……」
カリータ「私達が服を持って来るからどんどん試着してください」
リナ「可愛くて似合うの持ってくるから」
カンナ「うん……分かった(二人とも楽しそうだな)」
楽しそうな二人をみたカンナは返事をして二人を待つ事にしたが一分もしないうちにカーテンが開いてカリータが服を持って来た
カンナ(はやっ!?)
カリータ「カンナさんは大人びた感じが……」
リナ「こっちのフワフワしてて可愛い方が……」
カンナ(二人共張り切ってる……これは大変だぞ)
二人もと次々と服をもってきてカンナの着せ替え大会が始まってしまった今まで生きてきた中でこれ以上着替える一日を送る日々は来ないだろう
カンナ(うーん……何が一番良いのか分からないな……)
二人が似合う服を持ってきてくれるのは良いのだがファッションセンスが皆無でましてや女の子の服の事など海斗が理解できるはずもなかったのだ
カンナ(二人に申し訳ないから これとこれでいいかな……着替えるの疲れてしまったよ)
カンナ「私はこれにしようっておもう」
三十分の戦いの末買う服を決めたカンナはカーテンを開けて姿を見せる
青色のカーディガンに黒色のインナーの上半身と白いズボンとベルトを着たコーディネートで胸のネックレスもあり非常に大人っぽい感じを漂わせている
カリータ「おお、良いと思う」
リナ「とても綺麗ですよ」
上はカリータ下はリナが選んだのをそれぞれ合わせたものであり二人共褒めてくれたようなのでこの服を買う事に決める
リナ「靴もこれならもっと良くなるんじゃないかな」
カリータ「確かにそうね」
リナがパンプスを勧めてきたのでついでに買って制服を袋に入れて自分の影にしまいお会計を済ませその服で直接一日を過ごす事を決める
影に物をしまうのを見ていた二人はとても驚いていたようだったが深く追求する事なくカンナに合流する
カンナ(買ったのはいいけど歩きにくい)
リナ「カンナ、行くよー」
リナは腕を引っ張りカンナは慣れない靴で歩きながら着いていき都市を見渡している
カリータ「ところでカンナさんは合宿の水着は持ってるのですか?」
カンナ「合宿の水着?学校の水着ならあるけど」
合宿とは言っても三泊四日で学園が管理する島へと行きその島でクラスごとに三日間のサバイバルを行うというもので海に囲まれているので水着が必要になるのだ
カリータ「あんな地味な水着じゃもったいないです」
カンナ「えぇ……でもサバイバルするなら尚更学校の水着のほうが……」
リナ「最終日は皆で遊ぶような感じになるからスクール水着は浮くかも……」
カンナ「そうなのか……」
カリータ「決まりですね!!カンナさんの水着を買いましょう」
楽しそうにする二人の後に着いていきながらカンナは水着が売ってある店へと入っていく
水着を買った後は昼食を済ませてその後は化粧品などの日用品などその他諸々の買い物をしていると知らないうちに夕方になっていた
カンナ(買い物だけでこんなに時間が潰せるのか……でも楽しかった)
女の子の長い買い物に付き合って少し疲れていたカンナだったが楽しめていたようだった
カンナ「二人共、今日はありがとうね とても楽しかった また今度誘って欲しいです」
リナ「私も楽しかった!!次は美味しい食べ物とかを食べに行こう」
カリータ「私もですよ、ですが明日からはゼミが決まって始まっていきますのでしっかりと気を引き締めていきましょうね」
カリータの言葉に二人は頷いて帰り道を歩いていると別れ道が来たのでカンナはお礼を言って二人に手を振り続けた
二人も応えるように手を振って しばらくすると二人は夕日を背にして仲良く話しながら帰り道を歩きカンナはそれを見つめていた
カンナ(楽しかったな……でも……俺は)
何か思う所もあるが二人の背中が見えなくなるまで見送り自分の部屋へと入っていく
部屋に入ると斉藤が先に帰っておりカンナの私服を見てベタ褒めしておりいきなり元の世界のスマートフォンで写真を撮られてしまう
カンナ「えっ!?それはスマ……何なのですか?(なんでスマホを使えてるんだよ てか充電切れてるだろうが)」
斉藤「驚きましたか? これはスマートフォンといって私達の世界にある……」
斉藤の説明が始まってしまったが全て知っているので適当に相槌を打ちながら聞いていると何故この世界で使えているのかの説明を始めた
斉藤が言うにはこのスマホは天矢が改造したものらしく魔力を吸収して動かすタイプで魔力さえあれば一生充電が減ることはなくて電波の代わりに魔力を使い今まで通り通話可能とのことらしい
カンナ(天矢のやつ……なんて物を生み出してるんだよ)
斉藤「余り驚いてませんね……他の人に見せたらかなりのリアクションをしたのですが」
カンナ「えっと……こう見えて結構驚いてます」
苦し紛れの嘘を言うと斉藤は半分だけ納得しているようだった
そんなこんなで楽しい一日は一瞬で終わってしまい眠りにつき一日が終わり朝をむかえた




