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第三十八話 成長したクラスメイト


 ローゼンが編入生の実力テストをすると言ったのでBとEクラスの生徒全員から編入生は注目されることとなっていた


 本当なら堂々と自信を持っていいはずの場面なのだが一人だけ今すぐ逃げ出したいと思っている編入生が一人だけいる事には誰も気がつくはずもない


 カンナ(……マジで……大丈夫なのか? これは結果次第だと……)


 魔法を学ぶ専門の学校であるため素人が少しかじった程度の魔法しか扱えないカンナは自分が軽蔑の対象となってしまう事は容易に想像できた


 カンナ(溝上、斉藤さんと工藤さんは自信に満ち溢れているな……それは当然か 三人共というかここに来てる俺のクラスメイトは全員魔法をメインにした戦いをする人達だったな)


 カンナを除いたクラスメイトは自信がありそうな様子なのをリナはよく見ており心配していた


 リナ(カンナさん大丈夫かな? それもそっか……周りが異世界から来た勇者の人達だし自信無くすのも無理はないよね……)


 ローゼン「よし、それじゃあ工藤静香からやってもらおうか」


 そんなカンナの事も知らずにローゼンはテストを開始する、最初に工藤が呼ばれたので安心するがどのみち回ってくるので安心しても無駄である


 カンナ(……まー気合いと根性でどうにかなるだろ、それにしても工藤さんの魔法は久しぶりに見るな 王宮での戦い以来かも)


 不安ではあるがそれと同時に今の工藤がどのような感じになっているのか海斗は元パーティメンバーの一人として注目していた


 ローゼン「テストの内容は至って簡単 今の自分が一番得意な魔法を見せてもらうだけです それではよろしくお願いします」


 工藤「はい 分かりました……行きます」


 テストの内容は至ってシンプルなもので工藤は自分の杖に魔力を込めはじめる


 学生のほとんどは自身の杖を持っており形や形状など人それぞれ自分に合ったものをもっている、中には杖を持たない人もいるがそんな人は中々いない


 カンナ(工藤さんは確か雷みたいなやつを使ってた感じがする……何とかスパーク?だったかな……それに使ってた杖が何か変わってる)


 以前と違う工藤に注目していると工藤は魔力を貯め終えたのか呪文を唱える


 工藤「メガ⚫︎スパーク!!」


 工藤が呪文を唱えると生徒の目の前に大きな雷が落ちる、この技は王宮でグランドウルフを討伐した時に放った魔法である


 カンナ(凄いな 確かこの魔法は山下と二人で放ってたし魔力を貯めるのに結構時間掛かってたけどすぐに放てるようになってる)


 王宮から大きく成長していた事に驚くがそれ以上にB.Eクラスの生徒たち反応が凄いことになっており盛り上がっている


「さすが勇者」「凄いな俺たちも頑張らないと」などと称賛の声が飛び交っておりただハードルが上がっただけである


 カンナ(うーん……工藤さん強くなってるけどあんまり盛り上げないで欲しかったかもな というより俺が最初の方が良かったんじゃないのか)


 リナ「カンナさん……気にしなくても大丈夫ですよ あれは異世界から来た勇者の方なので仕方ないです」


 ハードルが上がり緊張しているところにリナがフォローをしてくれた(実は俺もだけどな)なんて思いながらもお礼を返す


 リナ「それにしても凄いですね、メガスパークなんて三人で時間をかけて放つ魔法なのにそれを一人でやるなんて……」


 カンナ(まじかよ……王宮では二人でやってたからあの時点でも結構凄い事だったのか……)


 まさかの事実に驚くこの魔法は王宮で絵美やその他の優等生のクラスメイトが使っていたのを見ていたので当たり前だと思っていた事がこの世界だと普通ではなかったようだった


 チートな優等生達を思い出しながらも次は溝上の番となっていた


 ローゼン「最初から大きく驚かされましたね……それでは次 溝上優斗」


 溝上は元気に返事をして全員の前へと歩いていく


 カンナ(確か溝上も雷系の魔法だったな、まじでお前ふざけてこっちに放って痺れたのまだ根に持ってるからな)


 海斗は王宮での出来事を思い出していた、しかしそうなった原因は溝上を挑発した海斗が悪いので自業自得である


 よく馬鹿にし合う相手が近くにいる事を知らないまま溝上は立ち止まって呪文を唱える


 溝上「ライトニング!!」


 杖に魔力を貯める動作もなく閃光の光が高速で飛んでいく、先程の工藤の魔法に比べたら地味に見えるが先程の工藤と変わらないほど盛り上がっている


 カンナ(あいつ!!俺を痺れさせた魔法を使いやがって……でも一回喰らったから分かるけど弾の速さがかなり上がってるな……でも次は喰らわんからな)


 盛り上がる全員をよそにカンナは一人だけ前との違いを分析していた


 ローゼン「さすが勇者といったところです、そしてこのままの勢いで斉藤桃香 お願いします」


 カンナ(おい!!なんで俺が最後なんだよこの先生絶対分かっててやってるよな?)


 そろそろ出番が来ると思って覚悟していたカンナだったが一番最後になってしまったのでローゼンに心で文句を言うがローゼンにそんな気などは一切ない


 カンナ(でも斉藤さんはどんな魔法使うのかな?本当に知らないんだけど)


 異世界に来てほとんど関わりのなかった斉藤がどのような魔法を使うのかカンナは知らないので工藤や溝上とは違った意味で注目する


 斉藤は緊張しているような様子だったが全員の前に立ち杖を両手にもって呪文を唱える


 斉藤「サンド ゴーレム」


 唱えると斉藤の周りに五体の砂でできている魔物を作りだした


 五体のゴーレムを創造するだけでも充分凄いのかかなり盛り上がっておりさらに


 斉藤「今作ったゴーレムは私の命令無しでも自分で動きます」


 斉藤がそう説明すると今までにない程の歓声が巻き起こる


 カンナ(……うわぁ何だよこの盛り上がりはさっき倍近くあるぞ)


 リナ「凄い……五体も創造するだけでも充分なのにそれに意思を宿らせるなんて」


 カンナはリナが言う説明を聞いていたが複雑な魔術式がどうたら言っており理解ができていない


 ローゼン「まさかここまで出来る人がいるとは!!」


 カンナ(今までで一番驚いている顔じゃないか、リナの言う理屈は分かんないけどとりあえず凄いって事は分かったよ……てかこのまま俺の番忘れてくれないか)


 ローゼン「おっと失礼 次は えーっと……カンナ お願いします(順番間違えたな……私も異世界の勇者を早く見てみたかったから許して欲しい)」


 ローゼンはカンナに期待している様子もなさそうだ


 カンナ(はあー こうなったらヤケクソだ せっかく俺専用の杖も用意したんだし全力でやってやるぜ)


 心でため息を吐きながらも入学前に用意した自分の杖を手に取りカンナはみんなの前へ出る


 しかし全員の前に出た瞬間Bクラスから反応がありそれは歓声ではなく爆笑の声だった


「なんだよあの杖www」「マジで受けるわwww」「いつの時代の魔導士だよwww」と馬鹿にする声は散々だ


 カンナ(えぇ……これがそんなにおかしいのか?俺の中での魔法使いはこんなイメージなんだけど……)


 カンナの持っているのは杖ではなくほうきを手に持っている、これほセルク村ではマールに「あなたも早く杖を探して来なさい」と急かされたからである


 カンナ(マールさんは「良いじゃない」って褒めてたし他の人も笑ってなかったんだけどなー……Bクラスの反応を見る感じだと古くさい魔導士なのか?という事はマールさんは年……いやこれ以上は辞めておこう)


 マールに文句を言いたくなるが今はそれどころではないテスト中なのだ


 ローゼン「フッ……いつでもどうぞ」


 ローゼンは鼻で笑っており完全に期待していないのが伝わってくる


 カンナ「はい……フレイム!! 」


 期待されていない事は目に見えて分かったのだがそれでもカンナは呪文を唱え炎を発生させる


 生徒からは「普通だな」「威力が私達よりも低いんじゃない?」と言った感じで盛り上がる程のものではなかったがカンナはまだ何かを隠しているよで


 カンナ「まだあるよ……フレイムトルネード!!」


 カンナはそこそこできていた炎のフレイムと風魔法のトルネードを合体させ炎の竜巻に変化させる


 メラメラ燃える竜巻を見ると先程までは馬鹿にしていた人はいなくなっていた


 ローゼン「ふむふむ……基礎ですが組み合わせて上手く応用できてます……惜しいですが出力が物足りないですね」


 先程の反応とは変わり全員が見直したようであるがカンナはまだ物足りないと思ったのか発生させた竜巻を消して


 カンナ「もういっちょ!! 魂剣こんけんスピリットセイバー」


 そう言ってカンナはルーゼがやっていたように魔力を手に集中させて短くて白く透明な剣を作り出す


 これを見たほとんどの生徒は「何それ?」と頭を捻っていたがシドウとカリータがかなり驚いているようだ


 シドウ「ほほう」


 カリータ「まさかね……」


 ローゼン「最後のはあまり分からなかったけど君も思ったより凄いじゃないか」


 前にやった斉藤達の勇者程は盛り上がらなかったがそこそこ程度の評価は貰えたようだった


 カンナ(絶対何か馬鹿にされると思ってたけど……いや普通に馬鹿にされたわ でも思ったよりか反応は良かったな)


 ローゼン「それでは編入生の実力も分かったところで本日の実技に入っていきましょうか…………」


 そしてその後は先生と一緒に魔法を放って応用させる方法を学びそれぞれ得意な魔法で応用させているとあっという間に時間が過ぎ去りお昼の時間となっていた


 

 


 


 


 


 

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