第三十六話 学園生活の始まり
カンナ「んん?……はっ!!」
昨夜は編入生だけで食事会をして酒を飲んで盛り上がり初めて飲む酒で酔っ払ってしまい記憶が無くなっていたカンナは目を覚ます
斉藤「カンナさん 起きましたね」
何故か斉藤と同じ布団で寝ていたので慌ててベットから飛び起きて離れる
カンナ「さ 斉藤さん!?どうしたんですかいきなり」
朝起きたらクラスメイトの女子が隣にいればこんな反応になってしまうのも無理はない
斉藤「カンナさんって結構お酒が弱いのですね 昨日は凄かったですよ」
動揺しているカンナをよそに斉藤は昨日起きた出来事を話し始める
昨日は皆で集まってお酒を飲みつつ転入生同士でこれから仲良くなって頑張ろうという会でエナとシアはすでに異世界からのクラスメイトとかなり仲良くなって色々と話していたらしい しかしカンナにも色々と話しかけようとしていたらお酒一杯で酔ってしまいまともに会話できるような状態ではなかったとのことだった
カンナ「……そうだったのですか なんかごめんなさい」
とんでもない事になってしまって申し訳なくなりカンナは謝ると斉藤は「良いですよ」と言い許してくれた しかし次に斉藤はとんでもない事を口にする
斉藤「でも昨日のカンナさんの冗談は面白かったですよ、「私は異世界から召喚された勇者で強いんだぞーー」って言ってましたから」
この事を聞いた瞬間にカンナの背筋が凍る心の中で(ヤバいヤバい 早速ボロを出してるじゃないか まじでどうするんだ)と焦るが幸いにも初めての酒で酔っ払ってしまったとして流してくれているようだった
カンナ「はい……今度から酒飲む時は気をつけます……」
斉藤「気にしないで下さい 私も初めて飲んだ時はこんな感じになっていましたから」
カンナ「そうなんですね(初めてって事は王宮の時かな?でも酒飲んだからか分からないけどぐっすりと眠れたような感じがするな、いつもならこんなに気持ちよく早起きできないのに)」
アルコールのおかげでぐっすりと眠れたカンナは朝の五時に起きていた授業は八時半から始まり寮にいるので距離も近いので時間には余裕がある
カンナ「……私は風呂に入りますね」
昨日は風呂に入ってなかったので学校に行く前に体を綺麗にしようと風呂へと入る事にした、斉藤は「ゆっくりね」と言い残して学校に行く準備を始めている
カンナは体を綺麗にするためにお風呂へ入る
カンナ「うぅ……やっぱり胸が邪魔なんだよ……」
カンナはお風呂に入るたびにこう思っており洗い慣れない体を綺麗にしてからお風呂を上がる
体を拭いて下着姿のままで部屋にいる斉藤に「上がり……ましたよ」と伝える
斉藤「私は昨日入ってるから大丈夫だよ……ちょっとカンナさん」
しかし何かに気付いた斉藤がこちらに向かってくる
カンナ「な なんですか!?斉藤副委……ちょっと」
こちらに来た斉藤は胸に手を伸ばしてきたので思わずに反応してしまう
斉藤「(可愛い反応するじゃん)下着を上手く付けれてないよ 私がしてあげるから後ろ向いて」
そう言うと斉藤はカンナのブラジャーのホックを外して綺麗に付け替える
当たり前だがたったの数日しか女性の経験のない海斗は一人でやるといつもこうなってしまいその度にエナかクシアに手伝ってもらっていたのだ
斉藤「せっかく良い物もってるんだから カンナさんの大きさなら少し間違えるとすぐに丸見えになるから気を付けないと駄目ですよ?」
斉藤はワザとらしくカンナの胸を見つめながら注意をして少し羨ましそうにしている
カンナ「はい……(斉藤さんってこんな感じなんだな なんかいつもの学校のイメージとだいぶ違う感じがする)」
普段の真面目そうな雰囲気の斉藤とは違いを感じつつ恥ずかしさで頭がいっぱいになったカンナは小さい声で返事をして学校に行く準備を始める
準備が終わったがまだ授業が始まるまでは充分に時間がある
カンナ(よし……色々と調べてみるか……)
ここに来た目的はあくまでも調査のためなので少しの時間も無駄にする訳にはいかないのだ
カンナ「斉藤さん!!私は外を散歩してきますので先に行っておいてください」
斉藤「……分かった 遅れないようにね」
斉藤に伝え終えると女子の制服を着たカンナはいち早く寮を抜け出しソルセリの街を調査を始める
朝の七時だが街は大きく賑わっておりたくさんの人がいる
カンナ「どこもかしこも魔力が溢れていて凄いな」
このソルセリの大きな特徴は都市全体に多大な魔力が満ち溢れている事だ、その魔力を利用した物に空飛ぶカーペットがありこれに人が乗っており元の世界でいうところのバスのような役割を果たしている
それ以外にも空中に浮かぶ綺麗な水玉や畑や店などのあらゆる場所に魔力が使われておりその街並みは誰しもが想像するような夢と魔法の世界が広がっていた
またその仕組みとしてはこの都市に住んでいる住人は特殊な石に魔力を流し込まないといけない、そしてその魔力を使う事でこの都市は魔力で溢れているのだ
元の世界でいうところの税金のようなもので色んな人々の魔力がこの都市を支えているといっても過言ではない
カンナ(改めて見ると本当に凄いな 魔法の世界って感じだ……本当にこんな夢のような都市に怪しい物なんてあるのか?)
テーマパークのアトラクションを体験している気分になるカンナだったがこの夢のような光景からあるかもしれない闇を見つけるのは中々骨が折れそうである
カンナ「色々と回って見つけていくしかないか……」
自分を奮い立たせて色んな場所を細かく調べるがそう簡単に見つかるはずも無い
カンナ「怪しいどころか平和そのものじゃないか……本当に人攫いの噂なんてあるのか?」
一日目にして既に諦めてしまいそうになるがそんな事を言ってられないのは自分が一番分かっていた
カンナ(制服を来た人達が増えて来たな……俺もそろそろ行くか)
学校の時間が近くなるにつれて学生服を着た生徒達が増えてきたので朝の調査はここで終わりカンナも学校の方向へと歩いていく
カンナ(確かあれは……学長は何て言ってたっけ?)
学校へ歩いているとその遥か上空に城が浮かんでいるのが見える この城についてはジック自ら説明があったのだがカンナはそれを忘れてしまっていた
シア「カンナ……上を見上げて何をしてるんです?」
エナ「ガレオスの天空城を忘れてるみたいだから説明してあげたら?」
後ろを見るとエナとシアが居た、紺色と白色が混ざった制服に身を包んだ二人はとてもお似合いだ、男子の制服はほとんど同じような感じで違いが特に分からないが女子の制服は靴下が自由となっているので同じ制服でも個性が出るようだ
ちなみにエナは膝下まであるハイソックスでシアはニーハイソックスを履いており絶対領域を露出させている、カンナ面倒くさいのでくるぶしの短いソックスを履いてムチッとした生足を出している
そんな事はさておき遥か上空にあるガレオスの城についてシアが解説をはじめる
シア「あの上空に見える城はガレオスの天空城といって遥か昔にガレオスという人物が建てたという事だけが分かっていて何の為に作られたのか、何故浮かんでいるのかは謎に包まれており一説によるとガレオスはドラゴンを退治してその亡骸をあの城に封印してるという説もありますね!!」
相変わらず物知りなクシアで何かを説明している時は人一倍に輝いている
アスフェア「もーう しっかりしてよ」
カンナ「アスフェア……居たのか?」
一つ言い忘れていた事だがアスフェアもこの学園について来ていた
アスフェア「まともな魔法を使えないあんたの助けになるために来たって言ってるの!!」
カンナ「おいおい 俺だって風と炎の魔法とルーゼさんの剣だってやれるんだぞ?」
アスフェア「だ か ら 「俺」とかの男っぽい言葉遣いを辞めろって何回マールさんに言われたと思ってるのそれにあんたは魔力操作はそこまで完璧じゃないのに…………」
アスフェアは説教してカンナもそれに反発するように言い返している、姿や形は違ってもいつも通りな二人にエナとシアは微笑んでいた
学生として生活するのは新鮮なのか全員笑顔でとても楽しそうな雰囲気で話しながら歩いていると教室が見えてくる
カンナ「それじゃお……私はこっちだからまた後でね」
エナとシアは二人とも別のCクラスなので別れの挨拶をしてカンナはEクラスである自分の教室へと入っていく
そして今日から調査と勉強を両立させながらも新たなクラスメイトと共に波瀾万丈な学園生活を送っていく事となる




