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三十五話 学園の闇


 入学早々にまさかのクラスメイトと再会し斉藤副委員長と同じクラスになってしまった


 エナとシアに相談したが流されてしまい迷っていても仕方ないのでカンナも教室へと向かおうとしていると途中で斉藤が待ってくれていた


 斉藤「何かあったの?」


 表情にでていたのか斉藤に質問されてしまう


 カンナ「いや 特に何もなかったですよ」

 斉藤「……そうですか……」


 会話があまり得意ではない斉藤とできればボロを出したくないカイトが見事に噛み合って気まずい空気のまま教室の前まで歩くとそのクラスの担任の先生が出迎えてくれた


 ???「…君達がうちのクラスの転入生? 俺はシドウ……このEクラスの担任だ……よろしく」


 斉藤「……よろしくお願いします」


 カンナ「…………シドウ先生 よろしくお願いします」


 顔はイケメンというほどではなく清潔感がありとても優しそうだが 挨拶の声からしてやる気が全くなさそうである


 シドウ「結構真面目そうな人達だね まぁいいけど」


 それにしてもこの教師のやる気はどうしたのか一言一句に生気を全く感じない


 嫌な気分になりながらも教室へと入るとEクラスの生徒の視線が一気に集まる


 教室の中は一人一人の椅子と机があるのではなくて五人程並んで座れる長い机がいくつもあり教室というよりは講義室といったほうが分かりやすい

 


 シドウ「はーい これから君達と一緒に勉強する二人でーす それじゃ改めて自己紹介よろしく ハァ」


 ため息をつきながら二人を紹介する先生にこちらの方がため息をついてしまいそうになるが気にせず改めてクラスの皆に挨拶をする、でもクラスの皆は斉藤にだけ反応が良くてカンナには興味がなさそうな様子である


 シドウ「はーい それじゃ君達二人は 分からないことが多いだろうから クラスリーダーのカリータに色々と教えてもらいなさい」


 シドウが名前を呼ぶと青髪の女の子が席から立ち上がり頭を下げた、雰囲気からとても真面目そうで斉藤に雰囲気が似ている


 シドウ「それじゃ カリータの隣と後は……リナの隣が空いてるから二人はそこに座ってもらおうか」


 カリータの席はちょうど真ん中あたりでリナと呼ばれた女の子の席は一番後ろの端っこの方にある


 カンナ「私は後ろのほうに行くよ」


 あまり目立ちたくないと思ったカンナは迷うことなく後ろの席に向かう それに対して斉藤は不満がありそうな顔をしたが何も言わずにカリータの隣へと座る


 カンナ「これから よろしくね」

 リナ「あっ……よろしく カンナさん」


 リナと呼ばれる銀髪の女の子の隣にすわり挨拶をするがリナは何故か分からないがオドオドしていて自信がなさそうにしている


 シドウ「ということで今日の学校はここまで 後転入生は三時に職員室にきてくださいとのことです 明日から講義ですので頑張っていきましょう では解散」


 さっさと帰りたかったシドウは言葉を言い残すと光の速さで教室を出て行った


 カンナ「なんだあの先生は…いつもあんな感じなの?」

 リナ「うん……そうだよ」


 話すことが苦手なのかリナの返事がそっけない、せっかく隣になったので学園のことを色々と聞こうとしていると斉藤の周りに人だかりができていて質問責めにあっている


 カンナ「斉藤さん もうあんなに……」


 転入してくる人間がいれば色々聞きたいことがあるのは当然の事でましてや異世界から来た人間となるとたくさん質問する事があるだろう


 カンナ(というか俺は?何か知らないけど誰も寄ってこないんだが)


 あくまでこの世界の一般人という設定なのでカンナに人気が出ない事は仕方のないことだがこの差には不満がでてしまう


 カンナ「でもこっちの方がかえっていいかもしれないな……腹減ったな」


 リナ「……カンナさん一緒に食堂に行きますか?」


 腹が減ってることに気がついたリナが誘ってくれたので一緒に食堂に行くことにした、リナはとても嬉しそうにしていて可愛いらしい


 斉藤もカンナと一緒に行きたいと思っていたがクラスメイトに囲まれて声をかけることができなかった


 食堂に着くと寺山と溝上が先に来ているようで案の定その周りには人がたくさんいる


 カンナ「異世界からの勇者ってのは人気なのね」

 リナ「……うん 」


 自身もそうであるが今の状態でバレる訳にも行かないので適当な事を言うとリナが静かに頷く


 囲まれるよりもこちらの方が快適に食事ができるのでカンナは大量の肉とご飯をとってリナがいる席へと向かうと食事の量を見たリナは驚いている


 リナ「結構 食べるんですね」

 カンナ「飯を食うことは好きだからね 食べれるうちにたくさん食べときたいんだ」



 リナ「そうなんですね とても素敵だと思いますよ」


 何気ない会話をしているとその他の生徒から冷やかしの目で見られていることに気づく


 それに気づいたリナはさっきまで笑顔だったが急に下を向いて悲しそうにしている、カンナは原因が分からずに話しかけるがリナは黙って何も言わない……すると二人の男女が近付いてくる


  男生徒「やぁ落ちこぼれのリナちゃん 今転入生と一緒で楽しそうだねー?」


 カンナ「誰だあんたら それに落ちこぼれってどういうことだ?」


 


 女生徒「言葉のままよ あなたの隣の女は成績が悪くて役に立たないゴミってこと」


 チャラそうな男女二人がリナの事を馬鹿にしている様子に腹がたったカンナは色々と言い返す さっき出会ったばかりとはいえ嫌な思いをしている人を見過ごせなかったのだ


 カンナ「酷いもんだな……いくらあんたらの成績が良くても下の人を馬鹿にしていい権利なんてあるはずないだろ」


 男生徒「そうだったな あんたら転入生はEクラスのこと知らないもんな」


 カンナ「お前達がリナに謝れよ」


 リナ「カンナさんもう 辞めてください……何もしなくていいですから……」


 言い争いをするカンナに必死に訴えてその場をやり過ごそうとするリナ、その声を聞いたカンナは何も言えなくなり黙りこんでしばらくの間男女の嫌味や悪口を聞いていた、男女二人は気が済んだのか他の場所へと歩いていき姿が見えなくなったのでカンナが質問する


 カンナ「どうして何も言い返さないの?」

 リナ「……そういうルールだから」


 リナはこの学校で決められたルールについて話してくれた、リナがいうには成績の悪い人のほとんどがEクラスに集まるので他のクラスから見下されてしまうそうだ


 そしてこの風潮は学生が勝手に作り出したものでEクラスにいる人間は差別やイジメを受けやすく退学する人が多いのでこのクラスは通称「エンドのEクラス」と呼ばれているらしい


 カンナ「だから俺たちのクラスは教師も含めてあんなにやる気がない感じになってるのか……」


 リナ「俺たち? まあそんな感じかな……あの先生実はカンナさん達が入ってくる少し前に来た先生で最初からやる気がない先生なの」


 カンナ「私達……でした ということは前の先生はきちんと教えてくれてたってことなの?」


 リナ「うん……その先生は誰にでも優しくて私達をイジメてくる人から守ってくれてたんだけど……」


 カンナ「そうなんだ……その先生はどこに行ったんだ?」


 リナ「それが分からないの ある日突然姿を消してしまったみたいで何も分かってないの」


 カンナ「消えた!?……もしかしてこの都市でよく人がいなくなったりすることってあったりする?」


 この質問にリナは首を縦に振る、一説によるとこの都市では魔力が溢れているため異空間の入り口が発生しやすくそれに巻き込まれているのではということらしい、これは行方不明者の手がかりに繋がるかもしれない


 

 カンナ(しかし……調査以前にこの学園は大丈夫なのか?)


 リナ「カンナさん?何か考えているのですか?」


 考え事をして難しそうな顔をしているカンナにリナは不思議そうに話しかけてきたのでカンナは慌てて「何でもないよ」と返す


 リナ「そうですか……あっそろそろ三時になるから行かないといけないのではないですか?」


 リナはシドウ先生が言っていた事を覚えておりカンナに確認をする


 カンナ「もうそんな時間なのか 所でさ……お願いがあるんだけど」


 いつのまにか時間が過ぎておりカンナは学長室へ行かなければいけないのだが肝心の場所が分からないのでリナにその場所まで案内してもらえるようにお願いする


 リナ「うん!!全然大丈夫だよ、着いてきて」


 リナは頼られたのが嬉しかったのか学長室まで案内しカンナはそれに着いていく


 学園の中を歩いている途中でEクラスだからなのか冷ややかな視線を感じていたが気にする事なく学長室へとたどり着く


 リナ「ここが学長室だよ」


 カンナ「そうか 結構分かりやすい場所にあるね」


 目の前にはこの学園で一番偉いジック学長の部屋があり、扉も目に見えて豪華で分かりやすく間違えて入ってしまうということもないだろう


 辺りを見回すとすでにカンナ以外の編入生が来ており仲良く話していた


 リナ「私はやる事があるから また明日ね」

 カンナ「そうなんだ……ありがとうね」


 案内を終えたリナはその場から離れていく、急ぎの用事なのか焦っているように見えたのでカンナは(申し訳ないことをしたな……)と心の中で謝る


 カンナ(当たり前だけどクラスメイトで固まって話しているな……というか編入生が全員知ってる人ってどういうことだよ)


 正直女体化してしまった海斗はどうやって接していけばいいのか悩んでいるが取り敢えずはエナとシア(クシア)と仲良くしておく事にする


 海斗のクラスメイト達の方をチラチラ見ながら話していると大きな学長室の扉が開いてジックが声をかけてくる


 ジック「皆さん集合が早いですね、見た感じですと全員揃っているようなのでわたくしの方から色々と説明させていただきます」


 ジックは髭を触りながら軽い挨拶をしこれからある学園の行事などを説明しているのだがカンナは入学初日に色々起こり過ぎており話をほとんど聞いていなかった(聞けなかった)


 この学園の生徒のほとんどは寮で生活しているので編入生の部屋割の話もジックが話していたのでかろうじてそこだけは聞いていたカンナなのだが


 カンナ(そういえば三人部屋って言ってたよな……エナとシアのどちらかと同じ部屋だと良いんだけど、というかそうなってくれ頼む)


 ジック「寮の部屋ですが君達編入生は二人部屋となっていて部屋割も同じクラス同士の人にしてます」


 カンナ(な ん で だ よ)


 カンナの想いも虚しくエナとシアと同じ部屋どころかクラスメイトの斉藤と一緒の部屋になってしまい絶望する


 溝上「ちょっと待って下さい 僕は工藤さんと同じクラスですが男女で部屋が同じなのですか?」


 この中ではカンナと一番仲良くの良い溝上が質問をし後に続くように高田も頷いている、どうやらこの二人が女子と同じ部屋になってしまっているようだ


 カンナ(溝上のやつ焦ってやんの……それに引き換え高田くんの反応が可愛いな)


 溝上の事を少し馬鹿にしているが海斗も馬鹿に出来るほど経験がある訳ではない


 工藤「別に私は構わないですよ?溝上くんが誠実でそういう事をしない人って信じてますから」


 溝上「何だか嬉しいような悲しいような……でも本当にいいんだね?」


 工藤「うん」


 カンナ(工藤さんこんな感じだったか?何かもっと恥ずかしがりそうなかんじだけど俺がいない間に皆変わったのか)


 普段は物静かな工藤からは考えられないような言葉が飛び出したのでカンナは驚く


 山下「私も高田くんと一緒で大丈夫だよ」


 高田「えっ……僕なんかと一緒でいいの?」


 山下も高田と同じ部屋になる事を嫌だと思っていないようだった


 カンナ(山下さんとか結構気にしそうなんだけどな………………これはまさかこの二人にモテ期が来たってことに……)


 まさかの可能性を考えるカンナだが真相は定かではない


 ジック「すみませんでしたな、そのような事を考慮してなかったもので……しかし話を聞いた感じだと文句は無いということでよろしいですかい?」


 ジックの言葉にカンナを除いた全員が頷く、カンナは文句を言いたかったのだがこの雰囲気の中で言える感じもなくさらに斉藤を拒否したら怪しまれるし気まずくなりそうなのでとてもじゃないが文句を言えるような立場ではなかった


 ジック「それでは皆さん明日からこの学園で生徒として講義を受けて自分の魔法を鍛え仲間と切磋琢磨しながら頑張って下さい 解散」


  何も返事が無いので全員の意見が一致したと感じ取ったジックは最後の挨拶をして解散する


 時計を見ると夕方の五時を過ぎておりカンナ、エナ、シアの三人は当てられた自分の部屋へと帰ろうとしているとクラスメイトの寺山が声をかけてくる


 寺山「ねえ エナさんとシアさんと後は……」

 カンナ「海……カンナです……(おい!!名前覚えとけよ)」


 寺山に名前を覚えられて無い事に少し腹が立ったのかうっかり自分の本当の名前を言いかけてしまう


 寺山「カンナさんだったね……ゴメンゴメン、所でさ今から編入生だけで一緒にご飯でも食べに行かない?」


 まさかご飯のお誘いをしてきた寺山にカンナは(こいつ!?こんな事できたのか普段はゲームやエロゲーの話ばっかりしてるようなやつだぞ)と寺山の変化に驚いている


 カンナ(……正直行きたくないんだけど)


 ボロを出したくない海斗は行きたくないのだがエナの方を見てみると行きたそうにしているので


 カンナ「あぁ……全然……私達でよければ」


 カンナはボソボソと呟くように話す


 寺山「ありがとう!!それじゃあ今から皆で行こうか」


 誘いをうけると寺山は嬉しそうにして皆を仕切っている元の世界では考えられないほど成長していたのでカンナは関心していた



 何はともあれ編入生でご飯を食べにいく事になり学園の外に出て街にある美味しいお店に行くためにソルセリ魔術学園の編入生は街を歩く


 店に着くまでの時間は暇なので編入生同士でお喋りをする時間となってしまいカンナは結構気まずい空気になると感じていたのだが……



 エナとシアは予想以上に早くクラスメイトと仲良く話しており本来なら長い時間を過ごしていたはずのカンナ(海斗)がクラスメイトとあまり仲良くなれていないという意味のわからない状態となっていた


 カンナ(エナは別に分からなくはないけどクシアさん凄いな……俺なんてまだ斉藤さんとしかまともに話せてないのに)


 斉藤「カンナさん?どうしたの?考え事?」


 適応力の高いクシアに注目していたからか斉藤から声をかけられても気が付いていない


 クシアは上野と魔法について楽しそうに話しており、何よりも溝上とエナが一番仲良さそうに話しているのが気に入らないのか嫌な気分になってしまう


 斉藤(まさか……カンナさんはエナさんの事を……女の子同士……悪くないですね)


 その様子を見ていた斉藤はとんでもないカップリングを想像し笑顔になる、ある意味間違ってはいないのだが真実を知ってしまうと実は百合が好きな斉藤は絶望してしまうのかもしれない


 それぞれ色んな事を思いながら歩いているとお店に着いてしまう、ちなみに店は寺山がAクラスの人からおすすめを聞いたらしく凄く美味しいお店のようで流されるようにしてみせの中へと入っていく


 お洒落な店に入って料理を注文して先にお酒が来たので皆で乾杯をしている


 元の世界では駄目な事だがこの異世界では合法であるため17歳にして初めて酒を飲んだ海斗はテンションが上がってしまい記憶が不鮮明となってしまい気が付いたら寮の布団で眠っていたのだった


 

 


 


 

 


 

 


 

 


 


 


 


 

 

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