第三話 パーティ決め
俺達が異世界に来て二週間の時が経とうとしていた……とはいっても生活は普段の学校とほとんど同じで体育(訓練)が多くなった程度くらいにしか違いを感じなかった
一つ大きく変わった事を挙げるとクラスメイトの戦闘能力だろう この二週間で鍛えられたおかげでかなり強くなった気がする 特に橘委員長や武、岩崎などの元の世界でも凄かった人達は俺なんかとは比べ物にならないほどに強くなってしまった でも上の人達が強すぎるだけで俺を含めた他の人達も相当強くなっていてティトスやローズに敵わないが「今のお前達ならその辺の盗賊程度なら倒せるだろう」とのことらしい
このままで良いのか分からないがこれも二週間の間訓練を続けてきた結果なのだろう 座学はほぼサボってしまったが……
今日は訓練が無いらしいが全員集められてケールとティトス隊長の話をきくことになっていた
ティトス「お前達はこの二週間でかなり強くなったが実際に魔物とは戦ったりと実戦経験が全くない」
ケール「よって明日は五人でパーティを組みこの世界の魔物と戦ってもらいます」
とうとう実戦が来てしまったが皆はこの二週間で強くなり自信をつけていたので泣き叫ぶ人はいなかったが何人かは不安を抱いていて 俺もそのうちの一人である
ケール「実戦といっても安心してください あなた達パーティに一人の天使がサポートに入りますので心配しないでください」
ティトス「そいうことだ 魔物は今のお前達に合わせて強めにしてあるがいざとなったら天使の人が助けてくれるから大怪我することはないぞ」
その言葉を聞いて安心したけど誰とパーティを組んだら良いのやら
ケール「メンバーが決まりましたら私に言って下さい」
こうして一時解散となってクラス全員でメンバー分けについて話し合うことになる
皆それぞれ仲の良い人同士で組み始めて俺も亜紀と絵美、武の四人と固まっているとケールから詳しく話を聞いた高橋がやってきて皆に伝言を伝える
高橋「ケールさんから聞いてきたけどなるべく実力が近い人同士で組んだほうが良いって」
この事に皆が疑問を浮かべるがケールが言うにはパーティ全体の実力に合わせて天使が魔物を調節するらしいので個人の実力差がありすぎると良くないとのことだった
となると絵美と武とは離れないとダメだな 武は俺より遥かに強いし絵美も魔法組の中でも全ての魔法を使えて凄いらしい
実力を意識した上でもう一度話し合ってさらに魔法を使う人と剣を使う人のバランスを考えてパーティを組んだ結果
俺はティトス組の亜紀と薗田と組み魔法組は女子の山下と工藤が加わった五人になった 工藤は黒髪清楚で物静かな女の子で密かに男子から人気がある、山下は照れ屋な頑張り屋さんといったところだろうか 少なくとも俺や亜紀とは反対側にいる人間だろう
パーティのメンバーが決まったのでケールに報告すると「分かりました」と言って他の天使を連れてきてパーティメンバーで固まるように指示する
天使達は話し合いをしており誰がどこに行くのかを決めているようだ 天使でも実力なんかに差があるのだろうか? そんなことを考えていると天使達の話し合いが終わりそれぞれのパーティの元へと向かっていく
そして俺たちの元には歴史の座学を教えてくれたクシアさんがきてくれたクシアは「よろしくお願いします」と挨拶をしたのでパーティ全員頭を下げ明日はどう動くかなどの作戦を立てる事にした
工藤と山下の実力をあまりわかっていなかったのでクシアさんのアドバイスを頼りにしながら皆で話し合ってある程度作戦が決まったので
クシア「明日は初陣で多少の不安があると思いますが学んだことを生かして頑張ってくださいね」
工藤「はい!精一杯やれることをやります」
山下「橋本さん達が戦いやすいように援護するね」
亜紀「私達も頑張るよ でもこいつを中心に見ていたほうが良いかもね」
そう言いながら亜紀が俺を馬鹿にしてくる パーティ全体を見てみるとパワータイプの俺に対して亜紀はスピードタイプで薗田は両方ともそこそこで少しの魔法が使えるオールラウンダーなのでパーティのバランスとしてはかなり良いのかもしれないが色んな状況に素早く対応できるスピードは戦いにおいてかなり重要となるので亜紀のほうが一枚上手なのは間違いない
海斗「うるせえ お前こそ明日怪我して魔導士二人に甘えるなよ」
亜紀の言い分に言い返したことでまた言い争いになる これに薗田は「相変わらずだな」と子供を見守るような目で見て工藤と山下は笑顔になりパーティの雰囲気はとても良い感じだ
クシアは(不思議だな)と思いながら仲の悪い喧嘩ではないと雰囲気から伝わってきたので笑顔で見守りその日は解散する
夜飯を食べ終えたので明日に備えてベットで眠ろうとした時
コンコン
部屋のドアがノックされたので開けてみるとクラスメイトの中野天矢がいた、天矢は創造力がすごく武器などを作り出す錬金術に敵性があるので魔法組の方で指導を受けており仲が良いにも関わらず異世界にきてからあまり話せていなかった友達の一人だ
天矢「よぉ 元気にしてたか?」
海斗「天矢じゃないか! こんな遅くにどうしたんだ?」
いつもとは違う雰囲気で話す天矢を不思議に思っていたら
天矢「お前達のパーティの天使はクシアさんだろ?」
海斗「そうだけど どうしたんだ?」
天矢が言うにはクシアさんは序列が一番低く俺たちの見てないところで他の天使から良くない扱いを受けているらしく天矢は偶然その現場をみてしまったらしい
海斗「そんなことがあったのか……あんなに優しいのに」
天矢「優しくて何も言い返さないのをいい事に好き勝手やってるんだろうな さらに無能だの言われてたから本当にお前達をサポートできるのか不安になってしまって」
海斗「それは考えすぎじゃないのか? それに実力の合わせるって言ってたし俺らもかなりつよくなったから大丈夫だろ」
天矢「まあ..だからよこの大剣作ってみたんだ本当なら委員長か岩崎のために作ったけどあいつらには似合わないきがしたからそれにデカイ剣使ってるのお前だけみたいだからピッタリだろ?」
そう言うと天矢は銀色で格好良い大剣を渡してきた素人目じゃどこが凄いのか分からないが少なくとも今使ってる大剣より攻撃力は高そうだ
海斗「考えすぎかもしれんが俺がこの剣で敵を蹴散らせばすむ話だからな有り難く受け取っておくぜ」
剣を受け取り「心配するな」と天矢に言うと「死ぬなよ」と言ってきた 心配性なのは相変わらずだと思ったが明日の初陣での不安が剣を貰ったことで余裕に変わり 頑張ろうと思えた
その日は不安が消えたためかぐっすりと眠ることができたので気持ちの良い朝を迎えることができた いよいよ実戦だから気を引き締めて行かないとな