表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/120

第二十一話  異世界デート!?


 盗賊と戦った後に妖精の森で宴を終えた海斗達勇者パーティは次なる目的地であるセルク村を目指し歩いていた


 

 海斗「次はセルク村でこの手紙を……誰だっけ?そうだ、ルーゼって人に渡すんだったな」


 クシア「はい!! 間違いなく店主様はルーゼとおっしゃられてました」


 アスフェア「あの店主が出す手紙か……内容が気にならない?」


 手紙を渡す人を確認する海斗とクシアをよそにエナとアスフェアは長く過ごしていた店主が出す手紙の内容が気になっていて仕方がなかった


 アスフェア「ねぇ海斗 その手紙の内容見てみない?」


 気になって仕方ないアスフェアは悪戯な声で海斗に耳打ちをする


 海斗「ぬーん  辞めた方が良い気がするな 親しい仲でも礼儀ってのがあるんじゃないか?」


 アスフェア「へぇー 以外ねあんたなら乗ってくれると思ったけど  良いこというじゃない」


 海斗「元の世界だと犯罪になってしまうしな 気になるのは分かるけどさ‥ それならルーゼって人に後から内容を聞けばいいんじゃないか?」


 アスフェア「確かにそうね ルーゼって人か‥ どんな人なんだろ」


 エナ「確かに店主の親しい人って気になるわね」


 好奇心で気になっていたアスフェアだが海斗からの返答が予想外でかなり驚いていた、しかし次に店主が手紙を出しているルーゼという人物が気になり始める


 クシア「フェンリルは甘えん坊ね  あら 村の入り口が見えてきたみたいですよ」


 クシアは他の3人とは違い偶然復活してしまったフェンリルを甘やかしながら楽しそうにしている


 話しながら歩いていると村の入り口が見えてきたので海斗達勇者パーティはセルク村へと入る


 セルク村はあたり一面が田んぼになっており自然に囲まれている平和で落ち着く気持ちになれる雰囲気を感じる

 

 海斗「それならまずはそこら辺にいる人に聞いてみた方が良さそうだな」


 村の中へと入った海斗達はルーゼという人を探すためにまずは食材をもって歩いている村人に話しかける


 村人「あらら もしかして旅人さん?」


 海斗「そうです 訳あってこの村に立ち寄ることになったのですよ」

 

 旅人が珍しいのか村人の女性はじっくりと海斗達を見つめている


 村人「そうなのですね それでご用というのは?」


 海斗「ルーゼという人に会いにきたのですがどこにいるのか分かりますか?」


 村人「ルーゼさんですね、あの人ならあそこの大きなお屋敷で働いていますよ」


 村人は正面を指差すと大きなお屋敷が見える、普通の家とは明らかに違う大きさを持つ家で田舎にある豪邸のように村の雰囲気とは合っていない


 海斗「うおお」


 エナ「あんなでかい家にはこの村の村長が住んでるのかな?」


 村人「その通りです あの屋敷にセルク村の村長であるマール様が住んでおられますよ」


 海斗「ありがとう 俺達はルーゼさんに会いにあの屋敷に行ってみるよ」


 村人「いえいえ 旅人の皆様もこの村でゆっくりされていって下さいね」


 居場所を教えてくれた村人は深く頭を下げて海斗達と別れて歩いていく


 


 そして店主からのお手紙を受け取っている海斗達はルーゼに会うために村で一番大きな屋敷へと向かう


 海斗「おー 近くで見るとさらに大きいな 掃除とか大変そうだな」


 エナ「周りが堀で囲まれてるし警備もすごそうだね」


 クシア「金持ちなのですね」


 アスフェア「3人とも関心ばっかりしないでよ あそこの入り口に立ってる門番の人に聞いてみましょう」


 近くでみると規格外に大きい屋敷に3人とも驚きを隠せなかったがアスフェアが入り口に立つ門番を見つけたのでその人に話しかける


 門番の男「何かご用でしょうか?」


 門番の男は背の高く強そうだが海斗達お客を見ると優しい声で対応した


 海斗「(こいつ強そうだ)この屋敷にルーゼという人がいるって聞いてて、それでこの手紙を渡しにきました」


 門番の男「そうか ルーゼは俺だ その手紙は俺宛てのものか?」


 なんと海斗が話しかけた強そうな門番がルーゼという人物だったのだ、エナとアスフェアは店主の知り合いを初めて見たので驚いている


 ルーゼ「お前達はこの手紙を誰から預かったんだ?」


 海斗「それは王都に住んでる……フラガ店主からです」



 ルーゼ「フラガからの手紙か 珍しいもんだな 店でも潰したのか?」


 ルーゼは差出人が分かると懐かしむように語っている、ちょっとした悪口を言うくらいには仲が良いのだろう



 海斗「ともかく手紙はあんたに渡したから俺達はこれで」


 ルーゼ「そうだな 俺もここでダラダラ話してる訳にもいかないからな せっかくだからお前達にこの村で一番良い宿を紹介してやるよ 今日はそこに泊まりな」

 

 フラガの知り合いとはいえ深く関わる程用事も無かったので手紙を渡してこの村を出るつもりだったのか微妙な反応をする


 ルーゼ「何だ?急いでるのか 俺の紹介なら今日は無料で泊まれるのにな」



 クシア「海斗様そんなに焦る必要はないのでは?」


 海斗「……そーだね 今日はゆっくりしよう 何たって無料だからな」


 ゆっくり考えた後に海斗は結論をだし今日はセルク村でゆっくりする事に決める


 クシア「はい たまにはこんな日があってもいいと思います」


 アスフェア「無料って言葉に釣られたんじゃないの?」


 海斗「いいだろーがよ 悪いか?」


 エナ「もーーう 仲良くしなよ全く」


 クシア「(何か亜紀さんとの関係に似てますね)」

 


 海斗とアスフェアは相変わらずであるがクシアは王宮での亜紀と海斗の会話を思い出していた、そして海斗達は今後の予定を決めるために早い時間ではあるがルーゼから紹介された宿でくつろぐことにした



 海斗「さーてと これからどうしようか」


 時間は昼の一時を過ぎた頃でやる事が見つからない海斗は退屈そうにしていると


 エナ「ねぇ、暇ならこの村を回ってみない?」


 暇な海斗はエナの提案に乗り村を散歩する事を決めてクシアとアスフェアを誘うとエナが素っ気なさそうにしている、きっと二人で回りたかったのだろう

 

 アスフェア「(馬鹿ね本当)あーーでも私とクシアはフェンリルの世話と食べ物を買うつもりだから別行動しましょうか」


 しかし色々と察したアスフェアは気を利かせて海斗の誘いを断る


 クシア「でも一緒に行動した方が安全d……」


 アスフェア「と に か く 別行動よ!! 行くよクシア」


 案の定クシアは理由が分からず一緒に行動しようとするがアスフェアに無理やり連れていかれる、鈍感の二人の相手は骨が折れるようだ


 海斗「さっきのアスフェアは何なんだ?」


 エナ「分からないかな……私達も行こう」


 アスフェアの行動の意図を深く読み取れずにモヤつくが腹も減ったのでエナと一緒に村を回る事に決めたのでエナは嬉しそうにしている


 宿を出る際に店員に微笑ましそうに見られていたが海斗は特に気にしている様子は無い反面エナは顔を赤くしていた


 海斗「どこから行くべきなんだ?」


 エナ「あっ……ええっとあっち……かな」


 宿をでて周りを見るとまだ近くにアスフェアとクシアがフェンリルを連れて歩いていたのでエナは取り敢えず反対方向へ行こうとしている


 海斗は特に否定する事なくエナが示した方向へ歩き始めてそれにエナも着いていきデート?が始まる


 海斗「いい匂いがするな 腹減ったしどこかのお店で食べない?」


 方向が良かったのか二人が向かった先は店が並んでおり栄えていた


 エナ「そうだね……あそこの店とかはどうかな?」


 とはいっても村なので王都ほどたくさんの店があるわけではないのだがその中でもエナは前まで働いていたフラガの酒場に似ている場所を指差す


 海斗「ふっ……そこにしようか」


 海斗も懐かしく感じたのか迷う事なくそのお店に入り食事をする事に決める


 海斗が酒場に居たのは一週間ほどではあるが色んな思い出がつまっていた


 ニコスやミリアが客から人気があったり、クシアが転けて料理をひっくり返した事など思い出話に花を咲かせながらその店で食事を終えると様々な物が売ってある市場へと二人は足を運ぶ


 主に野菜や果物などの美味しそうで新鮮な作物が売られていたのだが中には服や武器なども売られていたので海斗はそっちの方に夢中になっており一番高そうな剣を手に取り商人に話しかける


 海斗「おじさん!!この剣はいくら?」


 商人「この剣は五千ブロンズだな……買うのか?」

 海斗「買います」


 海斗はそう言って金貨五枚を商人に渡す、お金の単位はブロンズ、シルバー、ゴールドでブロンズが最低の単位で五百ブロンズ分で1シルバー、千ブロンズで1ゴールドだとクシアに説教も兼ねて怒られたので流石の海斗も理解していた


 つまり……リリィ王女から十万ゴールドも貰っていたと言う事は現代でいう一億円の大金を海斗は持ち歩いていたと言う事になるのだ


 商人「毎度あり あんた結構金持ってるのな」


 驚いている商人に海斗は苦笑いをしてエナの元へと向かう


 エナ「剣買ったんだね」


 海斗「うん……武器持ち相手とまともに戦えるようにするためにね」


 エナ「そういう事だったんだね、でも海斗は剣より違う武器が似合ってるんじゃないかな?……後ミラ相当怒ってたよ」


 せっかく剣を買っても海斗は扱い方がまるで駄目なのでエナに他の武器を提案される、現に盗賊のお頭と戦った際にミラの剣を借りて戦ったのだが雑に扱ったせいで折れてしまったのだ


 海斗「あはは……もしミラに会ったらこの剣かお金を渡すか……それでエナは何を見てたの?」


 海斗は愛想笑いをしミラにお詫びをする事を誓う


 エナ「ええっと……これを見てたの」


 海斗に何か見てるのか聞かれたらエナは恥ずかしそうにしながら見ていたものを見せる


 エナは横一列に並んでいる魔石(魔力が宿っている石)の首飾りを見ていたようだ


 海斗「綺麗な石だな」


 エナ「うん……ちなみに魔力の濃度が高いほど透き通って綺麗になるんだよ」


 エナは緑色の首飾りを二つ手に取って海斗に見せる、よく見て見ると色の濃度が違いがある


 海斗「確かに色の濃度が違うな……これ欲しいの?」


 エナ「別に欲しい訳じゃないかな……それにお金あんまり持ってないし」


 口ではそう言っているエナだが目は寂しそうにしており本当は欲しいようだ


 海斗「好きなの選びなよ、お金はあるからさ」


 エナ「えっ!? 本当に良いの?」


 海斗の言葉を聞いたエナは驚いた表情をした後笑顔になって海斗に尋ねる、それを聞いた海斗は黙って首を縦に振ったのでエナは「本当にありがとう!!」とお礼を言い首飾りを選び始める


 海斗「(王女からたくさん金は貰ってるからな、人の金でかっこ悪いけどエナには色々助けて貰ってるからこれくらい買ってあげないと……それで値段はいくらなんだろう?)」


 格好つかないと自分で思いながらも海斗は首飾りの値段を見る


 値段は一番高い物でも百ゴールド程だったので今の海斗の所持金なら何でも買う事ができるし何なら全て買い占める事も可能なので余裕そうにしていると


 エナ「これが欲しいな」


 エナは選んだ物を持ってくる、その首飾りは青色で三日月のような欠けた円の中央に雫の形をした魔石がある物だった


 海斗は値段が気になったので確認してみると三十ゴールドと書かれており魔石の首飾りの中でもどちかといえば安い方だ


 海斗「まだ高いやつもあるけどそれで良いの?遠慮はしなくても良いんだよ?」


 値段を見て遠慮していると思った海斗はそう尋ねるがエナは「これが良いの……遠慮なんてしてないよ」と満面の笑みで答える


 表情を見て嘘ではなく本心からだと感じ取った海斗は首飾りを手に取り売っている店員の元へと行き会計を済ませる


 店員「お嬢ちゃん良いものを選んだねー」


 店員に声をかけられてエナは照れくさそうにしている


 店員「お兄さんの方もこちらの首飾りはいかがかな?」


 そう言うと店員は新たな首飾りを海斗に見せる、それは赤色で欠けた円が中心にありその外側に長さが不規則な突起物があるものだった


 海斗「(金はたくさんあるし買ってみるか……リリィ王女ありがとう)気に入ったから買うよ」


 心の中でリリィに感謝しながら首飾りを買う事を決める、値段は五十ゴールドするらしいのだが店員がオマケをしてくれたのでエナの物と同じ二十ゴールドで買う事ができた


 店員「毎度ありー」


 エナ「海斗も良いの選んだね、綺麗だよ」


 海斗「ありがとう、一目見て気に入ったから買っちゃったよ」


 エナ「私も同じ……今からここで付けていかない?」


 エナの提案に海斗は賛成する、そこでエナは二人ともお互いの首飾りをつけあいっこするように提案する


 海斗は一瞬同様するが快諾し顔を近づけエナの細い首に手を回して首飾りを付ける


 顔を真っ赤にしたエナは(何でこんな事を……とても恥ずかしい)と心で思うが本当は嬉しそうだ


 鈍い海斗も同じ気持ちを抱いており側から見るとラブラブのカップルである


 色んな感情が混ざりながらお互いのを首飾りを付け終わると


 エナ「ふふっ 本当にありがとう!! 一生大切にするね」


 海斗「そう言ってくれると本当に嬉しいよ」


 エナは海斗に付けてもらった首飾りに手を当てて頬を赤らめながらも海斗の目をしっかりと見てお礼をいう


 それに対して海斗は目を逸らして恥ずかしそうにしており照れている事が分かる


 そうして二人は店員に微笑ましく見守られながらお店を後にして宿屋に戻る事にした


 店員「良いものを見れて目の保養だったな……そうだ確かあの魔石の首飾りは不完全でとある条件を満たすと完全体になるって聞いた事があったけどその条件を忘れてしまったな…………でもあの二人なら完全体にできる、そんな気がする」


 イチャつく二人の背中を見守りながら店員は意味深な事を呟いている、果たして二人の首飾りの魔石が完全体となる日は来るのだろうか



 


 


 

 






 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ