第二話 訓練の日々
異世界に来ても生活リズムは変わらずに早起きして歯を磨いたり身支度を整えて食堂に向かうとすでにほとんどのクラスメイトが集まっていた
朝食はパンとスープといったシンプルなものを食べ終えて 指定された場所へと行くと王国軍隊長のティトスと副隊長のローザが待っていた
ティトスは体の大きな大男で一目で軍人だと分かる貫禄があるのに対してローザ副隊長は綺麗な赤髪をした女性の騎士でとても戦う人には見えない
その後クラスメイト全員が集合し今日から訓練の日々が始まる
まず始めにティトスの指示で皆それぞれ武器をとり王国の隊長であるティトスとそれぞれ勝負をした
勝負と言っても剣と魔法のどちらのほうが適しているかを見る適正テストのようなもので俺達は剣が適正な者と魔法が適正な者に分けられた俺と武とアキは剣の方へ絵美と高橋とその他のオタク達は魔法の方が適正があるみたいだった
ティトス「前衛向きの奴等は俺が担当する、魔法を使う者は天使様のところへ行け」
二人の騎士の元には俺、武、亜紀、橘委員長、岩崎とその他十人の人が残りそれ以外の人はケールの方へと着いて行く
さらに俺達前衛組も二つに分けられた、ティトス曰く先程のテストである程度の実力が分かったらしく橘、武、岩崎とその他五人は副隊長であるローズが指導するらしい 俺と亜紀を含めた七人はティトスから指導を受けるようだ
ティトス「改めまして俺は軍隊長のティトスだお前達をこれから強くするため厳しくいくから覚悟しておけ」
ティトスは始めに「自分に合いそうな武器を選びかかってこい」と言って様々な武器を俺達の元に放り投げる
剣、大剣、ナイフ、ハンマー、槍など色々な武器がある中で俺は大きな大剣を選んだ 理由は攻撃力が一番強そうといった単純な理由だ
一方で亜紀は剣の半分程の長さしかないナイフを選んでいた陸上部で足の速いあいつにはピッタリだと思い「結構考えたじゃねーか」と褒めたつもりだったが「さすが脳筋 何も考えずに選んだのね」と煽ってきたのでいつものような言い争いが始まってしまう
ティトス「おいそこの大剣持ち、うるさいぞ早くかかって来い」
言い争ってるうちに他の四人がティトスと戦ったようだが見事に返り討ちにされている
亜紀が先に煽ってきたからこうなったというのに何故あいつは何も言われないのだ
そう思い恨みをぶつける形でティトスと戦ったがまるではが立たなかった、ティトスは座り込む俺達に「素人に負ける私ではない」と言った その場の皆が(当たり前だろ)と心の中で思い休んでいると 体力はそれなりに自信がある海斗と亜紀が同時に立ち上がり目が合う
「やーい怒られてやーんの」と自分が何も言われなかったのでまたいつものようにからかってきたので「黙ってろ ちび女」としか言い返すことしかできなかった
ティトス「おいそこの馬鹿二人組はふざけているのか?」
?「隊長二人ともいつもあんな感じなんですよ」
いつも通りのやり取りをする二人を見てティトスは腹を立てるが同じグループにいる薗田がいつもの事だと説明する、薗田は勉強に運動など色んなことをそこそこ出来る器用なタイプの人間で悪く言うと器用貧乏である
ティトス「..そうなのな?まあ良いがもう少し緊張感をもってもらいたいものだな」
園田が説明し少しは二人の関係が理解できたティトスだがずっと硬い空気のままでは仕方ないと感じ放っておくことにした……その後も訓練は続いて
訓練の内容は武器を上手く扱う練習と筋トレだった 何故筋トレなのかをティトスに聞くと「お前たちはまだ実力が充分じゃない」と言われそのまま訓練を続ける
答えになってない気がするが筋肉は全てを解決すると言った脳筋の人なのだろうか? そんなことはさておきこの訓練をしていると中学時代を思い出す 中学時代の海斗は今と同じで部活には入っていなかったが運動神経が良く体力もそれなりにあったので学校の選抜選手として選ばれることがあり スポーツに力を入れていた学校ということもあってか朝の六時半から学校が始まるまで朝練をしていた時期があった 当時は地獄のような日々だったが今思えば良い思い出なのかもしれない そしてその時に同じく代表に選ばれていた亜紀と仲良くなり今ではライバルのような存在になったのだ
訓練が終わり中学時代を思い出しながら亜紀と「懐かしいな」と思い出話になり「あの時のあんたさー」とお互いの初対面の印象を話しあっていると訓練を終えた絵美と武が目に入り声をかける
武「おうお前らかボロボロじゃないか」
絵美「あきちゃん、かいと!大丈夫なの?」
肉体トレーニングばっかりで体はボロボロな海斗と亜紀とは反対に絵美と武は綺麗なままである
海斗「絵美は魔法系でそんなに体を使わないと思うけど武達はローズさんのところでどんな訓練をしていたんだ?」
この事に亜紀も激しく同意していると武が説明してくれた 内容は自身に宿る魔力を感じ取りそれらを上手く扱う訓練をしたそうだ
どういう意図でグループ分けをしたのか分からなかったが冷静になってローズのところに行った人たちを見てみると勉強もスポーツも両方できる超人な人たちばかりで恐らくだが強い奴らと弱い奴らで分けられたのだろうか?
とはいえまだ始まったばかりなのでこんな事を考えても仕方がないからな……武たちのことは分かったけど絵美達はどんなことをしたのだろうか?
そう思い絵美に魔法系の人達がやった事について訪ねると
絵美「私達は魔法や魔力について勉強して、それに簡単な基礎魔法は覚えられたよ、それっ」
えみが手を前に出すとそこへ炎がでてきた今まで漫画でしか見た事ない出来事に俺と亜紀は「すげーー」とガキのように目を輝かせていた その他にも風や水を発生させたりと色々と魔法を習得していたようだった……異世界に来たのは昨日だよな?
初日から才能の差を思い知らされることとなってしまったが明日からは天使達によるこの世界の歴史や魔力などについての授業が始まるみたいだ 海斗と亜紀は(歴史なんてどうでもいいや それよりも生き残るために訓練を頑張らないと)と思っており普段の学校でも居眠り常習犯だった二人は異世界も同様にやる気が湧かないまま次の日を迎える
今日からは俺と亜紀がいるティトス組と武や委員長がいるローザ組が午前と午後に分かれて訓練するそうで俺達ティトス組は午前中に座学を受けて午後から地獄の訓練をするみたいだ
そう言われたティトス組の人達は学校の教室程の広さがある部屋へと案内された しかしクラス全員でちょうど良さそうな広さのため細かくグループ分けされた人達だけだと田舎の学校のようになってしまっている
海斗「何の勉強するんだ?」
薗田「この世界の歴史やら魔力やらについてって聞いてたけど」
薗田と色んなことを話していると天使が教室へと入ってきた 確か名前はクシアさんだったかな?
クシア「私は歴史の授業を担当する天使のクシアです 皆さんよろしくお願いします」
クシアは丁寧に頭を下げ挨拶をする 見た目や言動からしっかりしていて穏やかそうな感じが伝わってくる 顔も可愛い系ではなく美人なお姉さんタイプでおまけに巨乳だ
何日か前までは教室で授業を受けていたので皆当たり前のように席につく ティトス組の人は俺と亜紀以外は全員真面目な人で授業も眠らずに聞く人達だ
時間になり授業が始まるとクシアはこの世界の歴史についてティトス組に授業をする
クシアは一つ一つ丁寧に教えてまだ明らかになっていない部分は自分の考察を交えながらも分かりやすく解説してくれた
言ったら悪いけど学校の先生よりもはるかに分かりやすく ティトス組の皆は楽しそうに授業を聞いている
俺も最初はしっかり聞いていたけど「遥か昔に人類は――――ダイナ族に――――」の所で意識が途切れてしまい亜紀も同様に眠ってしまう クシアはクシアで解説に夢中になってしまい居眠りしている人に気がついていなかった 不真面目な居眠り常習犯は異世界に行っても治らずこれから二週間ほど受ける座学のほとんどをサボることになってしまう……亜紀はともかく海斗は後にこのことを激しく後悔するのだがこれはまた先の話である