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第十九話 盗賊討伐と宴




 平和な妖精の森で盗賊と冒険者たちが衝突し戦いが起こる、その結果マッシュ、ミラ、クシアの三人が力尽いてピンチになるが見事に復活した海斗とフェンリルの活躍により何とか持ち堪えることに成功する


 エナ「盗賊の頭はどこかに行ったの?」

 海斗「分からない さっきのグランドウルフもいないみたいだしどこに行ったんだ?」


 フェンリルが吹っ飛ばしたお頭とグランドウルフの姿が見つからないので探していると大きな音を立ててお頭が現れる


 お頭「この糞ガキ共が!!殺してやるぞ」


 思い通りにいかず邪魔をされたからかお頭は怒り狂っているようである


 海斗「あいつ、相当怒ってるな……おまけにウルフも着いてやがる」


 エナ「そうだね……でも私達三人でやるしかないでしょ?」


 アスフェア「援護は任せなさい」


 三人はお互いに目を合わせ戦闘態勢に入る、海斗が前衛で後ろからエナとアスフェアで援護をする作戦で戦うつもりでこちらを見たお頭グランドウルフに上に乗り猛烈な勢いでこちらに突進してきている


 海斗「援護は頼むよ」


 そう言い残して海斗は前へと行きお頭とウルフの強烈な突進攻撃を受け止める


 お頭「消えろ」


 しかし上にいるお頭が剣を振り下ろしてできたのでそれを回避し距離をとる


 お頭「貴様は今さっきの奴らよりも強いのかもしれんが武器を持たずに丸腰とは舐められたものだな」


 海斗「余裕で勝てるなんて思ってないさ……でもどうやって戦えば……」


 お頭は先ほどよマッシュやミラとは明らかに違う実力を感じ取っており武器を持ってない海斗は対抗策を考える


 海斗「あれは……エナ、アスフェアに少しだけお願いがあるんだけど……」


 周りを見回して何かに気付いた海斗は二人にそのことを話しそれを聞いた二人は「分かった」と頷き得意の氷魔法でお頭を遠距離から攻撃する


 氷の弾幕はお頭にことごとく回避されてしまうがそれと同時に海斗も突っ込んでいき飛び上がって次はお頭を狙って空中で拳を振りかぶる


 お頭も飛び上がって攻撃してくる海斗に合わせて剣で攻撃をするが海斗は攻撃する事が目的ではなく空中で体を捻ってお頭の攻撃を回避して後ろに回り込む


 海斗「誰の剣か分からないけど使わせてもらう」


 海斗は地面に突き刺さっている剣を抜いて構える、その剣はミラがお頭と戦った際に弾き飛ばされたものだ


 お頭「あの小娘の剣を持ったところで同じだ」


 お頭は再び海斗めがけて突進してきたので海斗も剣でお頭の攻撃を受け止める


 お互いの攻防が続く中で隙を見つけた海斗はお頭の剣を受け止めている間に蹴り飛ばしてグランドウルフの上から降ろす事に成功する


 地面に降りたお頭に対してさらに追撃をするがグランドウルフに背を向ける形になってしまう


 エナ「こっちに来なさい!!」


 後衛の二人がウルフを攻撃してこちらに注意を引いたのでお互いに一対一の勝負となる


 怠慢となった事を確認した海斗はエナを信じてお頭を倒すべく慣れてない剣を片手に持ち切り掛かる


 お頭「貴様は剣の扱いに慣れていないようだな」

 

 慣れていない海斗は剣を両手で持ちデタラメに振り回しながらお頭を攻撃している

 

 型がなく素人丸出しの剣術なのだが一撃一撃が重くて速くお互いに一歩も譲らず打ち込み合い鈍い金属の音が森に響いている


 カイト「今だ!!」


 攻勢が続く中で海斗が隙を見つけお頭の顔目掛けて全力で剣を振り下ろすが反応したお頭にガードされてしまい力任せに振った剣は折れてしまった


 カイト「くっ!! 剣が折れたか」

 武器を失い丸腰となったカイトにお頭はチャンスとばかりに詰め寄る


 お頭「剣の使い方を知らん奴め これで終わりだ」

攻撃がさらに激しくなったお頭の攻撃を次々と回避するカイトだが後ろにある大木に気が付かずに引っかかってしまい体勢をくずしてしまう


 カイト「うおっ!?」

 倒れたカイトの隙を見逃さずお頭は大きく剣を振りかぶり海斗めがけて振り下ろす

 お頭「今度こそ死ね」

 しかし、次の瞬間にお頭の頭以外の全身が氷漬けとなり動けなくなる


 お頭「なんだこれは!! どうなってやがる」

 お頭が困惑しているとこちらへと手を向けているエナとアスフェアの姿がうつる、どうやらウルフを倒す事に成功して海斗の援護をしにきたようだ


 海斗「ナイスタイミングだ……ありがとう」


 アスフェア「これだけ凍らせたら身動できないでしょ」


 アスフェアは得意げになり話すが氷漬けになっているにも関わらずお頭は無理やり動こうとし 氷がパキパキと音を立てて壊れそうになっている


 エナ「そんな」


 この状態でも動こうとするお頭にエナとアスフェアはかなり驚いていたが立ち上がった海斗が飛び出してきて


 カイト「エナ アスフェア 伏せてろ」

 カイトはさっき体勢を崩した原因となった太い丸太を持ち上げ野球の打者のように振りかぶっていた


 お頭「くそ 止めろ クソッタレ」


 アスフェア「凄い馬鹿力ね」


 丸太を大きく振り被ったカイトは凍って動けないお頭目掛けてフルスイングし


 カイト「木製ホームラン!! 吹っ飛べ」


 そう叫ぶと同時にお頭に大木が命中し野球ボールのようにかなりの勢いで飛んで行った、吹っ飛ばされたお頭は森の中で一番でかい樹木に叩きつけられる

 

 カイト「やっと終わったか」


 お頭を攻撃した海斗は気絶して動けないことを確認してはホッと息をつく


 エナ「おーい 」

 息をついているところへアスフェアとエナが嬉しそうに駆け寄ってくるのが見える


 エナ「良かった……きちんと倒せたみたいね カイトがいてくれて良かったよ」

 アスフェア「結構やるじゃない」


 森を守ることができて喜ぶエナと素直に褒めないアスフェアだが2人とも喜んでいるのは間違いなかった


 エナ「今更だけど手足治って本当に良かった……でも治った直後に盗賊と戦うのは大変だったでしょ? 」

エナは心配そうに声をかけカイトへと近づく


 カイト「確かに大変だった……それより皆大怪我がなくて良かった あいつ結構強かったぞ」


 エナ「そうだったんだ…… やっぱり異世界からの人ってだけで強いね 本当に驚いたわ せっかくだしゆっくりしましょう クシア達は森の妖精達にまかせて」


 エナは木の根元にある綺麗な地面へと脚を揃えて座る


 カイト「少し疲れたからそれもありだな 隣に座るぞ」

カイトは後ろに手をついて座りこみ森の風景を見渡しながらエナと2人で仲良くしている、しかし輪に入れなかった妖精が一匹

 

 アスフェア「まったく 2人でイチャついちゃって こいつもいつ起き上がるのか分からないってのに」


 イチャつく2人をよそにアスフェアはお頭を見ておりあらかじめ持ってきていた縄を取り出しお頭の手足を動けないように縛りつけた


 アスフェア「これならどんな馬鹿力でも解けないわね」

小さな体で大きなお頭を縛りあげたアスフェアは一息をつきその様子をカイトとエナは見ていた

 エナ「忘れてた…… また起き上がって襲ってくるかもしれないのに」

 エナは思い出したかのように立ち上がるがうまく立てずにカイトの方へ倒れてしまう


 カイト「それくらい疲れてたってことだろ? 動ける奴らに任せて ゆっくり眠りなよ」

 エナを受け止めたカイトは柔らかい頭を撫でて優しい声で語りかける

 エナ「うん そうする 」


 顔が赤くなっている事に気付いたエナは顔を隠すようにして横になる、心では(眠れるかな……なんか恥ずかしい)と思っていたが疲れが溜まっていたのか瞳を閉じるとスヤスヤと寝息を立てて眠ってしまった


 カイト「お互いに無理してたみたいだな」

 エナの疲れを感じ取ったカイトは彼女を背負ってクシア達の元へと向かおうとするとそこへアスフェアが駆け寄ってくる


 アスフェア「おい あのでかぶつも後で運んでくれない」 

いつものように上から目線でアスフェアは話しかけてくるので


カイト「ええーー 俺が運ぶのかよ あいつエナの何倍も重いだろうが」


 華奢なエナを背負ったカイトは嫌そうにアスフェアへ文句を言うが


 アスフェア「私じゃあいつを運べないのよ それにあんた力だけはあるから余裕でしょ」

面倒くさがるカイトをみてアスフェアはいつものように馬鹿にしながら命令をする


 カイト「分かってるよ あれ?何かあいつ浮いてないか?」

 いつも通りに適当な返事を返しお頭を確認すると縛られているお頭の体が浮かんでおり後ろに大妖精がいた


 大妖精「こやつはうちが運んでやる しかしよくやってくれたなうちの援護が必要だと思っておったがいらなかったみたいじゃな」


 大妖精の所も決着が着き敵ももういないので余裕のある表情をしている


 カイト「怪我を治してもらった恩人を助けるのは当然だろ」


 大妖精「確かにそーかもしれんがな…… だからうちもお前を治して良かったと思うぞ」


 アスフェア「そーね あんたが守ってくれたおかげで被害を抑えることができたのよ」


 大妖精「そうじゃな 怪我人こそでたが死人が1人もでとらんのが一番大きいじゃろ」


 アスフェアと大妖精は改めて礼を言う、カイトは照れてまた謙遜しつつも3人とも仲良く話しながらクシア達のもとへと向かっていき、辿り着くとクシアと妖精達がミラとマッシュの応急処置をしていた


 クシア「皆さん無事で良かったです!!」


 クシアは純粋な笑顔を向けて3人を出迎えた


 カイト「クシアさんも無事で何よりです ミラとマッシュは大丈夫なのか?」

 エナを起こさないようにゆっくりと降ろしたカイトはミラとマッシュの心配をする


 ミラ「私は大丈夫よ 首を締められたくらいで済んだけどマッシュの怪我がかなり酷いわ」


 ミラはマッシュのことが心配なのだろうか、かなり心配しており暗い声で答える


 ミラ「私が足を引っ張ってしまったから……エナにも無理をさせてしまったし  もっと強くならなきゃ」


 自身が足を引っ張ってしまいエナとマッシュに無理をさせてしまったことを悔いるミラは明るく振る舞っていたが声には不安が混じっている


カイト「そうだったのか  でも皆無事だったから良かったと思う……次はマッシュを守れるくらいに強くなればいいんじゃないか?」


 カイトはありのままの素直な言葉をミラに伝えることしかできなかったが


 ミラ「うん そうね クヨクヨしてても仕方ないよね」

 素直な言葉を受け止めミラは前向きになり顔もさっきと比べ明るい笑顔になった


 カイト「そうだな 嘆くだけじゃ何も始まらないもんな、けどコイツら(盗賊)のせいで随分と遅くなっちまったな」

 本来なら森での用件を済ませた後にギルドの依頼を抜け出して店主から頼まれた手紙を届けてその村で宿泊する予定だったのだが戦いで皆ボロボロになってしまったためそれどころではなくなってしまった


 クシア「盗賊がこんなにしつこく襲ってくるのも予想外でしたからね 今日はここに宿泊するしかないと思います」


 ミラ「そうするしかないわね ギルドには私から連絡しておくわ」


 カイト「分かった 今日は休んで明日出発だな」

 ミラとカイトはクシアの提案に納得し今日はゆっくりすることに決めた、夕日が沈みだした空はまだ明るさが残っているが森の中は段々と暗くなってきている


 大妖精「お前達、今日はこの森に残るみたいじゃな それならこの森を守ってくれた恩人達には楽しんでいってもらおうではないか」


 カイト「遠慮なく甘えることにしますか」


 ミラ「やったーー!」


 クシア「楽しみです」


 森を守ってくれた冒険者たちのために森の住人はもてなしてくれた、飛び交う妖精、綺麗な踊りに美味しい料理など異世界にきて初めて宴を味わったカイトは非常に満足していた、皆盛り上がっている最中に


 カイト「そういえばクシアさん、この犬はフェンリルの子供らしいよ」

かつて戦ったはずの強敵をクシアに見せるがクシアは最初から分かっていたように答える


 クシア「そうみたいですね ありがとうございます あの時に助けてくれたおかげで生きているわけですから」


 カイト「凶暴で強いやつだったけど今はそんなものは感じないな、大妖精がフェンリルは無闇に襲いかかる奴じゃないと言っていたけどそれは本当なの?」


 改めてお礼を言うクシアに一番疑問に思ったことを問うが驚いた顔をしたクシアは


 クシア「そうなのですか……私は凶暴で暴れ回るフェンリルしか見たことないのでそのことは分かりません‥」


 カイト「そうなのですか でも心強い仲間ができたから良かったと思う」


 クシア「不思議ですよね、少し前は必死に戦ったのに懐いてきて今は可愛いって思うんですから」


 かつて倒したはずの敵を可愛がる日が来るとは思っておらず複雑な感情になる2人だったが動物特有の愛嬌によってその感情は簡単に吹き飛ばされてしまったのだ、そこで隣で寝ていたエナとマッシュが起き上がる


 エナ「うーーん どれくらい寝てたのかな?」


 マッシュ「分からない でも皆楽しそうだな」


 周りを見渡せば盛り上がる森の住人、空飛ぶ妖精を見た2人はすぐに状況を理解することができたそこへ2人に気付いた皆が近づいてくる


 カイト「良いタイミングで起きたな、宴はまだ始まったばかりだから美味しい料理を食べなよ」


 ミラ「そうね 本当にタイミングが良すぎるわ 料理の準備をしてない分楽しみなさいよね」

 

 申し訳なさそうにする寝起きの2人にカイトとミラはたくさんの料理を運んできた、新鮮な野菜を使ったスープに良い香りが漂うジューシィな肉、腹を空かせていた2人は満面の笑みで平らげていく


 クシア「相当お腹が減っていたみたいですね」


 カイト「ははは 凄い食べっぷりだな」


 ミラ「確かに楽しみなさいって言ったけど」


3人ともエナとマッシュが想像以上に食べるので驚きを隠せなかったが勢いよく食べすぎたためかそう長くは持たなかった


 エナ「お腹いっぱいで幸せだよー」


 マッシュ「もう食えない ウッ」


 たらふくたべた2人は一歩も動けないほどに満腹になってしまい幸せそうである


カイト(明日のことは明日考えるか)

幸せそうな2人を見て明日のことを考えるのは辞め今は今はこの状況を楽しむことにしたカイト、歌い、飲み(ジュースを)、踊り、満喫していると知らぬ間に夜が明けていた







 

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