第十八話 大ピンチ!?
治療を受ける前に散々脅され覚悟していた海斗だったが大妖精は極度のドMだったことが判明し激痛も何もなく治療を終える
あっさり治療が終わった事に拍子抜けするが洞窟から出た瞬間に異様な空気を感じ取りアスフェアが泣きそうな顔でこちらに向かって来ているのが見える
アスフェア「はぁっ……はあっ……海斗!?治ったのね」
カイト「何かあったのか?」
アスフェア「うん……逃げた盗賊が仲間を連れて来て暴れてるの」
海斗「そうなのか……それで皆戦ってるんだな?それなら俺も行かないと」
アスフェア「せっかく治ったのに…… 」
治療が終わってすぐに戦わないといけない海斗をアスフェアは心配しているが今はそれどころではない
大妖精「まさかこの森に入ってくる不届者がおったとわのう」
アスフェア「大妖精様ですか?随分と小さくなられましたね」
洞窟からひょっこり出て来た大妖精の変化にアスフェアは驚いている
大妖精「こんな形でお披露目になるとは 残念じゃが うちらの手で村を守るのじゃ 行くぞ海斗!!」
大妖精は手を握るよう海斗に指示をして海斗は言われるがままに大妖精の手を握る、すると体が浮き上がりはじめたので初めての感覚に海斗は少しワクワクしている
大妖精「向こうの方じゃな、ぶっ飛ばしていくから振り落とされるでないぞ」
海斗「おうよ」
アスフェア「私も」
大妖精は方向を定めている最中にアスフェアは海斗の服にしがみつき大妖精は黒い煙が上がっている方向へ超スピードで飛んでいく
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その頃戦場では誰も倒れることなく互角の勝負となっていたがマッシュのスタミナが切れたのか次第に押されはじめていた
お頭「中々やるようだ、ガキだとおもって少々甘くみていたようだな……これならどうだ?」
お頭は相手を舐めていたため思った以上に手こずったので痺れを切らし逃げ遅れていた森の住人の少女を人質にとる
マッシュ「おい!!卑怯だぞ」
お頭「なんとでも言うがよい、お前が相手にしているのは盗賊なんだぞ? 少しでも動いてみろこいつの命はないぜ?」
お頭は少女の首に剣を押し当てている、捕まっている少女は恐怖のあまり泣いてしまうがマッシュはそれを助ける事ができずに一歩も動けなかった
少女「お兄ちゃん……助けて……」
マッシュ「クソ!!」
クシア「そんな……なんて酷いことを……」
お頭は少女を盾にしてゆっくりとマッシュに近づいていき動けないマッシュのお腹に拳を入れてうずくまった状態のマッシュを蹴り飛ばす
マッシュ「ぐぅっ!?」
お頭「このガキも用済みだ、消えろ」
マッシュを倒したお頭は少女の髪を引っ張ってマッシュがいた方向へと投げ飛ばす、投げ飛ばされた少女はマッシュの上に着地し怪我はなかったが最悪な状況になってしまう
お頭「大人しく服従しろ、そうすれば痛い目にあわずに済むぞ?」
お頭の目的はクシアを手に入れることで服従するように命令するがクシアはもちろんそれを拒否する
しかしマッシュを強化するために魔法を使ったクシアは魔力が残っておらずまともに動ける状態ではなかった
クシア(もう魔力が残っていませんし……例え動けても今の私じゃこの人には……)
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離れた所でエナとミラはグランドウルフと戦っていたのだがこちらも中々決着がつかずにいたが
ミラ「あいつ……よくもマッシュを!! 許さない」
エナ「ミラ 待ってあなたじゃあいつには」
ぼろぼろになったマッシュを見たミラは回りが見えなくなりお頭へと突っ込んでいく
お頭「へー こいつは嬢ちゃんの彼かい? でも残念だな男の小僧は死んで女のお前は奴隷として売られるんだからな」
ミラ「そんなことさせない 私があんたを倒す!!」
エナの言葉も届かずにミラが勢いよくお頭へと切り掛かるがお頭がミラの剣を弾き飛ばし宙を舞った剣が地面へと突き刺さる
クシアの強化魔法を受けてないミラはなす術なくお頭に首を掴まれる、必死に抵抗するがお頭には全く効いていないようだ
お頭「お前もよく見ればいい面をしているな、そこの女とまではいかなくても楽しめそうだ」
ミラ「うっ…………離して……」
お頭は手を離すとミラはその場に咳き込みながら倒れて動けない
ミラ「エナ クシア 逃げ て」
お頭「安心しろ 女は全員まとめて性奴隷にしてやる ずっと一緒にいられるぜ 良かったな フハハ」
敵はいないと確信したお頭は魔力が無くなり動けないクシアの方へとゆっくり歩いていく
お頭「無駄だ 大人しく服従しろ」
クシア「嫌です……諦めたりしません」
お頭「まあ良い、向こうでグランドウルフと戦ってる女ももうじき終わる お前もこの薬でしばらく眠ってもらうからな」
ミラと二人でグランドウルフと何とか戦うことができていたのだがミラがいなくなってしまった事で押され始めやられるのも時間の問題となっていた
エナ「ううっ……こんな所で」
エナは残りの魔力でグランドウルフを攻撃するが全て回避され間合いを一気に詰められてしまう
距離をとろうと後ろに下がるがつまづいてエナはその場に倒れてしまいウルフはチャンスとばかりに鋭い牙でエナの頭を噛み砕こうと飛びつく
エナ(ここで死んじゃうのかな……まだやりたい事たくさんあるのに……嫌だ)
死にたくないと思いながらもエナは目を閉じる、しかし次の瞬間に何故か体が浮き上がり誰かに抱えられているのか人の体温を感じていた
何が起こったかよく分からないエナはゆっくりと目を開けると……
海斗「大丈夫か!?エナ」
エナは復活した海斗に抱き抱えられグランドウルフの攻撃をかわすことができ心配そうに覗き込む海斗をみて思わず抱きついてしまう
エナ「海斗……本当にありがとう」
海斗「うん……次は間に合って良かった」
以前も似たような状況を経験した海斗は思わず言葉がでてしまうが当然ながらエナにはどんな意味なのかは理解できない
クシア「海斗様……良かったです」
お頭「まーた何か増えたがたった一人増えたとこで結果は変わらん」
見事に復活した海斗を見てクシアは嬉しそうにするがお頭はクシアを眠らせるために捕えようと手を伸ばす
海斗「フェンリル!!」
海斗が大声で叫ぶと銀毛の獣がお頭に向かって突進し体当たりをする
お頭「うぐおっ!?」
体当たりをモロにくらったお頭は転がりながら遠くへと吹っ飛んでいく
突然の出来事にクシアは理解が追いついていないようで目を丸くしているが助けられたという事は理解できていた
クシア「この狼は一体……」
海斗「フェンリル!!その人と怪我人を運んでくれ」
フェンリルは海斗の言うことを聞いてクシアを咥えて自身の大きな背中に乗せる、ミラとマッシュも同じようにして背中に乗せて海斗の元へと向かう
クシア「海斗様、この獣はあのフェンリルなのですか?」
海斗「大妖精様がいうにはその子供らしい……それで何故か知らないけど俺に懐いてる」
かつて戦ったフェンリルに助けられたクシアは一言謝った後にお礼をいう
大妖精「何とか間に合って良かったわい」
海斗「おい!!あんたは人を雑に扱いすぎだ、いきなり投げ飛ばしやがって」
本来ならばお礼を言うところだがつい本音を言ってしまう
大妖精「文句は後でいくらでも聞く、とにかく怪我人はフェンリルに安全な場所へ運ばせるのじゃ」
海斗は大妖精の言う通りにフェンリルに指示を出す、指示を聞いたフェンリルは地面を駆けその場から離れていく
大妖精「お主が抱いておる娘はまだ戦えるのかのう?」
アスフェア「エナ!!無事だった?」
大妖精はエナの方を指さして問いかけ追いついて来たアスフェアがエナの事を心配している
エナは今の状態を恥ずかしく感じたのか慌てて海斗の腕から降りバランスを崩してしまうが海斗に支えられ転ばずに済んだ
海斗「大丈夫か?」
エナ「うん……大丈夫だよ」
大妖精「とにかく今戦えるのはお主らだけじゃ、森を守るために力を貸してくれんか?」
海斗「何を今更……治療してもらったしお願いされるまでもないですよ」
エナ「はい!!私だってアスフェアの故郷をこんな事にした人を許せないですから」
大妖精はこのお願いはする必要が無かったと思い嬉しそうにしている
大妖精「そうか……ならウルフとあのでかい盗賊はお主らに任せるぞ うちは住人たちを助けてくる」
大妖精はそう言い残して森の住人たちが戦っている方へと飛んでいった




