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第百四話 決心


 サルビアがアリスの潜在能力を無理やり引き出したせいで暴走しておりそれを止める為にクシアとホーリアーを呼び出そうと斉藤は魔法道具をつかう事に決めた


 斉藤「クシアさん!!」


 赤い宝石に語りかけてると点滅し始めて少しの間を置くとクシアの声が聞こえ始める


 クシア「斉……さん どう……ましたか?」


 斉藤「クシアさん!!お願いします早く来て下さい(少し反応が悪いですね)」


 クシア「何かあったのですね?すぐに向かいます!!」


 斉藤「はい ホーリアーさんも連れてきて下さい アリスちゃんが黒魔力で力が抑えられなくなってしまってるんです」


 クシア「……承知しました ホーリアーさん緊急事態のようです、今からアジトへ向かいますよ」


 ホーリアー「分かりました 外に出たら私に飛び乗りなさい」


 クシア「お願いします 斉藤さん少しの間待っててください すぐに向かいますから …………貴方も来るので…………」


 斉藤「切れた……最後なんか慌ててましたね」


 クシアの慌てた様子が気になった斉藤だが切り替えて海斗の援護に回る事に決めた



 その間海斗はアリスを必死に抑えており拳と拳がぶつかり合うたびに山が振動で揺れておりそれらを見ている子供達は不安で震えている


 タチ「大丈夫だ落ち着け」


 タイガ「馬鹿 そんな言い方あるか!!」


 アスフェア「喧嘩しないの」


 タイガ達は争いながらも子供達を落ち着かせ工藤やエナは寺山やマッシュ等の傷ついている人達に魔術で治療をしている


 動けるのは斉藤とケレノアの2人だけであり状況を把握した2人は海斗の元へと向かっていきクシアが来る事を伝える事にしたのだ


 海斗「レクスが言ってただけあるな とんでもない強さだ」


 力に目覚めたアリスを見て驚いているが負ける気は1ミリもない


 海斗「ふーーっ……よし!!」


 深く呼吸をした海斗は再びアリスと戦い始める


 海斗「腹がガラ空きだぞ アリス!!」


 隙を見つけてアリスのお腹に発勁を叩き込んで吹っ飛ばす


 海斗「痛いかと思うけど許してくれよ……」


 少し不安があるがアリスを信用するしかなくそこに斉藤とケレノアが駆けつけて海斗にクシアが来る事を伝える


 斉藤「もうすぐクシアさんとホーリアーさんが来てくれます」


 海斗「了解 もう少しかかる感じかな?」


 斉藤「分かりません……しかし長くはかからないと思います」


 ケレノア「聖龍さんが猛スピードで来るとの事みたいですからね、それまでに貴方に加勢するつもりでしたが必要なさそうですね」


 海斗「手こずってはないかな 速いけど動きが読みやすいし」


 ケレノア「幼さ故にって事でしょうね しかし相手はかつて地上を支配したダイナ族です 油断はできませんよ」


 海斗「分かっている……と言いたいところだけど想像の何倍も速かったな」


 ケレノア「そのようですね」


 海斗とケレノアは遠くを見つめると白い翼を持つ神々しい龍が見えている


 斉藤「クシアさーん!!ここでーす」


 海斗「クシアとホーリアーでアリスを…………ってかまだ誰かいないか?」


 ケレノア「あの方はもしや」


 海斗の言う通りクシアの他に誰かが乗っているのだがその人物は全員が驚く人であったのだ


 レオス「……タチ タイガ やはりお前達が居たか……」


 クシア「レオスさん……」


 その人物は現在国王のレオスであり行かせる気などなかったクシアだったが説得させる余裕などなく連れてきてしまったのである


 レオス「クシア様 私は一旦降りますね」


 クシア「レオスさん!?ちょっと……」


 クシアのいう事を聞かずにレオスはホーリアーから飛び降りてタチとタイガの目の前に着地する


 クシア「王様なのに……」


 ホーリアー「今はアリスを止める事が優先ですよ」


 クシア「分かってます、行きましょう」


 レオスの事は下にいる人達に任せて海斗とアリスがいる方へと向かっていく


 海斗「大きさを自由に変えれたんだな」


 ケレノア「龍族ですからね 何ら不思議ではないです」


 斉藤「来てもらったのは良いですがアリスちゃんがあの状態ではゆっくり治療する事も難しそうですよ」


 海斗「上手いこと拘束するしかないね 斉藤さんが獣人を拘束してた魔物は使えるんじゃない?」


 斉藤「しかしあのスピードとパワーでは抜け出される可能性もあります」


 海斗「踏ん張られないように空中で捕獲するしかないね 俺が何とかしてみるよ」


 斉藤「分かりました、私も強力な奴を生成してみますね」


 海斗「よし 行くか」


 ケレノア「私も加勢します、スピードには自信がありますから」


 海斗「剣でアリスを傷つけないでくれよ」


 ケレノア「承知」


 2人はアリスに向かって走って行き斉藤は捕獲する魔物を作るために集中している



 クシア「あれは……恐らく私にかけられたのと似ている」


 ホーリアー「少し違うでしょうが黒魔力が使われているのは間違いなさそうですね」


 禍々しい魔力を感じとったクシアは以前にジックから掛けられていたのを思い出してしまいアリスを不安な表情で見つめている

 

 斉藤(この子なら恐らく大丈夫なはず)


 斉藤は獣人を捕獲したものよりも強力な魔物を1匹だけ生み出して海斗とケレノアに指示すると同時にホーリアーがゆっくりと降りてくる


 斉藤「福田君とケレノアさんが捕まえてくれるはずですのでそれまで待ってて下さい」


 


 クシア「分かりました……まさかこんな事になっているとは」


 ホーリアー「サルビアとデストリンガーが絡んでいると見て間違いないでしょうね」


 斉藤「…………反応を見る限りだとそうだと思いますがサルビアは分かっていなさそうな感じでした」


 クシア「…………ひとまずは捕まえる事ができてはいるのですよね?」


 斉藤「そうですね、と言うよりも子供達を置いて逃げる人ではないと思います」


 クシア「分かりました、今海斗がアリスさんを捕まえたみたいなので話は後からです ホーリアー行きますよ」


 ホーリアー「行きましょうか」


 斉藤「お願いします」




 ケレノア「流石ダイナ族ですね……苦労しましたよ」


 海斗「疲れた、後はクシア達に任せよう」


 ケレノア「そうですね その間にサルビアに詳しく話を聞きましょう」


 海斗「だな」


 ケレノアと息を合わせてアリスの捕獲に成功した海斗はサルビア達がいる方へと向かって行くとエナがこちらに向かって来ていた


 エナ「海斗ーー アリスちゃんは?」


 海斗「クシア達がいま治療?してる」


 エナ「無事……なんだよね?」


 ケレノア「よく分かりませんが大丈夫だと思いますよ、それに今からその事についてをサルビアに聞きに行くつもりです」


 海斗「だね あっちにいるの?」


 エナ「うん……でも少し落ち込んでる感じがするかな」


 エナに案内されてついて行くとサルビアが脚を揃えて座っており落ち込んでいるように見える



 サルビア「…………何ですか」


 ケレノア「あの魔術道具について色々と聞かせてもらえますか?」


 サルビア「フッ……そんな事聞いてどうするのですか? デストリンガーと繋がっているからと私を殺すのですか?」


 ケレノア「そんな事をするのは簡単です、しかし黒魔力を使ったのは今日が初めて そうなのでしょう?」


 海斗「……だな 本当は使いたくなかったんだろうけど俺達が追い込んでしまったからやむを得ずにやっちゃった     そうなんだろ?」


 サルビア「例えそうだとしても簡単に教える訳ないでしょう……私はただ愛を受けれなかった子達に楽園を築いてあげたかった……ただそれだけなのに」


 エナ「それは本当にごめんなさい…………でも貴方が優しい人という事は分かります」


 サルビア「優しい?バカな事を言うのね……私は貴方を戦わせようとしてたのよ」


 エナ「でもあの魔法は暖かくて……好きでした」


 サルビア「そう……けど貴方を仲間と無理やり戦わせてしまったのは事実よ」


 エナ「例え幻であっても貴方は私のお父さんとお母さんに会わせてくれた それがとても嬉しかったし貴方はあの子達の親になろうと頑張っていたのですよね?」


 サルビア「…………私に母親を名乗る資格なんてないわ」


 この言葉を聞いた途端にフォクスとナグマが飛び出してくる


 フォクス「それは違うよ母さん!!」


 サルビア「フォクス……」


 フォクス「母さんは1人だけじゃ何もできない事を僕達に教えてくれたじゃないか」


 ナグマ「そうです、だから僕達は協力しあって今までいきてこれたんだ」



 海斗「あんたに預けられた子供を見てたら分かる あんたは子供を無理やり洗脳してた訳じゃなく愛情を込めて接していた」


 エナ「そうです、だから子供達の為にもデストリンガーについて色々と教えて下さい」


 サルビア「…………」


 ケレノア「何を言われてるのかしりませんが私はあの組織が子供達の為の世界を作るとは到底思いませんね」


 サルビア「そんな事は……分かってます」


 エナ「だったら何故……」


 サルビア「少なくとも今のビスト王国よりもマシだと思ったからよ」


 斉藤「力だけが平等な世界がですか?」


 サルビア「えぇそうよ 今の一方的に差別される国よりも力だけが支配する平等な世界を作るあいつらの方がまだマシよ!!」


 海斗「それがあいつらの目指す世界…………」


 エナ「そんなの……おかしいよ」


 サルビア「でもこうするしかなかったのよ!!」


 感情が爆発してしまったサルビアに何も言えずにいるとタチとタイガと話したであろうレオスがこちらに向かって歩いて来ていた


 タイガ「レオス、頼んだぞ」

 

 サルビア「貴方は現国王のレオス様ですね」

 

 レオス「そうです、貴方について色々話は聞きました私には王の資格がない事は十分分かっています」


 サルビア「……国王直々に私を殺しに来たのですか?」


 レオス「そんな事はしません 貴方には私の友達であるタイガが世話になっているようですから」


 サルビア「あの子の友達なのね……」


 レオス「そうです、確かに獣人の差別は酷いのは事実ですが少しずつ変わろうとしている動きがあります」


 サルビア「何を根拠に」


 レオス「現にジュエリーナやソルセリも異世界の人のおかげか色々と変化してきています……力不足で信用できないのは承知ですが今の貴方の優しさがビスト王国には必要なのです」


 サルビア「………………」


 タイガ「母さん……」


 サルビアには過去に獣人の夫と娘がいたのだが人間の魔導士に差別され実験台にされて2人とも帰らぬ人となってしまった


 当時は自分の無力さに怒りを覚えたのだが復讐して敵を殺しても2人は帰って来ないという事は痛いほど分かっていた


 娘のような子供達を増やしたくないが為に今の行動に至る訳なのだが心の奥底では結果的に今は亡き夫と娘の思い出があるビスト王国を混乱させているのは分かっていた


 深く何度も考えたがレオスの真っ直ぐな瞳を見て今一度考え直して決心したのである


 サルビア「……分かったわ 大人しく言う事を聞いてあいつらについて知る限りを話すわ」


 レオス「ありがとうございます」


 サルビア「貴方達は反吐が出そうなほどお人好しのようだからね……全く」


 エナ「サルビアさん!!」


 サルビア(これもあの子達の為だものね)


 呆れたような言い方であるが顔は嬉しそうにしておりそれを見たエナはサルビアの手をとろうと歩み寄っていた…………のだが



 ?「裏切り者には死を」


 サルビア「うっ…………貴方は…………」


 エナ「そんな……」


 しかし謎の黒い霧が現れると同時に誰かが飛び出してきた、考える暇も与えず謎の人物はサルビアの胸を剣で突き刺されそれを目の前で見たエナの声は震えていた

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