第一話 日常から異世界に!?
?「授業めんどくせー」
学生であるなら皆言うであろう言葉をいいながら彼は通学路を歩く、この朝から負のオーラを出しているのは西海高校にかよう学生の福田海斗である
?「...おはよう..」
後ろから小さい声が聞こえ振り返ると彼の幼馴染みであり仲のよい異性の一人である中野絵美がいる
カイト「おはよーなんでこんなに早起きして学校いかないといけないんだろうな、学校なければまだ眠れているのに」
母親に朝早く起こされるので早起きして健康的な生活をしているが一時間目の授業が始まるころには眠気がきて先生に叱られるしそもそも勉強なんてやる気が起きない
エミ「でも勉強しとかないと将来大変なことになっちゃうよ?未来のためと思って頑張ろうよ」
海斗「えみは相変わらず真面目だよなーそれに頭も良いし」
絵美「そんなことないと思うけど...」
海斗「頭いいやつは大体そう言うんだよ」
小学校から高校までずっと一緒にいた絵美は真面目で成績優秀な優等生で普段は眼鏡をかけている、さらに用心深くてお淑やかな性格をしていて
さらに眼鏡を外すと可愛いことに本人含め誰も気付いていない
海斗「おおっ朝からよくやってるなーあいつは」
絵美「あんなに動き回って..きつそう」
絵美と一緒に歩いていると校舎が見えてくる、朝の学校は部活動生が朝練をしており活気が溢れている、二人の視線のさきにはサッカー部のキャプテンであり親友のたけしが汗を流している姿が写る
海斗「あれで勉強できてスポーツもできんるだから羨ましくて嫉妬するよな……全能のイケメンってやつよ」
絵美「かいとだって...イケメンだよ...」
海斗「ん?なんか言った?」
絵美「なんでもないよ」
イケメンで何でもできる親友に嫉妬することしかできないしさらに根も良い奴だから勝ちようがない
絵美も何か言ってたみたいだけどよく聞こえなかったな恐らく「……かっこいい」みたいなことを言ったのだろう
仕方ないことだ、もし俺が女なら絶対にあいつに惚れる自信があるくらいに完璧なやつだから
朝から練習に励む武は見つけることができたがもう一人陸上部に仲の良いか分からない奴がいるけどそいつの姿が見当たらない
???「隙ありー」
辺りをみて探しているとカイトは後ろから走ってきた女子生徒に頭を叩かれる
海斗「おいこの生意気女が今日は朝練あるんじゃないのかよ」
このいかにも生意気そうな女は橋本亜紀、身長は低いが陸上部で男子に引けを取らないほど足が早くこれほどクソガキという言葉が似合う女もなかなかいないだろう
こいつは中学から一緒で今では腐れ縁みたいな仲になっていてお互いに成績が悪く何かとって突っかかってくる
亜紀「今日は休みなのよばーか」
海斗「おれにバカって言っていいのは俺より頭いいやつだけだ」
亜紀「はぁーっ少なくともお前よりかは成績上だしー」
海斗「なんだと!対して変わらんだろうが」
亜紀「この前のテストはかいとより成績上だったからねー」
海斗「一緒に居残りしたくせによく言うわ、えみもそうおもうだろ?」
絵美「ええっ...っとその..」
亜紀「はーいえみちゃん困らせたからまた私の勝ちねー」
海斗「なんの勝負だよ」
エミ「ふふっあきちゃんとかいとといると楽しいな」
このように俺とアキは基本的にからかい合ってそれを眺めるようにエミが笑うというのがいつもの日常だ
-教室にて-
海斗「あの生意気女め」
武「かいとーまたあきにやられたのか?」
教室にはいるとタケシがいつものようにからかってくる
海斗「そうだよいつかはギャフンといわせてやるぜ」
武「相変わらずだな……」
海斗「朝からあいつの相手は疲れるんだよ……でもお前ほどきつくはないけどな」
武「そりゃどうもところでお前もサッカー部に入らないか?」
海斗「まーたそれかよ俺がいるほど部員不足でもないだろ?」
武「おまえは才能あるとおもうんだけどなー」
そこそこ運動ができるカイトは親友のタケシに度々サッカー部に誘われるのだが毎回断っている、これもいつもの日常だ そうこうしていると学校のチャイムがなり1日がスタートしようとすると
――キュイーーン
教室の床が光だしハングル文字のようなものが浮かび上がると教室にいた全員が光に包まれ海斗達のクラス全員が教室から居なくなってしまう 後にこのことは神隠し事件として地元で大きな話題となるがそれはまだ先の話である
話は戻ってクラス全員驚く暇もなく気がつけば見知らぬ場所へと転移していた
突然の出来事にクラスの半分近くがパニックになっていて これが当然の反応だと思うが一部の人はそうでもなさそうにしている
???「みんな一旦落ち着くんだ!慌てていても事態は何も変わらない!」
大きい声が響く、委員長である橘勇気は成績はトップ顔もイケメンでスポーツもできる完璧超人である、その彼が皆を落ち着かせようとしていると
?「その方の言う通りです落ち着いて私の話しを聞いてほしいのです」
声のほうを向くと俺達と同じくらいの年の女の子が立っていた服装を見るとまるで絵本の王族のような格好をしていてクラス全員の視線が一気に集まりみんなが見とれている
橘「ここはどこなのですか?私達をここへ呼んだのはあなたなのですか?」
???「ここはあなた達とは全くちがう別の世界で私達の召喚魔法によってあなた達をこの世界へと転移させていただきました。」
橘「一体何が目的なのです?」
クラスを代表して委員長が色々聞くが彼女はリリィと名前だけを名乗り「とにかく着いてきてください」とのことだった
突然わけのわからない場所へと転移した俺たちはリリィの指示に従ってついていくしかなかったのだ
亜紀「私達どうなるんだろう」
海斗「お前らしくないな...って当たり前だよな」
亜紀「訳わからないよ元の世界に戻して」
海斗「みんなそう思ってるとおもうぞ」
亜紀「そうでもない人達もいるみたいよ、ほら」
あきが指差すほうをみるとゲームやアニメ好きな寺山、溝上、高橋の仲良し三人が盛り上がっている様子が目に入る
高橋「ここって魔法がつかえるのか!?」
溝上「エルフとか獣人とかもいるかな?」
寺山「勇者ってことは俺達強いんじゃね?」
アキのように泣き言を言う人もいればこいつら三人のようにまるで異世界に行くことを望んでいた人も中にはいるみたいだ……会話を聞く感じだとこういう話が最近の流行りらしい
海斗「俺はあのての話はよく知らないけどあいつらのようにやっていくのが良いのかもしれないな」
亜紀「そうだね..嘆くだけじゃ仕方ないよね」
海斗「初めてまともな会話をしたなw」
亜紀「うるさい、でもありがと」
不安になって落ち着きがないアキの肩に触れながら話すと少し落ち着いたのか普段の様子へと戻る、いつものようにからかってしまったけどいきなりこんな事になってしまい順応できるほうが無理な話だと思うが絵美は思ったよりも順応しているみたいだった
そしてしばらく歩き通路を抜けると大きな広間にでる、そこにはいかにも偉そうな見た目をしている男と女に皆が注目する
?「貴殿らが異世界からきた転生者だな」
リリィ「はいその通りでございます、お父様」
俺達を案内してくれたリリィは男のことを父と呼び親子だということが分かった、偉そうだし多分王様なんだろう
?「申し遅れたな我はこの国アトラス王国、国王のサンドであるこの世界を救って欲しく貴殿らを異世界より召喚させてもらった」
クラスを代表して橘委員長が色んな質問をする。大まかにまとめると俺たちは異世界の勇者としてこの世界に召喚されたこと、敵対している奴らを倒してほしいこと、そして何か分からないが強くなっている俺達で世界の混乱を抑えて平和にして欲しいとのことだった
この話が終わるとオタクの人達は盛り上がり興奮している、正直まだ信じられなくて悪い夢か大規模なドッキリだと心で思っている
サンド「君達には天使と騎士達による訓練と教育を受けてもらいたい」
玉座に座っている王様の後ろから綺麗な顔をした女性が降りてきた、宙に浮いておりただの人ではないことは明らかで人が宙に浮くことは俺たちの世界では考えられない……いや金をかけたドッキリなら可能性があるかもしれないけど
?「私は天使のケールというものです、これから二週間ほど私達八人の天使と王国の騎士達による教えを受けてもらいもらいます」
海斗「天使だと!?」
ケールと名乗った女性は天使らしい……驚くのも無理はない今まで空想だと思っていたものが現れたのだから
高橋「と言うことは 俺達に強いチートスキルが与えられてたりステータスの数値が高かったりするのでしょうか?」
アニメ兼ゲームオタクの高橋が興奮しながら名乗り出て質問するがケールはゲーム用語の意味が分からず困惑し困った顔をしている
ケール「ステータスやチートなどはよくわかりませんがあなた達にはこの世界を平和にできる力が秘められています その力をどうか貸してほしいのです」
興奮して恥ずかしい思いをした高橋は黙り込みケールは丁寧にクラスメイト全員に頭を下げる。
橘「……分かりました 少しだけ私達の時間が欲しいのですがよろしいですか?」
橘委員長がそう言うとサンド王は頷いてクラスメイトだけを残し退席してくれた、王様と言えば暴君で逆らえば殺されるようなイメージだったがここの王は誠実で優しい人のようだ
タケシ「天使の人から丁寧にお願いされたけど俺達なんかにできる訳ないだろ ただの一般人なんだぜ」
親友のタケシが最もなことを言うが俺はまだ大規模なドッキリか何かだと思っていた
?「でも 俺らが何とかしないといけないんじゃないか?」
柔道部で体の大きな岩崎が声を上げる彼は柔道で全国大会に出場するほど強く自分に自信を持っていてさらに両親は警察官をしていて正義感が強くこの世界を救いたいと考えているようだ
そこからクラスメイトの色んな話し合いが始まり元々異世界に来るのが夢だった人 天使の言う通りに平和にしようとする人 早く元の世界に帰りたい人など様々な人がいて混乱していると
橘「やっぱり従うしかないと思う」
クラスのリーダーである橘がそういうと半数近くの人が頷き何人かは反対している
その一方で海斗はまだ(ドッキリなのでは?)と疑っていたがここまできたら異世界のことを信じるしかなくなっていた
橘「とにかく冷静に 仮に僕たちが何もしなかったらどうやってここで暮らしていくんだい? ここは元の世界とも大きく違うかもしれないし頼れる人もいないだろ?」
?「そうだけど……ならあの天使の人に元の世界に返すように頼むしか……」
橘と話している女子生徒は斉藤優香さんだ、この人はクラスの副委員長をしていて真面目で成績優秀な優等生だ
高橋「頼みに行って納得してくれる訳ないじゃん そういう目的で俺たちをここに呼んだんだからさ」
岩崎「桃香…… 恐らくだけど俺達が世界を平和にできれば帰れるようになるはずさ」
高橋「そうだよ斉藤さん 僕達皆が頑張ればその分早く帰ることができるって そのための力をもってるって天使も言ってたじゃないか」
斉藤「…………でも」
委員長をはじめとしたクラスの中心にいる人達の意見に賛成するしかなさそうだ
そうするってなると戦うことになるのだろうか?俺や武は運動できて良いかもしれないけど絵美なんかがいきなり戦ったりなんて出来る訳がないに決まっている……とか言ってる俺も危ないかもしれないけど
サンド「意見はまとまったようだな」
代表して橘が「はい!」と答える 正直いうと覚悟はまだ決まってないけど委員長のいう通りこの人達に従うしかないようだ
橘の返事を聞いた王様は合図を送ると二人鎧を着た騎士とケールを含めた八人の天使が出てきた
話を聞くとこの人達から戦い方や座学を学ぶとのことらしい異世界に来たと言っても学校でやることと大差ないことに一部の人はガッカリしている様である
学年テストの順位がほぼ最下位の海斗と亜紀は(座学は面倒だな……寝るか)などと甘えた考えをしていて二人は後に後悔することとなる
八人の天使と二人の騎士が軽く自己紹介をしてその日は解散となりサンド王様は「明日にそなえゆっくり休め」とのことだった
この後はクシアっていう天使の人が俺達の部屋を案内してくれるようでありクラス全員が後に着いて行く
この時一番後ろで武、絵美、亜紀と話しながら着いて行ってる時にサンド王とリリィ王女から視線を強く感じたのだが俺は何かやってしまったのだろうか
今思えば召喚された直後で王女がやってきた時 大広間に着いて王様と会った時に俺と目が合い悲しい表情をしていた気がする……何故そのような顔をするのか当然分かる訳もない……まさか俺が馬鹿なことがバレてしまったのだろうか
海斗(そんなわけない 何よりも顔を見ただけで頭の良し悪しなんて分かるわけないしな)
そんなことを考えているとどうやら部屋にたどり着いたようで中に入ると部屋の中には机、椅子、ベッドなど生活に必要なものが一通り揃っており広さも十分にある、これで個室だというのだから驚きだ その後各自の部屋に戻ったので早速俺はベットに横になってみた
すると体が沈むような感覚がありとても気持ちいい 今日は色々あったせいかすぐに眠気が襲ってきてそのまま目を閉じ眠りにつく
これから訓練や授業が始まるため気を引き締めていかないといけないが俺達は無事に元の世界に帰れるのだろうか……