第九話 経験と連携は繋がっていると思う。
ダモン達に続き森を歩き続けること数時間左右の警戒をしていたナタイが話しかけて来た。
「真也さん達はどうしてこの森に?真也さんの来た方角的に森の奥からの様な気がするんですが、、」
「っ!」
イアはナタイの鋭い質問に息を飲み、警戒心を露わにする。真也はイアの肩に手を置きわざとらしく軽やかな声でナタイの質問に答えた。
「実は、俺達重度の方向音痴で、森に入って数日ぐらい経ったとき地図を無くして彷徨ってたんですよ。それで今日も森を彷徨ってたら金属音が聞こえたので近づいたら、、ってことです。」
俺はナタイの問いに大半嘘の答えを返し、うるさくならない程度にハハハっと笑う。ナタイは少し驚いたように俺の顔を見るとサッと視線を外し警戒に戻る。話が一段落したと感じた俺はコイズに話しかけた。
「コイズ達はどうしてあんなところに?馬車で移動するにはかなり道が悪いと思うんだが?」
「あ~そうですね。やはり疑問に思われますよね。」
コイズは少し言い難そうにしながら苦笑いを浮かべ経緯を話し始めた。
「私たちの用件は馬車の荷物を目的地に届けることとこの森の植物を採取し運ぶことなんです。しかし、この森の生物は縄張り意識と仲間意識が強く気を付けないとかなり危険なんです。まぁ、気を付ければ危険が少ないので、馬車で森に入り浅い所で採取していたんですが荷台を引く馬が森の動物を刺激してしまいまして森の奥に走って行ってしまったので追いかけたら倒れた荷台があの場所にありましてできる限り荷物を運ぼうと荷物をまとめているとあの野盗に襲われてしまったというわけです。」
「それは、、災難だな。」
「ありがとうございます。馬を離しておくなり対処は出来たんですけどね、、」
コイズは苦笑いしながらそう言うと前を向き先頭に居るダモンに声をかけた。
「ダモンさん、そろそろ野営の準備をしましょう。」
「分かりました。ペリファ近くに水源はあるか?」
「探すわ。少し動かないで」
ペリファはそう言うと地面に手を当て目をつむ。呟いた。
「近くに水源は無いわ。ただ、少し木の少ない開けた場所があるわ。」
「分かった。全員ペリファの見つけた場所で野営を行う。日が沈み切る前に設営を終わらせる。少し歩を速めて移動する。」
「「了解」」
ダモンの号令により風笛のメンバーは足を速めながらも警戒を怠らず森を進んでいく。俺はさすがに慣れているなと感心しながらもダモン達に警戒を任せ遅れない様に足を速める。進むこと数分ペリファの言っていた場所に到着すると風笛のメンバー達は各自テキパキと設営を始めて行く。俺達は立ったままのコイズに近づき話し掛けた。
「コイズ、俺達何するべきだ?」
「夕餉の準備でもしましょうか。」
「そうだな。コイズ、種火はどうする?」
「魔法具がありますので大丈夫です。燃料になる炭などは要るので摂りに行きますが。」
「分かった。イア、枯れ枝を取りに行こうか。コイズは簡易の囲いでも用意しておいてくれ。」
「分かりました。お待ちしています。」
コイズと話し終えた俺達は森に入り、燃料に使えそうな枯れ枝を集め始めた。イアは枯れ枝を集めながら話し掛けて来た。
「真也は何でポーチの事離さないの?」
「ん?面倒だからだ。ポーチの効果がどれだけ稀か分からない以上下手に自分の情報を出さない方がいい。イアは強いが俺自身はそれなりだからな。」
「そう、分かった。秘密にする。」
「ああ、頼む。」
俺達は抱えきれないほどとまでは行かないながらもかなりの量を集め野営地にまで戻り始めた。野営地に戻ると設営を終えたダモン達はコイズが作ったであろう囲いの周りで言い合っていた。俺達は不思議に思いながらも近づいて行くと
「だから、飯は俺が作る!」
「リーダーの飯はまずいから私が作るって!」
「いや、俺の飯はペリファお前のよりマシだ!」
「はぁ?リーダーのよりもマシだわ!」
ダモンとペリファが言い争っていた。風笛の他のメンバーは呆れ顔を浮かべながらも我、関せずといった感じで傍観に徹しコイズはどうにか収めようと二人の間でオロオロとしていた。俺は苦笑いを浮かべ二人に話しかけた。
「二人共、日が暮れる。言い合いはここから離れてしてくれ。火は早めに点けたい。」
「む、そうだな。ペリファ端で話し合おうか。」
「ええ、しかっりと話を終わらせましょうか。」
二人は睨み合いながらも囲いから離れ野営地の端まで行くとまた言い合いを再開した。俺はホッと息を吐きコイズに枯れ枝を渡し火を点けるように頼むと、ナタイやオルネットに話しかけた。
「あれ、すぐに終わると思うか?」
「「思わない」」
「だよな。鍋出してくれ。今夜は俺が作ろう。」
「分かった。悪いな。」
「構わない。完成するまで足止め頼む。」
「「任せろ!」」
俺はオルネットから鍋を受け取ると二人のことを任せコイズが火の点けた焚火に近づき昼に細かくしておいた干し肉と水を鍋に入れ煮込み始める。コイズから渡された食材を切りながら香草や食材を適当にぶち込み煮込むこと数分。食材に熱が通ると言い合っているダモン達に聞こえるよう声を上げた。
「飯できたぞ!適当に食えよ!」
イアやコイズ、ナタイ、オルネットは返事を返してこちらに歩いてくる。イアにポーチから出した黒パンとスープを入れた器を渡す。コイズ達は自分たちの器を取り出し差し出してくるので一人ずつ器にスープを入れ返していく。3人のを返し終わると自分のも入れ食べ始める。ダモン達は聞こえていないのか端から動かず睨み合ったままだった。俺は近くに居たオルネットに声をかけた。
「あの二人いつまでやってるんだ?」
「あ~いつの間にか終わってますよ。いつも。」
「そうか、、」
え?あれいつもやってんの?と思いながら言葉を返し手を進める。イアは無関心。コイズはチラチラ様子を見ながら食べ続け、ナタイとオルネットは呆れ顔で食べ続ける。
「それにしても真也さん。料理お上手なんですね。」
「え?まぁ簡単なのは作れるが普通だと思うぞ?」
「いやいや、すごくおいしいですよ。ねぇ、皆さん。」
コイズがイア達に同意を求めると三人はそれぞれ頷き同意している。俺は一度スープを飲み首を傾げた。飲めないほどではないがおいしいとは程遠い。旨味が足りなかったり塩味が薄かったりと物足りなさが目立っていた。そんなこんな数十分後ようやく話が終わったのか二人が歩いて来た。ペリファは心なしか落ち込んでいるのか俯き、ダモンは笑顔で腕を回しながらこちらに歩いてくる。俺は歩いてくる二人に気づき声をかける。
「二人共、飯できてるから食べるなら食べろよ。」
「ん?ああ、助かる。」
「分かったわ。」
二人はサラッと俺の言葉に返事を返し、ペリファは器を出しスープを入れ食べ始め、ダモンは包丁を取り出し食材を切るため食材を取り出そうとして止まる。ダモンは周囲を見渡し話し掛けて来た。
「なあ、今日の夕食分の食材は何処だ?」
「え?鍋の中っすよ?」
「はぁ?いつの間に」
「お二人が言い合ってる間に真也さんが作ってくれましたよ。旨いんで早く食べないと無くなりますよ。」
「おい!止めろよ!俺らが話してる内容知ってたろ。」
「いや、だって、ねぇ、ナタイさん。」
「まぁそうだねぇ。」
「どうしたんだよ?はっきりしろよ。」
「「二人共そこまで料理上手くない からねぇ(っすから)」」
「んっな!?」
ダモンは動揺を見せ少し狼狽え、ペリファは声は上げず硬直していた。俺は少し驚きながら手を止める。
言ってなかったのかよ、、、。忖度にしては重症だろ、、。
ダモンは余程ショックだったのか先ほどの笑顔はどこへやらシュンっと小さくなり器にスープを注ぎ食べ始める。それを確認し手を進める。すると、突然ダモンが立ち上がり俺に向かって、
「真也、明日の朝食もお願いします。」
っと頭を下げて来た。俺は突然のことに驚きながらも
「良いぞ。」
と答え全員、食事に戻る。数時間後、食事が終わり片付けが終わり明日からの予定の相談が終わりやる事が終わったため寝る直前になった。風笛のメンバーが不寝番をすることは決まり俺とイア、コイズがどうするかという話になっっていた。
「移動前にも言いましたがイアは不寝番に入れないという事で。」
「ああ、分かっている。コイズ殿もお休みになられては?」
「そうですね。起きていたとしても戦力にはなれませんのでお言葉に甘えさせていただきます。」
「はい。真也はどうする?」
「まぁ飯を作るとなると最初か最後のどっちかの方が楽だな。」
「そうか、なら最後で頼む。最初がペリファとオルネット次に俺とナタイ、最後にオルネットと真也の順に見張りでいいな。」
「分かったわ。」
「了解っす。」
「分かった。真也さんお願いします。」
「ええ、こちらこそ。」
ダモンの言葉により不寝番が決まり最初のペリファとオルネット以外は寝るための準備を始める。俺はイアに寝袋を渡し俺はペンギン印のテントから持ち出していた毛布にまるまり意識を手放した。
「、、、し、、や、、真也!」
「あ?、、、おはようダモン。起きそびれたか?」
「いや、大丈夫だ。ナタイは2連だから少し気にかけておいてくれ。あいつは寝るまでなら大丈夫だと思うが頼む。」
「分かった。日が明ける位に完成するように作っておく。」
「分かった。頼む。」
俺は確認事項を離し終わるとイアの様子を確認し、火の近くで座っているナタイに近づいた。ナタイは焚火を使い湯を沸かしていたのか俺に中の入ったコップを差し出してきた。
「ありがたくいただくよ。で、これは?」
「気づき薬を少量混ぜた紅茶です。眠気覚ましにいいですよ。」
「そうか、ん!思いの外苦くない。だが、酸味があるな。」
「ええ、少し特徴的なのでダモンはあまり飲みません。」
「まあ、少し酸味が強いからな。俺は好きだな。」
「それはよかったです。」
ナタイから貰った紅茶は無糖のレモンティーの酸味を強くして苦味を少し加えたような味だった。無糖の紅茶自体、人を選ぶことがあるから仕方ないと言えば仕方ない。、、、コーヒー飲みてぇぇぇ。
そんなことを言いながらお茶をしているとナタイがどこからか干したみかんの様オレンジ色の物を取り出し差し出してきた。
「ありがとう。」
俺は受け取り食べてみるとかなり甘味が抑えられており代わりに酸味が増している。これ単品だと少しキツイ。俺は紅茶を呷りコップをナタイに返した。
「かなり特徴的だな。好みを選びそうだ。」
「そうですか?確かに皆遠慮しますね。」
「もしかしてナタイは酸味の強いものが好きなのか?」
「はい、逆に甘いものはそこまでですね。ちなみにダモンとペリファはそこまで好みがはっきりしません。ただ、オルネットはかなりの偏食家です。」
「そうなのか?昨日のスープは食べていたと思うが?」
「オルネットは葉物を絶対に食べません。それ以外の物は辛くなければ食べます。」
ある意味偏食か、、辛みは痛みなんだから見るからにタンクのオルネットが嫌がることは無いだろうが違うのか?あまり辛い物を食べない俺が言う事じゃないか。
「そうか、一応気を付けよう。ところでいつもは誰が調理するんだ?」
「私かオルネットですね。」
「え?」
「ええ、言いたいことは分かります。あの二人は料理をしたことが無いのにいつも盛り上がってます。」
「え?それは、、、」
「ええ、作ったことが無いからこそ張り切ってるんです。」
「そうか、、」
「逆に真也さんは何処で?服装のデザインは見たことありませんが生地の質は最上級といっていいほどです。そんな方が料理をできるとは、、」
「ああ、貴族や商人みたいに裕福な生まれではありませんよ。ただ知人に恵まれただけです。料理の腕は、、まあ日常的に作っていたから最低限は出来るって感じですよ。」
「そうですか。」
とまぁそんな感じの世間話をしながら見張りの役を過ごし俺は食材を取り出し調理を始めた。ナタイも手伝ってくれたため思いの他早く終わり日が明け始めたので全員を起こし始める。数十分後全員が起き食事が始まった。昨夜に続き俺は味に覚えたが他は満足し食事を終えた。ダモンの号令により素早く片づけが行われ食事を終えた1時間後には出発の準備が完了しダモン、ペリファ、ナタイ、オルネット、コイズ、イア、俺の順に並び森を歩き始めた。
お久しぶりです。ペンギン丸と申します。私は趣味で投稿させていただいておりますので投稿頻度は遅いと思います。ご了承ください。さて、真也初めてのキャンプ?を案外楽しみ移動を再開してやがります。
まぁそんなことは置いといて、この度は投稿遅れてすんませんでしたぁぁぁ!
言い訳すると正月実家に帰省しておりまして実家になんと魔獣が現れたんです。
その名もコタツムリ!強敵でした。レベル5万なんて言うチート。イアさんでもレベル的に勝てない化け物から逃げのび元気です!今年は環境が荒れる予感。遅れることが増えるかもしれません。目を瞑って心頭滅却してください。次回も読んでいただければ喜びます。