第八話 相手は選びましょう。
イアの背中に乗り走り出して数分イアの背中に乗っているが、やはり速度は落ちず、あまり揺れを感じない。
イアの走りに感心していると突然、イアの声が頭の中に聞こえてきた。
(真也、ここから左前の広場で誰かが戦ってる。剣劇の音がする。血の匂いもあるし怪我してる人もいるみたいどうする?)
「イアはどうしたい?」
(できるなら助けたい。でも、真也に従う。)
イアはそう言いながら速度を変えずに走り続けている。俺は助ける基準を考えながらイアの答えにやっぱり正義感が強いなと思いながらイアに質問をした。
「木箱みたいな匂いはあるか?」
(木箱?あるよ。3個ぐらいかな?甘い果物の匂いもあるよ。)
「なるほどな。よし、助けよう。ただ、俺に戦闘力求めるなよ。」
(分かった!ありがとう。でも、どうして助けようと思ったの?)
「木箱は軽くて丈夫だから荷物の持ち運びに便利だ。木箱が多いという事はそれだけ荷物があるって事そういう奴は大抵、商人だ。商人はまず損得よりも信頼、信用と言った感情を大切にする。だから噂や需要に対して耳が早い。商人に恩を売ることで物資調達が楽になる。なぜなら、助けて貰った相手に対して何の礼もないという噂が立てば商会に対する不信感が強まるからな。」
ま、一流の商人は、だけどな。さてどうするか、強さ的にはイア一人で大丈夫だろうが、、、姿がな、、遠距離でやってもらうか、、
「イア、広場に近づいたら人化して木の陰に隠れておいてくれ。」
(どうして?魔法と物理両方の方が早く終わるよ?)
「裸で戦っても、獣状態で戦っても後処理が大変になる。だから、木の陰から魔法でサクッとやってくれ。」
(分かった。なら、真也はどうするの?)
「俺は広場に入って両者の気を引くその間に魔法を使ってくれ。それなら、俺が強い人っていう印象を付けれる。そうすれば、イアに対しての視線が少し減ってイアが精密な魔法を使いやすくなると思う。」
(分かった。真也を広場の近くで降ろしたら、その反対に回るね)
「ああ、それでいい。よろしく頼む」
俺はイアの言葉を聞き少し口角が上げった。イアは感情よりも理由で行動を決めてくれる。そして目的のための方法も考えてくれる。叡知者は伊達じゃないと考えていると、
(着いたよ。ここからまっすぐに進めば広場だよ。5秒待ってね)
「分かった」
俺はそう言いながらイアから降りて、どんな登場にしようか考えていた。イアは俺が下りるとすぐに走り出し姿を消した。
2,1、0!俺はイアに言われた通り5秒数えて、広場に向かってわざと大きな音を立てながら走り出した。俺が広場に出るとそこには、横転した荷台が1つ馬無し、馬車の近くに男女合わせて3人。その中の一人は武装が見た限りなく商人だと思われる。もう1人の男は倒れこみ息が激しくなっている。広場中央に剣を持った大男が1人、大男と馬車の間に杖を持った男が1人。この二人は馬車に背を向け、馬車の反対側に居る盗賊5人とにらみ合っている。盗賊5人はニヤニヤ笑いながら武器を弄んでいる。
「すまない、道に迷ったんだが、街はどこにあるか分かるか?」
俺は広場中に聞こえる声量で声をあげると、意識のある全員がこちらを見ていた。盗賊側の剣を持った男が1人、俺の方に歩いて来た。
「てめぇも不幸だな。俺達の狩りに居合わせるなんて。はははは!」
一人がそう言うと他の盗賊達も笑い始めた。俺はそれを見てつい、笑みを溢してしまった。
「何笑ってんだ!てめぇ!」
俺に近付いて来ていた盗賊が怒鳴り声を俺に浴びせてくる。俺はその盗賊に対して、
「狩りをするにしては、臭い消しが強すぎやしないか?分量を間違え過ぎて非常に臭うぞ?」
「なんだと!ふざけてんのか!」
「おっと、失敬、分量は間違えていないな。だって買う資金すらないのだから。ならこの臭いは君たちの体臭かな?」
俺は鼻をつまむ仕草をしながら盗賊に声をかけた。すると盗賊は、顔を赤く染め奇声をあげながら走り出し剣の間合いに俺が入ると剣を振りかぶった。
しかし俺は一切位置を変えず片手を上げた。すると、盗賊は振りかぶった剣を俺に当てることなく倒れた。倒れた盗賊は首から多くの血を流し地面を赤く染めて行く。
「次は誰だ?」
俺は倒れた盗賊に目を向けず固まっている残りの盗賊達に問いかけた。すると剣を持つ盗賊は、全員俺に向かって走り出した。
しかし、誰一人俺に剣を当てることなく最初の盗賊と同じ様に血を流し倒れた。俺は剣を持った盗賊が全員倒れると残りの杖を持った盗賊に向かった歩き始めた。杖の盗賊は、歩く俺に恐怖を含んだ視線を向けながら森を向き走り出そうとした瞬間首から血を流し倒れた。俺は盗賊が全員倒れたことを確認すると、商人と護衛達の方に歩き出した。馬車に近づくと俺は商人とその護衛達に話しかけた。
「君達、怪我はないか?こちらの判断で彼らを倒させて貰ったが、良かったか?」
「ええ、助かりました。ありがとうございます。」
馬車の近くにいた老人が俺の前に立ちそう言うと頭を下げた。俺はその行動に一流だなと確信し、老人に声をかけた。
「頭を上げて欲しい。こちらとしても利益の為にしたことだ。ところで、女物の服に余りはあるか、あれば譲って欲しいのだが」
「ええ、ありますとも。こちらにどうぞ。」
老人は俺の言葉を聞くと顔を上げ、一切俺の言葉に疑問を呈さず倒れた馬車に案内した。馬車の中にある木箱を一つ出すと蓋を開けて、
「この中にあるものは全て女物です。ご自由にどうぞ。」
「感謝する。サンダルとフード付きのコートの様な物もあればいただきたい。」
俺は木箱から、淡い青色のワンピースと子供用下着を取り出し、そう問うと老人は木箱の底から、猫耳フード付きのケープと厚底のサンダルを取り出し俺に渡してきた。
「ありがとう」
と言葉を残し俺は広場に入ってきた場所から森に入りイアと別れた場所まで歩いてきた。イアは人型のままそこで待っており、服たちを渡すと、木の陰に移動して着替えながら顔を覗かせ質問してきた。
「どうやって、私を説明するの?」
「ん?一緒に森で迷子になったっていえば、誰も聞いてこないよ」
「分かった。獣化はしないでおくね。」
「頼む。それと戦闘が起これば、バレないようにさっきので頼む。」
「分かった」
着替え終わったイアは木の陰から出てきて、俺の手を掴んだ。俺は手を握り返し、もう片方の手でフードを被せると広場の方に歩き始めた。
「突然離れてしまってすまない。この子の着替えが無くなってな、、」
「いえいえ、こちらは助けていただいたのですから」
俺の言葉に老人は首を振りながらそう答え、馬車を見ながら、
「それに馬車を引く馬もいなくなり荷物は置いていくことになりますから、、」
「そうだな、あれだけの馬車を引くのは大変だからな。」
俺は老人の言葉に頷きながらそう答え、護衛達を見ると倒れていた男に包帯が巻かれ寝かされているのに気づいた。
「彼は大丈夫何のか?」
「はい、お蔭様で治療の薬の時間内でしたから、ありがたい限りです。」
「なら、良かった。これからどうするんだ?」
老人は俺の顔と護衛達の方を反復して見ると、申し訳なさそうな声で、
「どうか、近くの街まで護衛していただけませんか?」
「報酬と彼らとの緩衝材役をして頂けるなら喜んで」
「なるほど、安くはなさそうですね。分かりました。その条件でお願いします。」
老人は俺の条件をすべて受け入れると明言した。俺は少し拍子抜けを感じながら老人と握手を交わした。
護衛達は盗賊達の後処理を終えると、老人と話をして俺達を歓迎した。
「名乗り忘れておりました。私、ハキマー商会の副会長をしております、コイズ・ハキマーと申します。以後お見知りおきを」
「丁寧にどうも、真也と申します。こちらはイア、人見知りであまり喋りませんがよろしくお願いします。」
俺達は名乗り一礼して、護衛達にも同じ挨拶をした。すると、護衛のリーダーらしき男が、
「俺たちは「風笛」といいます。俺は風笛のリーダーをしているダモンと言います。よろしく」
「こちらこそ、敬語はお互い止めましょう。慣れないことしてボロが出たら悲しいですし」
「はは、そうだな。」
ダモンは俺の提案を受け入れ握手を交わした。ダモンは続けてメンバーを紹介していった。
倒れているオルネット、杖を持ったナタイ、剣を持った女ぺリファ。紹介が終わると、コイズはダモンに話しかけ広場から離れることを提案した。
「真也さんイアさん、街は明後日の昼頃になりそうです。大丈夫ですか?」
「ええ、歩くのは大丈夫です。ただ、夜の見張りにイアは含めないでいただけますか?」
「もちろんです。イアさんはという事は真也さんは参加されるのですか?」
「ええ、皆さんに任せるのは心苦しいですから。」
俺はコイズとそんな会話をしながら、装備について考えていた。秋菊が渡した物が弱い事は無いと思うが、まだ性能を確認していないなと、全く関係の無いことを考えていた。
「では、ダモンさんと一緒にお願いしますね。」
「はい、任せてください。」
「そうだ、真也さん私に敬語は不要ですよ。」
「しかし、商会の重鎮にため口は、、、」
「お気になさらず、助けていただいた方にこのようなことさせれませんよ。」
「分かりました。では、改めてよろしく」
「はい、よろしくお願いします。」
俺がコイズと話終わると、ダモンが号令をかけ俺達は動き始めた。ダモン、ペリファ、ナタイ、オルネット、コイズ、イア、俺の順に並び森を歩き続ける。
あけまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。ペンギン丸と申します。私は趣味で投稿させていただいておりますので投稿頻度は遅いと思います。ご了承ください。さて、真也初めての人類と会合。コネクション確立、どう動く?という事で、次回からは登場人物増えます。会話させるのムズイっす。頑張ります。次回もお読みいただければ嬉しく思います。