第十八話 休暇には観光
俺が目を開けるとそこは見覚えのある天井だった。それはそのはずなぜなら熊の手堂で借りている部屋なのだから。しかし、身に覚えのない重量感を感じ嫌な予感と不思議な既視感に襲われながら首だけ起こし自分の体を確認すると何故か布団が膨らんでいた。俺は大きくため息を吐くと体を不用意に動かせないため身動きが取れず膨らみの正体を確認できずにいた。そんな俺の気持ちが届いたのか膨らみが動き出しそこから見知った顔が出て来た。
「おはよ、真也。」
「ああ、おはよう。」
イアと挨拶を交わすとイアは大きく欠伸をし、俺の寝ているベットから起きた。案の定、裸で。俺は全力で反対方向を向きイアに声をかける。
「服を着てくれ。」
イアは邪魔だの暑いだの言いながらも服を着ると声をかけて来たため俺は起き上がり軽く体を動かすと部屋の扉に手をかけイアに声をかけると一階の食堂へと下りて行った。
食堂には別の客の姿があったが見知った顔はいない。俺はカウンター席に座ると丁度カウンターで仕事をしていた女将に朝食を注文しボオッと昨日のことを思い浮かべる。
昨日は買取が終わるとすぐに熊の手堂に戻りイアがグリーちゃんから聞き出したおすすめ料理のみを食べ軽く体を拭き寝た。ただそれだけ。昨日の回想が終わり今日の予定を考えていると二階からイアが下りて来た。イアは懸命に働いているグリーちゃんに声をかけると俺の隣に座りボオッとし始めた。俺はイアにも要望を聞こうと思いイアに声をかける。
「イア、今日はどうする?」
「真也に任せる。聞くってことは迷宮は潜らないの?」
「ああ、昨日の今日だと体が持つか心配だしな。休憩だ。」
「なら、街でも回る?」
「そうするか。」
俺達の予定はすぐに決まりまた手持ち沙汰になってしまった。しかし、俺達が二度も暇になれるほど熊の手堂の仕事は遅くなく混んでいない。女将が持ってきた二つのプレートはどちらもボリュームがありながらもバランスの摂れた料理だった。俺達は料理を見て空腹を自覚すると食い気味に手を合わせると勢いよく食べ始めた。数分後、空になったプレートは片付けられ俺達二人はカウンターでゆっくりと食後のティータイムを楽しんでいた。すると、
「あんた達は行かなくてもいいのかい?」
と、女将が聞いてきた。確かに俺たち以外の客は朝食を終えるとすぐに出かけて行った。俺は少し笑みを浮かべると女将の質問に答えた。
「昨日、想像以上の稼ぎが出たからな。今日は休養日だ。」
「そうかい。あんた達なら必要ないと思うが気を付けなよ。無理し過ぎるとダメになるからね。」
「そうだな。気を付けるよ。イア、そろそろ出発しようか。」
「分かった。」
「おや、どこかに行くのかい?」
「ああ、観光に。」
「そうかい。なら、出店市と広場の噴水と広場回りの店がお勧めだよ。」
「そうなのか。ありがとう、行ってみる。」
「ああ、楽しんでおいで。ただし、貧民街の方は気を付けな。」
「了解。助言助かる。」
俺達は女将にお勧めの場所を紹介され目的を得ると最初の目的地に向かって熊の手堂を後にした。
歩くこと数分、俺達は出店市に来ていた。出店市はその名の通り出店の集まりだった。食材から料理。衣服からアクセサリー。と幅広く扱っておりいろいろな店がある。時々商品を指さしながら店主と話し合っている姿があることから値引きも可能な様子だった。俺達は目的の物を探すことは無くフラフラと歩きまわっていると、突然イアがある見せの前で止まった。その店は俺から見るとガラクタしかない店だった。俺は不思議に思いながらイアに話かけた。
「イア、どうかしたのか?気になる物があれば金を出すぞ?」
「え?あっ、欲しい物が有るわけじゃないよ。」
「じゃあ、どうした?」
「いや、、、その、、、、」
イアは俺の言葉に遠慮している感じではなく本心で欲しい物が無いと言っているように感じた。しかし、止まった理由は言おうとしない。俺がもう一度理由を尋ねようとするとイアは俺の手を引き人が少ない場所にまで歩いてきていた。
「さっき、私が止まった理由は違法魔道具らしき物が有ったから気になっただけ。」
「そうか。場所を変えた理由は?」
「あの店の店主が自覚してた場合口封じみたいな感じの面倒事に巻き込まれる可能性があるから。」
「なるほどな。イアは関わるつもりは無いんだな?」
「うん。無いよ。」
「なら、観光に戻ろうか。」
「分かった。」
俺達は先ほど行った方向に行かないよう心掛けながらまた回り始めた。買うことを決めた物は出来る限り値段交渉で低く買ったりしながら歩き回ること数時間俺達は大半を回り終え次の目的地に向かっていた。その途中で俺達は物乞いをする子供を見かけた。俺は少し気になり近くで串を売っていた店主に話しかけた。
「なぁ、兄ちゃん。あいつらはいつもいるのか?」
「ん?ああ、あいつらか同情はやめとけよ。」
「分かってるさ。貧民生まれの奴らか?」
「いや、落ちだよ。」
「落ち?」
「あんちゃん、この街は初めてか?」
「ああ。」
俺が話かけた店主は厳ついくせに意外と話の出来る男だった。話によると、この街は孤児院が少なく孤児が多いらしい。それに加え商売競争が激しいため破産する商売人が多いという。破産した奴は子供を育てる金すらなく捨てるか、一緒に貧民街で暮らし先に死んでしまい孤児になることを貧民落ちと言うらしい。俺はふ~んと思いながら串を二本買うとイアに渡し目的地に歩き始める。
出店市から数十分、街の中央より少し下ら辺にある広場に到着していた。その広場は2m位の多くの像があり鎧を着た男や軽装の女はたまた武器のみの像などがあった。広場の中心にある噴水には何かが刻まれている。近づき書かれていることを呼んでいると広場にあるベンチから楽器を持った優男が弾き語りをしていた。内容は掛かれていることを簡単にそして美化したものだった。
またも要約すると、この広場は迷宮都市アイサジの創設冒険者パーティーを称える場所らしい。像はパーティーメンバーの姿を模したものらしく武器のみの像は姿が伝えられていない者達だという。噴水はそのパーティーの日記の一部、アイサジと名付け街の原型を作るまでの所をまとめてざっくりと書いてあるらしい。そのため広場の像達は神聖視され子供の教育に活躍しているとか観光地として有名らしい。と、広場を堪能した俺達はまたも女将に勧められた店に向かった。女将によると前領主も愛した料理店らしく多くの常連がいるとか。そして何より異国の料理を出しているらしい。期待している俺がいる頼む合っていてくれと思いながら店に入った瞬間、俺の期待は粉々に崩れ去った。とりあえず、注文してみるが予想通り違った。異国ではあるでも違う俺の期待していた物では無かった。何故なら、
「カレーやん、、、」
「カレー?これそんな名前なの?」
「え?いや、違うぞ。これはスパシムだ。」
そして、どちらかと言えばインドカレーだ。粘度が低くナンと呼ばれるパンの様な物を主食とするアレに近い。辛さも選べるため普通にしたが辛い。ただ、スパイスがしっかりしており旨辛と言った具合。ここでは丸パンが付け合わせとして出てくる。それならナンが欲しかった。でも旨い。
「よく、食べられるね。」
「ん?辛いけどな。」
「水、頂戴。」
「はい。」
どうやらイアは辛いのがダメらしい。俺と同じ辛さだが激辛料理を食べてる人たちみたいになってる。少しずつだが進んでいるから大丈夫だと思うが時間がかかりそうだ。俺はそんなことを思いながら食べ進め数分で食べ終わった。ちなみにイアはよく言って2割いったところである。頑張って食べるイアを見ながら気長に待つこと一時間ようやくイアが食べ終わった。外は日が傾き始めていたため熊の手堂に向かって帰る途中、果実水を買いイアに渡したりとイアの口に残る辛さを消せるように色々買いながら熊の手堂に帰った。
お久しぶりです。ペンギン丸と申します。私は趣味で投稿させていただいておりますので投稿頻度は遅いと思います。ご了承ください。さて、今回は日常回です。カレーの説明?に多くの間違えがあると思いますが許してください。これだけは言わせてください。私はナンと食べるカレーの方が好きです。カレーライスと比べて。と言うか一時期ナン作ってました。あの無印な良い品を取り扱うところのインスタント?みたいな奴で。美味しいのでナンとカレー食べてみてください。次回もお読みいただければ喜びます。




