表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界日常物語~なんかいい感じに生きる~  作者: ペンギン丸
第1章
17/20

第十七話 神と魔物の山

 光に包まれてから体感では数十秒後、俺は見覚えの無い所に居た。俺は不思議に思いながら周囲を見渡すが誰もいない。そこにあるのは等間隔で建てられた何かを彫刻されている石柱が十二本と正面にある壁画だった。言うなれば神殿の中広くも狭くもなく微妙な広さ俺は再度周囲を見渡すが変化は特にない。


「どこだ、ここ?」


 目を開けてから思っている疑問を口にすると正面の壁画の一部と石柱の一本が光り始めた。光った壁画と柱は同じようなものが描かれており俺は眩しいながらもよく観察する。そこに描かれているのは俺がよく知っている物だった。


「なんで、この世界に!?」


 描かれているのはこの世界で見たものではなく元の世界で見たことのあるものだった。

 普通に考えれば絶対にあのペンギンのせいだが、そんなの大概そうだ。あのイアが手違いでみたいなのは無いだろうしなんだ?


『初めまして異界人よ。突然の干渉お詫びいたします。』


 俺が懸命に思考を巡らしているとそんな声が聞こえて来た。エコーをかけた様な声で不思議と頭に入ってくる。聴覚を経由して聞こえてくる感じではない。念話に近いが念話ではない。


『これは神託あるいは天啓と言われるものです。神が現世に生きるモノ達に語り掛け会話するためのものです。』


 、、、、、神。ペンギン野郎と同じように心が読めるって事か。神が俺に干渉する理由には心当たりが有りまくる。一体、どれだ?


『ああ、用件が分からないのですね。まずは、自己紹介から。私は獅子宮に住み、火と戦いを司る神レオ・コンステレと申します。』

「はぁ、神様がなんで俺に?火も戦いも俺とは無縁だと神ならわかるでしょう。」

『はい。貴方は弱く淘汰される側の者です。しかし、貴方はそれを理解し威を借りながらも驕ることの無い者でもあります。それに、主に認められた者でもありますしね。』


 、、、主ねぇ。絶対にあいつだろ。それにしてもほんとに神か?俺は驕らないではなく驕れない。弱者を認めざるえない。あいつに認められたのではなく面白がられている。どの言葉も的を外している。


「用件を早く終わらせてくれませんか?俺はお喋りが好きではない。」

『そうですね。用件は一つ、私の信者になりませんか?』

「何故?」

『貴方は強くなる。言うなれば原石です。私は貴方を磨けば神に迫る宝石になると確信している。』

「なるほど、断る。」

『何故!?』


 理由?メリットがない。と言えばそれまでだし、あいつに好きに生きていいと言われたしな。まず、神が好きでない。


『、、、そうですか。わかりました。貴方を元の場所へと返しましょう。』


 レオがそう言うと俺の体は光に包まれ始め俺の視界は白く塗りつぶされた。それからまた数十秒後、今回は俺の耳に喧噪が聞こえて来た。目を開けるとそこはギルドの迷宮前支部の中だった。え?何で分かるんだって?そりゃあ、書いてあるし。そう、目を開けてすぐの場所に「冒険者ギルド迷宮前支部内:迷宮転移離脱所」と大々的に書かれている。俺はそんな茶番を心でし終えると周囲を見渡した。そこにはイアの姿もあるし、他の冒険者の姿も見える。イアは俺を見つけると小走りで向かってきた。どうやら疎らに転移させられるらしい。


「お疲れ、イア。」

「まだまだ大丈夫。真也は少し遅かったね。転移にズレが生じるなんて聞いたことが無いけど。それに知らない魔力の残滓がある気がする。」

「ははは、気のせいだろ?多分、人が多くて見つけられなかっただけだよ。それに、迷宮なんて不思議なところに居たんだ知らない魔力なんてそこら中にあるだろ。」

「、、、そうだね。」


 イアは少し不満そうな顔になるが俺の言葉に同意してくれる。にしても、あぶねぇ。神の話なんていう事じゃねえから秘密にしとこうと思ってたらこれかよ。神様しっかりしてくれ。

 イアと少し話した後俺達は転移所から出てロビーに向かっていた。するとロビーの方から騒がしい声が聞こえてくる。俺は首を傾げたがイアは小さく「あっ」と声を漏らした。俺はイアと目を見合わせようとするが逸らされる。俺はイアが元凶なんだなと思いながらイアと小走りでロビーに向かった。ロビーには予想通り人だかりができ、迷宮の出入口の近くを囲んでいる。俺は溜息を吐きイアにもしも何かがあれば合わせるように言うと人の群れをかき分けて中心へ向かった。中心には、、、巨大な魔物の山ができていた。ゴブリンをはじめ迷宮に生息する大体の魔物がこと切れた状態で積まれている。俺はもう一度溜息を吐くと人だかりから抜け魔物の山に近づくと人だかりに居る全員に聞こえるように声を上げる。


「俺達の狩って来た魔物だ!散れ散れ。解体と買い取りに行くから邪魔だ!」


 俺がそう言うと人だかりの中から何人かが出て来た。そして、予想通りの反応をくれた。


「お前!俺達の成果を横取りするんじゃねぇ!」


 俺は小さく笑うと出て来た何人かの代表らしき男に声をかけた。


「お前たち、これをどうやって運んだか分かるか?」

「、、、魔法で浮かしてだ!」

「そうだ。馬鹿にするつもりはないがお前たちにできるのか?」

「なっ!」


 俺は男の反応を見て心中で呆れていた。何故なら、男の反応は出来ない時の反応だからだ。俺は、救いの手を出すように言葉を続けた。


「ウチにはできる。」


 周囲の目線は俺の言葉によって俺に集まり少し遠くに居るイアには一切向かっていない。俺はそれを確認するまでもなく片手を上げると同じように魔物の山も浮かび上がった。周囲はどよめき難癖をつけて来た奴らは魔物の山を持ち上げたように見える俺の姿に青ざめ何も言うことなく去っていた。俺は持ち上げたついでに移動を始め買い取りの受付へと歩き出した。周囲の人だかりは途端になくなり残っていた者も俺の邪魔すること無く呆けていた。俺は心の中で大きくため息を吐きながら堂々と見えるように歩いて行く。買取の受付には何人か冒険者がいたが俺が近づくと離れて行きすぐに受付にありつけた。


「悪いんだが、全部買い取ってもらえるか?」

「へ?え?あ!はい!ただいま~!」


 受付に居た女性は恐れたように返事をすると脱兎の如く奥へと向かった。俺は待ってる間に近づいてきていたイアに話しかけた。


「なんですか?この山は。」

「魔物。討伐したものを魔法で浮かして外に持ち運んだ。」

「多くない?」

「真也に褒めて貰いたかったのとお金を稼ぎたいんでしょ?」

「、、、、」


 俺は今、後悔している。昨日言った言葉が予想以上に効いていたことに。思わないじゃん。普通、俺のことを頑張って守ります。頑張って無傷で倒します。位だと思うじゃん。それがなんでこんな大虐殺になるの?どうして?僕がおかしいの?イアさんへの影響を考えなかった僕が悪いの?いや、あって数日だよ?分かるわけないじゃん。そうだ、迷宮が悪いんだそうしよう。

 俺がそんな現実逃避に似た事をしていると奥から先ほど受付に居た受付嬢とモノクルを付けた老人がやって来た。俺達は話を止め受付の方を向くと受付嬢ではなく老人が話かけて来た。


「おぬしがこの山の元凶ということで良いんじゃな?」

「まあ、そうだな。俺としても少々やり過ぎだとは思ってる。」

「ふうむ、見たことの無い顔じゃ。どこから来た?」

「最近、ここに来た。それ以外言う必要あるか?」

「ないのぉ。」


 老人は俺達をじっと見ながら聞いてくるが俺は最低限しか答えず、イアは黙っている。俺と老人は相手から多くの情報を引き出そうとバチバチ睨み合っているがお互い得る物は無く無意味な時間を過ごした。老人は息を吐くと姿勢を正し口を開いた。


「わしは、冒険者ギルド迷宮前支部のギルマス兼アイサジ支部素材部門部門長じゃ。おぬしらは?」

「俺らは新米冒険者パーティー「シーウ」のメンバーだ。」

「これだけ暴れて新米のぉ。」


 俺も老人の言葉には苦笑いを浮かべざる得ない。俺は苦笑いを嚙み殺さず浮かべる。イアは黙ったまま。俺は話が進まないと思い用件をもう一度伝えた。


「買取をして欲しいのだが、いいか?」

「おっと、忘れとった。構わんぞ。査定に入るから1時間程度待っておれ」

「分かった。」


 俺達は老人の指定する場所に魔物を置くと老人に声をかけ受付から離れた。俺達は支部から出ると近くの広場で休憩していた。


「真也、怒ってる?」

「何を?」

「魔物。」


 俺は意味の分からない質問をされて条件反射で聞き返しながらイアを見るとイアは少し怯えた様子で俺の質問に答えた。俺はその様子に癖が刺激され、、、ることなく。イアに笑いかけながらイアの質問に答えた。


「怒ってはいない。ただ、もう少し迷宮を戦闘も含めて楽しみたかったってのはある。」

「、、、ごめん。」

「謝るなよ。働いてない俺がイアに謝らせたら俺が悪者みたいになるだろ。」

「分かった。」


 イアの怯えた様子は無くなりイアはいつもの雰囲気に戻ってしまった。もう少し、怯えてくれてもよかった、、、くないけど反省してるみたいでよかった。

 その後俺達は広場に出ていた出店などで小腹を満たしゆっくりとした時間を過ごした。支部を出て丁度一時間経つと俺達は受付へと戻った。


「遅れて悪かった。」


 俺達が受付に到着したのが別れてから一時間五分後、五分の遅刻だ。俺達は受付に居た老人に声をかけると老人は気持ち悪い位ハイテンションで返事をしてきた。


「お~そかったのぉ。査定は終わっとるぞ~。」

「お、おう。」


 老人は目を輝かせ涎を垂らしそうになりながら(何なら垂らして)返事をしてきたので俺は少し、、かなり引き気味に声を漏らした。老人もその反応で自分の有様を理解したのか何度か深呼吸すると気分はよさげだが落ち着いた雰囲気で再び声をかけて来た。


「査定は終わっとるぞ。これが、買取金額じゃ。」


 老人が取り出した紙には素材の名前、数、金額と合計の金額が書き込まれていた。俺達はそれを見て少し驚いた。


「高く無いか?」


 俺の言葉にイアも頷いていることから間違いはない。圧倒的に高い。つか、金貨に届くと思っていなかった。俺達がイアが倒したのは貴重な魔物なんかではない。普通の階層に居る魔物何なら最低ランクの冒険者パーティーでも倒せる奴ら。高過ぎる。何か裏があるのか?

 俺がそんな邪推をしていると老人は鼻息荒く説明してきた。


「おぬしの持ち込んだ魔物は傷が一つもなく腐敗も進んで無かったんじゃ。言ってしまえば、魂を抜かれてしまったかのようなものじゃ。こんな芸当、Aランクの奴らでも無理じゃ。」

「そうか、それにしても相場みたいなのに反するんじゃないのか?」

「確かに、おぬしらの持ってきたのは良くてD級。しかし、鮮度は文句なし。じゃから素材の階級の最高値で全て買い取らせてもらう。」

「つまり、塵も積もればみたいな感じで小石も積もれば山となるってことか?」

「まあ、そう言う認識で構わん。異論はないな?これが金じゃ。クレームは受付ないからの。次回も楽しみにしとくぞ。」


 老人は足早に言葉を吐くと受付のトレーに金貨を置くとサッと奥へ行ってしまった。俺は置かれた金貨を取るとイアに声をかけて熊の手堂に向けて歩き始めた。




 真也達が初の迷宮攻略を終えた日の夜、冒険者ギルドアイサジ支部のギルドマスター室に一人の来客が来ていた。ギルドマスター直々にもてなす程の大物が来ていた。


「のう、ライツァ。」

「なんですか?」

「面白い冒険者にあったわい。」

「そうなんですか。ちなみにどのような?」

「わしの眼が効かんほどの坊主じゃ。」

「それは興味深い。」


 アイサジ支部ギルドマスターライツァは来訪者が権力を使いギルドに席を作っていることを知っているため驚くことは無かったが他の者が効けば驚く程のことだった。


「実はの、」

「そんなことより、報告をお願いできますか?低級素材をあれほど高く買った理由を。」


 ライツァは相手が行った職権乱用についての説明を求めると来客は息を吐き答えた。


「素材は鮮度が命じゃ。次に質、そして量。あの素材は全てを満たしておった。じゃから高く買った。何ならわしが個人的にギルドから買い取ろうか?倍で。」

「、、、貴方の目利きを信じます。」

「ふぉっふぉっ。そうか。で、話を戻すんじゃが面白い冒険者はな。」

「お願いですからどちらか一つにしていただけませんか。迷宮前支部のギルマス兼アイサジ支部素材部門部門長兼先代アイサジ領主オルド・アイサジ殿?」


 ギルマスが直々に接客している相手は真也達の素材の査定を行っていたあの老人だった。老人オルドはニッと笑うとライツァに口を開いた。


「わしとしては最後の一つは既に捨てたつもりじゃったのだが?」

「それはご子息に直接言ってください。こちらも貴方を出せと圧力をかけられるのは不本意です。」

「いやじゃ。奴はわしを馬車馬の如く働かせるつもりじゃ。あんな魔の巣窟に行けば捕えられてしまう。」

「ご冗談を、元冒険者の貴方を捕えられるほどの強者がいると思えません。」

「わしは人間でおぬし等長命種では無いんじゃ。すでに腕は落ちとるよ。」


 そんな会話は日を跨ぐまで続き翌日?ライツァは寝不足になったという。

お久しぶりです。ペンギン丸と申します。私は趣味で投稿させていただいておりますので投稿頻度は遅いと思います。ご了承ください。さて、貴族が出てきましたね。偏見ですけど異世界の老人はヤバい奴しかいないと思ってます。ちなみにオルドは素材オタクの様なものです。神は星座を元に考えています。ぶっちゃけ適当です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ