第十一話 神(作者)の不備が見つかった。
数分後、俺達は街の門に続く長い列に並んでいた。
「入るのは昼過ぎになりそうだな。」
「そうだね。もう疲れた。早く入りたいなぁ。」
「だな。まぁ気長に待とうか。」
「は~い、、、」
そんなことをイアと小声で話しながら待つこと数時間、俺達はようやく門まで到達し手続きで困っていた。
「だから、身分書は無くしたんだよ!」
「身分書が無ければ身分を保障できる物をお出し下さい。」
「それも事情があってできないんだよ!」
「ならば通過資格はありません。お引き取りください。」
「それも困るんだよ。」
俺と門番は通過するための受付で言い争っていた。門番の話は一貫しており身分の証明を求めていて俺はそれを断っている状態だ。完全に俺が悪いんだがしっかりと理由がある。それは、、俺って転生してきたから身分証明書を発行していないのとイアは前提として人じゃないから人の決まりを守る必要がない。そんなこんなで受付で言い争っていると騒ぎを聞きつけた先に街に入っていたコイズがこちらにやって来た。
「真也さん如何したんですか?」
「ん?ああ、煩かったか?」
「いえいえ、時間がかかっているようなので。」
「申し訳ない。身分の証明ができずに困っているんだ。」
俺が正直に言い争っている理由を話すとコイズは頷き少し考える素振を見せて口を開いた。
「そうでしたか、、、分かりました。私の名前をお貸ししますよ。」
「良いのか?俺達が問題を起こせばコイズの責任になるが?」
「構いませんよ。恩返しの一つですよ。」
「信用命の商人の恩返しか、、、恐ろしいな。」
「それに真也さんからは同類の臭いがしますから」
俺がコイズの言葉に感謝しながらも戦慄しているとコイズは微笑み門番と話し出した。俺はコイズの言葉に苦笑いを浮かべて「同類じゃねぇよ。断じてな。」と心の中で呟き門番が話し掛けて来たのでそれに答えた。
「コイズ様が貴方達の身分を保証なされましたので通過を許可します。ようこそ迷宮都市アイサジへ。お二人には冒険者登録をお勧めします。冒険者証は世界共通の身分書になります。冒険者証があれば通過税を払う必要がなくなります。今回はコイズ様よりお支払いただきましたので必要ありません。」
俺は門番の言葉に頷きを返しイアと一緒に街へ足を踏み入れた。門の近くで待っていた風笛のメンバーとコイズに向かって歩き出した。
「すまない。時間をかけてしまった。コイズ名を貸してくれてありがとう。」
「いえ、先ほども言った通り構いませんよ。」
「そうか。ダモン達も待たせた。」
「いや、別に構わん。この程度、いつものことだ。」
「なるほど。」
風笛の近くにまで来てからダモン達に声をかけるとダモンがそう言いナタイが少し顔を背けたのを見つけ頷きそう呟いた。
「では、真也さんお手数ですが我々の店へ来ていただけますか?」
「分かった。ダモン達は?」
「俺達はクエストの報告にギルドへ行く。」
「そうか、なら俺達も後で行こうかな。」
「登録か?」
「ああ、門番さんが勧めてくれたからな。」
「そうか、、、まぁ真也なら試験も楽勝だろうし良いんじゃないか?」
「ま、そう言うことだから会えたら会おう。」
「ああ、それじゃまたな。」
ダモン達はそう言うと門に続く大通りを歩いて行った。店に移動しないことを不思議に思った俺はコイズに話しかけた。
「コイズ、店に移動しないのか?」
「移動しますよ。もう少しで迎えが来ると思いますのでもう少しお待ちください。」
「いつも間に連絡を?」
「魔道具ですよ。実は今回運ぶ予定の荷物もこの鞄に入っているんです。」
コイズはそう言うと肩掛けの鞄を見せて来た。俺はコイズの言葉に賞賛の声を心の中で上げた。
すると、コイズの前に一台の馬車が停まり御者が馬車から降りるとコイズに一礼コイズに話しかけた。
「お迎えにあがりました副会長。お二方もどうぞこちらへ。」
御者に言われるがまま俺とイアはコイズに続き馬車に乗り込んだ。コイズの座っている正面に俺は腰かけ俺の隣にイアが座るのを確認した御者は馬の手綱を握り馬車を出発させた。
「意外と揺れないんだな。」
数分後、馬車に揺られていた俺の呟きにコイズは笑みを浮かべて答えた。
「ハキマー商会の自信作です。貴族様方に人気があるんですよ。」
「へ~。色々やってんだな。」
俺はコイズの答えにそう呟き「サスペンションみたいな奴か?」と心の中で思考を巡らしながらふとイアに目を向けるとイアも俺の方に目を向けていた。目が合った途端イアは目を逸らし、沈黙が馬車の中に満ちる寸前、馬車が停まり御者が声をかけて来た。
「支店に到着しました。馬車を片付けて参りますのでお先にお降りください。」
「分かりました。真也さんイアさん支店に入りましょうか。」
「分かった。イア降りるよ。」
俺はコイズに続き馬車を降りる振り返りイアに手を差し伸べた。イアは少し戸惑いながらも俺の手をとり優雅に馬車から降りた。御者は馬車の戸を閉め一礼したのち馬車を出発させた。コイズは店の扉を開けると俺達の方を向き、
「ようこそ、ハキマー商会アイサジ支店へ!どうぞ奥へ。」
コイズは俺達を連れて店の奥、応接室らしき場所に連れられた。コイズに勧められソファーに横並びに座るとコイズはお茶を用意させ向かいのソファーに座ると、、、頭を下げた。
「この度は盗賊襲来の際、お助けいただきありがとうございます。お礼の印としてこちらを受け取っていただきたいのです。」
コイズは頭を上げることなくそう言うと何処からか小さな麻袋と封筒を乗せたお盆を俺の前に出した。俺はコイズに向かって声をかけた。
「ありがたく受け取らせてもらう。それよりも早く顔を上げてくれ。」
俺は麻袋と封筒をポーチに仕舞うとコイズにそう声をかけた。コイズは俺の言葉を聞くとすぐに顔を上げ俺の方を向き話始めた。
「麻袋の中には謝礼金の白金貨5枚が入ってます。封筒には我が商会独自の細工をしておりハキマー商会の名前がいつでも使えます。」
「おいおい、良いのかよ。そんなもんいくらでも悪用できるぞ?」
「構いません。それを用意できるのは我が商会の幹部以上です。幹部達は超一流の商人ですので人を見る目はそこらの鑑定機よりも正確なはずですから」
「不備があるかもよ?」
「その時は、私の懐から損益分と迷惑料の支払い、幹部名簿からの除名と雑用係に降格するだけですから。」
「ははは、凄まじいな。ありがたく使わせて貰おう。」
「ははは、真也さんは受け取りを拒否されないのですね。」
「当たり前だ。俺は報酬目当てでお前たちを助けたんだから。それに、それだけのリスクを覚悟して貰ったのに返すのはコイズへの侮辱に等しいだろ?」
「やはり、真也さんは恐ろしい。ですがその通り、返されたら二度とお会いしせんでしたよ。」
「お眼鏡に掛かったようで光栄だ。これからもよろしく頼む。」
「こちらこそ御贔屓に」
俺とコイズは笑みを浮かべながら握手した。俺は握手し終えるとコイズに声をかけた。
「コイズ、香辛料と食材を買いたいのだがおすすめはあるか?」
「食材系ならば良い所があります。お勧めの宿にも近いのでご案内しますよ。」
「ありがたい。だが、先に冒険者証を作成しに行くがいいか?」
「はい。ギルドの表で待っていますよ。」
「なら、頼む。それじゃあ早速ギルドに行こうか。」
「分かりました。馬車を呼びますので少しお待ちください。」
俺達はコイズの呼んだ馬車に乗り込み冒険者ギルドに向かった。
お久しぶりです。ペンギン丸と申します。私は趣味で投稿させていただいておりますので投稿頻度は遅いと思います。ご了承ください。さて、今回は真也達が初めて街に入りました。いや~書いててハッとしましたよ。身分証明を渡すの忘れてました。ははは。ちなみに、この世界の建築レベルは俗に言う中世ヨーロッパぐらいだと思います。文明になると魔法という分野が発達しているので言い難いですね。次回からは真也の快進撃!冒険者界の超新星!になることは無くいい感じに稼いでいきます。次回もお読みいただければ喜びます。




