表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シガマツ 「転移転生移動可動」   作者: 佐藤サイトウ
第一部
3/11

死ヌ三

まさかの美少女登場!?焔のハーレム生活がスタート!?

5 ドキドキ



「さ〜て焔くぅん?どうするぅ??」

「どうしましょうかね」

神妙な面持ちでテーブルに腰をかけ向かい合う少年少女。その隣、この事務所の小さな上司である幼女のイス兼ベッドに寝かされ、寝息を立てている少女がいた。

あの後、口の中から少女を発見した後、具体的な案が何も思いつかず、ひとまず事務所に連れて帰った。

「........殺して埋めるってのはどうだい?」

「馬鹿野郎ですかあなたは。そんなことをして、もし本当に貴族の娘だったらどうするんですか?我々二人どころの話ではなく、この島ごと消滅しますよ」

まるで、これしかない!と言った風に馬鹿なことを口走る上司を呆れ顔で制止する。

「冗談に決まってるだろうが馬鹿野郎が。まったく、ユーモアのセンスに欠けている無能な部下を持つと上司はしんどいねぇ??」

相変わらず憎まれ口を叩く。しかし今は急を要する事態であるため、その口はこの窮地を脱出するために使っていただきたい。

「はぁ。じゃあどうするんですか?」

テーブルに並べた槍や仮面を手に取り、研磨剤で磨きながら言う。

「考えても見たまえ。彼女がもし貴族であるならば、どうしてイリアス殲滅隊が動いていない?既に我々は不夜の夜やオオカミ社の連中に殺されているはずだろぅ?あ、オオカミは既にイリアスではないのか」

上司は指を振り、わざとらしく頭に手を置きながら続ける。

「つまり、彼女は貴族ではない!よって殺しても構わない!いかがかな?私のパーフェクトな解説は。拍手喝采はまだかい?」

「はぁ...。じゃああの我々が何百年かかっても手に入れることのできない馬鹿みたいに上質な素材の服はどう説明するんですか?」

「............」

上司が笑顔のまま固まる。

「とりあえず、起きるのを待ちましょう?殺して、衣服を剥ぐのはその後でいいじゃないですか。仮に貴族でないなら殺せばいいだけですし、貴族だったとしてもイリアスにバレていないのであれば、記憶でも消してこっそり別の島に置いてきて責任擦りつければいいだけですし。幸い戦闘力も高くはないようですし」

これが本当の建設的な提案という物である。この上司には見習ってほしい。

「というか上司彼女の心は読めないんですか?」

屈託のない笑顔を俺に向けて言う。

「... 私の辞書に、どうやら初めて不可能という言葉を刻めそうだね」

はぁ....。思わず頭を抱える。

「ま、わかってましたよ。本当に発動条件わかりませんね、上司のイート」

「そもそも持っていない無能の極みには言われたくないねぇ??」

「.............そう言った類の話は、本人である私がいない場所で行うのが適切ではないのでしょうか?」

「「............⁉︎」」

見知らぬ声の主の方に驚いて目をやる。先ほどまで寝息を立てていた少女がこちらを向いて、話しかけてきた。

どこから起きていて、どこまで話を聞かれている?......これはまずいな。迂闊だった。愚かな。いや、今はそんなことを考えている場合ではない。思考を切り替えろ。脳の回転が目視で確認できそうなほど、焼ききれんばかりに脳を回す。

今は、何を言うべきだ?誤魔化せるだろうか?いやまず、今すべきことは

「初めまして、お嬢さん。お怪我がなくてよかった。先ほどあなたはこの町の隅で倒れていました。それで、私たちがあなたを介抱して、今に至ると言うわけです。つきましては、もしよろしければ出身地やお名前をお教え願ないでしょうか?」

彼女の情報を得る、それが今一番すべきことだ、と結論付けた。

「まず、あなたに名乗っていただくことは可能でしょうか?」

少女が無表情でそう告げる。

「炎焔です。では、改めてそちらの名前を伺っても?」

ここで偽名を名乗っても無意味だと感じた焔は本名を告げる。この判断は決して間違いではない。個人情報ではあるが、名前であれば直接どうすることもできない。よって、決して彼の判断は未熟故の不注意ではない。しかしこの判断が彼にとってあまりにも致命的に働く。

「そうですか。炎焔さん。いい名前ですね」

彼女はそう言い右腕を俺に向ける。

「ばん」

視界が回る。先ほどまで自分の後ろにいた、上司と目が合う。あぁ、可愛いな。愛おしい。ついに俺は、最期まであんたに好かれることはなかったな。

悔しいぜ。


そしてそれが彼の最期の記憶であった。

彼女は腕を向け、そしてその後、焔の頭部が爆けた

「では。次はあなた。お名前を教えてもらえませんか?」

そして何事もなかったかのように、私に名を求める。

「どうしたものかねぇ〜これは」

足元に転がってきた焔の仮面を手に取る。


まだ私は死ねない。いつか死ぬとしても今は。

楽しくなってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ