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シガマツ 「転移転生移動可動」   作者: 佐藤サイトウ
第一部
2/11

死ノ二

うさぎさんかわいいね

4 戦鬪!戦闘!!戦鬪!???


「焔?イートまであと何分かなぁ?」

「6分と少しです。ウサギの分体掃除に結構時間かかってしまいましたね」

「そうだねぇ〜。にしても良い眺めだねぇここは。気に入ったよ、後でピクニックにでもこようかな」

高い場所に移動できて嬉しいのだろうか。上司が俺の頭の上で嬉しそうにはしゃいでいる。

「どうせ俺に運ばさせるんでしょう?」

「おーようやく私の下僕としての自覚が出てきたようだねぇ、感心感心」

現在、少年と少女は島を一望できる高さの塔の上にいる。足場と呼べるような場所はないため、少年が塔の上に立ち、その頭上に少女が胡座をかいて座っている。

彼らが見下ろしている町の中には、形容し難い様子のウサギが暴れている。形容し難いとあるのに、ウサギと形容して表現するのは矛盾しているかもしれないが、確かにウサギではあるのだ。頭は可愛らしいウサギではあるが、胴が人間の腕、脚が人間の足でできている。脚の下にはいくつか抉られた傷がある。

「あの傷は、全滅した部隊が残したもののようですね」

「そうみたいだねぇ。まったく、大の大人が10人集まってあの程度とは、仮にも菅局員として対価をもらっているのなら、自身の責務ぐらい果たしてもらいたいものだよ、まったく。まぁ確かに5級程度じゃしんどい相手かもしれないけど、もう少し頑張って欲しいなぁ。生きていて申し訳ないと思わないのかなぁ?あ、だから死んだんだねぇ、偉い偉い。己の価値をわかっている人間は嫌いじゃないよ〜」

HAHAHA。

「はぁ..........」

焔が上司の将来を想像してため息をつく。いつかはシリウスに移るのに、こんな価値観で大丈夫なんですかねこの人は。

「で?アレの対策はなにか思いつきましたか?」

「愚問だねぇ〜私が思い付かないとでも?まったくこれだから...」

「あーもー時間ないんで後回しにしてください。で、俺は何をすれば良いんですか?」

頭上の上司を持ち上げ、抱えながら言う。

「じゃあ、そうだねぇ、死体回収の連絡を命じてやろうかねぇ」

悪戯っぽく笑いながら抱えられた上司が言う。

こう見ると可愛いんだけどなぁ..

「わかりました。それじゃ俺はここにいるんで、頑張ってください」

「☆」

笑いながらピースサインを俺に向ける。また思考を読まれたようだ。

...性格が悪い。

「はぁ.......はいじゃあ行きますよ!3、2、1」

0、そう言うと、少年は眼下のウサギに上司である少女を投げつけた。



ーーーーーーー&ー¥&ーーーーー



現在、落下中。



「いやいやそれにしても顔だけは愛らしいんだがねぇ、いかんせんその体の醜悪さは愛らしいウサギの顔だけじゃあ拭い切れないねぇ」

いつのまにか取り出した、不気味なほど紅い、朱色の銃を構えながら言う。

「メ“ェ”ェ“ェ“ェ“ェ“ェ“ェ“!!!!!」

ウサギが叫ぶ。私に気づいたのだろう。攻撃をしようと胴の腕が連鎖的に積み上がる。異形で異様な光景だ。しかし、どこか神秘的なその様子に思わず目が奪われそうになる。

「危ない危ない。いくら私でもそれにつかまれたら死んでしまうかなぁ??まだ無能な肉塊にはなりたくないからねぇ」

追ってくる腕の塊を、空中で身を切って交わす。

「にしてもウサギってそんな鳴き声なんだねぇ。なかなか愛らしいじゃないか」

ウサギの頭上に着地する。鈍い衝撃が足に伝わる。

「ははははは!!!楽しいねぇ!!こんな長時間落下したの初めてだよ!楽しいねぇ!!じゃあ死のうか!!!!!!」

興奮気味で恍惚とした顔の少女がそう叫びながら、ウサギの頭に銃を突きつける。

「死ね」

蒼い弾丸が放たれる。次の瞬間、ウサギの体が弾け飛んだ。

少女に迫ってきた腕の塊は、意志を失ったかのようにバラバラに別れ、落下していく。同様にウサギの体のいたるところが崩れていった。一つの意思を持つ巨大な肉の山は、頭部を残し全てが地面に散乱した。




&&&¥ーーーーーーーーーーー


ウサギの頭部と共に地面に落下した上司は、頭を抱えていた。

「ロアンさんに報告しておきましたよ。後片付けは任させて帰りましょう、次の依頼が来ているかもしれません。...どうしました?」

頭を抱えたまま石像のように静止している上司の目線の先を見る。先ほど倒したウサギの頭部がある。よく見ると、ウサギの口が僅かに開いている。

「口の中がどうしたんですが?ただの死体じゃないですか」

「.........中を覗いてみろ....」

上司が、掠れた声で、そう告げる。この上司がここまで焦っているところは見たことがない。

........嫌な予感しかしないが、見て見ないことには何もわからないだろう。恐る恐る、言われるがまま頭部に近づきウサギの口を掴みこじ開ける。

「...................」

中の光景を見て、言葉を失った。

中には、シリウスの貴族の子供が通う学校の、青い装飾が胸元についた荘厳な制服を身に包んだ少女が横たわっていた。

かくして、その眼下に広がる現実、貴族を巻き込んでしまったという、死刑宣告にも似た現実を突きつけられた少年は、頭を抱え石像の仲間入りをした。

メ”ェ“ェ“ェ“ェ“ェ“ェ“ェ“!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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