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もういいかい

作者: ぴんくのひよこ

『もういいかい』


開けた窓から聞こえてきた声。


最近の子どもは公園にいてもゲームを手にしているから、かくれんぼなんて珍しいな。


そんなことを考えながら窓から外を見る。


『もういいかい』


声は聞こえるが姿は見えない。

まぁかくれんぼだから隠れているよな。


『もういいかい』


尋ねる声ばかり。

自分には返事が届かないだけだろうと、特に気にせず窓を閉める。


『もういいかい』


先程より小さくはなったが、まだ声が聞こえてくる。

気にせず浴室へ向かいシャワーを浴びる。


『も・・・・・・かぃ』


かくれんぼの声が聞こえた気がして耳をー澄ます。

だがシャワーの水音以外聞こえるはずもなく、頭からシャワーを浴びる。


「気の、せい。気のせい。」


気にしすぎるのも気持ちが悪いので、シャンプーを手にして髪を洗う。


「髪洗ってるんだし、まぁだだよ。」


小さくだがそう呟き、泡を流していく。


『もぉうぃいかぁいぃ』


浴室に響く声に驚き悲鳴を上げる。


「うわあぁぁあッ!?も、もういいよ!もういいからどっか行って!」


浴室を見渡すが当然誰もいない。


「あー、もう。」


不気味さにうんざりしながらシャワーを終える。


「みィつけたァ」


真後ろから声が聞こえたと思った瞬間、ブツっと意識が途切れる。


□□□□□□□□□□□□□□□□


「・・・・・・・・・ぅ、ん?」


気がつくと真っ暗で何も無い場所に居た。


手探りで辺りを触ってみる。

固いような柔らかいような、不思議な感触の床。


床を伝うように這って動くも壁には当たらず、ただ暗い空間が広がっているようにも感じる。


誰か・・・・・・「むぉ・・・」


助けて・・・・・・「ぅいい・・・」


誰か助けてくれ!「もういいかい!」


誰か助けてくれ!「もういいかい!」


誰か助けてくれ!「もういいかい!」


助けを求めるが、口から出てくるのは『もういいかい』だけ。


誰でもいい。答えて!


誰か助けてくれ!「もういいかい!」


誰か助けてくれ!「もういいかい!」


誰か助けてくれ!「もういいかい!」


どれだけ叫んだだろう。


『・・・・・・まぁだ、だよ。』


微かに聞こえた声に向かって走る。


誰か助けてくれ!「もういいかい!」


誰か助けてくれ!「もういいかい!」


『もういいよ』


あはは!応えてくれた!


「見ィつけたあぁ!」


嬉しくて抱き着く。

あぁ、温かい。人の温もり。


「ん?」


目を開けるが腕の中には誰もいない。


そして鏡の中には見知らぬ顔。



『もういいかい』の声には応えちゃならぬ。


助けを求める誰かに取って代わられる。


さぁ新しい身体を探しに行こう。


誰か助けてくれ!『もういいかい!』


終わり


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