シルヴァリー共和国のパリスピ語
「皆さま、最近はいかがお過ごしでしょうか。
クロ殿下のスーパーシャドウお世話係忍者の紅消です。
さて、2日間に渡ってお送りいたしました、
西部辺境訛り編ですが・・・
このクロ殿下と剣聖ヴェイセルの世界の中には、
まだまだご当地訛りと言うものがございます。
そこで本日は、エストレラ王国から、
ロザリア帝国を挟んだ更に南の、
シルヴァリー共和国で最近、
若者の間ではやっているという、
シルヴァリー共和国の若者語・・・
“パリスピ語”をご紹介いたしましょう」
『オゥ、イェ~イッ』
「あの・・・皆さま。まだ、ご紹介がまだですので」
『フライングスライディング、やっちゃったぜぇ!
オゥ、シェエエェェェ―――イッ!!!』
あぁ・・・もう・・・
早速、何をおっしゃっているのかがわかりませんね・・・
しかし、司会として、しっかり紹介しなくては。
「本日のゲストは、シルヴァリー共和国の
やかましトリオで知られる、
パリスピトリオ・チームクロム族の皆さまです」
「オゥ、イェ~イッ!
チームクロム族団長の、
クロムの精霊インだぜ!
ウェ~イッ!!」
因みに、イン殿は、
灰色の毛並みで、
わふたんお耳しっぽのようですが、
わふたんお耳の先端に
ざんばらな毛が生えております。
「続いては俺~~~っ!
ニッケルの精霊グェイだぜ!
ヨッシュァ~~~」
は・・・?
クロ殿下のお父上で、
私の上司・ヨシュア様?
いや・・・違うでしょうけど。
グェイ殿は、緑の毛並みの碧狼族の姿です。
「さぁさぁ、俺っちの番よ~っ!
皆、テンションアゲアゲ、バッチコーイッ!!
モリブデンの精霊シュエイだぜ~」
シュエイ殿は、フェネック耳しっぽの犬耳族の姿です。
「さぁて~俺たち皆揃ってぇ~~~っ」
『パリスピッ!!』
「あの・・・早速ですが、“パリスピッ”とは何でしょう?」
「ウェ~イッ!紅消っち、“!!”が抜けてるぜぇ~!!
パリスピッ!!レッツセ~イッ!!」
と、イン殿。
えぇと・・・私のことを“紅消っち”と呼ぶのは、
グリューン州トッカ領でトッカ祭壇の精霊士をしている
ピィちゃん狂のゼルダ殿以来ですね・・・
しかし、“!!”も必要なのですね。
勉強になりました。
「パリスピッ!!」
「オゥ、イェ~~~イッ!!
紅消っち、最高のパリスピッ!!
だったぜぇ~~~!!
パリスピッ!!魂感じちゃったぜ~~~っ!!!」
そ・・・そうですか・・・
ありがとうございます、イン殿。
「パリスピッ!!ってのは、あれよ。
パーリースピリッツ的な?」
と、グェイ殿。
「お祭り好き精霊的な?でも、お祭り好き精霊みたいな
テンションだったら、ひとでも~、
もちもちウェルカムパーリナイッ!!」
と、シュエイ殿。
因みに、“パーリナイッ”については、
常々、クロ殿下が“今、夜じゃねぇよっ”と、
ツッコんでいらっしゃいますね。
ついでに、現在の時刻は午後2時でございます。
「そして、今回は、シルヴァリー共和国の
若者言語に詳しいこの御方にご足労いただきました」
「シルヴァリー共和国の王女のユイファちゃんだよっ!!
ハッキョーイッ!ノコッタッ!!」
ユイファ殿は、立耳の犬耳族で、
キャラメル色の毛並みを持つかわいらしい女の子で、
左耳にとめた赤いリボンがチャームポイントです。
「早速ですが、ユイファ殿。
“ハッキョーイッ!ノコッタッ!”とは・・・?」
「えっとね。シルヴァリー共和国には、
“八卦”ってのがあるの。
八卦はカレーに欠かせないいくつものスパイスの中でも
重要な、8大スパイスを意味していて・・・
各家庭によって微妙に違うんだって!
それをね?“八卦を用意した!?入れ残してないか!?チェーック!!”
って言う意味で、若者が使うの!」
「ほう・・・興味深いですね」
「これはシルヴァリー共和国では欠かせない文化だから、
挨拶の時にも若者が使うようになったんだ」
「食文化から生まれた若者文化ですか。
クロ殿下の、“お残しはめっ”のようなものですね」
※ここに来て、本編では出て来ません初出情報です
「クロ殿下ったら、相変わらずかわいい~~~」
「ふふふ、ユイファ殿。それはクロ殿下の前では」
「わかってるって!ミートゥーでしょ?
因みに、“ミートゥー”は、“秘密”ってこと」
『ついでに、同意したら、“ユートゥー”って返すのが
オツだぜっ!ウェ~イ!!』
「では・・・こほん・・・ユートゥー!」
「完璧よ!紅消さんも、すっかりシルヴァリー共和国の
若者言葉・・・パリスピ語のプロねっ!!」
「いえいえ、まだまだ知らないことばかりですから・・・」
「他にも、色んな若者言葉を紹介するわね。
モリブデン・・・!シャラップ!!」
「その・・・ユイファ殿。“シャラップ”・・・とは?」
「取り敢えず、君からやっちゃいなヨ!ウェ~イッ!ってこと」
「ほうほう・・・」
「そんじゃぁ、俺・モリブデンの精霊シュエイから行っちゃうぜ~~~っ!」
『イェイイェイ!シャラップ!シュエイっちシャラップ!!』
イン殿、グェイ殿に合わせて、ユイファ殿も一緒におっしゃっています。
本当に、仲が良ろしいのですね。
「まずは・・・俺たちパリスピッ!!に欠かせない・・・
“ウェ~イッ!!”」
「ウェ~イッ!!来ましたヨ~!ウェ~イッ!!!」
と、イン殿が音頭を取られます。
「ウェ~イッ!!って何ヨ。シュエイっち、シャラップ!!」
と、グェイ殿が続きます。
「ウェ~イッ!!とは?」
『ヘイ、ウェ~イッ!!とはっ!!?』
「俺たちパリスピッ!!魂超テンションアゲチャイカレーっ!!」
『おっしぇーいっ!!ペッキカ~ンッ!!』
えぇと・・・私にはよくわかりませんが・・・
取り敢えず、シルヴァリー共和国の名産品・“カレー”を
語尾につけているのは、やはり、彼らの魂の中には、
“カレー”の遺伝子がしっかりと組み込まれているからなのでしょうね。
「それじゃぁ、ユイファっちも行っちゃいなカレーっ!!」
とイン殿がユイファ殿に振ると・・・
「はぁ~いっ!!ユイファちゃんも行っちゃうカレーっ!!」
「今日は何カレーっ!!オゥハッキョーイッ!ノコッタ―――ッ!!」
と、イン殿。
「今日はアゲアゲ超パリスピッ!!カツ盛りだくさんカレーっ!!
行っちゃうヨッ!!ターメリック、シナモン、カルダもんっ!!」
『おっしぇーいっ!!最っ高のカレスピッ姫の降臨だぁ―――っ!!!』
いやはや・・・シルヴァリー共和国の若者のノリ・・・
私にはついて行けません。
「・・・ここで、保護者としてついてこられた
ユイファ殿の兄君・フェイラン殿にもお話をお聞きいたしましょう。
因みに、今回はチタンの精霊チタニール殿こと、
チタニールフィスクワイツ殿もご一緒です」
「ど・・・どうも」
控えめ気味にご挨拶されたフェイラン殿は、
たれ耳の犬耳しっぽの、シルヴァリー共和国の王子であらせられます。
「こんにちは~~~」
にこやかにご挨拶なされたのは、
フェイラン殿と同じ、たれ耳の犬耳しっぽの精霊である、
チタニール殿です。
「現在のシルヴァリー共和国の若者言葉・・・パリスピ語について、
とても元気がよく、明るく、こちらもついつい、
テンションが上がってしまいますね」
「え・・・えぇ・・・そうですね・・・
シルヴァリー共和国の象徴王族として、
庶民の方々の文化に共感することは、
大事・・・だとは思います・・・」
「フェイラン殿も、お使いになられるのですか?」
「いえ・・・その・・・俺はなかなか、
ユイファのようにはいかなくって・・・」
フェイラン殿は、まだパリスピッ!!の魂を
解放しきれていらっしゃらないようですね。
「・・・あれ、フェイランに伝染したら
あのやかましトリオをいっぺん締めます♡」
そう、にこやかに告げる、チタニール殿。
この私、紅消も、
思わず背筋がぞっとしてしまいました。
『パリスピッ!!イェイイェイ!!
盛りだくさんカレーっカレーっ!!』
あちらで元気よく盛り上がりカレー中の
ユイファ殿と、シルヴァリー共和国のやかましトリオ精霊殿たち。
見ていて、とても微笑ましいですが、
やかましトリオの平和のためにも、
フェイラン殿は、そのままでいてほしいですね。
それでは、本日は、この辺で。