第33話 偽りの者
<<あらすじ>>
ガート、クム、ルー、ルイーズ、メデサ、フレイアの6人が合流し、パーティの人数は一気に増加に…
そして、ガート、クム、ルー、ルイーズの4人が、伝説の聖者の印を持つ者として認識する6名。
だが、ガートにはこの四神に違和感を覚える。
そんな中、見物していた民衆達が居なくなると、居残った老人に食って掛かるガートだった。
その老人とは彼の師匠であるシーウッドだったのである。
そのシーウッドから、聖地メナの招集のヒントを受け、聖地メナを目指すことになった。
メナには崩壊した石神殿がある中、初夏の湧き水で水道設備はまだ生きていた。
本殿の奥で、四神の像とみられる物を見つけるが、再びシーウッドが現れ、
黒蛇の話を聞かされるガート達。
それによれば、メデサが黒蛇の可能性が出て来たのである。
「あ…、あの…」
自分を落ち着かせるためか、メデサは胸に手を当てると、言葉を詰まらせながら、声を絞り出した。
「今まで黙っててごめん…」
「云おうとしたんだけど…つい云いそびれて…」
「実は、あたい、アザ…あるんだよ…」
メデサにアザがあると聞いて、受け入れられる訳がない。ガートが云う様に、ここにいる全員のアザを、一応事前に確認している訳で、メデサに無いのは確認済だからだ。それはとうてい納得いかぬ事だ。
だが、シーウッドはそれを承知の上で、わざと遠回しに話をしている様に思える。そして、まるでそれをて楽しんでいるかの様だ。これには、本来のガートならば、怒りを感じていた事だろう。
「うむ、メデサよ、アザを見せてやりなさい…」
メデサは躊躇しつつも、腕を捲くろうとするが、それは左ではなく右腕だったのだ。そして、確かにそこにハッキリとペンタグラムのアザがあるのを、全員が確認した。
「蛇族は反面の世界なので、アザは逆にあるのじゃよ…」
ルイーズは黙ったまま、これを聞いていたが、石台に寝かされた女神に切なさそうに手で触れると、肩から頭部へと辿っていた。
当然なのだが、だとすれば、ルイーズは何なのだと云う事だ。そう云う思いで皆、ルイーズの様子を伺っていた。
シーウッドもまた、ルイーズを冷ややかに見つめる一人だった。時折、ルイーズと視線が合うが、思わず目を背けたルイーズに、シーウッドはニヤリと含み笑いをした。
「ルイーズ、いやアルマティアよ、お主はティアを知っておるか?」
シーウッドはあえて、アルマティアと呼ぶ。それには理由があった訳だが、その質問に首を横に振るルイーズ。そして、ティアと聞いて、精霊のティアを思い浮かべたフレイア。何故ティアなのかと考えていた。
「そうか…知らぬのか…」
「ティアはアルマティアの幼少期のあだ名なんじゃが…」
「記憶が無くて分からぬかの?…」
通常あだ名とは、ファーストネームから取る事が多い。なぜなら、より親密度を高めるためだからである。もとよりミドルネームやラストネームから、あだ名や愛称を付けるパターンは非常に珍しい。
ルイーズの幼少期のあだ名が、これに該当していた。だからシーウッドは、あえてアルマティアと呼んだのであろう。
だが、無反応のルイーズに、シーウッドは更に質問を重ねる。
「お主のアザ、まだあるのかね?…」
「何故?あたしにアザがあるのは皆、確認済でしょ?…」
そう云って左のアザを見せるのだが、これは、彼女に1人称を云わせるための、シーウッドの策略であった。そして、これに申し合わせた様に反応したのは、ガートだった。
「それなんだ…」
「ルイーズ… いつから、あたしになったんだ?」
「俺と出会った当初は… わたしと言っていた」
次々に疑問を突っ込まれるルイーズは、序々にそわそわと仕出す様になる。その様子を変だと感じた者、気に掛からぬ者、反応は様々であったが、次の瞬間、皆が目を疑う様な光景を目にする。
ゴツンと鈍い音が部屋にこだました。気付くと、女神像の首に短剣が差し込まれ、ルイーズが両手で体重を掛け、女神像の首に打ち込んだ短剣を、強く押し込む姿が飛び込んだ。
「ル、ルィーズ、何をする!?」
「アルマティアさん!?」
ルイーズの刺し入れた短剣の刃は、女神像の首を貫通し止まっていた。そして、その短剣に横からの力をグッとかけると、女神像の頭部は簡単に分断された。そして、重量感ある鈍い音と共に台座より地面に落ちると、2、3度転がった。
その光景を愕然と見る5人とシーウッドに、ルイーズは高笑いをするのだった。
「ハハハハハハーッ、ついにやったわ」
「これで、女神の復活は無くなった」
「もう、サターン復活を阻止する者はない…」
「どういうことだ?」
「やはり、全くの別人と云う事なのか?」
ルイーズの狂気に、ガートは別人と云う言葉を用いていたのだが、彼がルイーズの内面が、別人と気付いたのは、違和感を覚えると云ったあの時だった。
「そうよ…」
「あたしの名はアイラ、ダリル様に仕えし者なのさ」
「お前達をおびき寄せる為に、女神騒ぎを起こしたこの女の身体にあたしの精神を入れた」
「そしたら、危うく当事者になりかけてびっくりしたよ」
「アザも慌てて付けたのさ」
アイラが悪態をつく間も、フレイアはアルマティアとあだ名のティア、そして風の精のティアがなぜか一致していた。そして、また、あの時の耳鳴りも始まっていた。
「ティア… 近くにいるのですね?」
「愚かなり…」
フレイアがティアの名を叫んだと同時に、シーウッドが落胆した表情をする。彼には、これから起こる事が、ある程度予測出来ていたのだ。
吹き抜けの天井から、スポットライトの様な光がアイラの照らす。その中で金色に輝く細かな粒子が、重力に反して流動していた。
次の瞬間である。
…バッシッ!!バッシッ!!バッシッー!!…
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!…」
アイラに稲妻が貫き、彼女の奇声と共にその身体は瞬く間に昇華してしまった。
『ほんと、こんなのは虚しいだけですね…』
『やっと力が使えるようになりました』
『ルイーズ・アルマティアの身体は…』
『闇の支配下にありましたで、今、分解しました』
「そ、その声…ルイーズか?」
「ティ、ティア!!」
ガートとフレイアが聞き覚えのある声に、驚き、そして、2人はルイーズとティアの名を呼んだあと、お互い顔を見合わせていた。
やがて、アイラの消滅した場所に、金色の光が集まり出すと、その光の中に、ルイーズ・アルマティアが立っていた。
「やっと、この身体に戻る事が出来ました…」
「身体を再構築したの… 変なところはないかしら?」
身体のあちこちを確認するかのポーズをするルイーズ、特に背後にこだわりを見せていた。
この水晶の部屋は、光の力を増大する設計がされているのであろう。特別な力を与えるのか、或いは光の力が増大されるのか、それは不明だが、その力を得たティアが今、ルイーズとして姿を現した。
「ティアとアルマティアさんは、本当は同じ人だったのね?…」
フレイアが不思議そうにそう云うと、ルイーズは笑顔になり、右手を差し出し、彼女に握手を求めた。
「フレイア、もう1度会いたいと思っていました」
力強く握りしめたその手が、ほのかに温かく、心地よい感触が伝わる。手を離した後も、暫くその手を見つめるフレイア。そして、ルイーズはガートに向かい合うと、泣きそうな表情になった。
「そして…」
「ガート、心配かけました」
ルイーズはガートに寄り添うと、軽く2度3度ハグをした。そして、最後に少し長めのハグを… 目を閉じたその表情は、穏やかで安らぎを感じるものだった。皆が見てる前でなければ、ガートに所構わず飛びつき、燥いでいたに違いない。そこは、周りにの目を気にし、かなり大人な対応をしていたと云うことだ。
「あの後、ガルディに精神を抜かれ…」
「空を彷徨っていました」
「フレイアに出会わなければ、自身を見失ってたわ」
ガルディは、女神騒ぎを沈静化するために、ルイーズの身体に部下の精神を入れていたのである。それが、彼の云う奥の手だったのである。あわよくば、女神の復活も阻止できればと考えがあったのであろう。
「しかし… ルイーズ…」
「女神像の体が傷つけられてしまった」
「どうすれば…」
「ガート、それは大丈夫です」
ガートの言葉を聞いたルイーズは、特に動じる様子はなく、フレイアの前へとゆっくりと歩み出た。そして、その場で右膝を地に着けると、フレイアの左手を取った。
「もう目覚めませんか?… アストライア…」
まるで、眠る子供を優しく起こすかのように、フレイアに優しく語り掛けるルイーズだった。
<<後書き>>
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