表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/34

第33話 偽りの者

<<あらすじ>>


ガート、クム、ルー、ルイーズ、メデサ、フレイアの6人が合流し、パーティの人数は一気に増加に…

そして、ガート、クム、ルー、ルイーズの4人が、伝説の聖者の印を持つ者として認識する6名。


だが、ガートにはこの四神に違和感を覚える。


そんな中、見物していた民衆達が居なくなると、居残った老人に食って掛かるガートだった。

その老人とは彼の師匠であるシーウッドだったのである。


そのシーウッドから、聖地メナの招集のヒントを受け、聖地メナを目指すことになった。

メナには崩壊した石神殿がある中、初夏の湧き水で水道設備はまだ生きていた。


本殿の奥で、四神の像とみられる物を見つけるが、再びシーウッドが現れ、

黒蛇の話を聞かされるガート達。


それによれば、メデサが黒蛇の可能性が出て来たのである。

 「あ…、あの…」


 自分を落ち着かせるためか、メデサは胸に手を当てると、言葉を詰まらせながら、声を絞り出した。


 「今まで黙っててごめん…」

 「云おうとしたんだけど…つい云いそびれて…」

 「実は、あたい、アザ…あるんだよ…」


 メデサにアザがあると聞いて、受け入れられる訳がない。ガートが云う様に、ここにいる全員のアザを、一応事前に確認している訳で、メデサに無いのは確認済だからだ。それはとうてい納得いかぬ事だ。


 だが、シーウッドはそれを承知の上で、わざと遠回しに話をしている様に思える。そして、まるでそれをて楽しんでいるかの様だ。これには、本来のガートならば、怒りを感じていた事だろう。


 「うむ、メデサよ、アザを見せてやりなさい…」


 メデサは躊躇しつつも、腕を捲くろうとするが、それは左ではなく右腕だったのだ。そして、確かにそこにハッキリとペンタグラムのアザがあるのを、全員が確認した。


 「蛇族は反面の世界なので、アザは逆にあるのじゃよ…」


 ルイーズは黙ったまま、これを聞いていたが、石台に寝かされた女神に切なさそうに手で触れると、肩から頭部へと辿っていた。


 当然なのだが、だとすれば、ルイーズは何なのだと云う事だ。そう云う思いで皆、ルイーズの様子を伺っていた。


 シーウッドもまた、ルイーズを冷ややかに見つめる一人だった。時折、ルイーズと視線が合うが、思わず目を背けたルイーズに、シーウッドはニヤリと含み笑いをした。


 「ルイーズ、いやアルマティアよ、お主はティアを知っておるか?」


 シーウッドはあえて、アルマティアと呼ぶ。それには理由があった訳だが、その質問に首を横に振るルイーズ。そして、ティアと聞いて、精霊のティアを思い浮かべたフレイア。何故ティアなのかと考えていた。


 「そうか…知らぬのか…」

 「ティアはアルマティアの幼少期のあだ名なんじゃが…」

 「記憶が無くて分からぬかの?…」


 通常あだ名とは、ファーストネームから取る事が多い。なぜなら、より親密度を高めるためだからである。もとよりミドルネームやラストネームから、あだ名や愛称を付けるパターンは非常に珍しい。


 ルイーズの幼少期のあだ名が、これに該当していた。だからシーウッドは、あえてアルマティアと呼んだのであろう。


 だが、無反応のルイーズに、シーウッドは更に質問を重ねる。


 「お主のアザ、まだあるのかね?…」


 「何故?あたしにアザがあるのは皆、確認済でしょ?…」


 そう云って左のアザを見せるのだが、これは、彼女に1人称を云わせるための、シーウッドの策略であった。そして、これに申し合わせた様に反応したのは、ガートだった。


 「それなんだ…」

 「ルイーズ… いつから、あたしになったんだ?」

 「俺と出会った当初は… わたしと言っていた」


 次々に疑問を突っ込まれるルイーズは、序々にそわそわと仕出す様になる。その様子を変だと感じた者、気に掛からぬ者、反応は様々であったが、次の瞬間、皆が目を疑う様な光景を目にする。


 ゴツンと鈍い音が部屋にこだました。気付くと、女神像の首に短剣が差し込まれ、ルイーズが両手で体重を掛け、女神像の首に打ち込んだ短剣を、強く押し込む姿が飛び込んだ。


 「ル、ルィーズ、何をする!?」


 「アルマティアさん!?」


 ルイーズの刺し入れた短剣の刃は、女神像の首を貫通し止まっていた。そして、その短剣に横からの力をグッとかけると、女神像の頭部は簡単に分断された。そして、重量感ある鈍い音と共に台座より地面に落ちると、2、3度転がった。


 その光景を愕然と見る5人とシーウッドに、ルイーズは高笑いをするのだった。


 「ハハハハハハーッ、ついにやったわ」

 「これで、女神の復活は無くなった」

 「もう、サターン復活を阻止する者はない…」


 「どういうことだ?」

 「やはり、全くの別人と云う事なのか?」


 ルイーズの狂気に、ガートは別人と云う言葉を用いていたのだが、彼がルイーズの内面が、別人と気付いたのは、違和感を覚えると云ったあの時だった。


 「そうよ…」

 「あたしの名はアイラ、ダリル様に仕えし者なのさ」

 「お前達をおびき寄せる為に、女神騒ぎを起こしたこの女の身体にあたしの精神を入れた」

 「そしたら、危うく当事者になりかけてびっくりしたよ」

 「アザも慌てて付けたのさ」


 アイラが悪態をつく間も、フレイアはアルマティアとあだ名のティア、そして風の精(シルフィード)のティアがなぜか一致していた。そして、また、あの時の耳鳴りも始まっていた。


 「ティア… 近くにいるのですね?」


 「愚かなり…」


 フレイアがティアの名を叫んだと同時に、シーウッドが落胆した表情をする。彼には、これから起こる事が、ある程度予測出来ていたのだ。


 吹き抜けの天井から、スポットライトの様な光がアイラの照らす。その中で金色に輝く細かな粒子が、重力に反して流動していた。


 次の瞬間である。


 …バッシッ!!バッシッ!!バッシッー!!…


 「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!…」


 アイラに稲妻が貫き、彼女の奇声と共にその身体は瞬く間に昇華してしまった。

 

 『ほんと、こんなのは虚しいだけですね…』

 『やっと力が使えるようになりました』

 『ルイーズ・アルマティアの身体は…』

 『闇の支配下にありましたで、今、分解(リリース)しました』


 「そ、その声…ルイーズか?」


 「ティ、ティア!!」


 ガートとフレイアが聞き覚えのある声に、驚き、そして、2人はルイーズとティアの名を呼んだあと、お互い顔を見合わせていた。


 やがて、アイラの消滅した場所に、金色の光が集まり出すと、その光の中に、ルイーズ・アルマティアが立っていた。


 「やっと、この身体に戻る事が出来ました…」

 「身体を再構築(レストラクチャー)したの… 変なところはないかしら?」


 身体のあちこちを確認するかのポーズをするルイーズ、特に背後にこだわりを見せていた。


 この水晶の部屋は、光の力を増大する設計がされているのであろう。特別な力を与えるのか、或いは光の力が増大されるのか、それは不明だが、その力を得たティアが今、ルイーズとして姿を現した。


 「ティアとアルマティアさんは、本当は同じ人だったのね?…」


 フレイアが不思議そうにそう云うと、ルイーズは笑顔になり、右手を差し出し、彼女に握手を求めた。


 「フレイア、もう1度会いたいと思っていました」


 力強く握りしめたその手が、ほのかに温かく、心地よい感触が伝わる。手を離した後も、暫くその手を見つめるフレイア。そして、ルイーズはガートに向かい合うと、泣きそうな表情になった。


 「そして…」

 「ガート、心配かけました」

 

 ルイーズはガートに寄り添うと、軽く2度3度ハグをした。そして、最後に少し長めのハグを… 目を閉じたその表情は、穏やかで安らぎを感じるものだった。皆が見てる前でなければ、ガートに所構わず飛びつき、燥いでいたに違いない。そこは、周りにの目を気にし、かなり大人な対応をしていたと云うことだ。


 「あの後、ガルディに精神を抜かれ…」

 「空を彷徨っていました」

 「フレイアに出会わなければ、自身を見失ってたわ」


 ガルディは、女神騒ぎを沈静化するために、ルイーズの身体に部下の精神を入れていたのである。それが、彼の云う奥の手だったのである。あわよくば、女神の復活も阻止できればと考えがあったのであろう。


 「しかし… ルイーズ…」

 「女神像の体が傷つけられてしまった」

 「どうすれば…」


 「ガート、それは大丈夫です」


 ガートの言葉を聞いたルイーズは、特に動じる様子はなく、フレイアの前へとゆっくりと歩み出た。そして、その場で右膝を地に着けると、フレイアの左手を取った。


 「もう目覚めませんか?… アストライア…」


 まるで、眠る子供を優しく起こすかのように、フレイアに優しく語り掛けるルイーズだった。

<<後書き>>


皆さま、読んで下さいましてありがとうございます。感謝感謝しかないです。


「続編が気になる方」「なんかいいじゃん」と感じた方、貴方のその応援がスーパーなエネルギー源となります。


応援方法は

・ブックマークしてみる

・広告下の「☆☆☆☆☆」をちょちょいと【★★★★★】にしてみる

・感想を書いてみる


と、簡単ですので、応援お願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ