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第32話 オブザーバー

<<あらすじ>>


地上界に戻ったガートとフレイア。


ガートはルイーズと早急に合流したいと考えるが、途中、野営をし、フレイアは朝霧の中でまたティアと出逢う。


フレイアはティアに願いの水晶の事、進化の事を聞くのだが…ティアにも判らなかった。


そこでフレイアは、ティアからルイーズに気をつけろと謎の言葉を聞かされたのである。


そして、更に、ガートが冥府から地上界を彷徨う理由とあの女神の幻想についても明らかになりつつある頃。

ガートとルーが偶然街で会い、たかが銅化20枚で決闘する羽目になってしまった。


決闘は法術戦なのだが、互いにサクセッションを投入する本気度での勝負だった。


ガートは少し生意気なルーを少し懲らしめてやろうと思ったのが、行けなかったのか、ルーを倒してしまう。


泣き叫ぶメデサに、ガートが戻せる事を伝えると、発動取消を行うのであった。


色々と問題のある合流となったのだが、今までの経緯から、ガート、クム、ルー、ルイーズが伝説の聖者の印を持つ者との確信を得る6人だった。


そんな中、屯していた民衆が居なくなると、居残った老人に食って掛かるガートだった。

 シーウッドは、依然と黙ったまま目を瞑り、まるで瞑想でもしているかの様に切り株に座ったままだ。だが、一瞬、ガートの言葉を無視続けていたシーウッドの眉がピクリと動いた。


 「黙って聞いておればいい気になりおって…」

 「ったく、それが師匠に対する態度とは… なさけないのう…」


 シーウッドは杖で体を支えながら、ゆっくりと立ち上がり6名全員の顔を一人一人凝視して回った。まるで何かの検査でもされているかの様な状況に、皆憤慨していた。


 「わしは世界の傍観者(オブザーバー)ゆえ、口出しはせんつもりじゃったが…」


 「じゃぁ、なんで来たんだよ」


 シーウッドが何を云いたいのか、ガートには判ったのだろう。偶然とは云え、この6名がここに集まったこと。そしてその中に四神がいて、その伝説をも知る者達。そこからガートが辿ったこととは…


 「4人のアザに2日前から異変があった…」

 「それは信託所(オーラクルム)メナへの招集の合図…」

 「そして… 女神との約束を果たす時… が来た」

 「と云う事だよな?」


 ガートは不安そうな表情で、シーウッドを見つめながらそう云った。その言葉に合わせて、ゆっくりと相槌を打つシーウッド見ると機嫌を良くしたのか、ガートは含み笑いを浮かべた。だが、直ぐに表情を変えた。


 「だが…」

 「俺は、何故か、違和感を覚えるんだが…」


 ガートがそう云うと、6名は暫くの沈黙の後、互いの表情を確認する様に顔を見合わせた。この気まずい空気の中、フレイアがガートに話しかけた。


 「あ、あの、プルートンさん…」

 「わたくし、ちょっとお話しがございます…」


 ガートの違和感と云う言葉に、フレイアにも心当たりが無かった訳ではない。それは、正にティアの気をつけろの言葉がそうだ。ガートには、いづれ話そうと思ってはいたのだが、ルイーズの件だけに、なかなか伝えきれずに今日(こんにち)に至っていた。ここへ来て、漸く、話さなければと思い立っていた。


 フレイアは、ガートの耳元を借りようとするので、ガートは姿勢を彼女の身長に合わせ、口元へ耳を寄せていた。


 「プルートンさん…」

 「あ、あの、怒らないで聞いてくださいね」

 「風の精霊から… 聞いた話で…」


 ガートの耳を借り、恐る恐る小声で耳打ちしするフレイア。しかし、その言葉にガートは怒るどころか、一瞬笑顔になった様にも見えた。


 「なるほど…」

 「いや、大丈夫だ、違和感の原因が判ったかも知れない」


 このフレイアの話により、ガートはある事に着眼点を見いだしていた。

 ここにいる6名はたまたま一人称が全員異なる。それぞれ、"わたくし"、"おいら"、"それがし"、"あたい"、"おれ"、"わたし"、なのだ。だが、自分を表現するときに、そのブレはなく統一されている筈なのだ。しかし、それにブレがある者がいる…


 ガートは、意味ありげにルイーズに視線を送った。そして、その視線に気づくと、視線から逃れようとするルイーズ。


 そのやり取りを見ていたシーウッドは、鼻をクンクンとさせ、意味ありげな表情をガートに返した。師弟関係にしか判らぬ、阿吽の呼吸なのかも知れない。


 「さて、では、メナに行く気になったのかね」


 「そうだな…」


 シーウッドの、やれやれと云う表情が印象的であった。


 その後、ルイーズが宝飾師に髪留めの飾り部分の鑑定を依頼、ブローチにリメイクする事で、それが銀貨10枚と云う結構な額で売れたのだ。


 6名はそれを資金に、メナを目指すことにした。


+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+


 この国の西の国境付近には、標高4,000m級の山が山脈となって連なっている。その一番奥まったアンク山山頂に、水晶の信託所クリスタルオーラクルムメナがある。


 今は季節は初夏、ゆえに積雪はまだ残るも、雪解け水や湧き水により沢に水流が所々に見られる。


 山頂には、大昔の白い石神殿の跡がいくつもあり、今は使用されていない。随処に壁柱や門柱が折り重なって倒壊している様が見らるが、主要な神殿の要所要所は、未だ使用可能な状態と思われる。


 中央には一番大きな神殿があり、ここも中は廃墟になっている。地元では獣神が守っているので入ってはいけないと云われている神殿らしい。 


 その中に入って行くと、水汲み場へと出る。中は外から見るのとは違って、結構綺麗で、薄暗い事を除けば、まだ人が使用しているのかと思わせる程、設備はしっかりとしている。一番驚かされるのは、水汲み場の水が枯れていなかった事である。水源は湧き水のようで、水は今でも澄んでいた。


 その更に奥には、広間の様な部屋があり、部屋いっぱいに人間の背丈の5倍くらいの動物の石像が4体配置してあった。その向きは東西南北に向いており、鳥、龍、虎、蛇と実在する動物を生き写ししたような石像であった。


 「これは四神なのか?」


 「でも、ちょっと違う様な気がします…」


 ガートが恐る恐る石像を下から覗き込むが、今にも動きそうな迫力に圧倒されるばかりだった。


 「あたい、この像をどこかで見たことある」


 石像を見上げながら、6人は像の下をゆっくりと通過し、更に奥の部屋へと目指す。無事に石像の下を全員通り抜ける事が出来た。と云うことは、彼らが地神の聖者だと云う証しなのであろう。


 そして、その奥の部屋に入る。そこは、まるで天井が吹き抜けになっているのかと思う程、高い天井の部屋があり、室内はすべて水晶で出来ていた。中は水晶からの光で非常に明るくなっていた。


 部屋の中央には人間と等身大の女性の石像が石台の上に寝かされていた。いや、寝かされていたのではなく、横になり眠る姿の石像なのであった。それが、伝説にある自己封印した女神アストライアの姿なのであろう。


 「あっ、この女神像、どことなくお姉ぇに似ているね」


 メデサの言う通り、女神の像の体型・顔立ちはどことなくルイーズに似ており、鼻筋が通り切れ長の涼しげな目をしている。衣装はギリシャの民族衣装に似たものを纏っていた。ガートは、幻想の女神の正体が、この眠る姿の石像と同一人物である事がこの時やっと悟った。

   

 6人は女神像の前に立つが、そこからの事までは未だ判らなかった。ガートが問う。


 「女神が封印された像だ…」

 「さて、ここからだが…」


 「へっ、女神様に、お目覚めのキスでも差し上げましょうか?」


 ルーの答えが、女性陣から非難を受けたのは云うまでもない。ガートも、空気の読めないこの男には困惑しているようだ。それは、メデサも例外ではない。さすがに、この場の雰囲気に、ルーは意気消沈してしまう。


 「その前に…」


 突然、6人の背後に湧いて出て来た様に現れたシーウッド。ガートからは、ため息が漏れるが、シーウッドはお構いなしだ。


 「お主達に言っておかなくてはいけないことがある…」

 「入り口に4体の像があったであろう」

 「あれが、女神アストライアの(シモベ)達じゃ」


 シーウッドは、女神の部屋の外に並ぶ4体の像を、杖で指しながらそう言った。

 6人は静かに頷き、改めて4体の(シモベ)達の、南の火の使いの朱雀、東の水の使いの青龍、西の風の使いの白虎、北の地の使いの天蛇を再確認する。


 「北の天蛇は暗黒神でな…」

 「天蛇はメドゥーサと呼ばれ、その後、堕天することとなる」


 「メドゥーサ?って!…」

 「え?メデサのこと?…」


 「まさか…」


 クム、ガート、フレイアの視線がメデサに向いた。ルーは目を丸くして驚くのみだ。


 「そうなのじゃ、メデサとはメドゥーサの意…」


 「で、でも、メデサにはアザは無いんだぞ」


 「ルーの言う通りだ、メデサにはアザが無いのは俺も確認した」


 ルーは必死でシーウッドに喰って掛かり、ガートがシーウッドに責め寄っていた。2人は必死でシーウッドの説を覆そうとしていた。


 メデサは、顔を真っ赤にしてそれを聞いていたのだが、非常に気まずそうしていた。いつもは気さくな彼女が、どういう訳か黙り込んでしまっていたのだ。

<<後書き>>


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