第28話 聖者の印
<<あらすじ>>
ここは冥府、俺はここで罪人たちの審議をしている冥府の王。
このには罪人の亡者達が巣くう世界。
そこへ、新たにやって来た罪人の亡者。
それは、願いの水晶を使い地上からは姿を消したフレイアだった。
やはり、伝説の如く冥府へと堕ちたのであろう。
そして、冥府の王の審議が始まった。
その中で、願いの水晶のは願い聞き分けると聞く。
願いし者は代表者として評価され
その者の願いが拒否されると、世界をも滅ぼされてしまうとも…
冥府の王はフレイアの記憶の中になにかを見た。その中の1つがルイーズだった。
ルイーズにより、ガートの記憶を戻した冥府の王は、フレイアを連れて冥府を出た。
元の世界に戻ったガートとフレイア。そして水晶は進化した。
ガートはルイーズと早急に合流したいと考え、
フレイアも水晶に記されたアザを持つ者を探すため、ガートと行動する事にしたのだった。
再び廃虚となった、ザ-ルの街。その廃虚全体を見渡せる小高い丘があり、そこに、2人の女性の姿があった。ルイーズとメデサの2人である。
廃虚を見る時と言うのは、いつも虚しい思いが立ち込める。今回も、2人が同じ思いをするのは必修である。それに加え、今回は更に後味の悪い思いをする事となる2人であった。ついにフレイアが水晶を使い、彼女も姿も消えてしまった。
しかし、クムの亡骸はまだ毛布と共に包まれたままだ、願いは本当に全て叶えられたのだろうか?
「あたいは、大地の村へ帰ることにするよ」
「お姉ぇは、どうすんのさ、リザの街へ帰る?」
「…」
「あっ、そっか、ゴメン…」
「リザはもう…」
最北のヘルメスより南に、リザと言う鉱山の街があるのだが、そこもヘルメスにより滅ぼされた。ルイーズはそのリザ出身である。
メデサの村へ帰ると言う言葉に、ルイーズは沈痛な表情をしていた。さすがに、明るさだけが取り柄のメデサにも、己の数々失言に後悔の色が伺えたのだが…
「よう、さっき願いの水晶昇天しなかったか?…」
この状況に助け船を出したかのように、ルーが突然帰って来たのだ。メデサにとって話題を変えるまたとないチャンスとなったに違いない。
「あれぇ… ルーっ」
「そ、そうなんだよ… その子の連れがさぁ」
「で、姿消しちゃって… これってどうよ…」
毛布の塊を指さして熱弁を振るうメデサ。死んだ者や居なくなった者を批判はしたくないが、よっぽどやるせない思いがあったのだろう。その熱弁を聞いていたのかどうか、ルーはボソッと言葉を漏らした。
「閃光… 2回だったよな… 受諾は2回か…」
「なのに、何故、身体持ってかれるんだ?」
「そ、そんなこと、あたい知らないよ…」
ルーは連続で法術を限りなく放って来たばかりだ、思考力が著しく低下していたし、疲れていた。なので、この時は取り合えず深く考えることは避けたようだ。
「あ、でも、闘技場の人達の無事とライテシア家の存続は願ったてたよ…」
「ああ、アナリス様は無事ジューダ城へ…」
「ラシーネ様も無事にお着きになられた…」
「ライテシア家は守られたよ…」
「久しぶりの公務だが、これが最後だな…」
「やれやれさ…」
ルーは木陰に行くと横になったのだが、頭の後ろで腕を組み足を組むと、すぐに寝息を立てていた。やはり、かなり疲れていたのだ。
「ルー…」
「かなり疲れているみたいね、暫く休ませてあげなさい…」
「わ、分かったよ、お姉ぇ…」
最初はスヤスヤを寝息程度だったルーのイビキは、やがて地鳴りのような酷いものへと変わっていた。その彼の袖からは肘上が覗いており、左の二の腕内側に見覚えのあるものがあった。
…アザである
ペンタグラム型のアザだ。ガート・プルートンにも同様のアザあったのだが、偶然似たアザを持つ者が居るとは珍しいことである。だが、そのアザが蒼く異様に腫れていた。
「う、い、いててててて…」
「うぐぅぁあ、い、いてぇぇっ!」
「いてぇーーーー!」
腕が倍くらいまで腫れあがっており、アザから蒼い煙のようなものが燻ぶっていた。痛みが頂点に達すると苦痛あまり、のたうち回るルー。メデサがその様子に驚き近づこうとするが、ルーが暴れていて近寄れないでいた。
苦しむルーの目は不気味に蒼く光り、断末魔の叫び声とともにその場に倒れ込んだ。そのルーの身体を蒼い光が包み込むと、その光が渦巻き出した。ついにはその光が螺旋上に天空へと勢いよく上った。やがて、それが雲の上から顔を出す巨大な青龍の姿へと変化していたのだ。
「な、何なの!?」
目の前に突然現れた青龍に驚くルイーズとメデサ。周りに居た人々は悲鳴と共に逃げ去った。
青龍は雲の下に顔を出しキョロキョロと辺りを見渡し何かを探しているようだった。やがて、地に寝かされた毛布に包まれたクムの亡骸を見つると、龍の蒼い目キラリと輝いた。まるで敵対する相手を見つけた様に攻撃的な態度を見せ、そして一気にそこを目がけて突進する。そして鋭い牙でそれにかぶりつくと、荒々しく粉々に引き裂いて行った。だがその中身は何故か空だった。
「ひぃ~!…」
「え? どうなってるの?」
メデサが不思議そうに云うと、青龍は、何かの変化に気づいたらしく、今度は空を見渡していた。
…風?…
…風にしては不自然な…」
ルイーズとメデサも空を見渡すが姿は見えない。シュッ、シュッと風の切る音と白い風で明らかに何かが動いているのが判る。その音を頼りにその方角を都度見るが、移動が早く追うのが精いっぱいだ。
…何かがいる…
その白い風が青龍の不意を突いて、脇腹に突き刺さると、その風は巨大な白虎へと姿を変えた。青龍には及ばないものの、その大きさは優に8m超えはあった。
巨大な2頭は完全に交戦状態へと縺れ込んでいて、明らかに自我を失っている状態と思われる。
白虎が大きく口を開き、むき出しなった牙を一気に青龍の枠腹に目掛け噛みつきに行った。
『やめなさいっ!!』
ルイーズから怒声が飛んだ。その声は背筋が凍る様な威厳さを持ち、且つ、非常に神聖に感じる。だからこそだろう、怒りに我を忘れた青龍と白虎ですらも。その声で我に返ると、完全に動きを止めた。青龍の脇腹に白虎の牙が紙一重で突き刺さる寸前だった。
そして、青龍はルー、白虎はクムの姿へと徐々に変化して行った。しかし、ショックでお互いの顔を見合わせるのみで、混乱のあまりに言葉が出てこない。
「驚いたわね、今の… 擬態化…?」
「お、お姉ぇ、擬態化って…? 」
擬態化と云う言葉を聞いて更に訳が分からないメデサは、少し考え込むルイーズにすり寄った。
「あぁ… 魔族とかが生命の維持が出来ない程体力を奪われた時、とかに…」
「自分の魔族の姿を現してしまうこと… だったような…」
「お、俺たちは闇の一族なのか?…」
泣きそうに詰め寄る男達に押されて、若干引く格好をするルイーズとメデサ。この時、ふと何気なくルイーズの左腕にアザがあるのをメデサは確認していたのだが、特に気にする事もなかった。
「なぁ、さっき、このアザが腫れあがって激痛が走ったんだ、これが関係あるのか?… 教えてくれ…」
クムはそう云うとルイーズに左のアザを見せ始めたのだ。この光景にさすがにメデサは氷付いたに違いない。先ほど、ルイーズにもアザがあるのを見てしまったばかりだからだ。
「えええっ!?」
「そ、それ、おいらにもある!」
情けないかな、男ども2人は揃って己のアザをみて、騒ぎ立てる。そんな状況にルイーズは自分の左腕を隠すようにそっと右手を添えると、表情が少しずつ沈んで行く。
それをメデサは見逃さなかったし、確信を得るのだった。『お姉ぇにもアザが…』
メデサの沈黙がしばらく続いていた。幼いころからの彼氏が龍で、親しく姉の様に慕ったルイーズにも同じアザがある…、泣きそうなのを精一杯堪えるしか無かった。
「お、お姉ぇ、リザの街の神話の話覚えている?…」
突然、メデサはそう云うと、ルィーズを見つめた。
「神話?」
「でも、あたし、覚えてなくて…」
「そうだよね…」
メデサが怖い顔をしてルイーズを見つめていた、ルイーズは何故かそれに直視出来なかった。双方、何かを云いたげだった…
後書き
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