第22話 13騎の騎馬
<<あらすじ>>
ヘルメスはなかなか落とせぬライテシア王国にイライラの募らせ、
ついに、願いの水晶に目をつける。
大神官の娘であるフレイアが水晶を持つと分かるや、その水晶を奪うべく大神官の処刑を企て、
そしてその闘技場で大混乱の中、フレイアから水晶を奪おうとするが、失敗する。
そして、フレイアを闘技場から救った女の正体は、あのルイーズ・アルマティアであったのだ。
だが、クムはフレイアにシェルの魔法と引き換えに命を落とす。
メデサとの再会、ルイーズとの出会いもむなしく、フレイアは絶望してしまった。
その頃、2人の姫を隣国へ逃がすための決意をしたジード王、
白の表と裏から姫を逃がす手配をした。
ライテシア城の表からは13騎の騎馬が疾走した。
この作品は
・独自のファンタジーの世界観があります。
・また下記の原案のリメイクとなります。
1991/07/19~杖無き賢者 番外編 『伝説』
1996/09/23~旧シャイニングコンタクト
1999/08/06~再編版シャイニングコンタクトHP掲載版
2005/09/06~再々編成版シャイニングコンタクト
を経て、今回の完全リメイクになりました。
ライテシア城、第二の砦では、門の前に装甲兵を配置させ、そして、その周りを他の兵士達が取り巻いていた。そこへ、胸にブラッディクロスを付けた、近衛重騎兵が隊列を成して城の中より現れる。17人衆の出撃である。いよいよ、敵陣を王女の部隊が突っ切る時がやって来たのだ。
近衛隊の中心には、赤ん坊を固定紐で胸に抱いた侍女がいる。その侍女自身も手綱を手にしていた。自身で馬を駆るらしい。この近衛兵と赤ん坊と言う組み合わせ、明らかに王女を護衛していると言う事が判る。
表門を陣頭指揮するのは国王のジ-ド自らである。恐らくこれが最後になるであろう、そう思い国王は王妃と言葉を交わした。
「グレ-スよ、今からでも遅くはない、ネアを追え…」
これは国王としてではなく、夫として愛する者への最後の思いやりであったのだが、かと云って王妃がそれに従うとは思ってはいない。
「いいえ、わたしも、国王と共に…」
「…分かった…好きにするが良い…」
「私達の娘は、必ずジュ-ダ城へ届けて見せるぞ」
ジ-ド王はその一言が聞きたかったのかも知れない。王妃の言葉を聞いて安心したのか、それとも覚悟を決めたのか、それを最後に愛用の剣と盾を取ると、ゆっくりと砦の門前に移動した。
「では、これより、砦を出るぞ!!」
「我が姫、ラシ-ネを頼む!」
「ご安心下さいジ-ド王、我が命に代えても、ラシ-ネ様をお護り致します!」
サッと敬礼する17人衆達、心配気に見送る王妃、その前を静かに17人衆達が通り過ぎて門へと迫る。王妃はラシーネの顔を再度確認し頬ずりをした。
「よーし、門を開け!」
「装甲兵! 前へ!」
ゆっくりと開かれる鉄の扉。門を開くと同時に、待ち構えていたヘルメス兵が砦の内部に入り込もうとする。それをくい止めるのが装甲兵の役目だ。その名の通り、重い装甲を身につけている為、敵の押しにはビクともしないが、機動力はない。そして、その機動力を確保すべく、騎兵、歩兵達が群がる。近衛師団、騎士達は、王女の進路を作るべく、敵中に突入する事になっている。そして、二の砦の門が完全に開くと、すかさず砦から颯爽と飛び出す17人衆達。一斉に13騎の馬が、南東に向けて疾走を開始した。
「17人衆だ! 中に王女がいるぞ!!」
抜け出た13騎の馬を見たヘルメス兵の1人が、大きな声でそれが王女なのだと叫んでいた。その声に国王の顔色が変わった。だが、意外にも鈍い反応を示すヘルメス兵達。まだ状況が把握されていなかった。
「今のは、王女だ!!」
「討ち取れば、騎士の称号が得られるぞ!!」
「さっきの騎兵を追え!!」
別の兵士がそう言った。他にも王女の姿を見た兵士達が、そろそろ騒ぎ始めていた。すると、ヘルメス兵達の様子が大いに変わった。微かに走り去る姿が確認出来るクリミネルの姿が、すかさず連中の攻撃対象となったのだ。17人衆の後を、数え切れぬ程のヘルメスの騎馬が、馬の蹄の音を響かせて続々と続いた。その数は、恐らく、ヘルメスの騎兵の半数を超えていたであろう。
17人衆の後を、長い騎馬の列が続いた。しかし、長時間走破する彼らヘルメスの中に、遅れを取る者も出てきていた。明らかに、先頭集団と、その他集団に別れたヘルメス軍。そのまま、国境最後の森へと差し掛かった。
「この森を抜けると、アルキア国境だ! もう一息だぞ!」
「しかし、騎兵が一向に離れませぬな…」
「やれやれ、全員お揃いで抜ける訳にもいかぬようだな…」
「ミネガ、ザダ、我ら3人で大掃除だ!」
「後の者は、そのままに…馬脚を乱すなよ!」
「行くぞ! 続け!」
最後尾を疾走していた1人がそう言うと、素早く、力強く馬の手綱を引いた。そして、馬を反転させると、2人の者を従え、ヘルメスの追っ手へと進路を変えた。
そして、腰にある、非常に細くて長い剣を抜くと、姿勢を低くし、目の前でそれを水平に構えた。この剣は、第2の剣、『首落とし』と呼ばれている首切り専用の剣で、ある程度の間合いがある時に使用する剣である。彼らがこの剣抜いた時、後には数え切れぬ程の、首が落ちると言われる。水平に振りかざせば、一度に2名、あるいは3名の首を跳ねる事が出来るのである。
ヘルメス兵と、迎撃に向かった17人衆の騎馬が一斉に交差した。しかし、そのまま、17人衆達の馬三騎はさらに敵中を突き進む。やがて、何事も無かったかのように、3名は、追手の先頭グル-プを突き抜けて行ったのだ。
だが、通り過ぎたヘルメス兵の馬脚は、何時しか乱れ、ついには停止してしまっていた。その馬に跨る兵士には、既に首が無かった。馬上から崩れ落ちる兵士の身体を追いかける様にして、頭が地を転がっている最中であった。それを確認するでもなく、さらに、次の追手の集団へと突入する3名であった。
しかし、敵の兵力は、これでもかなり分散させていた模様である。王女を堅く守る近衛兵の前方に、木陰より、新たにヘルメスの騎兵が数騎、突如現れたのだ。
「しまった、もう一手いたのか!!」
「前方を固めるのだっ!!」
「いかん、間にあわんっ!!」
先頭を疾走していた17人衆が、短くて、太めの剣をとっさに抜いていた。この剣は、第3の剣、『腹割り』と呼ばれている、割腹専用の剣で、間合いがない時に使用する剣である。だが、それよりも速く、ヘルメス兵の剣が振りかざされていた。
「ぐぅあぁ!!」
先頭を駆けていた2名の近衛兵に、ヘルメスの剣が突き刺さった。だが、すぐ様に、後ろの近衛兵がその場を確保すると、そのヘルメス兵を返り討ちにする。ヘルメス兵は、まるで、捨て身の戦法を取るかの如く、無謀な攻撃を仕掛けて来る。
クリミネルはそれを間近で見、恐怖で目を背けていた。初めて体験する戦闘だったのだ。刺された近衛兵の馬脚が弱まり、クリミネルのすぐ真横まで来ていた。しかし、やがて力尽き、馬上より落ちようとしていた。とっさに手を差し伸べ掴んだのだが…
「クリミネル殿! 馬脚が乱れます!」
「手を離しなさい!」
その言葉と共に仕方なく手を離すクリミネル。しかし、手を引き込む事は無かった。非常に哀しい顔をし、手の先の兵士を切なそうに見送った。
「そのまま手綱を緩めず、貴殿の役目はジュ-ダ城を目指す事!」
クリミネルの横に付き添う兵士が逐次指示をしているのだが、これも王女を無事にジューダ城に届けるためである。クリミネルは馬上にしがみつくので精一杯で、兵士の言葉は殆ど耳に入っていなかった。
その後、後続のヘルメス兵を確認する度に、一人また一人と迎撃のために兵士が隊列を離れて行く状況が続く。その兵士達が隊列に戻る気配はない。とうとう12名いた近衛兵は横に付き添う兵士1人となっていた。
「クリミネル殿! このまま森を抜けなさい!」
「では、ご武運を…」
更に後方に迫るヘルメス兵を確認した兵士は、クリミネルに敬礼すると隊列を離れた。
後書き
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