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第15話 大地の少女

<<あらすじ>>

 女神の噂話に求めてデムールまで来たのですが、、

 街は廃墟の上、街外れに住む世捨て人にまで女神は噂と云われ落ち込む始末。

 何故か水晶に導きに従えと、旅立たされました。


 そして、いきなりの野宿…

 そのおかげかどうか分からないが、精霊に会う事が出来たのだが。

 その後、父の公開処刑をヘルメスの掲示告知により知ることになる。

 ショックでとうとう気を失ってしまったフレイア。 

 


この作品は

・独自のファンタジーの世界観があります。

・また下記の原案のリメイクとなります。


1991/07/19~杖無き賢者 番外編 『伝説』

1996/09/23~旧シャイニングコンタクト

1999/08/06~再編版シャイニングコンタクトHP掲載版

2005/09/06~再々編成版シャイニングコンタクト


を経て、今回の完全リメイクになりました。

 「…ここは?…」


 「大地の村だよ」

 「村の人に頼んでここを使わせて貰っているんだ」


 「クムがわたくしをここまで運んでくれたの?…」


 「うん、びっくりしちゃった…」

 「ちょっと、ここで休ませて貰った方がいいよ」

 「疲れているんだよ…」


 そう云えば、わたくしは大地の村の入り口でヘルメスの掲示物を見て… その後、気を失った事を思い出しました…  

 旅のお供としては頼りないと思っていたクムだったのですが、わたくしが倒れてから色々と手配してくれた様子が伺えます。こんな時に云うのもなんですが、思ったより頼りになるのかなと感じていました。


 ですが、父の処刑は明朝の日の出の刻、駆け付けたいとの思いが逸ります。そして、さっき見た夢の余韻なのでしょうか、その後の胸騒ぎがなかなか収まらないのが気がかりでした。


 フレイアがそう考えていると、納屋の扉が軋む音と共に開き、外の明かりが一斉に中に入って来た。


 「あら、気が付いたね?」


 1人の娘が赤ん坊程の大きさの水瓶を抱いて入って来た。一瞬、外の明かりが眩しくてシルエットのみだと妊婦に思えたのだが、意外と若い娘だった。その衣服は泥や埃で汚れていて、顔も農作業の後のようにくすぶっている。年齢からいくと、フレイアと同じ年頃の娘であるのに身を飾る物は一切無い。その容姿は、この村の苦しい生活を十分に物語っているのであろうか。しかし、彼女の表情からそんな苦悩は微塵も感じられなかった。


 その娘は、納屋の隅に水瓶をそっと置き、木の器に水を一杯酌むと、それをフレイアへと差し出した。


 「村の泉の水だからおいしいよ」

 「慌てないで、ゆっくり飲みなよ」


 フレイアは器を受け取ると、とくとくと飲み出した。その姿を村の娘は優しく眺めていた。


 「あんたさ、随分と無理してるみたいだね。 2.3日休むといいよ」

 「あっ、そうそう、これ、村で採れた物なんだけど、味はともかく疲れにいいんだ…」


 そう云って、娘は小さな籠をフレイアに差し出した。中には片手で一杯程のクランベリーが入っており、積んで来たばかりであるのが判る程新鮮だった。フレイアは恐る恐る1粒摘まむと、それを口に含んだが、次の瞬間に悲鳴を上げた。


 「すぅぱぁーい!」


 「アハハハハ、これ、普通はジャムにして食べるんだ…」

 「この村、貧乏でさ、こんな物しかないんだ。 ごめんね」


 「い、いえ…」


 村が貧乏で食べ物がろくに無いと云う事を明るく話せるこの娘、とにかく深刻な状況を感じさせないから不思議だ。にっこり微笑んだ娘はやがて、フレイアの胸元に気付いた。


 「へ~、綺麗な首飾りだね…」


 そう云われて、フレイアは無警戒に水晶を晒していたことに気づきそっと懐に隠した。今、面倒な事には巻き込まれたくない、そう云った思いもあった。だが、娘はその仕草を垣間見て、横目使いで微笑した。


 「願いの水晶…っかぁ…」


 「えっ!?」

 「あなた… この水晶の事を知っているの?」


 「まあね…」


 娘のわざとらしい云い方に驚きを隠せないフレイア。自分自身は水晶を託されるまでは水晶の事など知りも得なかったのに、世間の人には意外と知られているのかと思った。


 「あたい… メデサって云んだ、よろしくね」

 「…ねぇ… もうちょっと良く見せてよ、ねぇ…」


 メデサにそう云われて、フレイアは恐る恐る水晶を見せた始めたのだが… 父とシーウッドに口やかましく云われているため、さすがに触れさせはしまいとしていた。


 「伝説通りの綺麗な水晶だね…」

 「亡くなったあたいのじっちゃんが占い師でさぁ」

 「水晶を持つ者がこの村へ訪れるって予言してたんだ…」

 「あんたの事だったんだね…」


 メデサが顔を近づけて見る間も、不安そうな表情をするフレイア。その警戒するフレイアを嘲笑する


 「大丈夫だよ… あたいは盗ったりしないよ…」


 フレイアはそのまま水晶を懐に入れてしまったまま、もう出そうとはしなかった。そんなフレイアを見て、メデサは更に笑い出し、横目使いで見つめていた。


 「…でもね、願いをただで聞いてくれる程、甘くはないよ…」

 「この水晶に願うと、願いは本当に叶うらしいんだけど、」

 「願った人の命を奪う、魔の水晶だってじっちゃんは言ってよ」

 「千年に一度、人の命を喰うんだって」


 美しい物にはトゲがあると良く言うが、フレイアはこの水晶について初めて聞かされる事であった。再び懐から出し改めて水晶を眺めるが、全くそんな感じがしない。いざと言う時、この水晶を頼れるのではないかと考えていたが、その選択肢も敢え無く消え去ってしまったと云う事か… 大きなため息を1つするや肩を落としていた。


 「アハハハハ、なんて顔してんの。 一応云い伝えだから…」


 別に他意は無いのであろうが、メデサのその笑いはフレイアには嘲笑するように思えた。そして、更に気落ちしていた。


 その時である。表が突如、馬の蹄の音と嘶きで騒々しくなっていた。10頭程の馬が、村の広場を何度も行き交っていた。その馬に跨る者達は、騎兵であるらしい。馬脚に合わせて、彼らの甲冑の擦れる音が交じるそれは、更に物々しさを増す。フレイアは、あの悪夢のようなザールの襲撃を思い出し、恐怖のあまり身体がすくんでしまっていた。身動きのが全く出来ない彼女に、思いがけない事が起ころうとしていた。


 「誰かおらぬか!」


 若き騎兵が村の広場のから大声で叫んだ。ライテシアの兵だが、何故か村人達は恐れて出てこない。


 それには理由があった。兵達は日頃見慣れている兵士とは違っていたからである。男達の甲冑は、黒と白の2色の鎧からなり、その内側は朱色で、時に覗いては鮮やかに映えて見える。そして、同じ色彩のマントを羽織っていた。さらに、首に黄金の紋章が入っており、鎧、マント共に朱色、金色の刺繍が編み込まれている。騎兵の中でも地位は高いように思われるのだ。


 「代表者はいずこに居られるか、負傷兵の手当をしたい…」


 「なんだろう…」

 「ヘルメスじゃないみたいだね…」


 小屋の中から外を伺っていたメデサは、そう言うと誰も応対せぬのを見かねて、ゆっくりと広場へと向かった。クムは彼女のその勇気に驚きながらも、少しでも外の様子を知ろうと、納屋の隙間を覗いた。メデサは何か指で差し示して2名の兵士と話しをしていた。


 「どこの兵隊かな? 何かあったみたいだ」


 「どうしたの?」


 表の様子の変動に、フレイアも気になり、同じく隙間を見つけると、そこから表の様子を伺っていた。納屋の壁に張り付き2人並んで這い蹲ったその格好は、お世辞でも良いとは言えない。大神官の娘としては"のぞき"と云う下品な行為に、父メギディスが見れば嘆く事であろう。


 やがて、その兵士達の姿にフレイアは驚かされるのである。彼らのその姿は、王室を知るフレイアならば直ぐに理解できることであった。



<<後書き>>


新章が始まりました。


実質第2章からが本編みたいなものですが、よろしくお願いいたします。



皆さま、読んで下さいましてありがとうございます。感謝感謝しかないです。


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