第14話 生け贄
<<あらすじ>>
女神の噂話に求めてデムールまで来たのですが、、
街は廃墟の上、街外れに住む世捨て人にまで女神は噂と云われ落ち込む始末。
何故か水晶に導きに従えと、旅立たされました。
そして、いきなりの野宿…
そのおかげで精霊に会えたのだが…
この作品は
・独自のファンタジーの世界観があります。
・また下記の原案のリメイクとなります。
1991/07/19~杖無き賢者 番外編 『伝説』
1996/09/23~旧シャイニングコンタクト
1999/08/06~再編版シャイニングコンタクトHP掲載版
2005/09/06~再々編成版シャイニングコンタクト
を経て、今回の完全リメイクになりました。
「風が来ぬ… 嫌な予感がするわい」
昼間の空を見ても星が見える訳ではないが、村の長老がしきりに空を気にしていた。ここは湖の畔にある、50人程が住む村であった。人々は何故かここを大地の村と言う。
辺りは草原に囲まれ、ポプラの並木道が一筋、かろうじて、村に隣接していた。その並木道は俗に街道と呼ばれている物で、それはデム-ルの街から続き、さらに城下の街ザ-ルへと続いている。ザ-ルの街を除けば、この村はこの国の象徴のライテシア城へ最も近くに位置する村なのである。
この村は広大な土地に麦を育て少数ながらも家畜を飼い、それを元に生計をたてている村である。そこそこ普通の生活が出来ていた訳なのだが、一昨年水害がありそれ以降は村の生活は苦しくなるばかりであった。村には古びた木造家屋が多く存在し、あと数年も住めない状態の物が多い。だが、修復なんて出来る余裕などない。そんな彼らを、更に苦しめる者達がいた。
空を見つめていた村の長老は、広場へと重々しく向かい、既に集まっていた民衆に向かって語り出した。
「皆の衆。聞いてくれ… 明日は冥界の日じゃ」
「またしても、この忌々しい日がやって来る…」
長老はそう云うと、最前列を陣取った子供達を優しく見つめて語りかけた。その後ろには乳飲み子を抱変えた母親の姿も幾人かあった。
「よいか、子供達よ… お前達は、こんな乱世の中でも生き抜いて行かねばならぬ」
「強い者が世を征する時代であっても、断じて屈してはならぬぞ!」
力強く語る長老。年端の行かぬ子供達にはまだ理解出来ぬかも知れぬが、権力の威圧を垣間見ているその反応は違っていた。
「おじいさん、わたしたち、ヘルメスにかてるの?」
ボロボロになった着衣、痩せこけた身体、そして、砂混じりの顔で言う幼き子。その言葉に長老はただ頷くしかなかった。
冥界の日とは、本来、この国で毎月行われる平和式典の日である。しかし、その式典を呪い、ヘルメスは人間の生け贄を捧げる。そして、生け贄となる者を、掠奪に値しない村や街から選び要求して来るのだ。
今月もまた、その日がこの村に訪れようとしている。人々はいつしかその日を冥界の日と呼んでいた。
突如長老に、槍や剣で武装した若者が2人、ゆっくりと駆け寄った。耳元で何かを囁くと、その場へ膝を着いた。長老は、目を瞑り神へ懇願するかの如く天を仰ぐ。
「おおぅ… 神よなんと云う仕打ちぞ…」
長老が嘆くのも無理も無かった。その選ばれた人物があまりにも偉大であったのだ。
「皆の衆… 次の犠牲者が決まった…」
長老の言葉は震えていた。犠牲となる者が例え誰であっても許される事ではない。村人達からは、緊張の表情が伺われ、やがて、どよめきとなった。
「処刑されるのは、大神官のメギディス様だそうだ」
一斉に悲鳴にも似た声が辺りに騒めいた。中には、泣きわめく者すらいるぐらいだった。大神官が生け贄になると言う事で、今回はこの村から犠牲者を出さなくても済む。しかし、人々にその様な考えは決して浮かばなかった。さらなる悲報として捉えていたのである。
皆、神官を父として、最も敬い、最も愛し、又、神の代弁者として最も崇拝していたからだ。
騒動する村人とは逆に、湖畔には漣すら立たぬ静けさが続く。嵐の前の静けさと言うものであろうか。長老は、さらなる不吉な予感を胸に秘めていた。
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「ねぇ、もう何処かで休みましょう」
「そんな事云ったって、今日中にザールに入るんでしょ?」
「だったら、そんな暇ないよ」
その頃、フレイアとクムがこの村へと足を伸ばしており、丁度村の入り口にいた。だが、フレイアは元気がなかった。先の運命の森にて、精霊と出会った事など忘れたかと思わせる様子。だが、決して忘れたのではない、ただ長旅で疲れているのもあるが、滅びたザールの街へと足を運ぶのが億劫になっていたのだ。そんな事はお構いなしに、とっとと足を先に進めるクムだった。
「ねぇ、あれから精霊は出てこないわね…」
「…もう、見放されたんじゃない…」
「昔からそうなのよ、わたくしの家系って巡り合わせが悪いのよ…」
「ねぇ! 聞いてる!?」
「はいはい、良く聞こえてます…」
フレイアは、疲れてくると口数が増えるのであろうか。明らかに先を進むクムに、わざと聞こえる様に言っている風に思われる。クムもそれが判ってなのか冷ややかな態度を取り続けるのだ。それが不服で更に愚痴もこぼれる、と云う相乗効果型の無限軌道状態と云っていいだろう。
「お願いだから、今日は野宿って云わないでよね!?」
もう、駄駄を捏ねる寸前の様子で、どちらが子供か判らないぐらいだ。だが、この時初めてクムの反応がない事に気づいたフレイア。
ふと気づくと、先を行くクムの足が止まっていて、進路上の何かを見入っていて暫く沈黙していた。
「どうしたの?… 休む気になったの?」
「たっ、大変だっ!」
「何が大変なの?」
クムはようやく追いついたフレイアを見つめると、顔面蒼白になっていた。
「フレイアの親父さんが!」
クムが目に止めていた物はヘルメスの掲示物で、こんな場所に設置するなど過去には無かった。村の入り口の設置する事で村人達に圧力を掛けようとしているのだろう。
掲示物には、『明朝、日の出と共に旧ザ-ル闘技場にて、大神官の公開処刑を行う』と書かれていた。フレイアを炙り出す作戦に出たと云う事であろう。
それを目にしたフレイア、尋常な筈がある訳がない。全身から血の気が引くや意識が薄れて行くのを感じていた。あまりのショックに、彼女はその場で気を失って倒れてしまったのだ。
…ここは?…
いったいどのくらい経ったのかしら… わたくしは冷たい暗黙の世界に居ました。でも… 何故かある所だけ明かりが差す様に明るくなっていて、恐る恐るその明かりへと向かのですが、なかなか近づけないのです。焦る気持ちと、息切れで苦しさが増す中必死でもがくのですが、何故か身体が言う事を利かないのです。
ようやく、明かりの下へ辿り着いたと思ったら、張り付けになった父メギディスの屍が目の前に現れました。わたくしは思いっきり叫んだのですが、声にならず。いいえ、声が出なかったと云った方が正しいです。息も出来なくてもう駄目だと思った時、意識が戻った様です。
わたくしは全身を硬直させ、横たわっていました。ハッと我に返り直ぐに飛び起きましたが、全身には汗をかき、肩で息をするのがやっとでした。
起き上がってからも粗く大きな呼吸を何度も咽せ続けていました。傍には心配そうに付き添うクムの姿が映りました。
「気が付いた? 大丈夫?」
「随分うなされていたみたいだよ…」
クムはずっと付き添っていたらしく、心配そうに顔を覗いて来た。
「…大丈夫、大丈夫よ…」
とは、言うものの、夢の中とは云えあの様なものを見せられては、心中穏やかではない。全て打ち消したい思いだ。
暫くして、少し落ち着きを取り戻したフレイアは、そこが古びた納屋である事を知る。中は薄暗いが、建物自体が古いのであろう壁や天井には多くの隙間が見られる。そこから、外の明かりが漏れ入るのである。当然、ここに寝かされていると言う事は、誰かがここまで彼女を運んで来たと言う事である。納屋の外から引きずった跡が続いている。クムが運んでくれたのはすぐに判った。
<<後書き>>
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第2章14話~第2章20話にわたり
(今週、来週、再来週と3週間のみとなりますが)
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週2回(日曜日、水曜日)に変更いたします。
次回は3月24日(水)投稿となります。
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