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○○を好きになってしまった話  作者: けいちゃ
2/2

セフレを好きになってしまった話 女目線

私にはセフレがいる。彼氏はいない。

これだけ聞くとただのビッチなのかと思うのかもしれない。

けど、セフレができるまで彼氏はお愚か、男子とろくに遊んだこともなかった。

女子高だったというと言い訳にしかならないが、とにかくビッチではない、と思う。


でもそんな私に彼氏じゃなくてセフレができた。

きっかけは馬鹿な話だった。

なんとなく友達の紹介で、一緒に遊んだ男の子を家に呼んだら抱かれてしまった。

別に嫌ではなかった。普通にいい人だったし、しゃべりやすくて面白い。好きではないけど別に付き合ってもいいかなと思った。

けど私はとんでもない勘違いをしていた。別に抱かれたからと言って彼氏になるわけじゃないのだ。

その男の子に


「私たちこれで恋人だよね」


って言ったらとても驚かれた。何言ってんだこいつと言わんばかりの目を向けてきたのだ。

私はいったん気持ちを整理して、男の子を家に帰してから友達に相談してみた。


初めてをさっき会った男の子にあげたこと。なぜか彼氏にはならなかったこと。

ポケモンゲット的なノリで彼氏になると思っていたのだが、そうではないらしい。


実を言うと、めちゃめちゃ恥ずかしかった。それと同時に悔しい気持ちになった。意地でも彼氏にしてやろうと思いまず男の子を呼び出して付き合ってとお願いしてみた。

しかし彼は「無理」の一点張り。それもそうだろう。一般的には一回抱いたぐらいじゃ彼女にしない。


でも私はここで諦めたらもう会えなくな気がしてどうにかしようと思い泣きついてみた。

彼は少し考えていたが、やはり無駄だった。


私は最終手段に出ることにした。土下座だ。日本人なら誰でも知ってる土下座。


「私の初めてを奪ったんなら最後まで責任取ってください」


とんでもない絵面だろう。しかしこうするしかなかった。

しばらくすると彼は私の顔を見て、とても悩んだような面持ちで、私に一言。


「わかった。セフレならいいよ」


こうして彼は私のセフレになった。すごいうれしかった。彼氏ではないけど、何か関係を持てたのがものすごいうれしかった。

好きでもない相手によくも本気になれるねと友達に笑われたが別に良かった。

これで満足なのだ。

「そんなくず男さっさと忘れなよ」とも言われたが忘れられるわけがなかった。そんなことより彼との生活が始まるのが楽しみで仕方なかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


セフレになってから二ヶ月立った。彼とは何とも言えない関係を保っていた。休日に私の家にきて会うには会うのだが、別に彼はヤりたがらないし特に何をするわけでもなく、ただなんとなく一緒にいるだけだった。

やるときはやったし、遊びに出かけたいといえばついてきてくれた。これはセフレじゃなくて彼女に近いんじゃないかと私は心の中で思っていた。多分彼なりに配慮してくれてるんだと思う。

そして彼のことをいろいろ知ることになった。今まで彼女は10人以上。体の関係を持った相手は30を超えているという。本当にヤリチンだった。

でも彼はとても優しかった。デートに行ったらエスコートしてくれるし、私のお願いに何一つ嫌な顔することなく聞いてくれた。


私は彼が好きになっていた。もしかしたら関係を持った時から好きだったのかもしれない。

でも今、私は彼のことが好き。それは確信できた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


セフレになってから半年近くなった。私は彼にどうにか好かれようといろいろなことをした。まずきれいになろうとして化粧を学んだり、美容サロンに通った。しばらくすると友達から「綺麗になったね」と言われるほどになった。私も少しは自覚していた。可愛くなってる、と。


それでも彼はなかなか振り向いてくれなかった。私は彼への気持ちが爆発しそうだった。

しかしそんな思いとは裏腹にもうあきらめてこの関係をやめた方がいいんじゃないかって思い始めた。この関係を続けても辛くなるのはわかりきっていた。こんなに悩んでいても彼の態度は変わらない。抱くときは抱くし遊びに行くときは行く。ずっとそんな感じだった。


そしてある日、事件が起きた。バイトの先輩から告白されたのだ。


「みゆちゃんって好きな人とかいるの?」


バイトの先輩からの唐突な質問だった。


「え、いないですけど」


即答した。今のセフレが好きですとは口が裂けても言えない。というかセフレがいるのをばれたらまずい。先輩は私の言葉を聞くと、私の目を見てこう言った。


「じゃあ俺と付き合ってよ」


人生初めての告白だった。とてもうれしい反面、なんていえばいいかわからなくてとても困った。そんな様子を見かねてか、先輩は返事はいつでもいいからね。と言ってそそくさとバイトを上がってしまった。こんなことあるだろうか。

でも私はいいきっかけになると思った。彼を忘れることができる。


とりあえず私は彼に話してみようと思った。もしかしたら止めてくれるかもしれないという期待があったからだ。

もし彼が引き留めてくれれば先輩の話は断ろう。そう思った。我ながらクズ過ぎる考えだと思ったがもうどうでもよかった。


-------------------------------------------------


大事な話したいから家に来てほしい


そう一通のラインを送ると彼はすぐ家に来てくれた。私はとても不安だった。もしかしたら引き留めてくれないかもしれない。そう考えると汗が止まらなかった。


彼は私が大事な話をする前に抱いてきた。やりたい日だったのだろう。でも、もしかしたらこんなことをもうできないかもしれない。そう考えると自然と彼を抱きしめる力が強くなった。


そして行為が終わると、意を決してあの話をすることにした。


「私、彼氏ができた」


「え。は?」


彼はとても驚いていた。それもそうだ。男っ気が全くない私に急に彼氏だ。まぁまだ彼氏になったわけではないがそう言った方が彼も引き留めてくれるかもしれない。そう思ったのだ。

でも彼の目から安堵の色がうかがえた。半年も一緒にいればわかる。安心しているのだ。

何に対してかはわからない。私に彼氏ができたことに対してかもしれないし、私から解放されるからかもしれない。

私は少し焦った。とりあえず、正直に話すことにした。


昨日告白されてこと。そしてその返事を受けようと思っていること。

しかし全く彼は反応してくれない。もうどうでもよくなったかのように。私からやっと解放されることを喜んでいるのだろうか。


気づいたら私はとんでもないことを口にしていた。


「ちょっと前まで好きだったんだよ」


私は混乱した。これは全くの嘘だ。私は今でも彼のことが好き。しかしこれは私の口から出た言葉だった。焦りすぎている。彼が一向に返事してくれないし、このままで終わってしまいそうだった。それが怖くもあったのだ。だからあんな失言をしてしまったのだ。


一度冷静になろうと思い、彼にシャワーを浴びてくると言ってお風呂場に向かう。

しばらくするとガチャッと音がした。まさかと思い、ふろ場から飛び出した。


彼がいない。


そして私は机の上にあるメモ帳を見つける。


「幸せになれよ」


私は急いで彼に連絡しようとスマホを手に取る。ドッキリだった。そういうことにしよう。先輩との話は嘘でドッキリだったと。私は彼が「騙された」と言い、笑う顔が目に浮かんだ。


LINEが消えている。


何かの間違いかと思った。でも何度も確認したがどこにもない。彼がやったのだ。

彼は優しい。怖すぎるほどに。完璧なやさしさ。「俺のことなんか忘れて彼氏と楽しくやれよ」

そんなことを言う彼が頭に浮かんだ。


私は泣いた。喉が裂けそうなくらいに。そして自分を呪った。欲張りすぎたのだ。彼とセフレ以上の関係を望んだから。もう取り戻せない。彼と会うこともない。これほどの関係だったのだ。

数分ほどですべてなかったことのなってしまう関係。


私はやけに広く感じる部屋で一人、セフレがいない夜を過ごした。










誤字脱字等ございましたらご報告お願いします。


良かったら感想や評価などよろしくお願いいたします。

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