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プロローグ
今日は一日中雨の降る肌寒い日だった。いつも通り6畳ほどの狭い部屋で1人、晩酌をしている畠山健は何一つ変わったことのない毎日を思い返していた。2本目の缶ビールを開けたときだった。プルルプルル...
急にかかってきた電話に少し驚きながらも恐る恐る出る。
「おい、健!テレビみてるか、」
焦った声でかけてきたのは、静岡県警捜査第一課長の山田宏紀だった。宏紀はいつも大人しく人前で喋ることはないが飲み屋であった時、打ち解けた。
どうやらなにか起こったらしい。急いでテレビをつけ山田課長の話を聞いているうちにことの重大さに気づいた。
「今日未明、政府が異例の発表をしました。日本国憲法第一零条である少年法が改正されるようです。」
東京警視庁が映し出された。改正された内容は少年法の最高刑が死刑になると言うものだった。
健が所属している静岡地方検察庁では静岡一家殺人事件の容疑者である中坂祐希。ここでは少年Aとする。この少年の判決を行うことになっていた。その担当検事が健だった。