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第1話 アイ子と美咲

第一話  アイ子と美咲




「____というわけだ。頼んだよ、美咲」

「はあ? ちょっと待ってよ、叔父さん!」

「なん度も言わせるな。博士、と呼びたまえ」

「だって、え? あの子が? 高校に?」

「そうだよ。提案こそ僕がしたものの、行くという選択をしたのはアイ子だ」

「まじ?」




「美咲さん よろしくお願いします」




 今日は 先生 の姪っ子の 美咲さんが いらしています。





「待って待って待って? 信じられない。叔父さん、ほら見て。この制服! 超名門私立偏差値70の聖桐ヶ丘高校の制服!」

「それがどうした? 僕だってそこのOBだ」

「合格したの? あの子も?」

「そうさ」

「なんで?」

「頭の悪いロボットを僕が作るとでも?」

「いや、まあ、そうだけど。そんなことって、」

「桐ヶ丘では僕は非常に優秀な生徒でね。特別に事情を話したらOKしてくれたよ」

「母さんに相談する」

「バカバカバカ!」

「バカじゃない!」

「姉さんにはこのことは内緒にしておいてくれないか」

「なんでよ」

「なんでも、だ」

「でもだって、叔父さん」

「博士」

「博士、私だって必死の思いで勉強してようやく桐ヶ丘に入学を決めたのよ? 今日だって褒めてくれると思って制服着てきたのに「それが?」だなんてひどいじゃない! 髪だって染めて、たくさん友達作ろうと思って、」




「美咲さん は とても可愛くなられました」




「アンタは黙ってて!」




 美咲さん は顔を真っ赤にして怒っています。

 アイ子 は 余計なことを言ってしまったのでしょうか。




「ほ〜ら〜。美咲が怒ったからアイ子、泣いちゃったじゃないか」

「ロボットが泣くわけないでしょ! もう、デタラメ言わないでよ」

「心が泣いてるんだよ。な〜? アイ子」



「はい。先生」




「頼むよ、美咲。美咲にしか頼めないことなんだ。ほら、アイ子もお願いしなさい」

「お願いします 美咲さん」





「……何よ。そんな目で見ないでよ」

「知ってるんだ、僕は。美咲は大好き僕の頼みは断れるはずがない。100パーセントの確証を持ってお願いしてるんだよ。な、アイ子」




「はい。先生」


「だ、大好き!???!!??」

「そうさ? 小さい頃はよく言ってくれたじゃないか。五条叔父さんと結婚する! って」

「むむむむむむ昔のことでしょ?!」

「そしたらアイ子、姉さんったらひどいんだ。「美咲、あんな変人やめておきなさい」っていうんだよ」




「先生 は とても素敵な博士です」




「ほら、な?」

「自分が作ったロボットに何言わせてんのよ、この変態博士!!」

「失敬な。いいかい? アイ子は正確には“人型AIロボット”だから、ただのロボットってわけじゃないんだ。人工知能は日々進化する」

「高校の勉強なんて必要ないんじゃないの?」

「そんなことはない。豊かな人間関係がこの子にどのような影響を与えるのか、僕は見てみたいんだ」





「わかったわよ。面倒見ればいいんでしょ。明日の入学式、変態博士も来るの?」

「変態博士は勘弁してくれ」

「五条叔父さん」

「姉さんも義兄さんも来るんだろう?」

「ママとパパ? もちろん来るわよ」

「じゃあ、行かない。アイ子のことは任せるけど、できれば姉さんたちに会わせて欲しくない。難しいことを頼んでるのは承知の上だ。お願いできるかい?」

「……わかったわ。じゃあ、アイ子、また明日。迎えにくればいいのよね?」

「ありがとう。僕のかわいい美咲ちゃん」

「や、やめてよ!! もうあたし高校生になるんだから!」

「はいはい」




 美咲さん は しょっちゅうこのラボに遊びにきますが

 なんだか いつも 美咲さんが帰った後はとても静かになります




「まったく。いつまで経っても嵐みたいな子だな。まったく似てない」

「誰と ですか?」

「いや。気にしなくていいよ。それより、アイ子にも制服が届いているよ。さっき美咲が来ていたのと同じやつだ。着てみるかい?」




「はい!」



 明日は 入学式 です!


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