第1章 あえて己が道を極めんとするハイスペック作者『安岡寺おめめ』について
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このエッセイは、なろう樹海の暗闇に潜み、密かに日々活動を続ける「知られざる作者」について取り上げるものである。
このエッセイではある特定の作品ではなく、あくまでその作者がこれまでに書き上げてきた『作品群』を検討することを特徴としている。また『作者自身の行動』も検討の対象としている。
つまり『作者・作品群の検討』を行おうとするものなのである。
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第一回目である今回は、
圧倒的な多才さを誇るも、あえて己が道を極めんとするハイスペック作者『安岡寺おめめ氏』を特集する。
*なおこのエッセイは安岡寺おめめ氏の許可を得て執筆し掲載している。
以下の三行は安岡寺おめめ氏からみなさまへのメッセージである。
――――――― 安岡寺おめめ ―――――――――
ご紹介にあずかりました安岡寺おめめです。
どうかわたしのことは気軽におめめとお呼びください。
ポイんっ、ポイんっポイんっ、ポイんっ……ポイんっ!
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□□□□□□□□ 留意事項 □□□□□□□□□□
まず彼(最近彼女になったらしい)の紹介を始める前に、あらかじめ留意点をお伝えしておく。
安岡寺おめめ作品のほとんどはR-15指定となっているためその観覧にはご注意いただきたい。
また私がたまに敢えて「安岡寺おめめ」と呼び捨てにしているのは、彼女(以前は彼だった)はおそらくMな体質であり、呼び捨てにされた方が喜ぶだろうと考えるからである。
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第1章 << 「安岡寺おめめ」とは >>
「安岡寺おめめ」とは主にコメディージャンルをメインに活動しているなろう作家である。
まず、世間のほとんど(99.9%)の方々は「安岡寺おめめ」という人物を知らないと思われるので、彼女のこれまでの活動の略歴を述べておく。
なお事前に断っておくが、彼女は決して『小説家になろう』において有名人という訳ではない。
またその作風は『ウケる人には絶対ウケること間違いない』が、その一方で『多くの人には理解しがたい』という特色溢れた作風を追求している。
―――――――― 以下略歴 ――――――――――
■2018年8月初旬
初投稿。現在も連載を続けている彼の代表作となる以下の作品の連載を開始する。
『魔界放送協会(MHK)の職員(人間界担当)になったけど、人間界にはテレビがなかった(現在190pt : 42ブクマ)』
以降、この代表作の連載と並行して、積極的に短編作品を投稿し始める。
■2018年8月中旬
代表作と世界観を共有する作品である以下の作品の連載を開始する。
『セクハラ大好きな伝説の魔女は男嫌いなので、性転換魔法で女だらけの楽園を目指す(現在437pt : 130ブクマ)』
■2018年9月頃
これまでの作風と大きく異なる一般大衆ウケを意識して書かれた以下の作品の連載を開始する。
『四天王最弱の俺が、実は勇者と付き合ってる(現在2,912 pt : 1,053ブクマ)』
異世界(恋愛)ジャンルに投稿されたこの作品は、瞬く間に自身最大のヒット作となり世間的な注目を集める。
しかし投稿を1ヶ月ぐらい続けた後にエタらせる。おそらく平凡過ぎる作風に飽きたものと考えられる。
なお、この作品のあらすじには
「※日間総合ランキング最高64位、日間異世界恋愛カテゴリ最高9位になりました!」
との記述が残っていることから、少なくとも彼が自作品のランキングを気にしていたことが伺える。
またこれらのことから、彼は決して筆力が無い作者であるわけではなく、世間ウケする物を書こうとすれば、十分に書けるレベルの才能の持ち主であることが伺える。
なお()内のpt数及びブクマ数は2019.03.21現在のものである。
■2018年11月下旬
なぜか『Vチューバーを目指す』ことを決意する???
なおVチューバーについては以下の彼女の代表作『魔界放送協会(MHK)』の記述からの引用をご参照いただきたい。
― 引用 ―
『V型の金管楽器ではない。Vチューバーというのは、バーチャルユーチューバーの略で、いわゆる美少女のアバターを使ったユーチューブ配信をする人たちの総称だ。』
『ちなみに、バ美肉おじさんというのは、バーチャル美少女受肉おじさんの略で、おじさんがバーチャルのちからを借りて、美少女の体を受肉した状態のことを言う。』
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そしていつの間にか『彼女』になったらしい???
■2019年3月中旬
iPad/iPhoneで『半角スペース入力』を『全角スペース』に自動で置き換えるだけの便利アプリ『おめめライター』をリリース???
―――――――― 略歴以上 ――――――――――
以上が『小説家になろう』における彼女の活動の略歴である。
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以上の略歴からわかる通り、安岡寺おめめ氏は決して筆力のない底辺作者ではなく、また多方面の才能を併せ持っているという、極めて稀な人物と言える。
そしてそれは彼女の作品内容に含まれる、科学や文学に対する豊富な知識からも伺える。
彼女の作品は『バイオレンス・コメディ』という特色のありすぎるジャンルを追求しつつも、話の内容の要所要所に社会風刺的な描写が多数含まれているなどから、謎の知的さを感じざるを得ない人物なのである。
そしてその才能は作家活動に止まらず、執筆環境を改善するために自らアプリケーションの開発まで行っているというのであるから驚きだ。
バ美肉転生してアプリ開発まで行ってしまうなろう作家は、おそらく彼女ぐらいではないだろうか。
以上のことを総合すると、客観的に見て彼女は極めて珍しいタイプの『ハイスペック作者』であることが分かる。
一方で、その行動には謎が多い。
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<< 「安岡寺おめめ」が秘める謎 >>
その最大の謎は、
彼女が自身の初投稿作品であり、世間的な人気も得られていない、
『魔界放送協会(MHK)の職員(人間界担当)になったけど、人間界にはテレビがなかった』(現在190pt : 42ブクマ)
の執筆を中心に現在も活動を続けていることである。
つまり世間ウケする作品を書こうと思えばいくらでも書ける才能を持っていると考えられるのに、敢えて自身の作品の中でも未だ世間的にあまり評価されていない作品の執筆に注力しているのである。
不思議だ。
では彼女が世間的な評価に興味がないのか、といえばそうではなく。一応、ポイント・ブクマ・ランキングに関心は持っているようだ。
特に現在42人分得ている『魔界放送協会(MHK)〜』のブクマ数についてはかなりの関心ごとであるらしく、このブクマ数については活動報告などでも度々触れている。
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なろうの底辺作家界隈において『俺は本気になれば何でもできるけど、ただやらないだけだし〜』とうそぶく者は多い。
ただし、その様な者たちに真の実力があった試しなど、たったの一例もない。
しかし彼女の場合は、活動開始後わずか2ヶ月目にして、2,912 pt : 1,053ブクマを獲得する作品を書き上げることで、実際にその実力を証明している。
そして、それほどの実力があることを世間に示した上で、敢えて 190pt : 42ブクマの『魔界放送協会(MHK)〜』に取り組み続けているのだ。
つまり「小説家になろう」において上流に行く実力は十分あるのに、『あえて底辺作者であることに甘んじている』のだ。
なぜなんだ。
実に謎だ。
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なお、彼女が執筆に本気で取り組んでいるであろうことは『魔界放送協会(MHK)〜』の作品タグに
ネット小説大賞七感想 , ESN大賞 ,
と入れてあることからも本気さが伺える。
彼女はあくまでも本気で、初投稿から約半年経った現在も190pt : 42ブクマ作品である『魔界放送協会(MHK)〜』(現在295,164文字)に一貫して取り組み続けているのである。
一体なぜだろうか?
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そして、私にとって最大の謎は、
「私にとって最高に面白いと感じる『魔界放送協会(MHK)〜』がなぜか、世間的な評価を獲得できておらず、しかも彼女の作品群の中ですら低いポイント評価に甘んじているのか?」
ということにある。
これもなぜなんだ?
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そこで、このエッセイでは安岡寺おめめ氏に許可をいただいた上で、彼女の作品群を検討し『安岡寺おめめ作品が持つ謎の面白さ』を明らかとすることを主目的に考察を行っていくことにした。
目次は以下の通りである。
――――――――― 目次 ―――――――――――
第1章 あえて己が道を極めんとするハイスペック作者『安岡寺おめめ』について
―安岡寺おめめの略歴
―安岡寺おめめが秘める謎
第2章 安岡寺おめめ作品が一部のファンたちに激ウケするのはなぜか
―初めてのおめめ作品との遭遇は必然だった
―おめめ作品の特徴は『とにかく読みやすこと』
―「〜だから〜する」という一貫性のあるストーリー構造
―電子で読むことを前提とした広い行間の使い方
―共通認識を利用したキャラ付けの徹底
―面白さの背景にある「風刺の上手さ、謎の知的さ」
第3章 安岡寺おめめ作品が世間的に評価されていないのはなぜか
―タイトル・あらすじに含まれるマイナスワードの読者避け効果
―作品内容とユーザー層とのミスマッチ
最終章 『安岡寺おめめ』という人物
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このエッセイでは、安岡おめめ氏の作者・作品群分析を行うことで、なろう樹海に潜む陰の者の生態を明らかにし、その中から他のなろう樹海作者に役立つ何かを見出し、今後の知見としたい。
早速次話から『おめめ作品群』の考察を行っていく。
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