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ボクサーの場合

　いつ面白くなるのかなって思った？

　全部こんなんだよ。

「……なんで僕ここにいるんです？」

「折角なので解説してもらおうかなと」

「何が折角？」

「だって全然面白い捕まり方じゃなかったから、トテモさんの取れ高が足りないんですよ」

「ひっで」

「おぉっと！　ハンターが次の逃亡者を見つけたようです！」

「スゴイ切り替えだ……！」

「しかしこれはどういう事だ！？　逃亡者は逃げずにハンターを待っている！　逃亡者という言葉の意味を知らないのでしょうか？」

「いえ、これはただ待っているわけではない」

「トテモさん、何かお気づきになったのでしょうか？」

「よく見てください、これは待っているのではなく、待ち構えている！　ファイティングポーズだ！　それもこれは、ボクシングのもの！」

「確かに！　両腕で頭を防御する見慣れたポーズだ！」

「正確には、顎を防御しているんです」

「なるほど！　鬼ごっこでファイティングポーズ、何の意味が！？」

「見当もつきません！」

「ああ！　なんとハンターのタッチしようとした手を拳で弾きましたぁ！」

「しかもこれはスゴイ技術ですよ！　手のひらにさわればアウトなので、正確に手首を打ち抜いています！　ボクサーのジャブに比べたら遅いとでも言わんばかりだ！」

「そしてそこからボディ！　ボディ！　ボディ！　最後に顎！　ハンターはノックアウトされてしまいました！　いやぁ、スゴイですね。解説のトテモさん彼は何者なんでしょうか？」

「彼の名前はパンチング・メチャハヤイ。元ボクシングヘビー級チャンピオンです」

「なるほど、通りで強いわけですね！　倒れたハンターを尻目に、パンチングさんは颯爽とその場を去ります！」

「カッコいいですね！」

「なお、暴行は犯罪行為なので失格となります！　警察にも連絡します！」