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仮病




「先生。私は一体なんの病気なんでしょうか?」


消毒薬の独特な匂いを感じながら胸中の不安を尋ねると、医者はレントゲン写真を見つめながら淡々と答えた。


「はい。ほぼ間違いなく仮病でしょうね」


「・・・は?仮病?」


「ええ。仮病です」


急な腹痛によって這う這うの体で病院へとやってきたのに仮病と告げられては身もふたもない、私は声を荒げた。


「そ、そんなわけがありません!本当に痛いんです!」


「落ち着いてください。仮病と言っても普通の仮病とは違い、あなたのおっしゃる通り本当に痛みを伴う病気です」


仮病とは病気であることを偽るわけで実際に病気ではないはず・・・


医者の言うことが全く理解できずおうむ返しのように質問した。


「痛みを伴う仮病ですか・・・?」


「そうです。一つ確認させてもらいますが、今日、あなたにとって何かやりたくないことがあるんじゃないでしょうか?」


「やりたくないことですか?・・・あっ!」


「やはり心当たりがあるようですね。おそらく、あなたはそのをやりたくないことを何度か仮病を使って休んだことが有るんじゃないでしょうか?」


「・・・」


図星だ。たしかに、三ヶ月前程から何度か仮病を使ったことは記憶に新しい。


「人の体というものはですね、非常に素直にできています。あなたが仮病を使って休む事で、体は身体的な痛みが伴えばやりたくないことを回避できるんだと学習し、それを実行に移してしまう病気、それが本当の仮病です」


「そんなことが・・・。治療法はあるんですか?」


そう言うと、常に冷静であった医者の顔が曇る。


「無いことは無いんですが、少し荒療治になりますね。何せ実際にはどこにも悪いところはないので薬は効きません」


「こんな痛みを毎日背負うよりはずっとましです!荒療治でも構いません!ぜひやってください!」


「わかりました。治療法を説明しましょう・・・」


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「なるほど・・・」


医者の言う治療法とは単純明快だった。


やりたくない事を回避する為に痛みを伴うのであれば、痛みが伴おうともそのやりたくないことを何度も実行に移し、回避できないと認識させるというのだ。


「幸いにもここは病院ですから。誰もが嫌がるアレがありますよ」


医者の嬉々とした顔が少し怖い。


私は恐る恐る訪ねた。






「アレ?アレとは何のことでしょうか?」






「いえいえ、大したものではないんですよ。ただ話は変わりますが、注射はお好きですか?」





一日一話投稿する。


そんな思いでストーリーを書き始めたにもかかわらず、最近ちょこちょこ休んでしまいます。


でも、仕方ないんです。


だって、私もお腹が痛くなるんですから。

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