第008話 依頼書
森の中に、大きな木があった。
一部分、枯れてきていた。
木と同化して、眠っていたハイ・エルフが、目を覚ます。
「なんだろう?懐かしい気配がする」
木の前には、2体の石像が立っていた。
「まだ、何も変わらないようだね」
再び、眠りについた。
中に入ると、ケラスの街の冒険者ギルドと同じで、酒場の様な場所であったが、規模がでかい。
依頼が、張り出されている掲示板もでかい!
酒を頼むカウンターもでかい。
テーブルも20以上あり、100人以上収容できそうだ。
しかも、席の半分は、埋まっていて50人はいるだろう。
入った途端に全ての目線が、こちらを向いたが、すぐに興味なさそうに、そらされた。
2人だけ、ナッチの行動を見つめていた。
顔を見ると、下心の興味のようだ。
依頼が貼ってある、掲示板の前まで行く。
「100枚以上貼ってあるんじゃないか?読むだけでも、ひと苦労だな」
「成功報酬が高いものだけを、探しましょう」
ナッチが右から、私が左から依頼を読んでいく。
1時間ほどで、中心まで読み終わり、ナッチと顔を見合わせる。
「「北の山脈の黒竜討伐!金貨1000枚!!」」
ほぼ、中心に張り出された依頼書を同時に読み上げる。
「討伐証明方法が、書いてないけど?討伐証明はどうやるんだろう?」
「流石、リュウジだな。もう、討伐確定なのか?感性が普通じゃないな」
詳細は、以下の通りである。
北の山脈の黒竜討伐
報酬 金貨1000枚
北の山脈のカルラ山の頂上付近に居座り、周囲の家畜を定期的に捕食しているため、討伐を皇帝の命令にて冒険者ギルドへ依頼された。
討伐ではなく、撤退させた場合でも金貨100枚の褒賞を出す。
正式な国からの依頼のため、依頼を受けるものは、ギルドで依頼書を作成したのちに皇帝の許可が必要であるが、ギルドマスターの代理承認でも許可される。
依頼書が有効の期間内は、全ての通行税を免除される。
支度金として依頼書発行には金貨20枚を提出すること。
依頼書をナッチが掲示板から取ると、大騒ぎになる。
「なんだ!あのドレスの美人は!」
「まじか!黒竜に手を出す馬鹿が、また来た!」
「あの、横の騎士がやるのか?」
「どこの騎士だ!?」
「この前、ロッベン騎士団が退却させられたばっかりじゃねえか!」
また、視線が集まって、かなり恥ずかしい。
何食わぬ顔で、ナッチがカウンターの店主と思う親父に依頼書を持っていく。
「あ?お前ら、ここは初めてか?俺はマスターじゃないぞ。あそこの席で酒を飲んでるのが、ギルドマスターだよ。悪い事は言わないが、その依頼は辞めた方が良いぞ。もう1年ぐらい誰も達成できてねぇ」
言われた場所に、一人で酒をガバガバ飲んでいる、ダークエルフのナイスボディーのお姉さんが、露出度が高い服の隙間から、酔っ払って赤くなった肌を晒していた。
白髪で、茶色い瞳が、酔っているのか、焦点が合っていない。
おお!目の保養になる。
一瞬、見惚れたらナッチに腹部に一発、肘打ちをもらう。
ダークエルフにナッチが依頼書を持っていく。
「依頼書の受領サインおねがします」
流れ的には、掲示板で依頼書を見て、受ける依頼の依頼書を外して、ギルドマスターにサインをもらうと依頼開始の様だ。
「ああああ?!お前らが黒竜?何人いるんだ?」
「二人だけど?」
「本気で言ってるのか?冗談は赤いドレスだけにしてくれ。冒険者の依頼をドレスで受ける馬鹿は、初めて見たぞ!冒険者を舐めてるのか?」
「で?依頼は、受けれるのか?」
ナッチが、少し怒っている。
「サインはしてやるが、金貨20枚は何処だ?」
私が、金貨を20枚テーブルに置く。
ダークエルフが金貨を見た途端、真剣な眼差しになる。
「.....本気だったのか?2人って嘘だろ?依頼書に参加者の名前を書いて持ってこい」
すぐさま、ナッチと私がサインして依頼書を渡す。
「.........本気で2人かよ!!てめーら!!裏まで来い!!」
冒険者ギルドの裏口に案内されて外に出ると、練習場にような、武器や道具が置いてある広場に出る。
何人かが、剣で模擬戦をやっていた。
サインを読んで、武器の並んでいる所に、依頼書を置いた。
「ナッチとリュウジか?私の名前は、暴殺のマギアだ。
この前、ロッベン騎士団が20人で黒竜に挑んで、3人殺されたばかりだ。とても2人で倒せるとは思えん。
死にに行く奴を止めないほど、無慈悲じゃないんでな。
私に勝てたらサインしてやる。
かかって来い!」
マギアが、模擬戦用の木製武器を手にとって、構えてこちらを向いた。
ナッチがスカートから、無名の名剣を取り出す。
「な!お前どっから出した!!ま、まて、その剣は、駄目だ!!こっちの模擬戦用の物を使え」
マギアが、焦って叫ぶ。
まぁ、木刀VS名剣は、恐ろしいわな。
物凄く納得いかない顔をして、スカートの中に剣をしまって、ナッチが模擬戦用の剣を手に取り、マギアと向かい合う。
「リュウジは、構えないのか?2人一緒でも構わないぞ」
剣によほどの自信があるのか、挑発してくる。
二人のステータスを比較すると、
名前 ナッチ・クロウデス
性別 女
種族 人間
状態 正常
レベル30
生命力 630/630
魔力 367/367
攻撃力 177+103
防御力 96+104
スキル
小剣 レベル8
大剣 レベル11
炎魔法 レベル3
雷耐性 レベル3
即死耐性 レベル1
装備
模造刀(補正3)
パーティードレス(赤) (補正4)
真実の義眼(ALL補正100)
名前 マギア・リュークド
性別 女
種族 ダークエルフ
状態 正常
レベル56
生命力 1020/1020
魔力 970/970
攻撃力 340+3
防御力 280+35
スキル
小剣 レベル10
鈍器 レベル16
黒魔法 レベル11
装備
模造刀(補正3)
セクシーな皮の鎧(補正35)
マギアは、本来はハンマーなどがメイン装備のようだ。
基本的な性能は、マギアの方がレベルが高い分、有利に感じるが、目の良さや、耳の聞こえ方などの詳細のステータスは、真実の義眼を装備しているナッチが、有利のはずである。
勝負が見たい気もするが、無詠唱で睡眠魔法を連想する。
『スリープラリ』
マギアが、倒れた.....あっけない。
やる気満々だったナッチが、悲しそうに私を見る.......
周囲の人には、大イビキをして寝ている様に見えるので、飲み過ぎでマギアが倒れたと判断されて、騒ぎにもならず、マギアを冒険者ギルドの2階へ運んで、起きるのを待つ事になった。
目が覚めたマギアが、驚く。
「な?なんで、ベットに寝てるんだ?倒されたのか?」
「そうですよ。サインください」
依頼書とペンをマギアに渡す。
キョトンとして、私とナッチの顔を見た後に、依頼書に自分の名前を書いた後に、もう一度、承認のサインをした。
「私も行こう」
「「え!?」」
「報酬はいらないので、手伝わせてくれ」
「それは良いですが、どうして?」
「最近、殺された3人の中に私の知り合いがいてな。騎士になりたての気が良い奴だったんだがな。まぁ仇討ちみたいなものだ。何故かお前たちなら、倒してしまうような気がした。それで、少しムキになってしまったかもしれん。試すような事をして、すまなかった」
お酒を、あおるように飲んでいた理由はこれかな?
あまり目立ちたくないが、少しは同情の余地はある。
「ナッチが良ければ、私はかまいませんよ」
「リュウジが良ければいいぞ」
「じゃぁ決定という事で、よろしくお願いします」
「では、明日の朝までに、ギルドの業務を引き継ぎさせて、行けるように準備するので待ってくれるか?」
「わかりました。明日の朝に王都の入り口で待ち合わせして行きましょう」
「わかった」
マギアがベットから起き上がり、準備を始めたので、私たちも街へ、ナッチとくりだした。
冒険者ギルドから出て、街を見物しながら食料の買い出しをしたが、食料を温かいままで、アイテムボックスに入れると、取り出した時も温かいという事が判明する。
便利だが、全く仕組みがわからない。
物価も、だいたいの判断だと、金貨1枚が日本円で10万円程だと感じる。
ゲーム中だと金貨しかなかったので、10万未満の物が、なかったってことになるな。
昼をナッチと食べている時に、息を切らしたマギアが現れる。
「お前ら!!!冒険者ギルドに加入してないだろう!!依頼書返せ !!非常識すぎだぞ!!」
「「?!」」
「冒険者ギルドに加入してないと依頼は受けれない!」
「じゃあ、加入しときます」
「加入してなくても依頼を受けた時あったわよ」
「とりあえず、冒険者ギルドまで来てくれ!」
マギアに、強制連行の様な形で、冒険者ギルドまで連れられて行く羽目になった。
人物紹介
マギア・リュークド
ダークエルフ 78歳
白髪で、茶色い瞳
身長162cm 女性
ショトカットでマッシュルームの様な髪型である
ボンキューボンな体型をしており、服が煩わしいので露出度が高い服を好んで着る
クルト帝国の王都テトモスの冒険者ギルドのギルドマスターである
高齢だが、エルフの種族の性質上、外見は20歳ほどである。
この世界でのエルフの寿命は、300歳前後
性格は、姉御肌であり、酒が大好き
愛用の武器は、ダークネスハンマーで1mほどの柄の先に大型の鉄の塊が付いているものを使用して、相手の防御を無視して潰していく事から、暴殺のマギアと言う二つ名を持っている。