第046話 へデン・パネッティー
リュウジによって生き返ったロッベン・ルワが、ミワ王国の最高議会議長と会議室にいた。
「では、君がクルト帝国の皇帝を暗殺するという事で、良いのだね」
「そうだ。暗殺に成功したら議会議員の席と、ミワ王国での地位を約束するのであればだ」
議長のハリク・モレルは、眉をひそめる。
仮にも七騎士団の団長だった男だ。
暗殺は成功するかもしれないが、ミワ王国も裏切られない保証がない。
成功したら逆に彼も消せば良いか...
そう考えてハリクは、実行に移す。
「人手は何人必要だ?」
「王宮迄の秘密通路で先入するから3人程で、王国で最強クラスの傭兵を用意してもらいたい」
「わかった」
傭兵に、皇帝暗殺迄のロッベンの警護と終了後の殺害を依頼する為に、人選を開始するのだった。
天空の城の破壊を休めて語りだした。
「まずは、何から話そうかしら?あなたと運命の出会いをしたのは六歳の時よ」
「私は、まったく記憶がないんですが...?」
「まったくないだって!?」
ヘデンが、激怒した。
足を地面に叩きつけて床が蜘蛛の巣状に割れる。
「リュウジ?本当に私の事を知らないの?」
「......思い出せない...こんな綺麗なひとなら、すぐに思い出せるはずなのですが..」
少し怖かったので、お世辞を含めて回答する。
すぐさま、真っ赤になって機嫌が直る。
このひと、チョロイのか?
「あら、そうよね。小さいころは、こんなに綺麗じゃなかったのものね。10歳の時に会っているけど?」
「10歳で...外人さんと...あ!!」
「思い出した?」
思い出した、小学校でいじめにあっている時に、1週間ほど学校になぜか、金髪の女の子が転校してきて、いじめられてる時に守ってくれた気がする。そして...お礼に...赤い石!!!
赤い石の行方を思い出した。
「ヘデンちゃん?」
「そうです!」
「まって、そういう事だったら、同じ年??18歳ぐらいにしか見えない!」
「うふふ、こう見えて30歳よ」
「詳しいことは秘密でいいじゃない?リュウジとこの世界を旅することが夢だったんだ」
それはうれしい、告白だが...6歳?
「小学校で会ったのは10歳ぐらいじゃなかった?」
「そうよ。6歳の時は、リュウジとルシファーが出会った時を目撃した時よ。それからルシファーが消えたのを見て、リュウジに興味が湧いたのよ。会いたくなって、実際にあったら、いじめられてて落胆したわ」
「恥ずかしい限りです」
キツイ、過去の心の傷が痛む。
「大丈夫よ、リュウジが6歳の時から、興味を持って、24年間、毎日、観察してたの!癖から性格、黒子の数まで何でも知ってるわよ。今や観察対象からペットになって、私の日常の家族になった。そして今は、愛する人よ」
え.....怖いぃんだけど....サイコさん??えぇ?ストーカー?
って事は、全て見られてる!??
満面の笑みで、こちらを見ている。
まてよ、ルシファー が消えた?
「ハウスキーパーって知ってます?」
「知ってるも何も、この世界のハウスキーパーは、私よ。リュウジが作ったキャラクターだったから、いつも見ていたリュウジだったら、こうするだろうって、行動して見たの。それで、何でリュウジが、いつも悪い方向へ進むのかわかったの。自分を試していたのね?その時に悟ったの、わざと馬鹿なフリをしてるって、きっと私より素晴らしい男性!すぐに、ハウスキーパーから元の世界に戻って結婚の準備をしたの。
それでリュウジをさらい...いや、迎えに、日本のアメリカ基地へ1時間前に着いてリュウジを調べたら、リュウジが向こうの世界にいるじゃない!私が作ったシステムも使わずにあちらの世界に行けるなんて本当の運命を感じた!急いでリュウジの監視体制を強化して、私も向こう世界に行く為に、自分のキャラクターを作って部屋までやって来たらリュウジが戻ってるじゃない!
しかも、すぐにこちらに世界に自力で戻るなんて凄すぎる。もうメロメロよ」
一気に言われてもわからんよ!
全て偶然ですが.....キャラクター?
とにかく、過去にハウスキーパーで来たのは、目の前のヘデンで、何故か私のフリをしていたって事だね。
「どうやって、ハウスキーパーでこの世界に来たんですか?」
「偶然よ。この世界に来るには、こちらの世界からの召喚が必須条件なの。未知でわからなかったので、本当なら実験的に私が大好きなキャラクターのハウスキーパーを送り出して向こうの世界から遠隔操作をする計画だったのよ。ところが仮想空間のキャラクター設定を送り出した際に、操作対象の私も呼ばれて同化しちゃったよ。それで、この世界とあちらの世界の関係は全て理解できたけどね」
「え!向こうの世界で、4日前ほどに、ハウスキーパーでログイン出来ない時があったんですが、次の日には、ログイン出来たので、サーバーメンテとかかなって思った時があったんですが、その時?」
「正解!さすがダーリンね。ハウスキーパーから戻って、まだ4日しか経ってないわよ。結婚準備は終わっているわよ」
4日で1000年経過したのか?この世界は、私が去ってからどれぐらい経過したんだ?
って、結婚準備?
「まとめると、こちらの世界に来るには、こちらの世界での召喚が必要。
召喚される人などは、今では、向こうの世界でヘデンが構築したシステムで選べる。
肉体は、向こうの世界で選んだ人、能力は仮想空間で作ったキャラクターでこちらに来れるって事かな?」
「そうそう、能力値最大で来てみたわ。今試したけど素手で床を打ち抜ける。ただ、リュウジのステータスが見れないのだけど何故?」
「何故かスキルに能力視化不能って付いて、それのせいかも?」
「なにそのスキル?過去の情報には無かった。サタンもそうだけど、構築したシステムの環境情報は、ルシファー とリュウジが出会った時までか、ルシファー が知っている範囲で止まっているようね。それ以降の変化はデーターである範囲の出来事だけだったようね。予想だとそれは、過去には無かった進化して出来たスキルかもしれないわね」
思い出すとクトゥルフもヘデンとステータスが似ていた気がする。
あいつも別世界から来た存在なのかもしれない。
「さて、リュウジ?ここは、何処?」
目の前の天界の門を指差して説明する。
「これが、天界の門で、私たちが立ってるところが天空の城です」
「え?どうやってここまで来たの?リュウジの観察データを参考にすると、キャラクターデーターを持たずにレベル1でこの世界に来たんじゃないの?いくら時間の流れが違うと言っても、リュウジが消えた期間は、私が基地に着く寸前だったから、1時間未満。1時間で10年以上の差はでないはずだからレベル1から数年で天空の塔をクリアしたって事?」
「それが...時間のズレに波が大きようで、1年以内でここまで来ちゃってます....」
「さすがね!今レベルいくつなの?」
ステータス不視化のスキルで見えないようだ。
そもそも、何でスキルが増えたかわからない。
「あなたよりは、低いです」
「当たり前でしょ!私の能力は最大値よ」
.....感覚的にサタンの方が一桁上だった感じがする。
一つヘデンが勘違いしてる可能性を考えた。
仮想空間で作られたキャラクターは、ルシファーの想像範囲内なのではないか。よってこの世界にはルシファーの想像を超える者がいて、ヘデンよりも強いという事だ。
サタンを知らなかったルシファーの記憶であれば十分考えられる。
あえて教えない方が良い気がした。
「まぁ、これからどうしましょう?」
「ん、予定では、リュウジをレベル1から一緒に育てるつもりだったのよね。ここに来れるレベルみたいだし、面白くない。戻って結婚式しましょうか?」
ヘデン....やばい人っぽい。外見は、良いのにもったいないけど、価値観が破綻してる。
せっかく人間の女性に好かれているが、ベクトルが恐ろしい。
逆らったら、一生軟禁されそうだ。
悩んでいると、音がする。
ガチャ
音がするので振り向くと、天界の門がわずかに開いて、こちらを覗いている奴がいる。
気がついてダッシュで、門に滑り込もうとしたが、閉められた....
ワザとか?
次に開くのを、目の前で10分待つ.....
反応がない.....
少し離れて行くと、
ガチャ
「セラフィムかな?ただいま。戻ったよ」
「リュウジか?人間の癖に10年ほど経過したが、歳をとらないのか?ギルガメッシュみたいな奴だな」
「待ったのか?」
「いいや、10年と言っても天界では1年だった。私にとって人間の価値観で言えば昼寝程度の時間だ。それよりそこの女は、また恋敵なのか?」
「恋敵?リュウジ?あいつは誰だ!」
ヘデンが会話に割り込んで来た。
「セラフィムですよ。歌うもの、天界の門の管理者です。一緒に旅をする約束をしています」
「ふうぅん....」
セラフィムに近寄り、セラフィムを舐めるように見る。
「合格!リュウジは、人間にしか興味ないからね」
ゲェ...基準が...何故それを、なんか恐ろしい。
まさか....
「私が一番大事にしてるゲームソフトは?」
「哀愁の恋歌!エロゲーならピチピチギャルズ!」
........正解だ....この人ヤバイ。
この人から逃げるには、どうすれば....
隙を見て、セラフィムを掴んで転移した。
ヘデンが一人残された。
「あら、無詠唱で転移も使えるのか...リュウジ凄いな。どうやって生身でレベル1から、そこまで強くなったのかしら?調べたら面白そう。追いかけっこ楽しい!まずは、王都へ転移するかな?」
ヘデンも転移した。
過去のお話
メンテーが精霊界を歩いていた。
黒い鎧の男が、前からやってくる。
メンテーは、彼の事を知っていた。
彼の妹の生命の精霊であるデメテル様から聞いていた。
一目惚れであった。
男が通りすぎたあとを追って行くのだった。




