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第004話 真実の義眼


馬車には、2人の男が乗っていた。

小太りの豪華な服を着た男と、立派な服を着ていて、病的な青白い顔をした痩せてひょろっとした男だ。


「レイモン公爵様、メスト様。

あと少しでケラスの街に着きます」

馬車の外から護衛の兵士の声が聞こえる。


「10人の護衛では、心もとないですな」

青白い顔の男が言う。


「お前は、恨みを買い過ぎているしな。その点、私は呪印をしている奴しか、側に置かぬから不安で寝れないなんて事など皆無だぞ」

小太りが笑う。


「人事では、ございませんぞ!奴隷の売買などは、私が仕切っていて、私がいなくなったら一大事ですぞ!」

「大丈夫だ。この馬車には、仕掛けがしてあるのでな。国で一番高価な対魔法の術式を施してある。

中にいる限り、一切の魔法は効かぬよ」


「外は、精鋭騎士団、内側は、最高峰の術式ですか!それは、こころ強い」

「街の門に着いたようだぞ」


男が青白い顔で、馬車の窓から見える丘を見ると、微かに赤く光ったように感じた。

ナッチが、激怒している。


まさか、ここまでして消えなかったのか?

「呪印が消えました?」


ナッチが自分の胸元を見ると、呪印が消えていた。


「へ?消えてる!消えてるぞ!!」


焦げて髪が縮れて、少し黒くなったナッチが喜ぶ。

服も少し焦げていた。

ん?醜く爛れた左半面の顔も治っていた。


名前 ナッチ・クロウデス

性別 女

種族 人間

状態 正常


レベル30

生命力 630/630

魔力 367/367

攻撃力 177+115

防御力 96+112


スキル

小剣 レベル8

大剣 レベル11

炎魔法 レベル3

雷耐性 レベル3

即死耐性 レベル1


装備

溶けた大剣(補正15)

焦げた皮の鎧(補正10)

焦げたローブ(補正2)

真実の義眼(ALL補正100)


何故か生き返ったらスキルとレベルが上している!

死にかけるとパワーアップするのか?

いや、実際、死んだし....

義眼が装備になってるって事は外せるのか?


真実の義眼を鑑定しようと連想すると、鑑定魔法が無詠唱で発動した。


真実の義眼

装備者が死ぬまで呪われ、死の病が少しづつ身体を蝕む。

1度装備すると肉体の一部となり死ぬまで外せない。

嘘と真実を痛みで知らせる。

ゴーレムなどの無機物に対しては呪いは発動せず攻撃力と防御力を飛躍的に向上させる装備品となる。


お!死んだから呪いが解けて、死んだから無機物扱いで装備品となって、補正が付いたと言う事か?


「顔も治ってます....」


ナッチが顔を両手で触る。

「え??なんだ?何が起きている!説明しろ」


「椅子から解放したら教えますよ」


ナッチが小剣で縛られていたロープを切る。


「死ねば消えると言われたので、殺して生き返らせました。その為に呪印が消えて、なおかつ真実の義眼の呪いも消えた様です」


「こ、この私が死んだ?しかも生きかえった??だが、痛みが無いと言う事は、真実だな。呪印も消えて顔も治ったって事だな?私も騎士だ。部下になる約束は守るが、その前にレイモン公爵をどうしても殺したいが、待ってもらえるだろうか?」


「どう言う事です?」


ナッチからの説明を聞くと、レイモン公爵家に呪印を刻印する事が出来る魔道具が、代々伝わっておりレイモン公爵の納める領地の人々は、10歳になると必ず刻印される。

刻印の内容は、レイモン公爵に逆らえないと言う物で、逆らうと自覚した瞬間に心臓が潰れる為に、誰も逆らう事ができず、やりたい放題であった。

外部から来た、呪印されていない魔導師のノームラが極悪非道ぶりに耐えれなくなり、王宮の魔法ギルドへ上告の手紙を送ったが、レイモン公爵の検閲に引っかかり手紙を消されて一家を全て殺されてしまったと言う内容だった。


「それは、酷いですね。協力しますが、部下ではなく対等で良いですよ。ただ、遠くから運悪く召喚されてしまって、全く世情に疎いので教えてくれると助かります」


「いいや、私が一撃で死んだって事は、私より強いって事だ。しかも、生き返らせる?そんな魔法は、神話の世界しか知らない。今まで、自分より強い奴を見たことがない。お前が嫌でもついていく!それよりリュウジは、本当に何者なんだ?お前から、魔力を全く感じない上に強そうに全く見えない」


真実の義眼を持っているナッチには、真実を話しても混乱すると思うので、勘違いさせるべきだと考えて遠回しに教える。


「遠い所から召喚されましたが、そこでは単なる普通の人でした。いや、普通以下だったかもしれない。だが、魔法にはある程度詳しいです。あとは秘密でお願いします」


「私を一撃で倒して、即時に生き返らせる奴が普通?

だが嘘はついていないのだな。よほどの修羅の国からやって来たのか?わかった納得しよう」


遠くの修羅の国からやって来た人と勘違いした様だ。

まぁ、異世界から来たとかよりは、現実味があるから良いだろう。

気になるのは、この世界の強さの定義だ。


「ナッチさんは、どのぐらい強いのですか?」


「私より強い奴に会ったのが、お前が初めてだからわからぬ。

クルト帝国には、7つの騎士団があり、その団長クラスであれば、私より強いと思うぞ」


「今更ですが、この国について教えて頂けますか?」


「クルト帝国は、皇帝がいて、それに円卓の7人の騎士団長が政治的な事を行なっている国だ。貴族派と皇帝派に分かれていて、貴族派のトップがレイモン公爵であり、自分の領地で鎖国的な統治を行なっている。その為にレイモン公爵の領地の出入りは厳しく規制されていて、私ですら生まれてからレイモン公爵の領地から出たことがない。その為に他の騎士団などは噂しか知らない」


昔の日本みたいだな....


「レイモン公爵を殺すと言っていたが、皇帝に上訴してどうにかならないのか?」


「領地内の人々は、全て呪印の為にレイモン公爵に不利な行動が取れない。この状態で上訴しても、ノームラと同じ運命だ。

それよりも、今日の夕方にレイモン公爵に、私がノームラ討伐の報告をする事になっている。その時に、倒せれば、皆が解放される」


「極悪非道と言っても実際にどんな人物なんですか?」


「真実の義眼が手に入った際に、実験で私の目に装備させたり、気に入った女性を攫う上に、拷問して楽しむ輩だ。私は、10歳の時に、呪印をされた時のことを未だに忘れられない。呪印するのを辞めさせようとした母が、呪印によって心臓が潰されて死んだ。呪印がなくなった今こそ刺し違えても復讐する」


うあァ 絵に描いたような極悪貴族さんだ。

手伝うのは良いが、このままだと目立ってしまう。

遠距離から魔法で殺す事は、ありなんだろうか?


「報告は、室内ですか?」

「室内だぞ。ケスラの街のレイモン公爵の屋敷内だ」


「屋敷に既にいるんですか?」

「いや、今日この街に到着する予定だ」


「ナッチに使った魔法で遠距離から屋敷に入る前に、私が倒しましょうか?」

「それは、不可能だ。馬車の魔法防御が凄いので無理だ」


ナッチのレベルで強い方という事は、最上級魔法であれば、魔法防御を十分破れる可能性がある。

もしも、屋外において遠距離で倒せれば目立たずレイモン公爵を暗殺して、この領地を出る事が可能だろうと考えた。


「どの馬車かを教えてくれたら、私なら可能かもしれません」


「.....信じられないが、本当のようだな。だが馬車にはレイモン公爵以外も乗り込んでいる。一緒に殺すのか?」

「ナッチさんは、何故、生きてます?」

「そういう事か?凄いなリュウジ。いやリュウジ様かな。では移動しよう」


背後のドアが開いて、ナッチの部下が入って来た。

「団長!コイツは、何か吐きましたか?まぁ、団長の義眼にかかれば、隠し通すのは不可能ですしね!」


ナッチが少し困った顔をして答える。

「い、いや。私の勘違いだったようだ。解放することにした」


「え??連れてくる時、自信満々で.....」

「少し冒険者ギルドで飲み過ぎていたようだ。悪い事をしたので、彼を宿屋まで送ってくるよ」


「わかりました。あと少しでレイモン公爵様が到着するそうなのでお急ぎください」


部下が部屋を出て行った。


ナッチと一緒に、レイモン公爵の屋敷が見やすい場所へ移動した。




人物紹介


レイモン・クロウデス

52歳 身長166cm 男性

クルト帝国の公爵


赤い髪で青い瞳で、かなり太っている。


レイモン公爵領の支配者であり、クルト帝国での貴族派の親玉


性格が極悪非道で、彼の気分で殺された人は1000人を超える。

一子相伝の呪印の術式伝承者であり、趣味が魔術の研究で、多くの人体実験を行なっている。


魔道具コレクターでもある。


ナッチの左目に真実の義眼を埋め込んだ人物。


呪印が無い人物は、絶対信用せず自分の領地から全く出ない事で有名。

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