第037話 皇帝と序列
久々にセラフィムは、唯一の人間の友達に会いに行く。
天界の門の管理者だったが、彼が来た事によって、門が無くなってしまった。
彼は、人間なのに長い間、一緒に遊んでくれた。
戦いゴッコしても、脆いはずの人間なのに、全然勝てずに私が鍛えられる始末だ。
彼との魔法の撃ち合いは、とても楽しい。
永遠にこの時が続けば楽しいのに、今日も歌わなくてはいけない。
神々がいなくても、歌ったう為に生まれた私は、今日も歌う。
クルト帝国の王都に転移した。
皇帝とネネに、ウリエルの問題を解決した際の路銀の徴収へ城へ向かう。
アイテムボックスから、地味な目立たない服を選んで着替えた。
城の門について、門番に話しかける。
「ネネ騎士団の人に用があるんですが、連絡してもらえませんか?」
「ん?誰にだい?」
「ネネ団長かな?」
「あ、一般の方かな?団長に連絡もなく、いきなり会えないよ。伝言だけ伝えておくよ」
うあ、門前払いの予感。
「なら、またの機会にしますね」
笑って去ろうとしたが、他の騎士団が出て来た。
門から10人ほどの騎士を引き連れた、身長175cm程で金髪の赤い瞳をしている顔立ちが整った20歳程の団長らしき人物が話しかけて来た。
「見慣れぬ顔だな。城に何の用だ?」
よく見ると、動きやす薄手の皮の鎧を着込んでいるが、小手の部分だけ分厚く大き目に作られていて、格闘家っぽい奴だ。武器は持って持っていない。
「ネネに用事があって来たんですが、連絡してなかったので、今日は、難しそうなのでまた来ます」
「まぁ、待て、ネネ団長になんのようだ?」
「知り合いなんですが前にお貸しした、お金を回収に...」
「借金取りか?ネネ団長が金を借りるとは思えない、どう言う事だ?」
うあ、面倒くさいのに絡まれた。
出直して透明化して、こっそり入ろうと思っていたのだが、初動で失敗した。
逃げたら追って来るし、どうする。
「お前の名前は?」
「リュウジです」
「どこかで聞いた気がする名前だな。怪しいなぁ、身分を表す物を持っているか?」
どんどん追い詰められて行く。
「今は、特に持ってなくて、あ!」
唯一無難な身分証明のネムル法国で作った、通行許可証を出して見せる。
「ダンジョン探索許可などか、聖女のサイン入りとは珍しい。お前は冒険者か?冒険者プレートを見せろ」
ノォぉぉ、回避不能か....また、一悶着ありそうだな。
仕方なく、冒険者プレートを見せる。
いつのまにか、描かれている数字が、2162になっていて、ガラスの様に、何もそこにないかの様な澄み切った透明になっていた。
まぁ、本当に生命力も魔力もないからな。
ケルベロス戦でレベルが、かなり上がったのだろうか?
「な...なんだ、このプレートは?偽物?」
プレートを手にとって、色んな角度から見始めた。
「2000ってどう言う事だ?あり得ないだろう!私が知っている虹色の冒険者でも300程だ。何者だ、お前は?」
逃げ道は絶たれた感じだな。
「冒険者ギルドのマスターか、ネネ団長に聞けばわかります。国の極秘人物だと思ってください」
「........いや、納得できないな。お前から生命力も魔力も感じぬ。そんな弱い奴が、これは、あり得ない。捕まえろ」
他の騎士に、羽交い締めにされて拘束される。
「取り調べに連れて行くぞ」
城の中に連行された。
うぁぁ面倒い....
「私の名前は、ブレカ・ロキソだ。こう見えても序列第六位の七騎士団団長の一人だ」
序列六位の部分だけ強調して言ってきた。
ネネが、一位だからネネ以下なのは、わかった。
「ネネに連絡つけれませんか?」
「何を呼び捨てにしている!ネネ団長は、我が師だ!お前ごときの話など、何故話さねばならない?」
思いっきり頭を叩かれる。
結構ダメージが入った。
この野郎と思う所だが、久々にダメージを受けて気持ちいい....気持ちいので、怒る気が失せる...むしろ..やばいなぁこの体質は...
「何をニヤついてる気持ち悪い!」
また、小突かれる。
取り調べ室に到着して、手足を椅子に縛り付けられる。
「取り敢えず、用事があるから戻るまで、適当に揉んでおけ」
二人の騎士に、そう言うとブレカが出ていった。
「めんどくせぇなぁ」
「こいつどうする?」
二人の騎士に見つめられる。
私も面倒くさい!!
無詠唱で睡眠魔法を唱えて、二人を眠らせる。
ガタ、バタン!
二人が倒れた。
転移魔法で、目の前に転移する。
私だけ転移して、拘束が解けるはずだったが、拘束された椅子ごと転移してしまい拘束が解けない。
こいつは、困った!
「リターン」
城の門番に前にダンジョン脱出用の魔法で転移した。
だが、やはり拘束された椅子も付いてきた。
「すみません、誤解が解けたんで、解放してもらえませんか?」
「あんたも、大変な奴に絡まれたな」
すぐに拘束を解いてくれた。
「ブレカ団長は、しょっちゅう騒ぎを起こすんだよ。用事が済んだら拘束したまま放り出すって、酷いな」
なんか、良い誤解をしてくれて簡単に開放してくれた。
ナイス、誤解!
城から一旦離れて、透明化して城内に侵入した。
でっかい会議室と拷問していた体育館級の拷問部屋を目指す。
まぁ、そこしか知らないがな。
拷問部屋に着くと、拷問器具がなくなって、何もない空間であった。
ん?何があったんだ?
会議室へ行くと、皇帝とナッチがいた......
「次期皇帝になる気は無いのか?」
「流石に、国を預かるほどの才覚は、ないです」
「貴方ほどの強さがあれば、誰でもついてこよう」
どう言う事だ?
「まさか、ネネ団長よりも強いとは思わなかった」
「これも、彼のお陰ですので、私の努力では、ございません」
「謙遜なさるな」
話に参加しづらい......
「皇帝、集金に来ました」
透明化を解除する。
「な!気配を感じなかった!リュウジ殿?」
「リュウジ!!半年もどこ行ってた!!」
お!生命力も魔力も無いので透明化すると存在が消えるらしい。
半年!?地獄界で10日が1日って聞いたのに、1日で半年??時間のズレの波ありすぎだろ。
1000年が100年だったしな。
「地獄にちょっと行ってきました.....」
「「あり得ないだろう!」」
半年間の出来事を聞くと、ナッチ騎士団が序列第七位の騎士団に登録されて、ナッチが円卓会議に参加する事になった。
年に一回行われる序列決定戦で、ナッチが一位になってしまったのだった。
ネネは、二位だったようだ。
あまりの強さを目の当たりにしたため、皇帝がこそっとナッチを口説いていたのだった。
「ナッチが、皇帝になれば?」
「ひとごとだと思って軽く言うな。そもそもリュウジがなっても良いのだぞ」
「確かに、ウリエル様より強いと伺っている。どうだリュウジ」
「皇帝、いや、ヴァンは、どうして皇帝を譲ろうとしてるんだい?」
「恥ずかしい話なんだが、迫り来る老化に負けてしまってな...」
白髪になった金髪だったと思われる頭を見て、納得な答えだった....
「息子さんとか、いないんですか?」
「いるが、まだ弱くてな。簡単に倒されてしまうだろう」
「ん!そうだ、息子さんを鍛えて強くしてきましょうか?」
「え?そんな事出来るの?」
ヴァンが、驚いて素に戻った会話になる。
「少し、お借りできれば、可能ですね」
「いいなぁ、私も行っていいか?」
「それは困る。騎士団の序列一位の仕事はしてもらわねば」
「う!自由な立場ではなくなったなぁ。副団長に頼んでも駄目か?」
「駄目じゃな。もし行きたければ皇帝になってしまえば自由じゃよ」
「それもやだ..」
渋い顔をしたが納得して、ナッチが残る決断をした。
「リュウジ、皇帝の息子を鍛えてきて早く帰ってきてくれ」
「了解したよ。で息子さんは?」
「序列第六位のブレカ・ロキソだ。今呼ぶから、よろしく頼む」
あいつか!また一波乱ありそうな仲間が増えたな。
外で待機してる衛兵に伝えて、ブレカを呼びに行かせた。
ウリエルの件を解決した報酬をその間にもらった。
20袋の金貨を目の前に並べられる。
「こんなにもらって良いのですか?」
「リュウジ様には、世話になったし、これから息子が世話になるからな。ウリエル様は、あれから別人のようになってしまわれた。街に店をひらいているので、旅立つ前に見に行くとよかろう」
2000枚程の金貨をしまいながら、やな予感がする。
店って....なんの店だろう?
「お店って、なんのお店ですか?」
「...........見に行くのが良いだろう....」
教えないつもりだ....絶対に何かあるのを直感で悟った。
絶対に見に行かない!
バン!!
ドアが力強く開いた。
「序列第六位のブレカ・ロキソ!ただ今、参りました!」
「来たか、今から、そこにいらっしゃるリュウジ様の部下となり、己を鍛えてこい」
私の顔を見る...
「........え?どうやってここに来た?部下はどうした?」
「無礼だぞ!!ブレカ!!」
ヴァンが高速で動いて、鞘がついたままの剣でブレカを吹っ飛ばす。
グボはァァァ
吹っ飛ばされてゲロゲロしてる。
「リュウジ様に比べたら、お前などチリ以下だ。不肖な息子ですが頼みます」
ヴァンが頭を下げる。
「ブレカ騎士団は、ブレカが留守の間は、ナッチ騎士団が預かる。行ってこいブレカ!羨ましい限りだぞ」
「へ??ええ??」
突然すぎて混乱するブレカであった。
さて、路銀も手に入ったしハウスキーパーの謎を解きに行こう。
「ブレカ!行くぞ!」
「な!呼び捨て?」
ブレカに触って、エルフの里に転移した。
人物紹介
セラフィム
性別 なし
種族 大精霊
年齢 ???
身長150cmの16歳ぐらいの女の子の姿をしている
髪が燃えるような真っ赤で空に向かって伸びて蛇のように見える
瞳は、紅色
羽根が六枚あって、二枚が頭に、二枚が脚に、二枚が大きく背中についている
神を讃えるサンクトュスの歌詞が刻まれた旗いつも持っている
神々を讃える為に生まれた存在
常に神々の側にいて、雑用と歌を歌う
天界の門の管理者でもある
性格は、純粋で無垢
精神年齢が低く純粋であるゆえに、融通がきかない
見かけによらず、天界では神々の次に偉い存在
リュウジと出会ってからメイド服がお気に入りになる。




