第035話 バランスブレイカー
日本に親に連れられて行った際の思い出だった。
苗木を植えるお祭りらしき所で、二人の男の子が、話していた。
一人が苗木を渡して、離れて行くと残された男の子が薄くなって消えていった。
現実ではあり得ないため、夢だと思った。
その男の子のいた場所に、赤い宝石が残った。
思わず取りに行ったが、見えるのだが触れない!
自分の頭がおかしくなったと思った。
去って行った男の子が、大人を連れて戻ってきた。
逃げるように離れたが、大人は、赤い宝石が見えないようだ。
やはり、私がおかしくなったのだろう、と考えた時に、赤い宝石を男の子が、拾った。
そうか、これは幻覚ではなく、解明出来る真実だと確信した。
まだ6歳だが、既にアメリカの大学に通っている、ヘデン・パネッティーは、男の子の特徴を暗記した。
カブリエルを説得して、やっと地獄門をくぐって、地獄界へ到着した。
何もない荒野に門が立っていた。
裏側に周り込んだが、門の裏は門だった。
「これは、大型の転移装置みたいなもんなのか?」
「世界の繋ぎ目の様な物で転移装置ではないな」
アスタロトが答える。
「結局、リュウジの強さを二人に見せれなかったなぁ」
カブが怒っていた。
「ケルベロスが起きないのでは、仕方がなかろう。それより、あの外の惨状は、何が起きたのだ?リュウジがやったのか?」
ミカエルが首を傾げる。
「この人間を連れて行くのか?」
アスタロトが、ミカエルに聞く。
「ん?アスタロトが構わないなら連れてくけど?」
「リュウジが行かないなら、私もリュウジと帰るよ」
「........カブリエル....何があったのだ?まぁ良い。一緒に来るといい」
アスタロトが、仕方がない感じで答えた。
門の前の魔方陣が光って4人とも転送された。
視界が変わって、目の前に氷の都が広がっている。
「最下層のコキュートスだ。この下には、『第一階層カイーナ』『第二階層トロメア』『第三階層アンティノラ』『最終階層ジュデッカ』と広がっている」
「ルシファーは、何処に封印されているんだ?」
「最終階層ジュデッカだ。そこ迄には、天使の封印を解かねばならない。解けるのは天使だけだ」
アスタロトが、ミカエルに教える。
「なんで封印されてるんですか?」
私が感じた、素朴な疑問である。
「天使長だったルシファーが、100年前に、黒い翼を持った魔王サタンとして、現れた。
天界を支配しようと、神々をほとんど倒したが、力を使い果たし、弱った所を地上界にいた勇者のパーティーに倒された。
我ら悪魔と魔人や対をなす神々と天使は、思念体の塊が意識を持っているにすぎない。
死は、単なる拡散による意識の消失にしか過ぎず、時間が経てば、また集まり意識を復活する。
封印は、再度集まるのを妨害していると言うわけだ。
魔王サタンは、再度、ジュデッカで復活しようとしているために、残された天使が封印したと言うわけだ。
死と消滅が等しい人間には、わかるまい」
鼻で笑ったようにアスタロトが説明してくれた。
コイツ、滅ぼそうか?
「100年前?1000年前では?」
「地獄界と地上界は、時間軸が波によって異なる。この前は、ここの1日が地上では1年だったし、ここの10年が地上では、10日だった時もある。今の時間軸は、ここの10日が地上界では、1日だな。
地獄界の100年が地上界の1000年だったのだろう」
「神々って誰です?」
「当時、天界を治めていたのはゼウスだが、ルシファーに倒されて今は不在だ」
「倒されたって事は、思念体が拡散中って事ですね?時間が経てば復活?」
「そう言う事だが、何故そんな事を聞く?」
なんか、ミカエルとアスタロトの目的が見えない。
「ミカエルは、ルシファーに会いたいだけ?」
「ルシファーを天使が封印した時に、俺は、ルシファー倒されていていなかったのさ。再戦したいだけかな?」
「アスタロトって何したいの?」
「.....お前に話す必要性を感じない」
アスタロトの態度が気に入らないので悪戯を思いつく。
ゲームでは、攻撃召喚魔法に、神々のゼウス、ガイア、シヴァがあるのだ。
さらに、ルシファーとサタンもあったりする....
しかも、アスタロトより上位の悪魔であるベルゼブブ 、リバイアサン 、アスモデウスも召喚出来るんだよな.....
メタトロンで攻撃召喚出来る者は、使役召喚も出来る事がわかったし、試す価値ありだな。
ゲームでは、100人集まっても使用魔力が多過ぎで召喚出来ない上に、広範囲攻撃で単体に対する威力がメタトロンより低い召喚で、実用性がほとんどなく、イベントで数千人集まった時に、同時に詠唱して使用した時のグラフィックエフェクトを愉しむ為のものであった。
この世界では、どうなるか?試してみるか?
封印が阻害する術式や物体であっても、無視して召喚で一気に思念体を集めれば、即復活な気がする....ウリエルがそうだったしな。
「.......ミカエル...ルシファーすぐに呼べるけど、どうする?」
「「「は?」」」
ミカエルとカブリエルとアスタロトが、同時に反応する。
カブが、すぐに笑い出す。
「あははぁ!さすがリュウジだ。今までの苦労が水の泡だね。ミカエル、きっと本当だよ。封印解かないで呼んでもらいな」
「ほ、本当か?」
ミカエルが嬉しそうに見つめてくる。
「不愉快な人間だな、ゴミの分際で何を言っている?たわごともいい加減に.....」
「使役召喚!ルシファー!」
巨大な魔法陣が出来る。
魔力が800万近く減った。
12枚の白い羽根を持ったルシファーが召喚された。
ミカエルにソックリ!!
兄弟!?
超美形の身長190cmほどで、精悍な顔つき、白い布で全身を覆っている。
金髪を怒髪天の様な髪型にして、金色の瞳が燃えてる様に見える。
「ここは?アスタロトに幽閉されていたはずだが?」
ルシファーが、自分の手足を見て驚いた顔をしている。
「そ!そんな馬鹿な!!!!」
アスタロトが、叫んで目を開いた。
目は空洞の様な漆黒で周囲が、暗闇になる。
ミカエルとカブリエルとルシファーが、広がる暗闇から瞬時に離れる。私は、暗闇に飲まれる。
「やってくれたな、人間!
封印と共に閉じ込めていたルシファーいや、サタンがこの空間にいない!
どうやったかわからないが、お前のせいで私の計画が台無しだ。消滅させるだけでは、許せぬ」
暗闇からアスタロト声が聞こえる。
「すまないが、何がなんだか分からん。結局、何がしたかったんだ?」
「最終階層に封印されているベルゼブブ様の復活だ!ミカエルを騙して封印を解く計画をお前がぶち壊した。
今、地獄界を支配しているリバイアサンは、品位のカケラもない。アイツよりも美しいベルゼブブ様こそ地獄界の支配者にふさわしい。その復活を、お前のような人間に!」
なるほど、アスタロトが、ルシファーを隠していたのね。
それで、ルシファーを探してるミカエルを利用して、ベルゼブブを復活させる計画か?
「.....初めから言えばいいのに....ベルゼブブも召喚しようか?」
「はぁ??え?いま、なんて?」
あまりのことにアスタロトが、混乱している。
「ベルゼブブも召喚しようか?」
「.....るな...ふざけるな!!!100年かけて復活させようとしてる私をどこまで、馬鹿に....」
「使役召喚!ベルゼブブ!」
暗闇が、ガラスのように割れて、暗闇に飲まれる前の場所へ私が戻される。
「ああああぁぁぁ」
アスタロトが、目を押さえて苦痛に悶えている。
ルシファーと比べ物にならない大きさの魔法陣が出来る。
コキュートス全体に魔方陣が、広がっていく。
うお!こりゃ凄い。
神々で言えば、ゼウスクラスの悪魔だもんなぁ。
減った魔力が、5000万ぐらいか?
目の前に、身長170cmぐらいで、凄いエロいプロポーションの黒のボンテージ姿で、肌の色が紫の女性が現れた。
銀髪で白銀の瞳で、髪は、地面に付くほど長い。
「誰じゃ!私を呼んだのは?500年ぶりか?これは凄い.....何という魔力だ!私を呼んだのは、創造主か?」
ベルゼブブが、目の前に現れた黒い炎で出来た契約書を読み始めた。
地獄で500年と言うと、地上で5000年ぶりぐらいなのか?
向こうでは、ミカエルとルシファーが、既に戦闘を開始して殴り合いをしていた。
カブリエルは、審判のような事をしているようだ。
アスタロトが、起き上がって膝を折ってベルゼブブに頭を下げる。
「お待ちしてました、ベルゼブブ様」
「アスタロトか?この状態は、何事だ?地獄界なのに天使同士が向こうでは戦ってるし、その天使は、サタン様に悪魔堕ちしたはずのルシファーだし、存在して初めて無制限に魔力を使える程の契約をしたのだが、その対象が人間のうえに、この私が使役されてる.....全く理解の範疇を超えて、愉快に感じてしまっている」
満面の笑みを浮かべて上機嫌のベルゼブブがいた。
「すみません...実は、私も理解の範疇外でして...そこにいる人間に聞くのが、早いかもしれません...」
悲痛な表情でベルゼブブに説明する。
「と、言うわけで説明してくれぬか?我が主人よ」
ベルゼブブが、熱い視線で私を見る。
ドキドキするが....今度は、悪魔か!
「アスタロトが、ベルゼブブを復活しようとしていたのを、妨害してしまったようなので、お詫びに復活させました。向こうで喧嘩してるのは、知り合いの天使で、仲が良すぎて喧嘩してます。喧嘩が終わったら用がないので帰ります」
「当たり前の事のように言うのか...とんでもない事なんだが....お前の名前は、契約書を見るとリュウジだが、聞いたことがない。創造主なのか?」
この世界に似ているゲームを作ったのが創造主だろうか?
だとしたら、元に世界の人が創造主になるのか?
「この世界の創造主ではないが、それと同系列の存在なのかな?」
少し考える仕草をして、何か閃いた顔をしてベルゼブブが言った。
「理解した!さすが私が、一目惚れした主人じゃ。ここまで支配されるとは、甘美なものとは知らなかった。早速、地獄界に愛の巣を作って永劫の時を過ごそうぞ!」
「.......用があるんで帰ります。契約解除...」
コキュートス地域全体が、震えてスパークが走った。
ベルゼブブが、14歳ぐらいになってしまった。
使役解除で、魔力供給がなくなり復活したてで、力が無いのだろう。
体が小さくなったため服が脱げて裸になってしまった。
恥ずかしそうに、こちらを見る。
さっきまでの外観の方が、恥ずかしいと思うんだが.....
ふふふ、大丈夫なのだ!裸族対策に買いだめしてある服をアイテムボックスから出して渡す。
「あ、ありがとう...」
急いで服を着て、私の左腕に引っ付いた。
「もう、使役は解除しましたよ」
「個人的に好きなだけだ。まさか恥ずかしいと、この私が思うと思わなかったし、大好き!」
強引に唇を奪われた!
頭を両手で抑えられてるが、全然外れない!!
息吸えない!!
ハーレム設定になってきたけど、人間がいねぇし、今回は悪魔!!
唇離されて、潤んだ目で、見つめてくる。
ま、負けんよ...
「何故じゃ!全く魔力が集まらん」
それは、私のせいだな.....
コキュートスの全域で魔力の低下が始まっているようだ。
信じられない速度で、私のブラックホール級のマイナス魔力を補填すべく魔力が集まってくる。
召喚で信じらない程のマイナスだ。
なんか、私の周りだけあまりの魔力吸収量で、魔力が視覚化できてる気がする。
靄が私に吸い込まれていく。
その様子をアスタロトが、観察している。
「アスタロト!復活させたんだ、ベルゼブブを頼んだぞ」
「コキュートスの魔力を.....わ、わかりました。創造主様....」
ベルゼブブとの会話を聞いてたのか、彼の中で私が創造主になったらしい。
私から離れない弱っているベルゼブブをアスタロトが眠らせて、連れて行った。
ミカエルとルシファーは、どうなった?
人物紹介
クトゥルフ
性別 不明
種族 宇宙人
思念体なのか物体なのか微妙である
通常の神々と違ってこの世界の常識が通用しない
逆に、この世界では当たり前の事が出来ない事がある
価値観が、全く違うと言って良い
旅の途中に多くの仲間?が死んでおり全く死なないリュウジを気にいる
全てが謎に包まれた宇宙人の神様




