第029話 天使ミカエル
この世界は、無意味に争っている。
そう感じた。
自分は天使長であったが、多くを知る必要があると感じたのだった。
そこで、無から始まった世界に、天界と地獄界があるように、地上界にも対応する世界があるはずである。
過去の文献や知識をしらべると、禁忌の勇者召喚などを知ることができる。
神の聖域のために、天使が施行するのは大罪である。
だが、知りたかった....
大罪を犯して実行してたどり着いた世界は、光に満ち溢れていた。
整然とすべてが整備されて、道すら石よりも精密に固いもので覆われて凹凸もない。
人々は、みな豊かで飢えている者などいないようだった。
だが、移動に力を使い果たし、自分が消えていくのを感じた。
自分の姿は、大量の羽を持ち力強い肉体だったものが、みすぼらしい子供の姿である。
この世界では、力を集めることもできないため、元の世界に戻ることもできない。
だが、満足だ。自分の理想とした世界が存在し、見ることができた。
寂しさをかんじたが、悟った瞬間に、声をかけられた。
「なんで君は、何も持ってないの?」
少年が話しかけてきた。まさか、消えゆく私を見える人物がいるとは思いもしなかった。
「僕のことが見えるのかい?僕は、消えゆく物なんだ。最後に、この世界を見れて満足だ」
最後に、この世界の住人に話しかけられて、さらに満足してしまった。
だが、次に奇跡を見た。
「一緒に、苗木を植えようよ。これをあげるよ」
いきなり目の前に出された苗木を思わず手に取った。
「え!」
なぜ受け取れる!しかも、信じられないほどのエネルギーを譲渡された。
「僕は、新しい苗木をもらってくるよ。そこで待ってて」
驚きなど、気にせずに気軽に離れていく。
「この世界の物を受け取れた!君は、何者なんだい」
「僕は、リュウジだよ」
リュウジ?心に刻もう..君の名を..
だが、エネルギーを譲渡されたが、この世界の体を維持できない。
このままだと少年が戻る前に、渡されたエネルギーで元の世界にもどってしまう。
とっさに、自分の思念で作った赤い宝石をそこに置いた。
既に消えかかっていて、半透明になっていたが、あの少年が触ればきっと実体化するだろう...
視界が変わり、巨大な魔方陣の中心に立っていた。
元の世界に戻ると、白い純白な羽が漆黒の黒に変わっていた。
地下279階に、到着した。
このまま、地下まで進めていっても良いが、大体の事はわかった。
もう一つの実験を開始する。
「ムムルのお母さんの名前は?」
「なんで、そんな事知りたいの?」
あの人数の子供を育てるほどなので、かなりの冒険者だと思う。私が恐れた一つの可能性を調べたかった。
「メメネだよ。お母さん探せるの?」
ムムルの期待の眼差しが熱い。
ゲームでは、同一ダンジョン内では可能な秘密チャット、この世界では、念話に近いようだが微妙に違う会話で、メメネを指定して話しかける。
『メメネ!ネネムとムムルと来てますが、生きてますか?』
『.......誰?』
お!生きてる?ゾンビ化してるかもしれんが....
『ネネムとムムルの知り合いです。助けに来ました』
『.....誰?....ネネム、ムムル...子供?』
この反応は、石化とかではなくアンデット化かな?
『地下何階にいますか?』
『地下?200....200...肉...』
『メメネは、どうなってるの?』
『私?私首だけ...餌もらう』
なんか、めっちゃ怖い。
「ネネムとムムル、メメネは、地下200階にいそうだから移動するよ!ムムル、どうやって200階に行けるんだい?」
「リターン戻って再度、200階をイメージして飛び降りれば行けるよう。本当にお母さんいたの?なんでわかるの?」
眩しい....ムムルの期待に溢れた目が眩しい....
ネネムの疑うような眼差しも痛い....
二人を抱いてリターンを詠唱する。
橋の中央に現れると、武装集団に取り囲まれた。
「そ、そいつらです。偽装申告しました。プレートが1000超えなんておかしいです。捕まえてください!」
入る時に、対応した冒険者ギルドの係員が指差して騒いでいる。
武装集団は、下半身が武装した馬と蠍と百足と蛇で上半身が鎧と槍と剣装備の奴らと、全身が虎とライオンと熊の人型が鎧着て武装していた。その中に普通の人型の奴が混じっていて、出てきた。
超美形の身長190cmほどで、精悍な顔つき、暴力を形にした様な、竜の鱗の鎧を着ている。
金髪を怒髪天の様な髪型にして、金色の瞳が燃えてる様に見える。
「俺は、ミカエル!貴様は、偽装冒険者プレートを使用した容疑と、階層虚偽で支払いをしなかった容疑が、かかっている。申し開きあるか?」
「急いでるんで、後で良いですか?」
「..........こ、こいつ!!」
ミカエルが上段から伝説の武器っぽい大剣で斬りかかってきた。
パキーーン!!
上から下に斬りつけの為に、体が吹っ飛ばなかったが、地面に足がめり込むが、それもまた修復される。
斬りつけた大剣も修復される。
私の鎧も修復される。
私の生命力だけが、ゴボって減って、逃げきれないエネルギーが音に変換された。
6万近く減ってるぞ!峰打ちとかじゃなくて、こいつ殺すつもりだったのか?
「あはははぁぁぁ!!マジかよ!!本当だよ!!
おい節穴!係員だよ、お前だよ!!」
さっきまで捕まえろと叫んだ男に対して、怒気を含んだ声で脅した。
「コイツは、1000どころじゃないぞ!あと階層も事実だ。俺が250階で倒せないボスに対して攻撃した攻撃を、避けもせず受けて、平然としてるぞ!!コイツの申請は、本当だ!解散だ!解散!!」
集まった人を散らしてミカエルが謝罪する。
「お前!!強えな!!疑って悪かった。これから何するんだ?」
この人....ナッチタイプかな?
「この子供達の親が地下200階に捕まってる見たいなんで救出に行こうかと」
「おお!楽しそう!!付き合うぜ!!」
「遠慮しま.....」
背中を蹴られて落下した。コイツやばい奴だ!!
ムムルとネネムを両手に抱えて、ミカエルも飛び降りる。
「で?何階だ?」
「200階らしいです」
「あ!!俺、地下250階は、降りれるけど途中の降り方知らんわ!!」
「なんだとぉぉぉ」
「200階を想像するらしいですよ」
「そんな器用な事、無理無理!250階で待ってる!!」
ありえない!ミカエルは、ダメダメな奴だ!!
そして、地下250階に集合してしまった。
目の前には、フロアボスのデスガーディアンがいた。
「ここの階層は、50階層毎のボスステージみたいで、ダンジョンがないんだわ、いきなりコイツが出てくるんだけど倒せなくて....お前倒せない?」
ゲーム中のデスガーディアンの特徴は、魔法無効で、防御力10万、生命力250の、身長10m程の太った鎧のようなモンスターであるはずだ。
魔法無効でも攻撃召喚のメタトロンは、圧縮の物理攻撃であり、10万超えるダメージだが、ミカエルに見せると後が怖いな...
中途半端に攻撃すると、スキルに、蓄積反射を持っていて、ある程度溜まったダメージを反射する。
防御力以下の攻撃を繰り返すと、攻撃した対象を蓄積したダメージを反射してくるから厄介だ。
ゲームでは、攻略法は簡単で、人数を連れてタコ殴りにして、防御力が高くても、必ず一回の攻撃で生命力を1削れるので、集団で1削って倒すという容易なものであるが、倒せなかった、ミカエルは、それがわからなかったようだ。
早く地下200階に行きたいので、攻撃召喚する事にした。
「倒してあげても良いですが、今から見たことは他言無用にできます?」
「いいぜ!」
「ネネムとムムルも内緒にしてくれます?」
「「いいよ」」
ミカエルにまだ抱っこされたままの二人だった。
「メタトロン!!」
私が、36対の翼を持つ天使の姿に変わっていく。
ダンジョンの空間に無数の目(36万4999)が発生する。
全ての目が、デスガーディアンを見る。
「玉座に侍る者か?あははは、斬っても無傷な訳だ。」
右手を差し出して、手を開く。
デスガーディアンの背後から巨大な手が出現する。
手から逃げようとするが、無数の目から逃げれない。
巨大な手がデスガーディアンを捕まえる。
私が手を閉じて行くと、巨大な手も同じようにデスガーディアンを握り潰して行く。
必死に抵抗するデスガーディアンを、ゆっくり潰して行く....
パキーーン!パキーーン!
過大な攻撃力に、高い防御力が負けて悲鳴を上げている。
手が閉じて開いた後には、ダイヤが出来ていて、床に落ちる。
あまりの圧縮の為に、原子レベルで圧迫され炭素がダイヤに変わってしまった様だ。
そして、元の私の姿に戻る。
地味な最上級の攻撃召喚魔法だが、威力は、単体の敵に対して最大級なのであった。
ダイヤをアイテムボックスに拾って回収した。
「リュウジ、天使だったのか?」
ムムルが、目を輝かせて聞いてくる。
「いや、人間だ」
「やっぱり嘘つきよ!人間が、あんなことできるわけないでしょ!!」
ネネムが、逆ギレしてる。
見えない床が割れる音が聞こえて、地下251階に落下した。
「やっと!先進めるぜ!!お前の名前、聞いてなかったな。教えてくれ!」
「リュウジだ」
「リュウジ感謝するぜ!このダンジョンは、秘密があってな、最下層で俺の友人が封印されてるらしいんだ。助けに行ってくるぜえええ!!」
走って251階のダンジョンに行ってしまった。
あいつ最悪だった....自分の用事が終わったら行っちゃうし、私に279階まで連れてもらえば早いのに気が付かない天然だった....
義眼の話を聞かないで、他の事しようかな?
人物紹介
ネネ・カミユ
女性 30歳
クルト帝国の七騎士団、序列第一位である人物
身長165cm程の小柄で腰にレイピアを帯剣している
緑の髪で緑の瞳
高価な皮で作られた鎧を愛用しているが、サイズが少し小さく胸が窮屈である
頭が硬くなく、政治的な陰謀などにも柔軟に対応できる。
自分より強い男性に守られたい乙女
推測というレアなスキルを保持していて、状況から未来予測する精度が非常に高い
このスキルのお陰で、政治的にも武力的にも序列一位になったと言っても過言ではない




