第023話 フリクション迷宮
アラクネは、今日も忙しく子供を作っていた。
アラクネは、体が蜘蛛で頭に人型の体が付いているモンスターである。
強い奴を体に取り込み、子供を作ると、より強い子供が生まれた。
自分が、何処から生まれたかわからない。
生存本能だけで、今日も迫り来る冒険者を倒して、弱い奴は、繭にして餌として保存。
強い奴は、取り込んで力の源にしていく。
「うう!」
「あああぁ」
今日は、取り込んだ奴らが、非常にうるさい。
自分の腹の部分にある顔をうるさい奴だけ潰していく。
過去に、見覚えがあるフリクション迷宮の入り口へ転移した。
洞窟のような入り口である。
ゲームでアイテム稼ぎに来て以来だが、記憶にある入り口に似ているが、記憶より大きい。
引っ付いている、ナッチとネトとカブを引き離す。
また、唇を奪われてしまった。
カブが、ウットリしている。
それを見て、ナッチが、復活した。
「カブ!また先輩を差し置いてリュウジに!!」
ドレス装備のナッチが、スカートの下から大剣を出してカブに斬りかかる。余裕でかわすカブであった。
「リュウジ、あそこから、美味そうな匂いする」
迷宮入り口を指差して言う。
ネトは、マイペースである。
迷宮の入り口には、ミワ王国の関係者と思われる10人の武装した人と、魔術師の様な、紙とペンを持った人が2人いて、入る人と、出てきた人をチェックしていた。
入り口の横には、大きめの建物があり、怪我をした人が、何名か応急処置されて寝ていたので、緊急時の治療などに使用するようだ。
想像より、すいている気がする。もっと人がいると思っていたので拍子抜けである。
「すみません、迷宮探索に来たものですが、入ってもよいですか?」
入り口にいた、魔術師っぽい人に話しかけて、4枚の通行許可証を見せる。
物凄い、怪訝そうな顔をしている。
派手な赤いフルプレートと、
ゴシックフリフリの服を着た少女と、
ドレスを着た大剣を持つ女と、
天使みたいな奴の4人組である。
まぁ、私でも怪しすぎると思うな....
「書類は、本物だが、何故この迷宮を選んだのかね?」
「このダンジョンのリッチを倒したくてきました。何か変な事でもありましたか?」
「4人の組み合わせが、違和感ありまくりだが、それよりもここのダンジョンは、アンデット系しかいないので、好き好んで来る奴が初めてだよ。
ダンジョンからモンスターを出さないように、国の依頼で入り口を入った所のモンスターを倒しているとこだよ。
とにかく毒と麻痺が凄い上に、臭いが強烈、肉は売れない、手に入るアイテムは錆びて腐ったような武器ばかりで、冒険者泣かせの赤字ダンジョンだよ」
ゲームと違って、すいてる理由がわかった...
臭いとか汚ない系は、ゲームじゃ感じないが、リアルで行くかといえば、行かないよな。
話を聞いたナッチの行く気力が低下する。
「リュウジ、入りたくなくなったんだが?」
別にソロでも余裕だが、状態変化系で動けない時があれば、やばいな。
「リュウジ、汚ない所は、行きたくないぞ」
カブも、行く気力低下中。
「肉は、腐った時が美味い。早くいこうリュウジ」
ネトが、食べる気満々である。
サイクロプスを、そのまま食べても平気だから無問題っぽいなぁ。
「ネトと私だけで、行ってきますね。昼御飯とお金を渡しときます。暗くなるまでに、戻らなかったら助けに来てください」
「わかったが、男女のカブと一緒は怖いな」
「何言ってるんですか先輩、私は、どちらでも逝けますよ!」
なんか、会話が噛み合ってないな。
「カブは、ナッチの言う事は絶対服従で!もし逆らったら!また握り潰します。今度は、殺すではなく消滅させまます」
「わ、わかった」
カブが、冷や汗をかいていた。潰された時のことを思い出したらしい。
周囲にいた人の声が聞こえる。
「男女...握り潰す?逝く?」
だめだ、この二人と話すと勘違いされやすい。
急いで、ネトと迷宮に入っていった。
ゾンビと戦う、傭兵が2人いた。
一人が、40代ぐらいのベテラン冒険者風で小剣でゾンビを分解していた。
もう、一人が厚手の薄汚れたローブを着ている30代ぐらいの男で、杖からファイヤーボールを出して、ゾンビを燃やしていた。
ソンビを倒しながら、驚いた様にこちらを見る。
「そんなピカピカの鎧じゃ、すぐ傷だらけになっちまうぞ!最低二人組でダンジョン入るもんだが、そんな小さな女の子と入る奴を初めて見たぞ!装備もなんだ??布の服??手ぶらでどうやって倒すんだ?」
「お騒がせしてすみません。すぐに奥に行くので」
「あぶねーぞ!大丈夫なのか?自殺願望者じゃないだろうな?仕事増やすつもりじゃないだろうな?」
「大丈夫ですよ」
構わず、奥に行くと2人が心配してついて来た。
まずいなぁ
それにしても臭い。
肉が腐っている臭いと、下水の水の腐った臭いが混ざりあっている。
「二人は、この臭い大丈夫なんですか?」
「バカ言っちゃいかんよ。ここのゾンビ倒して10年のベテランだぞ。慣れちまったよ」
「ゾンビを倒すと何かアイテムとか出ます?」
「全く出ないぞ!だが、定期的に間引きしに来ないと、ダンジョンから出て来て、外がゾンビだらけになっちまうのさ。それで、国からお金を貰って、安定収入のゾンビハンターになったのさ」
なるほど、まず好きで、このダンジョン来る人って皆無に近いのね。
ゾンビが現れた、実は試した事があった。
蘇生魔法を無詠唱してみる。
ゾンビが、僅かに光って健康なゾンビになった....
人間がベースだと思ったが違うようだ。
ファイヤーボールを無詠唱すると、目の前に大きな火の玉が発生して、通路をまっすぐ飛んでいき、ゾンビが焼けるではなく蒸発した。
通路の奥にも数匹いたようだが全て蒸発していく。
通路の水分が、全て蒸発して、凄い水蒸気が上がる。
「なんじゃこりゃあぁ」
「あれは、なんの魔法だ?!」
背後の二人が驚く。
「あんたフルプレート着てるのに魔術師だったのかい!こりゃ凄いな。わかったレベルの違いを感じたよ。この小さい子も外見の年齢じゃないんだろ?」
「ネトは、100歳以上だよ」
ネトが言わなくて、よいことを言う。
「おお!すげぇ、大魔導士様か!悪かった先に行ってくれ、ここから先は、レイスとスケルトンが出るから気おつけてな」
納得して二人が別れた。
さて、一気に行こう。
ゲームでは、フリクション迷宮は、地下10階である。
迷宮と言う名の通りで迷路になっている。
通常は、相当迷わないと攻略不能だが、ゲームと同じマップならば、数時間で最下層に着くと思っている。
実は、地下2階から5階はダミーで地下1階に6階への入り口があるはずだ。
1階を30分ほど、ゾンビとスケルトンとレイスを倒しながら迷っていると、思い出にある錆びた宝箱を発見する。
宝箱箱を横に移動すると階段が現れた。
「おおお!マップもほぼ一緒か!」
「リュウジが燃やすから、何も食べれない」
むしろ喰うな......今ここでドラゴンになったら狭いから迷宮崩れるだろう!人の姿で喰うのは、見たくない。
あえて、超高熱で蒸発させていこう....
アイテムボックスから、いつもの肉串を出して大量に渡しておく。
階段を降りて地下6階へ辿り着くと、悪霊がウヨウヨいた。
ファイヤーボールが、効かない....
実態がないからなぁ。
体にペタペタくっついて、生命力を吸って来る。
「フラッシュ!!」
初級の光魔法のフラッシュを唱える。
「「目がぁああ、めがぁああ」」
ネトと二人で目を押さえる。
油断していた。初級魔法でも最大魔力発動で光は、ヤバかった。
5分ぐらいして、やっと目が回復した。
状態 盲目ってあるんだな。
「リュウジ!次は、教えて!びびった」
ネトに怒られる。
悪霊は、綺麗サッパリ消えていた。
後は、地下7階から8階もダミーで6階の隠し扉から9階に行けるはずだ。
9階に、リッチがいて、10階には吸血鬼がいたのを覚えている。
まずは、隠し扉を探そう。
15分ほどで、隠し扉にたどり着いたが、開け方がサッパリ分からん。
記憶では、スイッチがあったのだが、あった場所にスイッチがない。
「誰か意図的にスイッチを隠したのかな?そもそも、この迷宮は誰が作ったんだっけ?」
ファシリティのダンジョンには、全てショートストーリーが設定されていた。
フリクション迷宮は、心優しいノーライフキングが、人との交流を避けるため作った設定になっていて、地下10階で仲間と暮らしている話だったが、ゲームだと何回倒しても再度復活するから、アイテム稼ぎ出来るが、この世界だと、どうなるんだ?下級のゾンビやレイスやスケルトンなら湧いて来る気がするが、リッチクラスだと、倒したら湧いてこない気がする.....
壁に向かって、土魔法を詠唱する。
「ストーンダスト」
壁が砂になり崩れると階段が現れた。
やはり場所は、あっていたがスイッチがなかったようだ。
階段を降りて、リッチがいる地下9階に着いた。
他の階層より通路が大きく天井が高い。
通路は、迷宮のように未だに、いりくんでいる。
少し歩くと、通路の左右に看板と入り口が、立ち並ぶ商店街のような場所に、グールが徘徊していた。
「な!なんだここは?」
グール達が、私達に気がつく。
「人間だ!」
「なんで人間が!」
「メテ様に報告を」
「入り口どやって入った?」
「殺される」
「子供を隠せ」
なんか、人間の方が、モンスター扱いになってる。
奥から、リッチらしきモンスターが、飛んで来た。
「人間?どうやって入った?入り口は、壊したので、ないはずだが?」
「偶然通りかかったら崩れてましたよ」
嘘であるが....
「そうか、もう数百年経つからな。後で治しにいこう」
ゲームと違いすぎる...リッチが、フレンドリーだし生活感があるダンジョンとかあり得ないから..
倒してゲットとではなく、話し合いで行けそうな感じだな。
「身代わりの指輪を探しているんですが、ありませんか?」
「あるぞ、昔は良く商人に販売して、お金を作っていた。 まだ、在庫で100個ぐらいあったはずだ」
昔って何百年前だよ...市場に出回っている数が少ないのが理解できた。
人物紹介
ラファエル
天使
年齢 ???
超美形の両性具有だが、精神は男性である
身長180cmほどで、甘いマスク
アイドルのような白と金色の刺繍の衣装
金髪を流れるような髪型にして、金色の瞳が光る
金縁の眼鏡をしていて、それがまた似合っている
性格は、几帳面
細かい為、大雑把なミカエルと相性が悪い
精神は、男に近いはずだが、強い男が大好き




