表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/50

第018話 ネムル法国

「メテ様、ワインの用意ができました」


豪華な部屋に、不釣り合いな90歳ほどの黒いローブを着込んだ老婆が、用意されたワインに口をつける。


横には、20歳前後の超美形な執事が、完璧な着こなしの服に、姿勢も正しく、ワイングラスとワインを持って立っている。


「有難う。ジュセ、いつも感謝している」

老婆がゆっくり喋る。


「いい加減に、人間の血を吸ってください。このままでは、あと数百年も持たないですよ」

「レア・ヘルシングとの、約束だ。あやつ全ての血を出して契約した強固な契約だ。自ら血液を出してくる人間以外からは、もう吸わぬよ」


「あの下賤なリッチですな。目障りこのうえない。人間との共存など夢でしかない」

「まぁ、そう言うな。グールの街を作ったのは彼だ。そのおかげで血液が手に入っているのだから」





眼が覚めると、ナッチが、私の寝顔を見つめていた。

「え??部屋に鍵掛けたけど?」


ネトが、ドアのノブを持っていた。

「リュウジ遅い。ドアを引っ張ったら取れた」

取れたじゃなくて、壊しただな。


旅の準備をして、出発。


「みんな、手を繋いでください」

ナッチが、私を抱擁する。

ネトが、腰を両手で締め付ける。

苦しい!ダメージが...


ゲームでは、国の概念がなかったので、どの街が、どの国かわからない。

「ナッチ、ネムル法国の首都は何処ですか?」

「首都は、知らないけど、一番大きい神殿は、マキア神殿ですね。確かその神殿がある街がパピロの街だと思う」


マキア神殿は、知っているがパピロの街は知らない。

ゲームでは、マキア神殿は、スキルの変更が出来る神殿だったな。


火魔法と風魔法のスキルを合成して炎魔法のスキルにしたり、スキルのレベルが10以上に場合は、上位のスキルレベル1に変更出来たりする神殿であった。


この世界では、神殿の横にゲームに無かった街があるのは、びっくりだな。

神殿で、生活するなら街が必要だから当たり前なのか?

記憶にある神殿へ転移した。


目の前に、巨大な石造の建物が現れる。

ゲームよりデカイな?

背後に大きな街が見える。


ちょうど街から神殿へ行く為の舗装された道の上に出た。

街から、神殿へお祈りに行くのか、多くの人が向かっていた。

紛れて、神殿へ向かってみる。


神殿の広場に、向かっているようだ。

「凄い立派な神殿ね。ネムル法国は、永久中立を宣言していて、戦争がなく、貨幣も製造しているのよ」

博識なところをアピールしたいようで、上機嫌に話してくる。

「リュウジ、腹減った」

ネトにアイテムボックスから、串系の食べ物を渡しながら、人の流れに乗って広場に向かう。


野球場の4倍ぐらいある広場に着くと、30人ぐらいが、十字の木に、張り付けにされていた。

張り付けになっている人には、女、子供も混じっている。

なんかの儀式か?


貴賓席だと思われる場所に、身長2mある筋肉隆々の露出が多い白い服装の男と、全身白い複雑な模様が描かれた布で覆われている神官が5人ほどいるのが見えた。

あの服は、筋肉アピールだろうか?


男が叫んだ。

「私は、聖女様の代理である、シハヤ宰相である!異教徒達を発見したので、聖女様の名においてこれを処分する!」


見せしめなのか?まったく状況がわからんが、もう少し様子見するかな。


槍を持った神官が、ワラワラ現れて、張り付けにされている人を刺して行く。


「ふざけるな!俺は通りかかった冒険者だぞ!ギルドに連絡してくれ!」

「娘だけは助けて!」

「俺は異教徒ではない。助けてくれ」

「お母さん助けて」

「神殿にお祈りに来ただけですぞ。何故異教徒なのだ」


物凄い冤罪臭がする。

「リュウジ、助けないの?」

ナッチが結構、冷めた感じで聞いてくる。

「後で、死体置き場でも行きますか?」

「それでこそリュウジね」

私がいる場合、ナッチの死に対する考えは、状態変化ぐらいにしか感じてないのでは?

まぁ、今まで一緒に行動していれば、そうなるのは当然か?


30人の公開処刑中に、その家族と思われる人が数人、神官の妨害をして、さらに死者を増やしていた。

結局、42人の死体が、広場に出来上がった。


シハヤ宰相が、筋肉をピクピクしながら、不満そうな顔をしている。

「無事に異教徒を打倒した。聖女様も満足してくださるだろう」

「.....嘘ね」

ナッチが左目を押さえている。


問題なく、終わった事に不満があるようだ。

囮の公開処刑だったのかな?


ネトが、串をねだるので、串をアイテムボックスから取り出して、渡すと食べ始める。


公開処刑中に、串を食ってる奴がいたら、どうなるか?

想像できなかった....普通は、超目立つよ。


シハヤ宰相が処刑中に、なんか食ってる目立つネトを見つけてしまった。

「そこで、食べ物を食べている少女!お前は、異教徒だな!神官、連れてこい」


槍を持った神官が、ワラワラやってきた。

「リュウジ、こいつら喰っていいの?」

「駄目です。不味いですよ。大人しくついて行きましょう」

「わかった。リュウジに従う」

「ナッチ、ネトとちょっと行ってくるので、情報収集でもしておいて」

「わかったわよ。リュウジも虐殺とかやめてね。きっと、元凶は、あのシハヤ宰相って奴だけよ」


ナッチを、置いてネトと一緒にシハヤ宰相の所まで、神官に囲まれて連れて行かれる。

「なんだ?その馬鹿みたいな顔の男は?少女だけ呼んだ筈だが?」

神官の一人をシハヤ宰相が殴った。


「この子の保護者です」

とりあえず、関係性を教えた。


「保護者?全然似てないぞ?まぁいい。お前たちには、異教徒であるか聖女様の判定が必要だ。逆らえば異教徒確定で死刑だ。ついてこい」


広場に集まった人々が、少しづつ減って行き、神官によって死体が片付けられて行く。

ナッチも、紛れて街へ向かうのを確認した後に、シハヤ宰相の後に、付いて行く。


神殿の奥に案内されると、段々神々しくなっていき祭壇らしき場所にたどり着く。


奥の部屋から、14歳ほどの金髪で右目が赤い瞳で左目が青い瞳の少女が、神官に四肢を持たれて出てきた。

病的に白い肌で、弱々しく見えるが、そこが神秘的な気配を醸し出していた。


祭壇の椅子に座らせられて、こちらを見る。

「.....シハヤ宰相....目の前にいるのは人間ではない」

「なんだと!貴様ら何者だ?」

呼んでおいて、何者だと来たか!


「通りすがりの旅人です。ミワ王国への通行許可書を手に入れるために、パピロの街に来ましたが、神殿へ人が集まっているので興味があって覗いたら、シハヤ宰相に連れてこられました。この小さい子供は、黒竜です。」


シハヤ宰相が、聖女を見ると、聖女が答える。

「本当の事だ....」

聖女の赤い目に見覚えがあった。真実の義眼か?

ならば、冤罪者は出ないはずだが、なぜあんなに殺されていたのだ?

だが、私の会話を信じてくれるなら、話が早そうだ。


「黒竜だと....まさか、お前がそうなのか?」

シハヤ宰相が、満面の笑みを浮かべる。


「あまりにも、疑問がありすぎて質問に困るのですが、ミワ王国への通行許可書がほしいのですが、発行お願いできますか?」

「だめだな、しかし、私の願いを聞いてくれたら聞いてやってもよい」

「願いとは?」

「聖女を助けてくれ」

「意味が理解できないですが?」

「お前では、ないのか?」


ああ!押し問答みたいだ!何をしてほしいかはっきりしてくれ!

「すまん、街に人を待たせているので、手短に頼む」


シハヤ宰相が、唖然とした顔をした後に、笑い出した。

「絶対に、お前だ!お前がそうだ!槍に囲まれ、たった2人の状況でも、その余裕。今まで連れてきたものは、命乞いや自分の正当性を言うだけの奴だった。だから、お前のような奴を呼ぶための生贄になってもらった」

「話が長い!!早く願いを言ってみろ!!わかりやすくお願いします!!」

もう、ストーレートが一番!


「聖女様は、天使様に体の大部分を取られてしまっている。元に戻すことができないか?」

よく見ると、顔も作り物っぽい...手足も義手義足?目は義眼だしな...凄いな


名前 ネビウ・メロウ

性別 女

種族 人間

状態 正常


レベル10

生命力 254/254

魔力 659/659

攻撃力 0+200

防御力 12+210


スキル

光魔法 レベル8


装備

 義手右腕(補正0)

 義手左腕(補正0)

 義足右足(補正0)

 義足左足(補正0)

 真実の義眼(ALL補正100)

 予測の義眼(ALL補正100)

 義顔(補正0)

 義耳(補正0)

 聖女の服(補正10)


装備が!!顔まで作り物で、そこに義眼を入れれば呪われないのね。

奥が深い....予測の義眼ってなんだ?


「もとの体に戻せますよ。今すぐ!一瞬で!」

「本当の事です...信じられません.....」

聖女が、表情は変えないがビクンって動いた。


「義眼以外の装備を外せますか?」

「なぜ義眼は、残すのだ?義顔でなくなったら呪われてしまうのでは?」


シハヤ宰相、詳しいな!

「大丈夫ですよ、呪いすら解除できるので、その場合は肉眼よりも義眼の方が優秀です」

「ほ...本当の事ですね...ありえません...私は、騙されていたのでしょうか?」

「なんだと!神官ども早く聖女様から義眼以外を外せ!」

シハヤ宰相が、待ちきれずに自分から聖女を抱きかかえて、義眼だけが付いた彼女を突き出した。


顔が原型をとどめておらず、そこに義眼が2個めり込んでる感じで、四肢がない。

これは、ひどいな...


「ライトニング」&「リサステイション」!!

聖女が、一瞬で焦げた!

そのあとに、光に包まれて手足が生えてきて顔が修復される。


名前 ネビウ・メロウ

性別 女

種族 人間

状態 正常


レベル15

生命力 329/329

魔力 771/771

攻撃力 78+200

防御力 58+205


スキル

光魔法 レベル8

雷耐性 レベル3

即死耐性 レベル1


装備

 真実の義眼(ALL補正100)

 予測の義眼(ALL補正100)

 焦げた聖女の服(+5)


やはり、状態が死亡から復活するとレベルが上がるようだ。

今回は、裸じゃない!焦げた聖女の服を着ていた。


用語説明


バグ

コンピュータのプラグラムで、製作者が意図しない出来事が発生するもの

無限ループや、計算間違い、制御の数値ミスも含まれる

修正する事をデバッグと言う


チート

コンピュータゲームにおいて本来とは異なる動作をさせる行為である

チートを直訳すれば「ズル」あるいは「騙す」


チーター

チート行為をしている人物


レジット

チーターを観察する観察者

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=765206316&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ