行ってみよう!
すみません。手をケガしてしまい、書き上がるのが遅くなりました。
まだ少し遅れるかもしれませんが、よろしくお願いします。
ミーレアに連れられて、choiceの2階に来ています。
ロザと友達だと知ると、住人は掌を返した様に歓迎ムードに変わり、俺の事を色々聞かれている内に、見かねたミーレアが2階へと連れ出してくれました。
「家で焼いたパンで作ったサンドイッチです。良かったらどうぞ?」
ミーレアはそう言うと、お盆の上にサンドイッチと紅茶を乗せて持って来ると、テーブルの上に置く。
ふっくらとした美味しそうなパンに挟まれた、色とりどりの野菜が食欲をそそります。
「ありがとう。頂きます」
「ありがとうございます。頂きます」
俺とロザはお礼を言ってから、直ぐにサンドイッチに手を伸ばす。辛抱出来ませんでした。
シャキッとした歯応えに、もちもちな食感がたまらなく、次から次へと食べてしまい、あっという間にサンドイッチは姿を消す。
「「ご馳走さまでした。美味しかったです」」
俺とロザは幸福な気分でお礼を言い、紅茶を飲む。あ、美味しい。なんかほっとする優しい味だ~。
「どういたしまして」
ミーレアはそう言うと、お勝手へとお盆を運び戻って来る。
さて、仕事中に長時間拘束するのは悪いので、早速報告しましょう。
「ごめん。忙しいのに時間取っちゃって。それで、報告に来たんだけど、まだ発展してないんだよね。でも一応報告に来たんだ」
「そうなんですね。態々報告して頂きありがとうございます」
「不安は無いの?」
もっとがっかりすると思っていたのに、普通に笑顔で対応されてしまい、俺の方が戸惑ってしまう。
「1日で分かるとは、思っていませんし。それに信じてますから、気楽ですよ?」
キラキラした瞳で言われてしまった! プレッシャーが重いけど、何とかして見せます!
「随分と、信頼していますね?」
「はい。勿論してますよ? 形見のペンダントも見つけて貰い、私の護衛まで、きちんとしてくれましたから」
「なるほど。納得ですね。では、遺跡で遇った事を聞いてもいいですか?」
「はい。いいですよ」
話しに一段落を付け、ロザがミーレアに本題を聞くと、ミレーアは二つ返事で了承した。
昨日俺に話した事を丁寧にロザに説明する。
ロザは気になる事を詳しく聞いて、考え、質問を重ねて行く。俺には何がなんだかよく分からないが、大切な事なんだろう。
「ありがとうございました。それでは御暇させて頂きましょう」
「そうだね。御暇しよう」
「分かりました。では、こちらに」
ロザの提案に頷き立ち上がると、ミーレアが先導して俺達を外まで案内する。
「じゃあまたね。ミーレア」
「失礼しました」
「いえいえ。それでは、またお越し下さい。ロザ様。またね。トータ」
ミーレアはロザと俺にそれぞれ挨拶すると、忙しそうに店内に戻って行く。
そりゃ、二人で切り盛りしているのに、一人が抜けたら大変だよね。今度から閉まってからこよう。
「トータ、遺跡に行かない?」
申し訳無い気持ちでミーレアを見送っていると、ロザが尋ねて来た。
「どうしたの?」
「話しをミーレアさんから聞いてみて、もしかしたら王宮に戻って調べるよりも、遺跡を調べた方が何か分かる気がしたから」
もしかしたらミーレアの説明を受けて、巫女として感じる物があったのかもしれない。
うん。乗ろう。
「分かった。でも、結構時間掛かるよ?」
「大丈夫よ。騎士権限で馬を連れて来るから」
流石ロザ! 頼りになります!
「ありがとう助かる!」
「連れて来るから南の門横で待ってて」
「分かった。南の門で待ってる。また後で」
「うん。また後で」
ロザと別れて南門に向かう。
道中何も無く、数分もしない内に南門に到着。
しばらく街に出入りする人や、狩りをする人達を観ながらボーっとしていると、街から聞き慣れた声が聞こえて来た。
振り返って見てみると、毎日会うけどこの世界では初日ぶりの、サクヤとライライが、どこへ行くかを話し合いながら門から出て来た。
二人の周りには男性プレイヤーが、話し掛けようと試みるも、双子がする一瞬の間もない絶妙な会話に入れないでいる。
サクヤとライライは話しながら俺の前までやって来ると、突然顔を上げた。
「お兄様!」
「おにぃ!」
「「なにしてるの!?(してるんですか!?)」」
おお! 流石双子! 言動がまったく一緒です。
「俺は人を待ってるんだ。これから遺跡に行くから」
「遺跡! エレナちゃん達が言ってた!?」
おや? もう情報が出回ってますか? どんな塩梅か聞いておこう。
「もしかして、もう探索とかされてる?」
「まだ見つかっていませんね。それ以前に砂漠での戦闘が、数をこなせないと、載っていました」
なら、まだ大丈夫そうだな。一安心だ。
「おにぃ! これから行くの?」
「行くぞ?」
「付いて行っていい? 今日パーティーの皆! 時間が合わなくて! 各自でプレイする事になってるんだ! だから暇なの!」
「別に俺はいいけど、同行者に聞いて見ないと」
「同行者ですか?」
同行者がいる事を伝えると、サクヤは不思議そうに瞬きをして首を傾げた。
妹よ? 俺ってそんなにボッチに見えるかい?
「そうだよ。あ! ほら、あれ!」
俺は肯定して頷くと、そこに丁度馬に乗ったロザが見えたので指し示す。
ロザは馬に乗りながら、上手く手綱を引いてもう一匹馬を連れて来ている。
「あの方ですか?」
「馬!」
サクヤは、まさか馬に乗っているとは思って無かった様で、若干動揺している。
それにしてもライライよ? その反応はどうよ? 確かに馬なんだけど、それだけ叫ばれると、お兄ちゃんは君の事が不安になるよ。
「プレイヤーさん? ですか?」
「うんうん。住人」
「住人さんでしたか。一緒に行動するのは初めてですね」
「いや。まだ許可おりてないから」
もう既に同行が決まっている様に言うサクヤに、思わずツッコム。
「そう言えばまだでしたね~。あ、来ましたよ?」
サクヤが抜けた感想を言って少しすると、ロザが到着した。
「お待たせ。そちらは?」
ロザは馬を横に付けると地上に降り、俺の横にいる二人に視線を向けながら尋ねる。
「妹の、サクヤとライライ。で、二人ともこちらがフレンドのロザ」
前半がロザに、後半がサクヤとライライに向けて、軽く紹介をする。
「初めましてロザです」
先に紹介されたロザが、丁重に頭を下げる。流石は騎士、お辞儀も流麗で、様になってます。
「これはご丁寧に。トータの妹のサクヤです」
「ライライです!」
負けじとサクヤも、丁寧なお辞儀で応戦する。って、別に競っている訳ではないが。それとライライ! お前はもう少し余裕のある挨拶をしてくれ! 所作がドタバタです。
「それでですね。単刀直入に聞きます。私達も同行して良いですか?」
「遺跡にですか?」
「はい」
「別に構いませんよ? トータの妹ですから、大丈夫でしょう」
「よろしくお願いします」
「よろしくね!」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
あっと言う間に決まってしまいましたね。出来れば俺も会話に絡みたかったです。
「一緒に行くなら紹介しておくな。蒼空と白夜」
「ワン」
「キュ!」
俺が従魔を紹介すると、二匹は気配を解放し、姿を誰からも見える様にして、蒼空は面倒臭そうに鳴き、白夜は片手を上げて挨拶をする。
「わああああああ! それがおにぃのペット!? 触りたい!」
「私も触りたいです! お兄様!!」
と、言われてもね? 本人次第ですから。
「蒼空、白夜、いい?」
『イ・ヤ! ですわ!』
『いいですよ?』
おや? 尋ねておいてアレですが、てっきり幼なじみーズの時の様に、二匹共断ると思っていました。白夜に断られなかったって事は、二人が真剣にプレイしてるって事ですね。
「蒼空はダメだけど、白夜は良いって。どっちから触る?」
「ジャンケンで決めます。行きますよ?」
「うん!」
「「せーの! ジャンケンポン!」」
二人が出した手は、サクヤがチョキでライライがグーでした。
「やったあああ! 私から!」
「くっ! 負けたからしょうがないですね。譲ります」
嬉しそうにガッツポーズをして跳ねるライライに、心底肩を落としてガッカリしているサクヤ。うん。観ていて飽きませんね。
「ほい」
白夜を両手で抱えて突き出す。
「ありがとう。おにぃ! うわ! 手が毛に埋まる!! わああああああああ!!」
白夜を受け取ったライライは、最初は埋もれるふかふかの毛並みに感動していたが、徐々に落ち着きを無くし、白夜を顔まで持ち上げて、白夜のお腹に顔を埋めて左右に激しく振りだした。
「キュ? キュウウウウウウウウ!!」
最初は不思議そうにしていた白夜だったが、あまりの激しさに踠き、脱走を試みる。
「イタ!」
「止めなさい! 嫌がってるでしょう!? 序でに交代よ!」
妹の暴走をサクヤが叩いて止めると、ちゃっかり交代まで要求する。本当強かです。
「はぁい」
納得は行かないが暴走してしまった手前、渋々白夜をサクヤに渡すライライ。
サクヤは白夜を受け取ると、あまりの柔らかさに驚いた顔をしたが、直ぐに白夜の背中部分に顔を埋めた。
「ほぁあ。落ち着きますね。それに、お兄様の匂いがします。幸せです」
サクヤは白夜の背中に顔を埋めたり離したりしを繰り返しながら、うっとりとした表情をしている。
えっと? サクヤさん? その発言は際どいですからね? これ以上暴走する前に白夜を回収しましょう。
「はい。終わり~」
サクヤが顔を離した瞬間を狙い取り上げる。無事に回収完了です。
「ああぁ! そんなぁ、ご無体なぁ~!」
名残惜しそうな表情で、サクヤはよろよろと白夜に向けて手を伸ばす。
お前は時代劇に出てくる村娘か!
「はい。終了~!」
問答無用でサクヤの手を、ライライが掴み下げる。
「ちょっとライライ? 邪魔しないでくれる!」
「しーらーなーい」
どこ吹く風と、サクヤの抗議をライライは流し、そっぽを向く。
うん。完全な意趣返しですね。
『ありがとうございます。マスター。助かったです』
『どういたしまして』
疲れ切った白夜を優しく撫でる。これで少しでも癒されてくれるといいんだけど。多分大丈夫だろう。
さて、移動しますか? と思い、馬に視線を向けて気付いた。そう言えば、妹達は乗馬出来るのかな?
「ところでさ? サクヤとライライは馬に乗れるの?」
「無理!」
「無理です」
即答されました。ま、思っていた通りですけどね。
「分かった。じょあ俺かロザの後ろに乗って?」
「む! ジャンケンですね!」
「望むところ!」
俺の提案に、サクヤとライライは睨み合い、構えを取って気合いを入れてジャンケンをする。結果はライライの勝利だ。
「ああ。お兄様に抱き付けるチャンスが不意にぃ」
「別に行きと帰りで交代すればいいじゃん」
「そうですね!」
俺の提案で崩れ落ちそうだったサクヤが、息を吹き返す。
現金な奴め!
「えー。私は嫌なんだけどー!」
ライライから反対意見が出る。どうした物かな?
「1週間。デザート1品追加でどうですか?」
「良いよ! 受ける!」
「決まりですね」
なんかトントン拍子に解決しちゃったよ。ま、揉めて遅れるよりはいいけどね。
「じゃあ。行こうか?」
「「「はい!」」」
『ちょっと待って下さいマスター』
了承を得たので行こうとしたら、まさかの蒼空から待ったが掛かった。
「どうしたの? 蒼空?」
『いつ余裕が取れるか分からないので、街にいる内に一端マスター達の世界に戻った方がよくないですか?』
うむ。確かにそうだ。
「蒼空から提案で、いつ落ちれるか分からないから、今の内に色々済ませてはどうか? だって」
「そうですね。私も賛成です」
「同じく!」
無事にサクヤとライライからも賛同を貰えましたね。後はロザだ。
「ごめん、ロザ。30分くらい時間もらっていい?」
「分かった。良いよ。なら、門の奥で休んで。身体は私が守るから」
俺のお願いにロザは頷き、門の中まで俺達を導き、俺達の前で剣を抜くと、背中を俺達に向けて剣を地面に刺し、周りを威圧する。
うん。これなら心配無く落ちれるな。
「じゃあ、落ちよう。ロザ頼んだ」
「「はい!」」
「任せて」
三人が頷くのを確認してログアウトする。
左手を柄に添えて、右手で親指を立てるロザの後ろ姿が格好良かったです。




