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まさかの事態!

 ロザとクルルが持って来てくれた本を読んで行く。

 神々の歴史や、神殿が建てられた理由等が記されている。と、言ってもまだ触りですけどね。

 この世界では2柱の最高神がいて、その2柱は女神で姉妹なんだって! うん。気付くよね。純粋の神と慈愛の神だって、俺はその事実を知った時に、この世界が凄く不安になりました。だってしょうがないよね?

 神殿ですが、その土地で災いが起きた時に鎮めて貰う為に建てられたようです。リアルと変わらないですね。

 で、だ! 目下の問題は寝ちゃったリィーちゃんをどうするかだ。

 最初は、俺の膝に座って、一緒にわいわい騒ぎながら調べてたけど、その内にうとうとしだしたので、俺の方に向けて寝かし付けた。


「これで全部だな」

「はい。後は調べてからにしましょう」


 おお! 丁度いいタイミングで、クルルとロザが本を抱えて持ってきた。


「リィーちゃん寝ちゃったけどどうする?」


 もたれ掛かるリィーちゃんの頭を撫でながら、クルルに尋ねる。


「む! 本を探していてすっかり忘れていたな。部屋まで連れて行こう。む! 離れん」


 クルルが引っ張るも、リィーちゃんの手は俺の服を、これでもか! と、言うくらい強く握り離れない。


「まさか、リリィー様がこんなに甘えん坊だとは、思っていませんでしたね?」

「ああ。だが、仕方ないだろう? まだ5歳だしな。私もあの頃は王族ってだけで大変だった。甘えられる相手も居なかったしな。それにリリィーは筆頭巫女だ、プレッシャーも私が幼い時に感じていた以上だろう」

「確かに、自分の気持ちを押し堪えて頑張る姿を、幾度となく見ましたね」

「ああ、夜泣きも必死で我慢してたしな、フトンをがぶって、使用人に迷惑掛けない様にしていたな」

「そうでしたね。確かに、私かクルル様が気付いた時しか甘えて来なかったですね」


 リィーちゃんは我儘な様に見えて、頑張り屋さんなんですね。ま、出会った時に、必死で涙を拭う姿を見た時から、分かってましたけどね。


「でも、リリィー様がトータと出会って良かったです。最初は大丈夫かな? と心配でしたけど、いい人でしたからね」

「まったくだ。だから、話して見ろ? と、最初にあれほど言っただろ? それなのにお前は、異邦人なんて信じられません。切り捨ててきます! とか、言ってただろ?」


 騎士団って、過激派組織なのかな? 距離取ろう。


「ちょ! 今更いいじゃないですか!? 過去の事ですから! それにトータも距離を取らないで! 今は微塵も思ってないから!」


 必死になって言い募るロザ。


「大丈夫だよ。分かってるから。なんだか、焦ってるロザ可愛いいね」


 普段クールな人が焦ると可愛いいよね?


「な!?」


 あ、真っ赤になってロザが固まってしまった。俺の所為だね。メンゴです。


「ほう。私には何か無いのか?」


 げ! クルルの声が冷たくなった!


「クルルは必死に守ろうとしてるところが好きだよ!」

「そ、そうか? す、好きか! ならいい」


 ほっ。どうやら機嫌を直してくれた見たいだ。


「で、リィーちゃんどうしよう?」


 話しが脱線してしまいましたね。問題に戻りましょう。


「む? そうだな、布団を持って来て貰い、ここで雑魚寝しよう」

「分かりました。頼んで来ますね」

「ああ。任せた」


 クルルが頼むとロザが直ぐ様動き出す。━━って!


「待ったあああああああ!!」

「どうした?」


 俺が叫ぶとクルルが平然と返した。


「どうした? じゃない! 色々不味いだろ!?」

「何がだ?」

「俺は男だぞ?」

「そうだな」

「そうだな。じゃない! 男女が同じ部屋で寝るって、問題があるだろう!」

「あー、大丈夫だ。気にするな」

「いやいやいや! 無理だから!」

「それにもうロザ行ったしな」

「え!?」


 ロザが居た場所に振り向くと、もう既に居なくなっていた。


「なんで?! 呼び止めたのに!」

「話してる内に行ったぞ?」

「うっそぉぉおおおおおおおお!!」


 待って欲しかったです。




「戻りました」


 もうしょうがない。っと諦めて、クルルと二人で蜃気楼の遺跡を探していると、ロザがメイドを引き連れて戻ってきた。

 どうでもいいのですが、この世界にもメイド服がちゃんとあるんですね。製作者の趣味か、発展したのか、どっちだろう?


「「「「「クルノア様。お布団お持ち致しました」」」」」

「ああ、適当に置いてくれ━━と、トータ? 手伝わなくていいぞ? それが彼女達の仕事だからな」

「分かった」


 手伝おうと、持ち上げた腰を降ろす。仕事なら彼女達にやらせるのが1番だな。危なそうなら手伝おう。

 メイド達は滞りなく布団を引き終える。


「お布団を引き終わりましたので、私達は退出させて頂きますが、よろしいですか? クルノア様」

「ああ、よい」

「「「「「それでは失礼致します」」」」」


 クルルが答えるとメイド達は一礼して、直ぐに退出する。

 流石はプロのメイドですね。仕事をちゃっちゃとこなし、颯爽と優雅に退出する。感動しました!


「では、どう調べる?」


 本の山を前にクルルが尋ねてきた。

 ロザも戻って来た事だし、闇雲に探すより効率良く探そうって事だな。


「自分の担当したジャンルを調べ終わった奴から、最後のジャンルを調べて行こう」

「うむ。分かった。どのジャンルにする?」


 俺の提案にクルルが同意すると逆に尋ねられた。


「なら、俺は遺跡を調べるよ」

「それなら私が教会を調べます」

「うむ。私は砂漠を調べよう」


 決まりだな。と、そうだ! 調べる前に。


「クルル、お金返す」


 言いながらトレード申請を出し10万ゴールド入れる。


「いや、それは受けとれん。むしろ私からトータに謝礼金を払わなきゃいけない」

「うん? なんの事?」


 まったく分からない。利子を取られるんならまだ分かるけど?


「あのな? トータは王族と王家直属の騎士を救ったんだぞ? 国から謝礼金を出さない訳には行かない」

「そうなのか?」

「ああ」


 う~ん、多分国としての面目にも関わって来るのかな? もしそうなら謝礼金は受け取ろう。クルルのメンツを潰す訳にはいかないからね。


「分かった。謝礼金は受け取るよ。でも10万ゴールドは返す」

「なぜだ?」


 俺の言葉を受けたクルルが、不思議そうに尋ねる。


「このお金はクルル個人から借りた物で、国から借りた訳でも、騎士団長から借りた訳でもないからだ」


 俺がそう答えると、クルルは驚いた表情をし、


「そうか。詰まり友にはちゃんと返したい。っと、言う事か」


 と、目を細めて嬉しそうに答えた。


「話しには聞いてましたが、凄く律儀ですね」

「だろ?」

「はい。とても! 何か嬉しくなりますね?」

「うむ。確かにな」


 ロザが感心しながら言うと、クルルが悪戯っ子の様な笑みで返した。

 止めて! なんか恥ずかしいから! 俺の前でそんなやり取りしないで!


「ほ、ほら! そ、そんな事より早く調べよう!」


 これ以上は堪えられないと思い提案する。


「照れてますね?」

「照れてるな?」


 ぐはッ! 見事に止めを刺されました。ナイスコンビネーションです。

 それから少し会話をして、クルルが、さて調べよう! と、言い出したので調べ始めました。

 あ、10万ゴールドは無事に返済出来ました。憂いが一つ解消です。




 調べ続けて3時間。クルルが眠そうに欠伸をする。


「クルル寝れば? 眠そうだよ? それと、ロザも。明日早いんでしょ?」


 騎士や巫女って、早起きなイメージがあるよね? なので、明日に差し支えない様に声を掛けました。


「明日は、私は非番なので大丈夫よ? だからトータに付き合うわ」


 そうか、ロザは休みなのか。なら問題ない。


「む? どうしよう? 明日稽古があるしな。寝るかな?」


 クルルは稽古があるらしい。なのに迷ってるみたいです。

 大方、俺とロザだけに探させて、一人寝るのはな~。とか、思ってるんだろう。頼んだのは俺だし、無理せず寝ればいいのに。本当、どっちが律儀なんだか。


「クルル寝不足で動けない。なんて、なったら恥だよ? それに肌にも良くないから、早く寝な? 綺麗な顔が台無しになるよ?」


 俺が声を掛けた途端、クルルの顔が真っ赤になった。


「そ、そうか? そうだな。トータがそこまで言うなら先に寝るかな?」


 クルルはそう答えると、テーブルの横に引かれた布団に移動し、装備を解除する。

 ━━えッ!?

 解除された装備から出て来たのは━━真っ赤なネグリジェだった!

 クルルの真っ赤な綺麗な髪と良く映えます! ━━じゃなくて!!


「なんで?! ネグリジェ!?」

「シャワーを浴びた後に、部屋で話してたら、連絡が来たからな、部屋を出る時にネグリジェのままって訳にはいかないから、鎧を装備してトータを迎えに行った」

「うん。その説明はいいから、今なった説明を聞きたい!」

「寝るからだが?」


 うん。確かにそうですよね! そもそもが間違いでした!


「他のパジャマに着替えて!」


 何せ、今もクルルのメリハリのある艶かしい身体に、視線が吸い寄せられるのを、無理矢理抑えてますからね?! 高校生には刺激が強すぎます! あ~顔から火がでそう!!


「ネグリジェしか持ってないぞ?」


 衝撃の事実! 今の言葉で顔から炎がでました!!


「取り敢えず布団に入って!」

「うむ?」


 クルルは渋々布団に入る。

 ほっと、したけど、少し残念です。ま、あのままだったら! 精神的に持たなかったんですけどね!


「男子の前でそんな無防備な格好しないで! 襲われたらどうするの!?」

「大丈夫だぞ? トータの前でしかならないから、それに無理矢理は出来ない。互いが本心から同意しないと出来ないからな、でも、心配してくれてうれしいよ」


 そうなのか。それなら良かった━━って、また反応に困る事を━━!!


「では、おやすみ。トータ、ロザ」


 何事も無かった様にクルルが挨拶をする。まだ、文句を言ってやりたいが、手伝ってくれたし何だかんだで役得だったので、もういいや!


「うん。おやすみクルル」

「おやすみなさい。クルル様」


 クルルに挨拶を返すと、物の数分で寝息が聞こえてきた。

 因みに蒼空と白夜は布団の上で寝て、リィーちゃんは、調べ始めて一時間くらい経った時に、ロザが、もう大丈夫ね。と、俺から抱き上げ布団の中に寝かしました。


「ロザは寝なくていいの?」

「言った通り、明日は休みだから、トータに付き合うよ」

「それはありがたいけど、夜更かしは美容に良くないよ?」

「心配してくれて、ありがとう。でも、大丈夫よ? そんなに可愛くないのは、自覚してるから」


 確かにロザの言う通り、誰もが可愛いいとは言わない顔付きだが、万人向けする顔で、飛び抜けてはいないが可愛いい分類だと思うんだけどな~?


「そうかな? 俺はロザの顔好きだよ? なんか見てると、ホッとする。あ、口説いてる訳じゃないから。有りの侭の気持ちだからね?」


 俺が告げると、ロザは顔を赤く染めながら、呆れた様に言う。


「トータ、あのね? まだ口説いてるって言われた方が本気にしないからね? 有りの侭の気持ちとか、ドキッとするんで、本気の相手に言った方がいいよ? ━━て! 分かってないし!」


 ロザの話しを聞きながら、はてな? っと、首を傾げてたら、怒られました。なんでだ?


「もういいわ。話し変わるけど、トータ、明日はどうするの?」

「明日? 明日は見つかるまでここで調べるよ? あ、でも畑と、報告に行かないといけないや!」

「なら、私も付いて行っていい? 依頼人に興味があるし、トータの行動を見てみたいから」


 俺の行動に興味があるって言われても、別に普通ですが? ま、付いて来たいって言うなら、断る理由もないし許可します。


「別にいいけど、何も面白くないよ? 畑行って、報告して、帰って来るだけだし。ま、それでいいなら、別に構わないけど?」

「ならお願い。それにトータが行動するなら、何かありそうじゃない?」


 失礼な!? 人をトラブルメーカー見たいに! 別に俺からトラブル起こしてないからね! 否定されそうだから言わないけど!


「分かった。いいよ」

「ありがとうトータ。さて、調べ物再開しよう?」


 ロザは優しく微笑むと、本に視線を下げた。


「そうだね。探そう」


 ロザの言葉に同意し、俺も調べ物を再開するのだった。

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