犯人を求めて
シンバ達と合流する。
それにしてもなんの部屋なんだろう? ここ。広いだけで何もない。あるのは前後にある通路だけですね。
「終わったぞ。トータ」
「ああ。お疲れ様。皆死体から離れてくれ」
「どうしてだ?」
「火葬する」
シンバの疑問に答えたら、3人共不思議そうにしている。
「そうですね。それがいいと思います」
俺の意見に同意したのはミーレアだけでした。ま、当然ですね。普通は気にしないですよね。
「どうしましょうか? 1ヶ所に集めてから火を付けますか? それとも廻りますか?」
「そうですね。廻りましょう。そちらの方が早そうですしね」
ミーレアに相談したとこ、一人一人回る事になりました。
「ちょっと廻ってくるから、お前等待ってろ」
「一緒に行くわよ?」
「来てどうするんだよ?」
「え? なんとなく?」
「そう? ま、いいけどね」
本当何しに行くんだろう? こいつらは?
「どこから始めますか?」
「ここから始めて通路に行き、最後に入り口付近のを火葬しましょう」
「はい。分かりました。火は私が付けますね」
「はい。お願いします」
全員で死体の方に向く。
「それでは火を付けますね?」
「はい。お願いします」
「では。安らかにお眠り下さい」
ミーレアはそう言うとしゃがみ込み松明で火を付けた。
それに合わせて俺は目を閉じて黙祷を捧げる。
「では、次に行きましょうか?」
「そうですね」
次々と回って火葬して行く。
「なんか地味ね」
「しょうがないだろ。火を付けて、祈って回るんだから」
「そうね。でもモンスターの死体よね?」
「今はな。でも、昔は住人だった物らしいからな。鑑定結果によると」
あれ? でも、騎士団と買い物に行った時は、クルル、グール対策しか言ってなかったな? もしかしたら、言ったら遭遇した時に、躊躇して倒せ無くなるって思ったのかもな。普通魔法で攻撃してる奴が、鑑定持ってるなんて思わないし。ま、多分今なら、俺の性格も分かって来ただろうし、はっきり言いそうですね。
「そうなんだ。なら私も黙祷しようかな?」
「そうしろ」
「うん。そうする」
そう言えばシンバとルナが黙っているな? おお。疲れ切った表情をしています。ミイラとの戦闘が、大分堪えたようです。ここはそっとしときましょう。
「そう言えば、何でエレナ攻撃魔法取らないの?」
「それはね? ヒ・ミ・ツ」
きっと、言ったらホーリースターの弱点に繋がるんだろうな~。予想出来てしまうのでスルーしよう。もし行き詰まったら相談くらい乗ろう。
「何か、サクヤやアカリねぇ見たいな誤魔化し方だな?」
「うん。真似て見た」
「違和感しか無いけどな? ウインク出来ないし」
「五月蝿い!」
そんなやり取りをしながら祈りを捧げて行き、最後の死体に祈りを捧げる。
「終わりましたね。どの方向に行きますか?」
ふむ。正面に左右か。奥に続くのは正面だけど、道が分からないからな。
「蒼空分かる?」
『真っ直ぐで大丈夫ですわ』
「分かった。ありがとう蒼空」
本当に頼りになる狼さんです。
「真っ直ぐで大丈夫だって。なので真っ直ぐ行きましょう」
「はい。分かりました」
「「「了解」」」
前の通路は狭く、人がすれ違うのにやっとな広さの通路が10mに渡り続き、その先は左右に分かれていた。
『どっちでも大丈夫ですわ』
流石ですね。蒼空さん。尋ねる前に答えて下さいました。
「どっちでもいいって」
「私はどっちでもいいわよ?」
「同じく」
「トータの好きな方でいいんじゃないか?」
「お任せします」
俺が尋ねたらそんな素敵なお言葉を頂きました。確かにどっち行っても同じなら、そんな答えですね。俺も同じ答えです。
右に曲がり進む。
暫く歩いたら、今度は道が左に直角に曲がっていて、曲がった直ぐ側に扉の跡地がある。詰まりは何かしらの部屋だ。
覗いて見ると、中には木の板が散乱していて、奥には石で出来た壁があった。
「どう?」
「板が散らばってて、奥に壁があるくらいだな」
「いけそう?」
「分からん」
『そこは行き止まりですわ』
俺とエレナが話てると、念話が蒼空から届いた。
「ありがとう蒼空。行き止まりだって」
「そっか。なら先に行きましょう」
「だな」
この部屋は無視して先を急ぐ。
直線の道を進み、またしても左へと直角に曲がる角があったので曲がって歩いて行くと、やがてT字路に差し掛かった。
『ここから先、右に曲がったら最後の建物ですわ』
「分かった。どうやら最後の建て物らしいよ?」
「この先に夫のペンダントがあるんですね」
蒼空の言葉をそのまま伝えると、ミーレアが尋ねると言うより、自分に言い聞かせる様に呟いた。
「そうですね。もう少しです。用心して行きましょう。急いては事を仕損じる。って言いますからね。こっから先がむしろ肝心です」
「分かりました。急がずに行きましょう」
さて、自分で言った通り、こっからが重要です。気を引き締めましょう。
無言で通路を窺う。
敵はいないが、今までの通路とは感じが違っていた。
人が5人くらい横並びに通っても余裕のある通路に、20mはある高い天井。そして最後に、左右対称で等間隔に配置された男女の石像がある。
これ通ったら、横の石像襲って来ないよな?
警戒しながら恐る恐る進む。
おや? 何もないまま反対の壁に着いてしまった。どうやら杞憂だった様だ。
━━なんて騙されません! きっと油断させて置いて襲ってくるに違いない!
俺は勢い良く振り返った!
『別に動きませんわよ?』
あ、うん。そう見たいだね。1寸足りとも動いてませんでした。
いや、違うんです。だってこう言うのって、映画だと動くって相場が決まってるじゃないですか!? だから動く物だと思ったんです!
「敵ですか!?」
ヤバイ! ミーレアが俺の無駄な行動に反応してしまった!
「えっ!? 敵!? 後ろからか!?」
「不味いわね! 戦闘体勢を取って!」
「了解!」
ぎゃあああああああ! 更に悪化して行く!! 最悪だあああああ!!
『ほらマスター? 思い込みで振り向きました。って謝った方が良いんじゃないですか? 思い込みでって』
くそう! 馬鹿狼が面白そうに言って来る! 事実だけど、物凄く事実だけど! 後! 心を読まないで!? しかも思い込みまで正確に!
「て、なんもいないじゃん?」
「まさか! 透明人間なの!?」
「な?! 不味いぞそれは!!」
うん。何かどんどん誤解が膨らんで行きますね。早く止めねば!
「あ、うん。それなんだけど、映画で石像を通り過ぎた後に、石像が動き出すってあるじゃん? それかな~。っと思い振り返りました。ごめんなさい!」
「なんだ。敵じゃないのかあ。ビックリさせないで!」
「ああ。焦って損した。人騒がせな!」
「まったく」
正直に言ったら、幼なじみーズとルナからそんな素敵なお言葉を頂きました。あれ? 俺振り返っただけなのにな? 俺が悪いのかな?
そんな事を思いながら次の建て物に入ると、部屋の中心に四角錐型で天辺部分が切り取られた建造物があった。要は、ピラミッドの先端が無いバージョンだ。
ピラミッドの上部がどうなっているのかは分からないが、真っ正面には天辺までの階段が付けられている。
そしてピラミッドがある真上の天井は壁が無く、砂漠の美しい満天の星空が覗いている。
ピラミッドを迂回しながら先へ進むと、右と後ろにも正面どうように、天辺まで続く階段があった。
多分構造からして左にも階段があるんだろう。どうして4面全てに階段を付けたかは分からないが。
部屋の後方の壁には小さい入り口があった。恐らくあそこが最後の部屋だろう。
にしても、あまり敵が出て来なかったな~。遺跡内部だから、もっとゾンビとかが彷徨いているのかと思ってた。出会ったの8体だけだもんな~。
『最初と2番目の建物の、上には沢山居ますわよ?』
どうやら前の建て物の上にはうようよ居たらしいですね。今回は時間が無いし、住人も居るのでスルーします。
小さい入り口に向けて歩き出そうとした時、1つの疑問が浮かんだ。
「なんで、この建て物にはいないんだ?」
『流石マスター。良く気付きましたわね? この建物にアンデッドがいない事に━━』
そうか。やっぱりいないのか。でも生きてるモンスターは、出るって事は、
「━━神殿!?」
『正解ですわ。マスター』
どうやら俺の推測は当たったようだ。でも、何で教会には出たんだ?
『それは、教会は見守る場所で、神殿は神が降りる場所だからですわ。マスターの世界ではどうだか分からないですが、こちらの世界ではそれが基本ですわね』
なるほどね。神が降りるか見守るかの違いの差か。ここは降りる場所だから神気が残っていて、聖なる場所と化してるのかぁ~。でも、教会の近くに神殿を建てていいんですか、いいんです! はい。ごめんなさい。ネタぶちこみました。反省してます。ってあれ? 何か忘れてるような?
「今神殿って聞こえた気がするんだけど、トータ合ってる?」
「ああ。あってるぞ?」
エレナから質問来たけどどうしたんだろう? 神殿探してたのかな?
「本当! もしかしたら神様に会えるかな!?」
「マジかよ! 居るとは宣伝で聞いてたけど! もう会えちゃうのか!?」
「うん! 会いたいけど! 遺跡」
「そうだった! もう神様いないかあ。残念だ!!」
うん? 神様に会う?
「あああああああああああああ!! ルミリシアに連絡してないッ!!」
ヤバい! すっかり忘れてた! あれから何日経ったけ? 5日くらいか? なんだ。ならまだ大丈夫そうだな。良かった~。
「ルミリシアって誰?」
「俺のフレンド。連絡しないといけないんだけど、街に戻ってからするよ」
「そうなの? ならいいわ」
なんだったんだろう。この会話? ま、気を取り直して、最後の部屋に向かいましょう。
俺が入り口の中に入ると、皆が付いて来た。
部屋は何も無く、天井すら無かった。唯一あるのは壁と棚だけだ。そして棚には何かが起き上がりこちらを睨んでいる。睡眠妨害されたからかな? ま、いいや。鑑定しよう。
キラーエイプLv30 猿の上位種『備考』猿が殺しに特化して進化した個体。気にいった物を盗んで行く。
だってさ。犯人こいつだな。
「あいつが犯人ですね。盗みも殺しも」
「そう、ですか。あいつを倒して貰っても良いですか? 夫の仇をお願いします」
「はい。任せて下さい」
ミーレアの悲痛なお願いを二つ返事で了承する。さて、倒しますか。
「私達もやるわ」
「ああ!」
「コクコク!」
そう? なら手伝って貰いましょう。
「分かった。なら━━」
『マスター! 私に任せてです!』
俺が作戦を伝えようとすると、今まで黙っていた白夜がピョコっと前に出て来た。
「うん。行けるの? びゃくちゃん?」
『はいです! 今までの修行の成果見せるです!』
自信満々だし、ここは任せてみよう。
「分かった。任せるね~」
「え! その兎さんに任せるの!?」
「大丈夫かよ!?」
「心配!」
「大丈夫なんですか!?」
俺が白夜に答えると、全員に反対された。気持ちは分かるが俺は白夜を信じてますから!
『うさぎしゃんのおおおお! 咆哮おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
白夜が口を開けると、光の奔流が猿目掛けて吐き出された。
光の奔流は、猿を呑み込み遺跡の一部を消し去り、空の彼方へ消えて行った。
静まり返る室内。皆呆気に取られている。俺は別ですが。
「兎さんて咆哮放てるの!?」
『いいえ。シャイニングブレスですわ。白夜には兎さんの咆哮だって、教えましたけど』
なんて酷い姉なんだ! 妹で遊ぶなんて! それよりも、いつの間に光属性なんて身に付けたの!?
『ちょくちょく外に出てる時ですわ。マスターの事ですから、絆以外に私達のステータス見てないですわよね?』
はい! 絆だけしか見ていません。まさか別行動で成長するとは思って無かったです。凄い職業ですね。信愛者! と、他にも大切な事があった!
「嘘!? なら、他の光属性の攻撃も出来るの!?」
『いいえ。ブレスだけですわ。それだけ教えました』
おい! こら! お姉ちゃん? 普通は教えるの初期技からだろ!? 蒼空の事だから面白そうだから教えたっぽいけども!
『ご明察ですわ』
やっぱりか! 白夜ちゃんがどんどん残念な娘になって行く。グレたりしないかな?
『きゅうぅ。マスター疲れたです。抱っこ』
飛び込んで来た白夜を受け止めると、寝息が聞こえてきた。なんか大丈夫な気がします。
「そうだ。ペンダントは!? あ! ドロップしてました! 良かったああ~!」
どうやら無事に戻って来たらしい。良かったです。後は無事に送るだけですな。
従魔のステータスも観たいけど、もう3時過ぎてるから寝たいかな。
「皆、そろそろ寝よう。眠くなっちゃった」
エレナ、シンバ、ルナは黙って頷いた。まだ戻ってこれてない見たいですね。今の内に落ちましょう。
「では、明日送りますね? 蒼空頼んだ!」
「はい。よろしくお願いします」
『任されましたわ。マスター』
俺が声を掛けると、1人と1匹は頷いてくれた。これで安心して落ちれますな。では~またです~。
ログアウトっと。




