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砂漠の先に

「ウォーターランス!」


 水の槍を放ち、赤いライオンを2匹纏めて倒す。

 ふむ。何時も通りの手応えですね。はい。

 にしても━━。


「速い! ルナ!」

「うん。任せて」


 赤いライオンの攻撃をシンバが剣で受け、ルナが斬りかかる。


「ガア!」


 赤いライオンは、ルナに火の玉を放ち牽制すると、シンバを力任せに吹っ飛ばした。

 ルナは転げながら慌てて回避したが、そこに追い討ちを掛ける様に赤いライオンが飛び込んで来た。


「ッ!」


 ルナは起き上がり、赤いライオンの突進を辛うじて盾で防ぐ。

 大丈夫かな? 手を出したいけど、3人で倒せなきゃ、この先行けないしな。

 ルナは赤いライオンの腕力に負けて飛ばされ、盾を落として転がって行く。

 次にルナが顔を上げた時には、目の前に火の玉が迫っていた。


「パリィ!」


 ルナは、咄嗟に短剣で火の玉を弾く。が、その後ろから赤いライオンが飛び込んで来ていた。

 アーツを使った反動で動けない。

 ルナが激突を確信し、身を強張らせたその時━━、横から赤いライオンに向けて鋭い一閃が放たれた。


「スラッシュ!」


 吹き飛ばされたシンバが、エレナのサポートを受けて体勢を立て直し、赤いライオンへと斬りかかったのだ。

 赤いライオンは奇襲を受けると思ってなく、油断もあり、深々と切り裂かれる。

 あまりの痛みに赤いライオンが顔をしかめて動きを止める。ルナはこのチャンスを逃さない。

赤いライオンの顔を短剣で幾重にも斬り、左目に突き刺した。


「ガアアアアアアアア!」


 赤いライオンが飛び退き痛みに耐える様に地面を転がる。

 そこへ、シンバが飛び込み剣を縦横無尽に振るい、弱って来たライオンの胸に突き刺した。

 光の粒子になって赤いライオンが消える。無事に倒せた様だ。


「お疲れ~」


 俺が声を掛けると、幼なじみーズとルナに睨まれた。解せん。


「なんだよ?」

「なんだよ? じゃないわよ! どうして助けに入らないの!」

「ああ! 少しは手伝ってくれてもいいだろ!」


 ふむ。その事か。確かにただ見てるだけじゃ不満だろう。だが、


「助けなかったのは、3人で1匹も倒せないんじゃ、連れて行けないから。ここから先には、今の敵と同じ様な強さの敵しかいないのに、連れて行けると思う?」


 3人共黙り込んだ。あ、ルナは元からか。


『あのライオンと同等の強さのなんて、滅多に出てきませんよ?』


 え! そうなの!? あのクラスのモンスターがわんさか居るもんだと思ってた!

 因みに鑑定した結果がこちら。


 ファイヤーライオンLv9 ライオンの上位種『備考』ライオンが更なる強さを求めた結果、火を身に付けた種族。

 ファイヤーライオンLv9 ライオンの上位種『備考』ライオンが更なる強さ求めた結果、火を身に付けた種族。

 ファイヤーライオンLv10 ライオンの上位種『備考』ライオンが更なる強さ求めた結果、火を身に付けた種族。


 これが、倒した3匹の赤いライオンです。上2匹は俺が、下のはシンバ達が倒した奴です。


『もしかして、マスター? 騎士団との旅で、敵がいっぱい出て来たのを普通だと思ってますわね? アレ、異常な事ですからね? 刃羽魔鳥(じんばまどり)が出なければ、蟻の群れのようにあんなに出会わなかったですわ』

「そうなの!? ところで、刃羽魔鳥って何??」

『怪鳥ですわ』


 あの歪な鳥、そんな名前だったんですね。今こそ分かった新事実。今更感が凄いですけどね。


「確かにそうだな」


 うん? シンバが神妙な表情で頷いてるけど、どうした?


「1体くらいは俺等で倒すから、敵が出たら回してくれ!」


 あ、その話しか~。今の蒼空の話しを聞いたら、そこまで考え過ぎ無くても大丈夫な気がするな。


「あの~。その事なんだけど━━」

「そうね! 足手まといは嫌だもん! 頑張りましょう!」

「コクコク!」


 げ! どうしよう! 今更言い出せる雰囲気じゃない! 困ったな。

 エレナ、シンバ、ルナを見回す。全員決意の籠った瞳をしている。

 うん。これは、このままの方が上手く行く気がする。なので、黙ってます。


「あ、後トータ、何で一撃で倒せるんだ?」

「ウォーターランスだから。それとスキルレベル」

「なんでトータのスキルレベルがそんなに高いのよ? それにウォーターランスなんて使えるの、アカリ姉さんくらいよ?」


 おお。流石は我が姉様ですね。4人でボス狩りに行こうとしてたからね~。


「そうなんだ。ま、アカリねぇは気付いてそうだったからな~」

「気付く? って、何よ?」

「うん? レベルとスキルの矛盾」

「矛盾ってなんだ?」

「シンバ達ってさ。スキルレベル低いだろ?」

「まあな」


 顔をしかめながらシンバが答えた。


「それは7人で何時も行動してるから」

「どう言う事だ?」

「7人だと苦戦しない上に、経験値も入るから、レベルは楽に上がるけど、スキルは使った回数も関係してくるから、スキルレベルは上がり難い。だからアカリねぇ達は少人数でボスに挑んでるんだろうな~」

「そうなの!?」

「うん。この前4人で挑もうとしてるの見たしね」

「そっか。俺等も色々しないとな」

「そうね」

「うん」


 ま、他にもやり方が有るかもだけどね。うん? 俺? 俺のやり方は行き当たりばったりの完全な運任せですね。あ! でも! 絶望への挑戦者を手に入れればいけんじゃね!?


「無理!! 可笑しい!!」

「内容はチートだけど絶対無理!! 取れたら変態だ!!」

「そんなの取れる奴は人間じゃないわ! 化け物よ!!」


 伝えたら、えげつない反応を頂きました。ショックです。とても泣きそうです。むしろちょっと泣いてます。


「て、待って! トータあんた! その称号知ってるって事は! 持ってるって事よね!? 何時あったの?!」

「うん? 意外と旅してると起きるぞ? この世界」


 もしかしたら波瀾万丈の所為かも知れないなけどね。


「マジかよ!?」

「ああ。誰かしら感知系のスキル取っといた方がいいぞ? リアルスキルで出来れば別だけどな」

「リアルスキルで出来るのトータくらいよ?」

「うん? そうかな? 舞依辺りはそろそろ出来ると思うぞ?」

「どの道トータの家族じゃない!」


 そうだけど、それに何か問題があるのかな? よく分かりません。


「あの~」


 話し込んでると、女性が申し訳なさそうに声を掛けて来た。


「あ、はい。どうしました?」

「そろそろ移動しませんか? いつまで掛かるか分からないですし」


 そうでした! 出来れば早く終わらせたいですからね。明日まで、まだ学校だから。


「はい。そうですね。移動しましょう。それでは、蒼空よろしく」

『任せてですわ!』


 自信たっぷりに蒼空が頷いて答えた。




『そろそろ着きますわ。マスター』

「本当?」


 あれから2時間半、ひたすら南西に進んだところで、蒼空が声を掛けて来た。

 うーん。蒼空は近いって言ったけど、ただ砂漠が広がっている様にしか見えないな。って事はここら辺の見渡す限り砂の何処かに落ちてる、または埋まってる訳だ。探すの大変そうですな。


「ここ?」

「うん。ここら辺だって」

「えっ!? もう着いたの!? まだ強い敵と、4回しか会ってない!」


 と、言われましても、着いちゃったんだからどうしようもない。


「ま、いいじゃん。10回は戦ったんだから」

「て、言っても殆ど荒野の敵と変わらなかったじゃない!」

「そうだね。ライオン以外に違ってたのは、コブラと白い鼬だけだったね」


 その2種の中から、最初に鑑定した2匹の結果はこちら。


 毒々コブラLv8 蛇の上位種『備考』ヘビが更なる毒を求めた結果、猛毒になったコブラ型の種族。

 風鼬Lv7 鼬の上位種『備考』鼬が風を身に付けた種族。


 でした。後のはレベルの違いだけで、他は全て同じ説明でしたので省きます。


「でしょ!? どうせなら他のとも戦いたかったのに!」

「まだ、探さなきゃいけないから、その間も出てくるよ」

「そうかな? 出て来てくれるといいけど」


 それは運任せだからどうしようもないな。


『マスター。前方分かりますか? 大体ここから20m先ですわ』


 蒼空が言うので前方を見てみるも、砂しかない。


「う~ん? 何だろう? 何かあるの? 俺には砂しか分からないや」

「うん? なになに? 見つかったの?」

「どこ?」


 俺の言葉にエレナとルナが反応した。シンバと女性も不思議そうにしている。


「分かんない。蒼空が言うには前方に何かある見たい」

「前方? 何も無いわよ?」

「強いて言うなら砂」

「埋まってるとかかあ?」


 確かに俺も皆と同意見です。


『違いますわよマスター。遺跡があるんですわ。【蜃気楼の遺跡】と喚ばれている遺跡ですわ』

「遺跡? どこに?」

「えっ!? 遺跡!? どこ!?」

「マジか!? 全く見えないぞ!?」

「コクコク!」


 や! ちょっと待ってくれ! 今蒼空と話してるから! あ、念話にすればいいのか!


「ちょっと! どこにあるのよトータ! 教えなさい!」

「そうだ! 俺達にも教えてくれてもいいだろ!」

「コクコク!!」


 何か外野が五月蝿いが、取り敢えず無視でお願いします。


『どこにあるの?』

『後、10m近付けば見えますわ』

『本当に? ちょっと行ってみるね!』


 蒼空が言った通りに近付く。

 うん? 今気付いたけど、蜃気楼って遠い場所から見えて、近付いたら消えるんだよね? 近付かなきゃ見えないのは、蜃気楼とは呼べないんじゃない?


『知りませんわ! そんなのは名付けた者に言ってください!』


 蒼空に怒られた! 確かにごもっともなので、何も返せません。


「ちょっとトータ! どこ行くのよ!」


 後ろでエレナの声がするけど、確認するまではほったらかしでいいや。

 そろそろ蒼空が言ってた10m━━!


「すッンげぇ!! なんだ?! この遺跡!? 突然目の前に遺跡が出て来た!!」


 俺の目の前には、岩で出来た高さ70mくらいの大きな建造物が鎮座していた。


「トータどうし━━う、そぉ?!」

「なんだ? どうした━━って! なんじゃこりゃあああ!!」

「コクコクコクコクコクコク!!」


 おお! 皆も同じ良いリアクションをしてくれますね。良かった。俺だけじゃなくって。


「うわあ~! 凄い遺跡ですね! 初めて見ました!」


 住人も驚く遺跡なのか! てか、何で住人の知らない遺跡を蒼空が知ってるんだ? それに吃驚だよ!


『マスターと出会う前はあっちこっち、渡り歩いてましたからね。色々知ってるんですわ』


 そうだよね。配信される前も、蒼空は蒼空で自由に歩き回れたんだもんね。本当良かったよ。蒼空と出逢えて。


『私もですわ。マスター。マスターと出逢えて良かったですわ』

『蒼空━━!』

『うー! あたしだけ除け者じゃないですか!』

『そんな事無いよ。白夜が飛び込んで来てくれて、嬉しかったよ』

『━━マスター!!』

『ま、その後酷い目にあったけど』

『マスター!!』


 ヤバイ! 余計な事言ったから、白夜がお怒りだ!


『もう! せっかく感動してたのにぃ! いい加減、お漏らしの事は、忘れて欲しいですぅ!』

『ごめんごめん。つい、ね?』

『うー! 撫でてください。愛情込めて!』

『了解』


 出来るだけ優しく丁寧に撫でてやる。

 満足したのか? 白夜が目を瞑って、上機嫌に、きゅっと、鼻歌を口ずさむ様に鳴いている。とても可愛いです。


『それで、蒼空? この中にあるの?』

『そうですわね? 中に続いています』


 そうか。なら次は遺跡の中に行かないとな。


「皆! 遺跡の中だって! 多分敵のレベルも上がると思うから、用心して行こう!」

「「「「「了解!」」」」


 俺が声を掛けると、皆我に返り、一斉に気合いを入れる様に返事をした。

 次は遺跡探索かぁ。

 はっきり言って凄く楽しみです!

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